2021/12/25
くまもりNews国は規制緩和までして、2050年カーボンニュートラルをめざし、メガソーラー、風力発電などの再エネ事業を猛烈に推進しています。
林野庁は今、国有林の保安林や緑の回廊まで、再エネ事業者に差し出しています。(日本には、森を守る部署はありません)
・保安林指定解除マニュアル(風力編) 林野庁 令和3年6月
・風力発電・地熱発電に係る国有林野の貸付け等手続きマニュアル 林野庁 令和3年9月
再エネ開発をめぐって、全国各地で、今、紛争が起きています。
FIT法があるうちに事業を実施して暴利を得てしまいたい国内外の駆け込み業者と、ふるさとの自然を再エネ事業の環境破壊から死守したい地域住民が対立しているのです。こういう問題は、本来、地域住民が必ず勝つし、国土を守るためには地域住民が勝たねばなりません。
京都府の「丹後の自然と暮らしを守る会」が、丹後で計画されている風力発電の配慮書に対する反対意見書の提出を募っておられます。オンラインでの反対署名も1000筆に到達しそうです。熊森京都府支部長や丹後出身の方から、ぜひ、熊森のHPに載せてほしいという依頼を受けました。いずれもクマの生息地ですから、熊森も絶対に引けません。このような事業が実施されたなら、棲めなくなった野生動物たちが山から次々と出て来るようになり、今の日本では皆殺しにされて終わることが目に見えています。
現在、住民の合意と理解が十分に得られない中で、京都府北部の丹後半島の山々に巨大な風車を建設する計画が進んでいます。
京丹後市丹後町の依遅ヶ尾山一帯には、日本最大級の一基4300kwの出力を持ち、高さ最大180mの風車が15基、宮津市日ケ谷から伊根町菅野に同風車12基、京丹後市大宮町から峰山町の磯砂山一帯には一基4000kw、高さ最大170mの風車14基を建設する計画です。
依遅ヶ尾山は古代より修験道の霊場とされてきた霊峰、磯砂山は日本最古といわれる羽衣伝説が伝わり我が国の農耕文化のルーツとされる聖なる山です。日ケ谷や菅野エリアでは日本の原風景、里山の暮らしが継承されています。
巨大な風車の建設工事により、主に以下のような影響が心配されます。
【自然環境】絶滅危惧種のクマタカなどの希少な生き物の生息する自然環境や生態系への影響が懸念されます。川に土砂が流出することで、宇川のアユが住めなくなるおそれもあります。
【災害と暮らし】予定地は地質的にもろく地滑りや土砂崩れの頻発してきた場所であり、災害や事故の危険性が極めて高くなります。巨大風車による騒音、低周波音などによる周辺住民の健康被害が懸念されます。
【景観】予定地は山陰海岸ジオパークや丹後天橋立大江山国定公園の一部です。住民、移住者や旅行者をひきつける豊かな自然景観が大きく変わってしまいます。
私たちは、丹後半島の豊かで美しい自然環境を保全し、共生を保持し、これを次代に継承し、真に持続可能な未来を目指すため、今回の風力発電事業の中止を求めます。
熊森から
「丹後の自然と暮らしを守る会」さんは、住民の安全より先に、物言えぬ鳥や魚たちのことを心配されています。弱者のことを、まず考えてあげる。それでこそ大人で、すばらしいと思いました。
他にも、全国各地の住民のみなさんから当協会に再エネSOSの声が入り続けています。
国内外の潤沢な資金を持つ投資家に支えられた海千山千の巨大業者と、法律など読んだこともない素人の地域住民が、手弁当で素手で闘っているさまは、痛々しい限りです。
首長や行政は、当然、住民側に付かねばならないのですが、業者からいただくお金に目がくらんで、業者側に付く人も結構いるようです。業者からいただくお金は、元をただせば私たち国民の再エネ賦課金ですから、国民最優先を忘れないでほしいです。
国は、大気中の二酸化濃度を下げるために再エネを進めると説明していますが、吸収源である森林伐採を伴うのであれば本末転倒です。再エネ設備は製造や運搬に膨大な石油を必要としますが、寿命はたったの20年。しかも、太陽光は晴れた日の昼間だけ、風力は適度な風が吹いたときだけしか発電しないため、絶えず火力発電をスタンバイさせておかねばなりません。20年後の再エネ設備の廃棄物の山を思うと、目の前が真っ暗になります。自然になじまないものばかりです。どう処理する気でしょうか。
熊森は、今の技術を見ている限り、再エネで二酸化炭素削減などできないと思います。もしかしたら、再エネ導入で、より二酸化炭素濃度を高めているかもしれません。仮に、少し二酸化炭素濃度を下げられたとしても、その代償として、生物の多様性や水源、地域の住民の安全を失う。失うものの方が大き過ぎますから、やがて賢明な国民は自然破壊・森林破壊型再エネNO!に時間の問題で固まっていくことでしょう。官僚や政治家の皆さんは、ここで立ち止まって、エネルギー対策を森林破壊しないものに変えないと、絶対に失敗するだろうと確信します。(完)
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