お知らせ

2022/07/11

くまもりNews
第11回日本奥山学会研究発表会に57名参加

7月3日(日)、関西学院大学上ヶ原キャンパスG号館201号教室をお借りして、熊森が支援している「市民と研究者で作る日本奥山学会」の第11回研究発表会が持たれました。一般市民が、年に一度、奥山に関係する研究者の発表を聞いて、いろいろ質問できるというユニークな学会です。発表してくださった皆様、ご支援・ご協力くださった皆様、参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

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           初めの挨拶をする脇井真理子学会長

記念講演をしてくださったのは、北海道大学の立澤史郎先生です。

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                 立澤史郎先生

立澤先生のお話より一部抜粋

「この60年、日本人は野生動物に何をしたのか。奥山を壊すというひどいことをしたのです。高度経済成長は、地方を収奪し、都市を栄えさせていきました。尾根筋や谷筋は野生動物たちが主に利用している場所であると、ひいおじいちゃんたちの時代までは地方はみんな知っていました。そのため、そういう場所には手を付けないようにして山を守っていました。そういう地域社会が崩壊して、世の中全て金次第という大量消費社会に日本国中が舞い上がっていったのです。

今や、地方はどこもすっかり疲弊してしまっています。最近、町中に野生動物が出て来るようになったと言われていますが、戦後の奥山開発や拡大造林から端を発しています。」

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                   講演風景

「鹿児島県の大隅諸島(種子島、屋久島、口永良部島、馬毛島)のシカを比較したら面白いのではないかと思って、研究を始めました。1990年代までは、山の奥に入らないとシカがいないという状況でしたが、今ではシカが、だんだん里に下りて来るようになっています。

馬毛島で調べたところ、シカが増え過ぎてくると、出生数が減り、死亡率が上がるため、生息数が減ってきます。

天敵もいない、雪も降らない馬毛島ですが、増え過ぎないようにシカは自分で個体数調整をしていることがわかりました。」

<参加者のアンケートから>

・シカは放置していると増え続けてしまうので、人間が殺して食べてやらないとだめだというのが環境省の方針ですが、殺しても、やがてまた元の数に戻ってしまうことがわかりました。何をしていることやら。

・馬毛島のシカが、自分で個体数調整をしていたことを知って、衝撃を受けました。

・今の日本のように絶えずシカを罠で捕殺し続けていると、高齢のシカがいなくなり、若齢の元気なシカばかりになっていくので、出生数が多くなると思う。シカ社会の年齢構成に人間が手を入れていることになるが、人間がこのようなことをしてもいいのだろうか。

・今のシカ問題を引き起こしたのは、人間の行為によるものが大きいとわかりました。

・大変おもしろかったです。多くを学びました。

・海外では、シカ問題にどう対応しているのか知りたいです。

・ここは関西なので、次回は、奈良のシカについても講演してほしい。

・シカ問題の解決には、奥山を再生することが必要なのではないか。シカと森の関係をもっと知りたくなった。

・立澤先生のシカに対する愛情が伝わってきて、心が温かくなりました。

・記念講演以外の、池ノ谷の土木、ナガレヒキガエル、東北の森と再エネ開発、どれもおもしろかったです。

学会事務局から

この度、日本奥山学会誌第9号(41ページ、定価800円)を出版しました。ご注文をお受けしています。

<記念講演>

テーマ 「今やんばるの森で起こっていること」 金井塚 務

環境NGO広島フィールドミュージアム代表 日本森林生態系保護ネットワーク代表

<研究発表>

野生ツキノワグマの保護飼育と放獣の事例報告(新潟県南魚沼市) 水見 竜哉

一般財団法人日本熊森協会 主任研究員

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学会員募集中

完全民間の学会ですので、研究者の良心のまま発表いただけます。このような学会を今後も継続させるには、発表したり会費を出して支えてくださったりする学会員がもっと多く必要です。ただいま、学会員を多数募集中です。ぜひ、ご応募ください。

 

研究助成

若手の奥山研究者が増えるよう、学生や院性の研究助成も行っています。研究助成を希望される方は、お問い合わせください。

■日本奥山学会 問合せ■
電話:0798-22-4190 (日本熊森協会内)
メール:contact@okuyama-society.org

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