2022/11/05
くまもりNews10月14日(金)
午前9時過ぎ、青森空港に降り立ちました。この日ガイドしてくださるのは「みちのく風力発電」に反対されているご夫妻です。
1円にもならないばかりか、自分たちのお金がどんどん出ていくだけなのに、そのがんばりには本当に頭が下がります。
まさに、同志です。
この日、視察同行を希望された弘前のくまもり会員夫妻らも空港に来てくださっていました。全国区の熊森は、今やどこへ行っても、こうやって会員が駆けつけてくださいます。本当にありがたいことです。会員の皆さんに感謝です。飛行場から少し出て車を止め、風車が設置される予定の山並みを見せていただきました。
奥に見えるのが風車150基設置予定の山並み(青森市)
山並みの高さは標高500m~600mだそうですから、高さ200mの風車150基というと、山の高さの3分の1くらいの高さの風車が尾根の上にずらっと並ぶわけです。青森市から丸見えです。相当うっとうしいと思いますが、そんなものがこの山に建とうとしているとわかっている人は、まだほとんどいないようです。人々が知らない間に計画は着々と進んでおり、まもなく環境アセス2段階目の方法書の公表が近いそうです。
いよいよ八甲田(標高1,585m)に向かいます。ロープウェイから見る秋の八甲田は信じられない美しさです。黄色に色づいているのは全部ブナで、ブナの純林がどこまでも続いています。ちょうどこの時期、長い冬ごもりに向けて、この森の中でクマたちをはじめとする野生動物たちがブナの実を必死に食べ続けていることでしょう。西日本から行った私たちには実りや湧き水の豊かな青森の山がうらやましすぎて、ため息が出ました。ここの自然は、間違いなく日本の宝です。日本国民みんなで、奥羽山脈守れの声をあげていかねばなりません。
黄色がブナ、山頂付近の緑はアオモリトドマツ(ロープウェイから)
頂上から、風車の建設予定地を見降ろしました。八甲田山の頂上だと風が強すぎて、風車には向かないのだそうです。赤線の部分が八甲田山に続く山並みの尾根で、尾根から高さ200m上を吹く風が、風車には最適なのだそうです。そのため風車の高さが200mのようです。
八甲田山頂から、みんなで風車設置予定の尾根筋(赤線)を見下ろす。
くまもり作成予想図
八甲田山を再びロープウェイで降りてから、風車のブレードを尾根筋まで運ぶ道路横となる場所で昼食。
青森の森
会員の方が、おやつや紅玉のリンゴをたくさんむいたものを持ってきてくださっていました。紅玉のリンゴは以前はよくスーパーで売っていましたが、なぜか最近は見ることが少なくなりました。何年かぶりに、紅玉リンゴをおいしくたらふくいただきました。
紅玉リンゴ
昼食後、十和田八幡平国立公園内にある広大な田代平湿原に行って、そこから美しい八甲田連峰を見ました。この山並みにずらりと風車が並ぶそうで、想像しただけで興ざめです。
田代平湿原
しかし、尾根筋風車の本当の恐ろしさは、景観や二酸化炭素の吸収源である樹木の喪失だけではなく、森の乾燥化、水源破壊、森の生き物たちの絶滅、低周波音による健康被害、川や海産物への影響など、建つ前には察知できないものでいっぱいです。
夕方になって、この日の最後の視察予定地である、JREが牧場跡地に建てたという7基の稼働中風車を見に行きました。
稼働中のJRE七戸十和田風力発電風車の下に立つ 注:黄色の服が人物
地震や台風が多い日本。こんな頭でっかちの風車を造って、倒れてきたらどうするのか。絶対に逃げられない。高さ170mの風車の下に建つと、風車の威圧感に恐怖を感じました。阪神大震災の後、当時の兵庫県貝原俊民知事が、「今後は、巨大建造物を造ってはいけない。事故があった時、助けられないことがわかった」としみじみ語っておられたのを思い出しました。
以前、一級建築士の方から、自分がビルを建てる時は必ず岩盤に届くまで100mでも200mでも杭打ちをすると聞いたことがあります。
火山で出来た山に岩盤などあるのでしょうか。心配になってきました。
騒音に関しては、以前の風車と違って、最近の風車騒音はずいぶんと小さくなったのではないかと思いますが、問題は耳に聞こえない低周波音です。測定器を持ってきたらすぐ測定できるそうです。これが人体や生物体に悪さをするようで、詳しくは和歌山由良町の由良守生氏のブログを読んでください。健康被害を受けた者でないとわからない悲惨な世界です。
この日、休みを取って誠実いっぱいに案内してくださったご夫妻、昼食用にといろいろとおいしいものをもって来てくださった熊森会員ご夫妻らに、心から感謝申し上げます。
山林破壊風車は許せない。計画の白紙撤回以外にない。自然保護団体として、改めて固く決意しました。
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