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2024/02/23

くまもりNews
2月11日 北海道支部主催 ヒグマ指定管理鳥獣化案について語り合う会 in札幌 

昨年11月、北海道の鈴木知事が秋田の佐竹知事ら東北地方と新潟県の知事を誘って、クマの捕殺強化のために国の交付金を求める要望書を、環境省伊藤信太郎大臣に提出しました。
これを受けて環境省は、今年4月の省令化をめざして、今、クマ指定管理鳥獣化を急ピッチで進めています。

元々、指定管理鳥獣の制度は、農業被害などを多く出しているシカとイノシシの頭数を10年後の2023年までに半減させる目的で、罠を仕掛けて夜でも山奥でも大量に捕殺することが出来るようにしたものです。結果、大量に捕殺したものの減った分すぐに新しい子が生まれるため、10年たっても思ったように数は減らず、錯誤捕獲される他の野生動物が続出するなど、大変な弊害が出ています。

昨年度、東北地方中心に山の実り皆無という前代未聞の異変がおき、秋にクマたちが餌を求めて山からどんどん出て来て、近年最多の1.3倍となる人身事故(218名、うち、死者6名。)とクマの大量捕殺(12月末8558頭:内訳はヒグマ1002頭、ツキノワグマ7556頭)という悲惨な記録が残されました。

大激減したクマを、指定管理鳥獣にしてさらに捕殺強化しようという動きに、私たちは疑問を持ちました。シカやイノシシと比べると、クマの生息数は桁違いに少ないし、繁殖力も弱く、地球規模で絶滅しかけている動物です。

これ以上クマの捕殺強化を進めると、オオカミに次いでクマまで絶滅し、日本の水源の森が保てなくなってしまいます。

第一、クマたちは人身事故を起こそうとして山から出てきたわけではありません。

空腹に耐えかねて出てきたのですから、クマを殺すのではなく、山の中に以前のような昆虫や実りを復活させて、クマが山から出て来なくてもいいようにすることが、この後の対策の中心になるべきです。

2月11日、熊森北海道支部はいろんな立場の方をお呼びして、指定管理鳥獣のことなどヒグマについて語り合う会を札幌で開催しました。
会場いっぱいに100名近くの方々がお集まりくださり、予想を超える盛会となりました。

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札幌 かでる2.7の会場風景

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(1)「広葉樹の森を育てる」   札幌市森林組合理事 我満嘉明氏 札幌在住

元青森の漁師だったひおじいさんが、沿岸沿いに北海道にやってきて盤渓に住み着いた第1号です。当時の北海道では、屯田兵の生活を守るために、国有林の木が伐られていました。私のおじいさんは、北海道中の山を歩き回って造材の仕事をしていました。私たち孫にホタテやスルメのおやつを持って帰って来てくれるのが楽しみでした。

今、地球規模で地下水が減ってきているそうです。北海道も原生林がどんどん伐られて、スギやカラマツ、エゾマツなどに植え変えられた。そういうとこって下草が生えないんです。雨が降っても水がしみ込まない。しかし、クマが好むナラの木は、根が深く入り込んで地下水を貯える。おいしい水が湧き出る森をつくることにクマが一役かっている。

戦後、北海道も、針葉樹ばかり植え過ぎた。道民のボランティアで、広葉樹の森に戻していきたい。

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(2)「ヒグマの判断力・学習能力を知り、ヒグマ出没抑止対策を考える」

プロカメラマン稗田一俊氏 二海郡八雲町在住    流域の自然を考えるネットワーク所属

魚の写真を取りに行くとヒグマに出会うことになる。ヒグマは人と出会うと、自ら人とのトラブルを回避しようとする高い能力を持っている。集落の裏に住み着いているヒグマは、新たなヒグマがよそから入り込んでこないように住民を守っている面もある。むやみに捕殺するのではなく、出没抑制対策にこそ力を入れるべきだ。

ヒグマの研究者たちが、研究のためと言って、誘引物でヒグマをおびき出して捕獲し、首に発信機をつけるなどして、クマに耐え難い負担を強いているが、誘因物多用行為がクマの行動範囲を広域化させていると感じる。

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首の毛は擦り切れ、発信機によって下にも上にも顔を上げることが制限されて苦しむヒグマ   電磁波障害も心配

3)「ハンターとしての経験、今後の対応」    猟友会標茶支部長 後藤勲氏 標茶町在住

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こんなに多くの方がお集まりとは予想外です。ヒグマを守りたい人ばっかり集まっている会に殺す人間が行ったら袋叩きに合うんじゃないかと不安だったのですが、今朝、家内が、クマを守ろうという人たちだから優しい人たちばっかりじゃないのというので、そうだなと思ってやってきました。

ハーフライフルの規制緩和は時期尚早。内地からやってくる獲りたいだけの経験のない若いハンターたちを誰が指導するのか。ハーフライフルはベテランのハンターに何年かついてノウハウを学んだ人以外が使用するのは危険だ。

クマ指定管理鳥獣については、皆さんがクマを殺すなというのはわかるが、私たちは被害を出すクマを殺さねばならない立場にいる。もちろんなんでも殺すのではなく、悪いことをする前に、どうしたらしなくなるか考えることが先決。花火などで追い払うことができる場合は追い払えばよい。

クマと人の共存の前に、私たちハンターとあなた方の共生・共存が必要だと感じている。

熊森北海道支部長 鈴木ひかる

ヒグマ問題は行政だけに任すのではなく、立場が違う様々な人たちの意見を聞きながら、道民みんなの叡智を集めて考えることが大切。クマと人間が棲み分けて共存し続ける北海道をめざして、このような会を今後、もっと北海道各地で開催していきたい。

集会を終えて

参加者の皆さんの感想文には、自分たちはあまりにもヒグマのことを知らなさ過ぎた、このような集会を何度も開いていただき、いろいろな立場の方の話を今後も聞いてみたいという声が多くありました。

クマとの共存を願う熊森会員を二者択一的に誤解し敵視する人たちがいますが、熊森会員は被害にあわれている方々にも共感し、何とか手を差し伸べられないかとやさしい気持ちを持っています。みんなで繋がり合ってよい方向に進めていきたいと考えています。

雪の中参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

北海道新聞や朝日新聞などの記者さんが取材に来られて記事にしてくださいました。今後ともよろしくお願いします。

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