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2024/04/25

くまもりNews
4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催①

4月16日、伊藤信太郎環境大臣が、クマを指定管理鳥獣に指定すると発表しました。

マスコミは、これで国の交付金を用いてクマを捕獲したり被害防除したりできるようになりますと、一斉に報道。
問題は山や人ではなく、クマに原因があるとの誤った報道が、全国に広がり、クマはさらに追いつめられた状況におかれています。

まさに、クマ保全未曽有の危機です。

クマが棲めないほど山の荒廃が深刻で、捕獲を強化しても何も解決しない。問題の解決には山を豊かにし、人とクマの棲み分けこそ支援すべきという、熊森の主張はメディアにほとんど取りあげられません。

そんな中、第27回くまもり全国大会開催が熊森発祥の地、兵庫県尼崎市で開催されました。

 

今年も、新潟県の法人会員マルソー株式会社様から見事な祝い花が届けられ、会場入り口は華やかな雰囲気に包まれました。

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                                                                      豪華な祝い花

以下はプログラムです。

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プログラムの裏には、3名の顧問の先生方が寄せてくださった500文字のコメントが掲載されていますので、それをまず、ご紹介したいと思います。

●環境省は何の為にあるのか   

宮澤 正義 顧問(長野県 日本におけるツキノワグマ研究第一人者)

第27回熊森全国大会おめでとうございます。
私は、昭和2年生まれの97歳です。もう限られた時間の持ち合わせしかありません。熊森本部、支部の皆様の献身的なはたらきに、いつも感謝しています。

今回、愚かな環境省がクマを指定管理鳥獣に指定してしまいました。熊森の皆様の、クマをシンボルに日本の水源の森を保全・再生しようという27年間にわたる大変な努力を、無駄にしてしまいかねない暴挙です。
病気治療の目的の方が奥山の温泉を訪れたりすることは否定しませんが、元気な人たちが、最近では300名山までリストアップし、奥山にどんどん入り込んで行く。そのために、そこでしか暮らせない野生動物たちが蹂躙され、どんな苦難を強いられることになっているのか、考えてみたことはあるのか。生きるために人間の生活圏に出て行かざるを得なくなった彼らを駆除することに、環境省は予算を付けて推進する。
縦割り行政の弊害なのか。環境省の人たちは大臣から職員に至るまで、生態系とは何か、日本国も批准した生物多様性条約とは何かわかっているのか。この国に環境庁が作られた理由、庁から省への格上げの狙いさえわかっていないのではないか。無念です。

●ツキノワグマの出没要因となる温暖化問題   

主原 憲司 顧問(京都府 昆虫研究者)

昨年は観測史上最も暑い夏となりました。マスコミ報道は、連日、クマの出没や人身事故で埋め尽くされていましたが、このクマの異常出没に温暖化が関係していることを述べる報道は皆無でした。温暖化により寒冷気候帯に生息している種の多くは適応できずに衰退しています。私は蝶類を継続調査していますが、食樹となる木の芽吹き時期がずれることで、標高の低い山地では既に絶滅が始まっています。この状況は冷温帯の昆虫や植物を餌にしているクマにも連動します。
秋のクマの出没はブナ科堅果類の凶作が大きな原因です。冬眠に必要な栄養を得るため、冷温帯林のブナが不作だとクマはミズナラ域に移動。コナラやクリが混交する中間温帯林に移動することもあります。ここも不作だと、人里を徘徊し、周辺で越冬し、春の出没要因になります。奥山の餌不足で人里に出没しているクマをこのまま有害駆除し続けても、絶滅以外に人里での出没は止められません。
薮の刈り払い等の対策は出没位置の変化を生むだけで、根本解決には至りません。山からクマが出て来ないようにするためには当面の餌不足問題を解決する必要があり、そのためにはクヌギのドングリ(地域固有の遺伝子を持たない)を山に運ぶなどの給餌行為も、場所によっては必要です。

●クマの棲める森を     

藤田 恵 顧問 (元徳島県木頭村村長)

本来のクマは「人の匂を嗅ぐと四キロ先まで逃げる」と言われ、1940~70年代の私が子供の頃から青年の時分の常識でした。
クマが山から出て来る根本原因は「拡大造林」です。「拡大造林」は1950年代から、広葉樹を皆伐して主にスギやヒノキを密植した国の愚策です。このため、クマが住んでいた全国の広葉樹林が殆ど無くなってしまったのです。それで、棲みかも十分な食べ物もないためクマは命がけで、民家付近へ出て来ていたのです。(注:四国のクマは残り十数頭。ここまで減ると種の保全はもうむずかしい)
以上のようなクマの側からの発想で、拡大造林で荒れ果てたスギなどの針葉樹林をケヤキやクリなどの広葉樹の森にしなければ、根本的な、クマなどの獣害対策は不可能です。人間のした生息地破壊は棚に上げて、民家近くで害があったからと、クマなどを銃で撃ち殺しているのは私が知る限り世界中で、低民度の日本だけです。
「クマの棲める森」は、広葉樹林によるクマを頂点とした生物多様性の原点です。近年のコロナ被害、鳥インフルエンザなどの多くは生物多様性が失われていることが原因だとされています。クマなど大型動物の出没は、これらに対する人間への警告だと思います。

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