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2010-01

鳥取県民宿の「クマの有害駆除わな設置」報道

誤解を与える東京テレビ 
 鳥取県民宿の「クマの有害駆除わな設置」報道 
 
会員からの訴え
 2010年1月30日放映、テレビ東京土曜スペシャルのなかで、鳥取県八頭郡のある旅館が、客にクマ肉を食べさせる目的でクマ捕獲檻を設置しており、今までに6~7頭のクマを獲ったと話していた。違法ではないのか。宿のご主人は、クマの牙を数本ネックレスにしていて、自慢そうに見せていました。

熊森の答え
 東中国山地のクマは絶滅を迎えているため、兵庫県、岡山県、鳥取県、いずれも、ツキノワグマ狩猟が禁止となっております。有害駆除も大変厳しくなっており、実際は捕獲許可がまず出ません。本当なら、大変なる違法です。すぐ調べます。

鳥取県と鳥取県地元役場に電話して調査を依頼
 以下、行政の方からの調査報告

 問題とされているテレビは「若桜鉄道をめぐる旅」です。町の担当課長らと、どんな番組だったのかみんなで視聴してみました。旅館は、野生の獣料理専門宿として、紹介されていました。

田尾安志 「イノシシのほかにも何か獲れますか」 
旅館の奥さん「シカとかクマがねえ。この近くまで来て獲れました。」
旅館のご主人「今までに7頭ぐらい、クマを獲りましたよ」

(ナレーター)クマを捕らえるための檻を見せてもらうことに。
山林の中に入っていくと、太い鉄格子でできた箱罠という檻が設置されていて、檻の中には、ナシがたくさん入っていました。

旅館のご主人「こんな感じでえさをやっています。特に、ナシ、カキを良く食べるんですよ。クマは。手          前のヌカは、イノシシ用です」

鳥取県ではこれまで、ツキノワグマの狩猟が自粛されており、平成19年からは、禁止されました。さっそく、行政担当者が、この旅館のご主人を訪れてくださいました。

<以下、旅館のご主人が行政担当者に語った話>
 クマの狩猟が自粛されてから、クマを獲ったことはありません。
 これまで狩猟でクマを獲ったことはありません。
 平成15年、16年、18年に町から有害駆除の許可を得て、7頭のクマを獲りました。
 旅館で出しているのはイノシシ料理で、クマ料理など、出したことはありません。

<行政の方の話>
 平成19年からクマ狩猟は完全に禁止されましたが、イノシシ用の罠に誤ってクマがかかる錯誤捕獲が後を絶たず、頭を痛めています。東京に本社のある野生鳥獣捕獲業者に頼んで、すべて、放獣しています。放獣費用は1頭に付き、20万円です。

熊森の感想
 会員の皆さんからの情報が、とてもありがたく心強いです。今後、問題テレビがあったときは、録画して送っていただけたら助かります。または、ご自分で調べられて、結果をご報告ください。

 行政の方が、旅館のご主人に会いに行ってまで、確かめてくださったことに、感謝します。ただ、番組の放映は、いまでもこの旅館がクマを獲っていると思われても仕方がない内容であったと感じます。
東京テレビが、もっと慎重に報道すべきでした。この旅館には、当協会会員に、時々機会を見つけて訪れてもらおうと思います。

 それにしても、山の実りが大凶作で、クマが冬眠前の食い込みができず、空腹の余り、人里のカキを食べようと、夜こっそり近づいて、次々と死刑になったことには胸が痛みます。人間のせいで、山にエサがなくなったのに、哀れに思ってやる行政や地元の人はいなかったのでしょうか。
 今、どこでも、イノシシ罠へのクマの錯誤捕獲が多いのですが、1回の放獣に20万円も業者に支払うぐらいなら、クマが入っても自力で出られるクマスルー檻(屋根部分に穴が開いている)に換えてやって欲しいものです。でなければ、放獣のたびに、クマは弱っていきますし、罠に2度目にかかれば、研究者たちが考えた規定により、学習能力のないバカなクマとして、全て殺されているのが現実です。

 韓国はいったん滅びたクマを復活させるために、20億円の予算を組みました。これだけお金を使っても、いったん滅びたクマをもどすことなど絶望的です。日本も、絶滅させないように、環境省は、クマを早急に保護獣に指定すべきでしょう。

普通の数のクマが普通に生息している普通の自然を取り戻さねば、人も生き残れません。

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