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カテゴリー「支部・地区・地域」の記事一覧

長野県八ケ岳火口に転落したクマについて、森山名誉会長がコメント 東京新聞9月5日24面

当協会はクマについて27年間、徹底した現場主義者の研究者たちと共に、みんなで調べ続けてきました。

マスコミの皆さん、クマのことは、熊森に聞いてください。

 

以下、東京新聞記事です。

 

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ヒグマによる人身事故に、3識者の多面的なコメントを掲載した十勝毎日新聞社を讃える

クマ類の有害捕殺数は、すでに今年度7月末までに、ヒグマ287頭、ツキノワグマ1611頭にもなっています。(環境省統計より)

 

有害捕殺というと、クマが何か悪いことをしたような印象を受けますが、当協会のこれまでの調査では、動物としてそこにいたことや、そこにある何かを食べたことが殺処分理由になっており、ほぼすべてが誰にも知られず人間によって闇から闇に消されています。(クマだけではなく、現在、わが国では膨大な野生動物が日々有害捕殺されており、彼らも同様です。)

 

マスコミによってほんの例外的に報道されるクマは、やさしい人々から思いを寄せてもらうことができ、生きた証が残り、ある意味では幸せなクマです。

 

 

<以下は、門崎允昭 博士が代表をつ込める北海道野生動物研究所が発行している「北海道熊研究会会報92号」よりの抜粋>

 

今年7月11日と7月29日の午前4時台に、北海道日高系の十勝管内、札内川上流の八の沢源流上にある「カムイエクウチカウシ」頂上東側の圏谷カール」で、ヒグマによる人身事故が起きた。

 

この山頂(1979m)は日高山系第 2 の高峰で、50 ㎞間隔で3カ所ある一等三 角点の2つ目がある。私は(門崎)幾度も四季通じて登っており、 2月にスキーとアイゼンで、 八の沢から頂上に直登した事もある場所。熟知である。今回、羆に襲われた登山者 2 人も、 この八の沢から登山したもの。

 

私の見解:人を襲った個体は同じである。本気で襲っていない。個体は3歳代で襲った時刻 がいずれも午前 4 時台である。反撃されてその個体は、直ぐに、人から離れ、逃げている。 ホイスルを鳴らしていたら、襲われなかった事故である。 羆が居る可能性がある場所には、ホイスル(軽い、音が響きわたる)と鉈は必需品で有る事 を肝に銘じることである。この羆を殺すべきと言う者は、羆の生態に関する己の無知と自 然に対する傲慢さを恥よと言いたい。真摯に、羆や自然と向き合う事だ。そして発言せよ。

 

<以下、十勝毎日新聞より>

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熊森から

この事件に対して、帯広市にある「十勝毎日新聞社」は、3人の異なる識者の見解を掲載しました。

報道姿勢として、当然の基本ではありますが、行政発表や行政付き識者のコメントしか掲載しない新聞社がほとんどになってしまった現在のわが国では、快挙であり、大変すばらしいと思います。

多様な意見を伝えなければ、国民に考える力が付きません。熊森は、「十勝毎日新聞社」に大拍手を送りたいと思います。

みなさんは、この3者のコメントをどう思われますか?フェイスブックでコメントを出し合えればいいですね。

 

 

・悪は悪人が作り出すのではなく、思考停止の凡人が作る。

・多くの人が考え続けることで人間は強くなり、愚かな判断をし、破滅するという愚行から逃れられる。(女性哲学者ハンナ・アーレント)

兵庫県戸倉トラスト地 植生調査の結果

こんにちは。インターンシップ学生のTです。9月2日に、広葉樹植樹地の植生調査を行うため、奥山保全トラストさんが保有している戸倉トラスト地を訪れました。今回はそのことについて、書かせていただきます。専門知識がないので、あまり専門的なことは書けませんでしたが、どうか、あたたかい目で閲覧していただけたら幸いです。

 

戸倉トラスト地は、兵庫県宍粟市にあります。2006年に購入され、その広さは、120ha(363,000坪)になります。今回、トラスト地の入り口部分に入らせていただきました。

 

また、今回の植生調査に主原憲司先生も来てくださいました。

 

車から降りて、少し歩き始めたとき、シカにかじられたオタカラコウとシダを発見。これらは、シカが本来食べるものではありません。主原先生いわく、これは森の中のシカの食料が減ったことが原因だそう。それによって、シカが本来食べようとしない植物を食べ始めたということです。今後、さらにシカの食料がなくなると、毒性のある植物まで食べるようになるそうです。とてもかわいそうです。

 

シカにかじられたオタカラコウ

 

シカにかじられたシダ

 

丁寧に植生について教えてくださる主原先生

 

また、トラスト地でヤマビルを初確認しました。職員さんによると、去年は全くいなかったそうです。不幸なことに、ボランティア学生が一人、ヤマビルに血を吸われてしまいました。痛みがないので、昼休憩まで気付かなかったそうです。ヤマビルのいる時期には、十分な対策が必要ですね。

 

ポイズンリムーバーで毒を抜いている様子

 

戸倉トラスト地では、クマのエサを確保するために、クマの好きな実をつける木(クリ、サルナシ、ウワミズザクラetc…)が植えられています。中には枯れているものもあり、全ての木々が順調に成長しているとは言えないようです。

 

また、主原先生の指示で、大切な苗木を守るため、自然に生えてきたコシアブラの木(約3メートル)を数本、初めて除伐しました。これから苗木がすくすくと成長して、美味しい果実を実らせてくれることを願うばかりです。

 

シカよけ網で囲まれた植樹地

取り返しのつかないリニア 過去のトンネル工事による水涸れ情報続々掲載 静岡新聞に大拍手 

山にトンネルを掘ると、高い圧力下に封じ込められていた水が噴き出すのは、多くの人が知っていると思います。

その結果、トンネル工事によって取り返しのつかない国土環境破壊が引き起こされるのですが、これまでは、経済や便利さが優先され、ほとんど無視されてきました。

 

以下、静岡新聞9月1日が取り上げた、過去のトンネル工事による様々な水枯れ例から、2つを紹介します。

 

(1)100年前の東海道線丹那トンネル工事に伴う水涸れ

 

トンネル工事を巡る補償問題は全国各地で発生し、被害を受けた住民が対応に苦慮した事例は多い。県内では約100年前の東海道線丹那トンネル工事に伴う水枯れが有名だ。

 

函南町誌や鉄道省(現在の国土交通省やJR)の資料によると、トンネル真上の丹那盆地(函南町)はワサビを栽培できるほど水が豊富だったが、工事の進行とともに地下水脈が変化し、盆地内に水枯れが広がった。

 

飲料水に支障が生じるほどで、住民は鉄道省にたびたび救済を訴えたが、同省は当初、関東大震災の地下変動や降雨量減少のせいだとして本格調査に応じなかった。約10年で多額の補償を得たが、配分を巡って集落間で対立し、住民の襲撃事件にも発展した。同町の資料には「覆水盆に返らず」と記されている。

 

 

(2)20年前の新東名高速道粟ケ岳トンネル工事に伴う水涸れ

 

新東名高速道建設中の1999年、掛川市の粟ケ岳トンネル工事中に出水が発生した。間もなく周辺の倉真地区で農業用水を採る沢が枯れ、東山地区では地下水を源とする簡易水道が断水した。

「切れたことのない沢が突然、2キロくらいの範囲で干上がった。驚いたし困ったよ」

粟ケ岳北麓で沢の水を使って茶園を営んでいた60代の男性は、当時のショックを振り返る。

 

着工前、日本道路公団(現中日本高速道路)の説明会が開かれたが「水枯れの可能性の話はなかった」と男性。断水後、地区の要望を受けた公団は、トンネル内の止水工事に加えて別の川から茶園へ約2キロの引水管路と中継ポンプを設ける補償的措置で応じた。

 

ただ、完成した管路は水が出ず、男性は不具合を訴えたが結局1度も使えなかったという。止水の効果も限定的で、男性は水を確保する負担と茶価安から生産を断念。金銭補償を求めて5年ほどたった昨年、中日本高速道路とようやく補償が成立した。

 

熊森から

 

静岡新聞さま、リニアのどうしようもない負の面を伝えて下さってありがとうございます。大拍手です。こんな新聞なら購読したいです。

 

南アルプスの貴重な生態系を守るため、静岡新聞だけではなく、全国のメディアが、リニア工事の不都合な真実を伝えてください!マスコミが真実を伝えさえすれば、多くの国民は、リニアなんていらないと言い出すと思います。

 

トンネルを掘れば、水脈が失われたり変わったりするのは当たり前です。人間は声を挙げられますが、自然界は声を挙げられません。全国各地で道路や新幹線のトンネル工事が続く今、地元の人たちや自然界、他生物が泣いていることを、全国民が知らねばならないと思います。

 

水源の森を干からびさせてまで、また、多くの野生生物を死に追いやってまで、今以上、便利になる必要はあるのでしょうか。もう十分便利です。これ以上の便利さを追い求め、国土を開発し続けるなら、自らを生かしてくれている大地を失うことになります。あまりにも愚かです。

 

今からでも遅くない。南アルプスにトンネルを貫通させるなど、クレージーの一言です。

リニアに賛成の方は、クマをはじめとする南アルプスの動植物をどこに移住させるのか、教えてください。移住先などどこにもないはずです。

 

リニア大井川問題、全量回復を事実上撤回 JR「約束ではない」

以下、静岡新聞2019.8.30より

 

リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題で、JR東海の新美憲一中央新幹線推進本部副本部長は29日、昨年10月に同社が表明したトンネル湧水の全量を大井川に戻す方針に関し「約束ではない」との認識を示した。全量回復とした当初の方針は「工事完了後との認識だった」と釈明し、工事中を含むトンネル湧水の全てを大井川に戻すとする方針を事実上撤回した。

 

静岡県庁で開かれた利水関係者との意見交換会後に記者団の取材に答えた。新美副本部長は「その時点(昨年10月)で工事中、工事完了後など、細かいところまで詰めて話をしていなかった」と説明。全量回復の具体策について「私の頭には浮かんでいない。これ以上はノーアイデアだ」と述べた。一方でトンネル湧水の県外への流出量を減らす努力は、引き続き検討する考えを示した。

 

流域市町や利水団体は「全量」には、工事中に発生する湧水も含まれるという認識で「約束が守られていない」(大井川土地改良区の内田幸男理事長)と不信感を募らせている。利水関係者とJRとの今後の協議に影響する可能性もある。

 

JRは昨年10月、利水団体との基本協定案で「原則として静岡県内に湧出するトンネル湧水の全量を大井川に流す措置を実施する」と明記。金子慎社長は昨年11月の記者会見で協定案の「原則として」の削除も可能との認識を示したが、29日の都内の記者会見では「(意見交換会で)技術者が丁寧に説明しているので(私の)説明は控えたい」とした。

 

全量回復の方針に関しては、愛知県の大村秀章知事が「JRは全量返すから影響ないと言っている。次に何があるのか」と発言し、本県の対応を批判する根拠にもなっていた。

 

 

熊森から

 

工事中を含むトンネル湧水の全てを大井川に戻すことなどできないとJRが正直に言ったのですから、南アルプスにトンネルを掘る計画はこれでもうおしまいです。

 

リニア工事は取り返しのつかない国土大破壊です。何度考えてみても、この工事は日本国が滅びることを願っている人たちの策略としか思えません。

 

南アルプスに穴をあけて新しく人工水脈をつくってはならないのは、健康なじぶんのお腹に穴をあけて人工血管を取り付けてはいけないのと同じです。

 

とんでもないことをしてしまったと後で気づいても、もう元の体には2度と戻せません。

東京都が絶滅危惧種のクマ4頭目を有害捕殺、8月22日、東京都支部と熊森本部が現地に出動

推定生息数60頭、東京都の絶滅危惧種クマ守れ!

くまもり東京都支部員たちの必死の現場訪問活動や行政への要請活動にもかかわらず、東京都は今年4頭目のクマを有害捕殺しました。

そして、現在も、まだ、クマ捕獲罠を設置中です。

 

場所は奥多摩湖の隣山、中腹に位置します。

建物裏側には古い物置きがあり、放置されて腐敗した味噌や古い果実酒などが入った一部破損した容器が置かれています。その周辺からは腐敗臭が漂っていました。

ここにクマが夜、出てきました。

行政は、クマを誘引している生ゴミ(倉庫内)の除去は行わずに、クマ捕獲罠を設置しました。

 

倉庫内の誘引物を生ゴミに出す準備 8月17日撮影

 

くまもり東京都支部は、クマが出てこないように、誘引物の除去や電気柵の設置を家主に申し出ました。しかし、受け入れてもらえません。

捕獲したあと殺処分するのではなく、放獣してほしいというくまもりの長年の切なる願いに対して、東京都行政はいまだに放獣予算を付けようとしません。(都内の業者に依頼すれば、1頭1回放獣20万円)

住民の安全とクマの救命の両方を願うなら、クマを誘引している物を片付けて、クマの忌避剤を撒くしかありません。

 

 

8月22日、本部職員2名が出動し、レンタカーを借りて、東京都会員2名と計4名で、現地で被害防除活動を行いました。

以下は、その時の報告です。

 

現地に着くとうれしいことに、先日訪問したくまもり東京都会員たちと神奈川県支部長の説得を受けて、家主が生ゴミを町の回収に出してくださっていました。感謝。

 

生ゴミが消えていた現地

 

しかし、クマの誘引物を入れたクマ捕獲用の箱罠は、口を開けたままです。これでは5頭目がやってきて、また捕殺されます。

家主はおられませんでしたが、奥様がおられ、夜ごそごそとやってきたクマと、台所の窓を挟んで目が合った話など、詳しく語ってくださいました。私たちが、クマは東京都の絶滅危惧種に指定されているというお話をしたところ、奥様は、「それは知らなかった。」と大変驚かれていました。

そして、「クマはどこにでもいるものだと思っていた。昔からこの地域はクマが出てくるから、東京にはたくさんクマが棲んでいる、むしろ昔より数が増えているんじゃないかと思っていた」と、話されました。

 

クマの侵入経路を教えてくださる奥様(中央)

 

生ゴミは片付けてもらっていましたが、現場にはまだ腐敗臭が漂っています。建物の周囲を歩いてみると、果物やなにかよく分からないものがビンに詰められたまま、大量に廃棄されていました。ものすごいにおいで、このままではまたクマを引き寄せてしまいます。クマは、腐敗臭に誘引されることを伝えると、また、大変驚かれていました。しかし、奥様は足の調子がわるく、ほとんど遠くへは歩けません。重いものも持てなく、これらのビンも捨てたいがどう処理をしようかと悩んでいるということでした。

 

果物を漬けた古い液体などが放置されていた

 

とてつもなく強い腐敗臭でした。4人で悶えながら、処理をしていきました。ビンの中身は新聞紙などにしみこませたりなどしてごみ袋に回収しました。4人で3時間かかりました。

 

ビンはきれいに洗ってゴミ袋に入れ、ゴミ捨て場へ

 

クマの通り道と思われる場所は、はしごでふさがれていました。もし今度通ったら、倒れて音がするようにと、防犯ベルの代わりに設置したものです。

奥様が設置された、クマを防ぐはしご

 

そこで、私たちは、用意してきたクマの忌避剤を設置しました。1つ目は、ペットボトルに入れたニコチン水です。喫煙所から煙草の吸殻をもらってきて作りました。ペットボトルの上部には、クマの嫌がるニコチンの臭いが出るように、小さな穴をたくさんあけてあります。

 

ニコチン水

 

2つ目は、東京支部のKさんが取り寄せてくださったウルフンエキスです。実験的にクマの通り道に設置してみました。相当きつい臭いです。こちらも、奥様の許可のもと、設置しました。家屋に近いところでは臭いがきつすぎるため、ハシゴでクマの侵入経路をブロックしているあたりに設置しました。

 

ウルフンエキス設置

 

誘引物の回収と、クマ侵入経路上に忌避剤の設置を行ったことで、家主の奥様から大変喜ばれました。生ごみやにおいの出るものはもう外にはおかないよう約束していただきました。

あと、この場所へクマが来る残りの要因は、ただ一つ。クマ捕獲用罠の中に入れられた誘引物だけです。

 

この後、役場へ向かい、回収したごみを受け取っていただきました。役場の担当課長を訪ねましたが、不在でした。事前に、「行きます」と、支部の方からお伝えしてあったのですが、熊森とは会いたくないのでしょうか。

 

仕方がないので係長さんに、「今日、私たちはクマの誘引物を除去してきました。しかし一つだけ除去できていない誘引物が残されています。それは捕獲罠です。罠があることでクマを誘引しています。本当に地元の方の安全を守りたいのであれば、クマが出てこないように、どうか罠の撤去をご検討ください。そして、こうした誘引物除去作業は、本来罠をかける前に最優先で行ってほしいです。人手が足りないのであれば、私たち市民団体にも相談してください。可能な範囲で出向きますのでよろしくお願いします」と伝えました。しかし、係長は、クマ捕獲罠を撤去するとは言ってくださいませんでした。

 

帰りに現地の山を見ると、スギやヒノキの放置人工林に多く覆われていました。これも何とかしなければなりません。くまもりが地元議会に、放置人工林の天然林化の陳情を出したのですが、採択されなかったということでした。

 

スギやヒノキの放置人工林で覆われていた東京都の奥地

 

この日はずっと鼻に臭いにおいが付いていました。

 

東京都にも熊森会員がたくさん誕生したら、今日のようなボランティア活動がもっともっと行われるようになります。

この国で、市民団体を大きく成長させて、郡部国民と都市部国民が助け合い、自然や野生動物たちの命も大切にするやさしい国を作っていきたい。

これが、熊森協会がめざしているものです。

 

とよのその後

「とよ君のその後がブログに出ませんが、大丈夫ですか。」

福岡県の40才代の女性から、8月23日、熊森本部に電話が入りました。

この方は動物が大好きで、会員ではありませんが、熊森のブログをずっと愛読されているのだそうです。

毎日のさまざまなくまもり活動にてんてこ舞いで、とよ君の続報を出せていませんでした。すみません。

以下、急遽、報告させていただきます。

 

とよは、8月14日に突然四足で立ち上がって2~3歩あるいてから、良くもならず悪くもならず、同じような状況が続いています。

表情は、毎日とても穏やかですので、不快感はないはずです。食欲は旺盛で、排泄も順調です。

 

 

華々しい回復はまだ見られませんが、私たちとしては、四足で立てるようになったこと自体が奇跡で、神様に感謝したい気持ちです。

 

毎日、本部職員とお世話隊が、お世話に通っています。

とよは、バルコニーの一番端でウンチをするので、まずは、バルコニーのお掃除からです。

 

バルコニーの床洗い

 

元気になってきたとよは、安静保持用バルコニーから出ようとしたのか、鉄格子を曲げていました。

修理してくれている青年は、小学校2年生の時から熊森会員として活動し続けてくれているS君です。とよが心配で、仕事を休んで世話に来てくれる時もあります。

 

バルコニーの金網の補強作業

 

昨年度とよは、7月末から冬ごもり用の食い込み期に入りました。

足?背中?の痛みが取れた今、たくさん食べたいはずです。餌を欲しがってか、8月24日に、とよは「こっこっこっ」と、鳴きました。みんな、クマが鳴くのを初めて聞いたので、びっくりしました。しかし、とよの足のためを思うと、あまり太らせてはいけません。お世話隊は心を鬼にして、給餌量を、例年の3分の2程度に減らしています。クマフードも、今は1日50グラムしか与えていません。

 

今日はどれくらい餌を与えようかと、みんなで話し合うお世話隊

 

お世話記録は毎日細かく書いて、明日のお世話隊にバトンタッチします。

飼育記録

 

いっぱい食べて太っていたとよですが、減量に成功してお腹周りもすっきりとスマートになりました。獣舎内では四足で立っています。

給餌穴から顔を突き出して、もっと欲しいと餌をねだるとよ2019.8.23

 

寝室のお掃除が終わるまで、バルコニーで待っているとよ

 

お医者様は、「ここまで良化したのはとても良い兆候です。長い経過を経て元通りになっていくことも考えられます」と、励ましてくださっています。

冬ごもり前の食い込み期に食い込みが出来なかったクマは、冬眠中に死ぬと聞いています。足の負担を思うと、今、とよを太らせてはなりません。

しかし、冬ごもりのことを思うと、今、食べさせなければなりません。どうすべきか、悩ましい限りです。獣医さんに近々相談してみます。

 

とにかく、私たちは愛情100%で、連日とよに接しています。みなさん応援してください。(完)


			

新潟県クマ生息地調査でわかったこと

6月20日(木)、自然保護団体として久し振りに新潟県庁を訪れました。

もちろん、「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」を熟読した上でのことです。

事前に、県民生活環境部・環境企画課・鳥獣保護係に電話を入れておきました。

できれば、森林環境税のこともあるので、林政課の担当者ともお会いしたいなと思いました。

兵庫県西宮市にある熊森本部から飛行機で新潟空港へ、新潟駅からはバスに乗って県庁前で降りました。

えらく立派な県庁ですが、外にも内にも人影がほとんどありません。

 

新潟県庁

 

新潟県の人口は約222万人。人口が少ないからなのでしょうか。

知る人ぞ知るですが、明治初期、新潟県の人口は東京都よりも多くて全国一位でした。(第一次産業全盛時代の明治21年、新潟県人口166万人全国一位)

 

鳥獣保護係の方には会えましたが、クマの担当者は不在でした。

新潟県のツキノワグマの推定生息数は1574頭(平成28年計算)です。

どうやってこの生息推定数を算出したのか訊ねたら、「新潟大学に頼んで出してもらった。どうやって計算したのか、県としては知らない」ということでした。

新潟県のクマは、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除の3種によって、命を奪われます。

 

「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」の内容は、なかなかすばらしいものです。

(1)生息環境整備 (2)被害防除対策 (3)個体群管理の順に、論じられています。

一番に生息環境整備が位置付けられているのはその通りで、他県でも見習ってほしいです。野生動物は生息環境さえあれば、人間などに何もしてもらわなくとも生き抜いていけるのです。

 

有害捕獲された個体でも、場合によっては、県と市町村が連携して学習放獣を試行的に実施することになっています。

今回の訪問で聞きたかったことの一つに、いつからどうやって学習放獣を開始したのか、効果はどれくらいあるのかがあります。

たずねてみたところ、県は学習放獣に関しても何も把握しておらず、文面はすばらしいが、実際には実施しているところがないように感じました。

 

鳥獣のことで環境省に電話すると、鳥獣関係の許認可は都道府県に全て降ろしたので関知しませんという反応が返ってきます。

一方、都道府県にたずねると、県は把握していないので出先機関や市町村に聞いてくださいと言われるところも多く、都道府県がどこまで日本の鳥獣保護に責任を持っているのかというと、はなはだ不安になります。

 

人権の方は、戦後、虐げられてきた人たちが声を挙げだしたのでずいぶんと進歩したと思います。しかし、物言えぬ野生動物の生存権に関しては、声を挙げる人間がこの国にはまずいないので、生息地は破壊され、何の罪もない動物が無駄に大量捕殺されており、無責任極まりないことになっているような気がします。

 

鳥獣保護係の担当者には、ていねいに対応していただきました。ありがとうございました。林政課の担当者は不在でした。ちゃんとアポを取っておくべきだったと反省しました。新潟のナラ枯れは終息したようでした。

 

 

翌6月21日、新潟県のクマ生息地を研究者と調査しました。

 

阿賀野川の豊かな水

米どころだけあって、道中は広大な田んぼ風景が続く

 

今回の新潟県の山の調査には、熊森協会の第一顧問である宮澤正義先生の娘さん(新潟県在住)も同行してくださいました。

山に入る前に、ぜひ見ていただきたいと言われたのが、娘さん推薦の阿賀野町の人工湿原「たきがしら湿原」です。

生物の多様性が保たれた100点満点のたきがしら湿原

 

湿原には様々な花が咲き誇っていました。昆虫の種類も豊かで、研究者によると、生物相も自然湿原そのもののすばらしさだということでした。湿原の奥には当然ですが、クマもいるようです。人工湿原というものの、ここは山から湧き出た滋養豊かな湧き水を湿原に導入していますから、自然湿原のようなものではないかと思いました。木道や東屋、トイレなども良く整備されており、地元の人たちによる訪問者へのおもてなしの心が随所に見られました。観光地としては最高だと思いました。

 

お昼に、熊森新潟県支部の結成を考えてくださっている新潟県の大企業の社長さんと会食しました。

 

お蕎麦が本当においしかった

 

この後、いよいよ、みんなで新潟県のクマ生息地の調査です。

 

 奥山調査後、室谷悠子会長を中心に記念撮影

 

会津に通じる山塊には、崖が点在していました。ここの地質は、火成岩の上に硬度の低い砂岩が堆積したもので、急斜面には植生を欠いた崖が多くみられます。植物相は、もちろん豪雪地帯のものです。ここは標高帯としては日本海側のブナが出現する場所ですが、なぜかブナが見当たりません。伐採された過去があるのだろうと思われます。

林分は、自然スギやアカマツの他に、亜高木層のオニグルミ、ケンポナシ、アズキナシ、ミズキ、カエデ、シデなどで構成されていました。ミズナラ、コナラが稀なのは、ナラ枯れで枯れてしまった跡なのかもしれません。スギの人工林は生育が悪く、放置されており、もはや林業的価値のないものでした。

立派な林道が造られていましたが、通る車もほとんどなく、ここでは、クマたちの生息が保たれているように感じました。

 

林内に入ると、谷川が流れていて、カジカガエルのオタマジャクシがたくさんいました。

きれいな谷川を見る室谷会長と宮澤先生の娘さん

 

豪雪と狩猟でシカが姿を消してしまった新潟県ではありましたが、最近は、シカの生息が各地で確認され始めてきました。しかし、爆発増加しているような状況ではありません。新潟県内の山林の下層植生はまだ豊かで、昔よりは減っている可能性がありますが、野生動物たちの食料もそれなりにあるようでした。

 

まだ赤い段階のヤマグワの実(黒くなるとおいしい)

 

熊森から

行きの飛行機からではわかりにくかったのですが、帰りは新幹線だったので、新潟県の山をまじまじと車窓から見続けることができました。

新潟県の人工林率は23%と低く、しかもスギを植えた場所は奥山ではなく里山がほとんどです。市街地のすぐ後ろが、もうクマの棲む豊かな森です。

 

兵庫県で見られるような山間部の高速道路開発や長距離トンネル工事など、生息環境が人為的開発によって大きく損なわれるような場所は、ほとんど見当たりませんでした。同行してくださった研究者によると、新潟県には、月山や糸魚川流域、妙高山、奥只見方面に、今も良好な森が数多く残されているということです。自然保護団体としては、是非そのような場所の森を数100ヘクタール規模でトラストして、永久保全しておきたいです。売ってくださる山主さんがおられたら、当協会にお声かけください。

 

西日本と違って、当分、新潟県のクマの生息に危機的な状況は起きないように感じましたが、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除はもちろん、地球温暖化や酸性雪による森林劣化などに、今後も、注目していきたいです。

 

クマなどの野生動物や森に親しむ新潟県民が増えてほしいので、熊森新潟県支部が結成できる日を願っています。

 

 

出没阻止対策を全く講じずに、札幌市街地徘徊の羆を銃殺したのは動物倫理に反する 門崎允昭博士

以下は、日本熊森協会顧問で北海道野生動物研究所所長の門崎允昭博士が発行しておられる<北海道熊研究会 会報>第91号のコピーです。行政、マスコミ、各方面に拡散してください。(熊森本部)

 

 

北海道熊研究会」Hokkaido Bear Research Association

 

ご意見ご連絡は本紙送信emailではなく、下記の email へお願い致

します       e -mail:   kadosaki@pop21.odn.ne.jp

 

<北海道熊研究会 会報>  第91号  2019年 8月 17日

北海道熊研究会事務局 北海道野生動物研究所内(Tel. 011-892-1057)

代表 門崎 允昭

事務局長 Peter Nicholsピーターニコルス氏

幹事長 藤田 弘志 氏

 

既報会報の1~90号はWebsiteに「北海道野生動物研究所」と入力しご覧下さい

 

「北海道熊研究会」Hokkaido Bear Research Associationの活動目的

熊の実像について調査研究し、熊による人畜及びその他経済的被害を予防しつつ、人と熊が棲み分けた状態で共存を図り、狩猟以外では熊を殺さない社会の形成を図るための提言と啓発活動を行う。 この考えの根底は、この大地は総ての生き物の共有物であり、生物間での食物連鎖の宿命と疾病原因生物以外については、この地球上に生を受けたものは生有る限りお互いの存在を容認しようと言う生物倫理(生物の一員として人が為すべき正しき道)に基づく理念による。

 

<札幌市南区で、人の存在を無視しながら、時に農作物や果樹を、食害しつつ(マスコミ報道による)、市街地を、徘徊していた羆を、出没を、阻止する、対策を全く講じずに、銃殺したが、これは動物倫理に反する行為である(門崎允昭の見解)

生物倫理とは、(生物の一員として、人が他種生物に対し、為すべき正しき道)の義。

 

羆がなぜ、札幌市の市街地にまで、出現するように、なったか。その理由を、私が1970年から現在まで、継続調査して得た、資料を基に述べる。先ず、羆は強烈な爆発音がする銃での殺戮を嫌い恐れ、致命所傷とならず助かったものは、銃で撃たれた場所に出て来なくなる。そのような事が続くと、その場所から人里方面には、羆は出て来なくなる。ところが、銃での殺戮を止めると、徐々に、また出て来るようになる。

札幌市での実情を言うと:私が札幌圏での羆の実態調査を始めた、

1972年から1988年,10月迄の17年間、札幌圏での羆の捕殺は<銭函川上流部~奥手稲山~手稲山~永峰沢川上流部~砥石山~砥山ダム>を結んだ西部地域一帯と、<滝野~常盤~焼山~夕日岳~朝日岳(定山渓)>を結んだ南西部地域一帯から山側でのみ、銃で行われていた。札幌圏での羆の捕殺資料は、1964年からあるが、前記と同じである。従って、それより東部と北部と南部の山林に、羆が来る事は無かった(下記に地図)。ましてや、人里や市街地に、羆が出て来る事など、考えられなかった。

しかし、1989年~1998年の、10年間、札幌市管内では、羆を1頭も捕獲しなかった。その結果、羆が、生息域を人の居住圏方向に拡張し出し、10年後の、2008年頃には、人の日常的生活圏近傍の山林地域に、羆が出没するようになった。そして、現在に至ったと言うのが、市街地に羆が出没するに至った経緯である。

 

羆の行動には必ず「目的と理由」が有る事、市街地に出て来る羆の目的は4大別される。

<出没の①> 若羆(母から自立した年の子の呼称)が検証に出て来る事がある母羆から自立した(自立させられた)若羆が、独り立ちして生活する為の行動圏を確立するための探索徘徊過程で、

<出没の②> 道路を横断する目的で出て来る事が有る。

<出没③>  農作物や果樹や養魚を食べに出て来る。

④ その他、力のある個体に弱い個体が襲われて逃げ出る。子が里や市街地に出てしまい母が心配し出て来る。などがある。この場合には、出て来る個体については、性別や年齢は関係無い。

 

<今般の羆への対応策>

この個体が山林から出て来る場所は、羆の生態をたゆまず真摯に調査研究していれば、およその位置場所は特定し得るはずである。なぜ、そこに、電気柵を張って、出て来る事を阻止しなかたのか。電気柵に触れ、刺激を体験すれば、例え、それを幾日か体験すれば、あの羆は、市街地に出て来なくなった可能性が強いと、私は確信する。

それを、為さず、銃殺した事は、あまりにもひどい。これを、対応規範に基づいて、殺したとか。仕方がなかったとか。この殺す事に関与した連中は・・・・・だろう。自然界がどう言うものか。人と自然界の有り様・・・分かっていないし、分かろうともしていない。その尊大な態度には、しっぺ返しが、来るだろう。

 

 

<今回の羆について>

北海道新聞2019年8月14日によると、この羆は、体長(鼻先と肛門間の直線距離)1.4m、推定年齢8歳とある。報道された行動様態と頭吻部の形からすれば、8歳では有り得ない。より若いはずである。年齢は、犬歯と最奧歯の歯肉との関係を見れば、2歳3歳、4歳以上(歯のセメント層に見える年輪で分かる)の、判別が着く。当局は、正確はdataを、公表すべきである。

 

1998年時の札幌圏の羆の生息圏(赤線の内側)。

赤丸は1972年~2001年間の羆の捕殺地点(48地点)。

 

7月19日発生の宮城県気仙沼市でのクマによる死亡事故について

気仙沼の山中でクマに襲われ男性死亡 河北新報 2019年7月19日より

 

クマと人間との事故が発生した場合、センセーショナルで一方的なマスコミ報道がなされると、本来、人間よりずっと平和愛好者であるクマという動物が、まるで狂暴動物でもあるかのように誤解されたり、地元にお住いの方々に必要以上の恐怖心や不安を与えたりしてしまいます。

そこで、熊森本部は可能な限りいち早く事故現場へ出向いて、事故原因の究明と再発防止対策を行っています。遠方などの理由で出向くのが無理な場合は、担当部署に電話で聞き取りを行っています。

 

7月19日に宮城県気仙沼市で発生した死亡人身事故について

 

事故現場は、集落の中心から2kmほど離れた、岩手県との県境に近い場所です。

熊森本部作成の事故現場。クリックすると大きくなります。

 

市の担当者:今回亡くなられた男性は、シカの有害駆除の委託を受けていた捕獲者で、親族の方のお話によりますと、19日は早朝5時か6時頃に、罠の見回りに行くと家を出られました。

 

一向に帰ってこないのでご家族が市や警察に電話しました。猟友会と警察と市の担当者で探したところ、くくり罠の近くに倒れていた男性が見つかりました。男性は顔をクマにぼこぼこに叩かれたようで、引っかかれた傷もついていましたが、体を食べられたりはしていませんでした。猟友会が近くを探したところ、罠から100m離れた所に、足首にくくり罠をつけたまま歩いているクマがいたため、その場で射殺しました。

 

くくり罠の周りは、草がはだけて地肌が露出していたので、クマは脱出しようとかなりもがいていたんだと思います。おそらく、男性は、罠の見回りをされていた時に、クマがくくり罠にかかっているのを発見して、様子を見ようと近づき、恐怖感でいっぱいになったクマが全力で暴れてくくり罠を引きちぎり、男性の方に向かってきたんだと思われます。

 

熊森:くくり罠の12cm規制はなされていましたか?

 

担当者:いいえ。

 

熊森:クマとシカが生息する地域では、くくり罠を使用禁止にするか、輪の直径を12cm以下にしていただかないと、クマの錯誤捕獲が後を絶ちません。

以前、気仙大島にクマが泳いで渡ってきた時、島内に罠が設置されましたが、当時の気仙沼市の担当の方は、捕獲したら山へ持って行って放獣する。

気仙沼の人はクマを滅多に見ないので恐れるが、山の人は昔からクマと一緒に暮らしてきたから、クマに寛容で放獣を受け入れてくれると言われていました。

 

担当者:県から、箱罠にかかったクマは放獣するように言われていました。クマなんかいたっていいじゃないかという人は確かに多いですね。

 

熊森:箱罠であれば放獣もできますが、くくり罠にかかったクマの放獣には麻酔が必要で、獣医さんや熟練放獣者が必要です。再発防止のために、今回の場所は、くくり罠12センチ規制か使用禁止が必要です。

 

 

熊森から

 

亡くなられた方、ならびにご家族の方々には、慎んでご冥福をお祈りします。

そして、射殺されてしまったクマにも、手を合わせます。

 

なぜ、クマと人の不幸な事故が発生してしまったのか、どうしたら防げるのか。

 

以下、参考文献

「兵庫県で発生したツキノワグマによる人身事故の検証ー2016年、2017年の事故例」
日本奥山学会誌 vol7 水見竜也(1) 2019 pp34-49

※クリックすると読めます。

 

事故を防ぐには、1件1件の事故例を分析して、その地域の実態に合った対策を行う必要があります。

行政担当者の皆さんにがんばっていただきたいです。

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