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尼崎市公立小学校3年生に、熊森職員になって初めての環境教育 「わたしたちに森は必要か」 

わたしは、昨春、環境教育担当として熊森に就職したものの、いきなりコロナで、これまで学校で授業させていただく機会がなく、学校外でくまもり紙芝居をさせていただいたことが少しあっただけでした。

 

1月14日、遂に初授業の日がやってきました。なんと熊森は、この小学校で20年間連続、環境教育をさせていただいているのです。

 

兵庫県も今、コロナ第3波のまっただなかですが、何とか例年通りのイベントを子供たちに体験させてあげたいという学校側の意向で、コロナ対策を強化しながらの環境教育となりました。例年は、1、3、5年生を1学年ずつ3クラス教室に集めて3時間の授業するのですが、今年は密にならないよう、子供の間を離して、3年生のみ1クラスごとに3回実施です。

 

まず初めに、自己紹介。

おねえさんが大学4年生の時、研究室にクマが入ってきたのです。こわくなって、クマのことをネットで調べてみて、日本熊森協会を知りました。このことがきっかけで、日本熊森協会に就職し、野生動物や森を守る仕事をしていますと話すと、全員の子供たちの目が私を見ているのを感じました。

 

次に森の写真を見せて、森はどんなところか発表してもらいました。

明るい、虫がいる、木がいっぱい生えている・・・板書が間に合わないほど次々と子供たちが発言してくれます。

次に、スギの放置人工林の写真を見せて、これも森かな?木がいっぱいあるよというと、子供たちは比較することにより、森とはなにか認識しなおします。

 

 

=いろいろな植物+いろいろな動物+いろいろなび生物

 

尼崎市には今や森はゼロです。森がどういうものかわかってもらってから、私たちに森は必要かという投げかけをしてみました。

 

この日は4つの観点を提示して子供たちに考えてもらいました。

時々、ぬいぐるみのツキノワグマの「つっきん」が登場して、情報を提供してくれます。

「昔はね、森にいっぱい食べ物があったんだけど、去年もその前の年も、森のドングリの木が大量に枯れちゃって木の実は実らず、大好きな昆虫もほとんどいなくなっちゃったんだ」

と語ると、子供たちから、一斉に

「どうして」

の疑問が飛び出します。3年生の子供たちにどう説明すればいいのか、一瞬たじろぎました。

「地球温暖化とか酸性雨とかいろいろ言われているけど、まだよくわかりません。どっちにしても人間が原因を作っているようです」フーッ。

 

ツキノワグマの「つっきん」が、

「ぼくたちおなかがすいてね、食べ物を求めて次々と山から出て行ったんだ。そうしたら、人間が大勢やってきて、みんな鉄砲で撃ち殺しちゃったんだ。ニュースで見たでしょう」

というと、

「かわいそう!」

の声が、子供たちの中から反射的に上がりました。子どもたちにとって、こういうことは理屈ではなく、本能的にかわいそうなのです。

 

授業も終盤にさしかかりました。

1400万人もの人が毎日水道水を使うのに、どうして琵琶湖の水はなくならないんだろう。実は460 本の川の水が一年中、琵琶湖に注がれています。

滋賀県の全ての川をていねいに熊森スタッフが色塗りした地図を見せると、子供たちはびっくりする前に、

「川はいっぱい分かれてたりするのに何本かわかんない!」という反応。

何のことを言っているのかよくわからなかったので、前に出てきて説明してもらいました。

 

「(川の)こことかくっついてたり離れてたりしてるよ」と教えてくれる児童

 

 

確かにこれはどう数えてるの?と一瞬、私も考えこんでしまいました・・・。

(後で調べたところ、琵琶湖に注ぎ込んでいる川の数というのは、琵琶湖に面している川の本数のみを数えたもので、支流の本数は数えていないとのことでした。)

 

子どもたちから出る発言は予想外の連続でした・・・

 

子どもたちの視点はいつも鋭いです。おかげで大変勉強になりました。私も子どもたちのような目で見れたらなぁと思います。

 

私は初めての授業でドキドキだったのですが、コロナもなんのそのビックリするくらい元気いっぱいな子どもたちに助けられ、なんとか初授業を乗り越えることができました。

 

 

 

3年生だけでもこんなに勉強になったので、他の学年の授業もしてみたくなりました。

 

コロナの中、子どもたちにすこしでも幅広い体験をと、熊森を呼よんでくださったこの小学校に、心から感謝します。

 

●熊森協会本部では環境教育部員を募集中!!

これまで、日本熊森協会では、多くの大学生たちが、今、日本で起きている森や野生動物の危機的状況について学び、保育園、幼稚園、小学校に出かけて、後輩たちに環境教育を実施してきました。

学生の皆さん、若者が教える子供たちへの熊森環境教育、学外サークルとして、一緒に取り組みませんか?

関心のある方は、ぜひご応募ください!

電話0798-22-4190

メールconntact@kumamori.org

 

コンコンさまにさしあげそうろう

(絵本「コンコンさまにさしあげそうろう」から)

何日も何日も雪がふりつづいて、山も畑もまっしろです。

「かあさん、さむいよう、おなかがすいたよう」

ふるえる子ギツネをのこし、

母ギツネは食べものをさがしにそとに出ました。

そのとき、おいなりさんの森から、

「チーン、チーン、ドン、ドン」と、

かねとたいこの音が聞こえてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かねとたいこの音は、山に餌のない一番寒い大寒の晩に行われる野施業の音で、「こんこんさまにさしあげそうろう」と言いながら、村人みんなで野の者たちに与える食料を持って雪山に入る行事です。

子供たちはさんだわらに、キツネの好きなあずきめしとあぶらげとかわじゃこをのせて、あちこちに置いてまわります。

餌のない時期の野の者たちを人間が思いやると共に、彼らが人間の所に来なくていいようにする知恵でもあるのです。

作者の森はなさんは1909年、兵庫県但馬地方の和田山というところで生まれました。

32年間、小学校の先生を務めた後、作家に。知的障害を持つ心優しい男の子を、村人みんなで守り育てた代表作「じろはったん」はとても有名です。

但馬地方の人々のやさしさが、胸に温かく伝わってきます。人間ていいな、人間が好きになってくるお話です。

 

 

野施業: 寒中に餌をさがすことのできない野の狸や狐などの鳥獣に餌を施すこと。近畿一帯から山口県にかけての地方で広く行なわれてきた行事。

 

この絵本を読んだ人の感想(ネットから)

「のせぎょう」という、えさが最も乏しくなる大寒の夜に、キツネやタヌキなどの山に住む動物に食べるものを施し、動物達が村の鶏を盗むなどの悪さをしないよう考えられた昔からの年中行事を題材にした本です。

何日も雪が降り続いて、食べ物が底をついたキツネの母と子。寒くてお腹がすいた子ギツネは、泣きながらお母さんキツネの胸の中で眠ってしまいます。母親にとって、これほど辛いことはないと思います。母ギツネは村の鳥小屋を襲おうと決心しますが、犬にほえられて断念。池も凍っていて魚も取れない。諦めて母ギツネが穴に戻って見たのは、枯れ葉をくわえ、泣いて眠ってしまった子ギツネの姿。切なすぎます…。

でも、そんな時、村はずれのお稲荷様から、「こんこんさまにさしあげそうろう」という子供達の声が聞こえてきます。丁度、のせぎょうの日だったのです。母ギツネは「ありがたい」とお稲荷様に手を合わせ、お供え物のあずきめし、あぶらあげ、かわじゃこを持って帰り、子ギツネに食べさせます。母ギツネの目に涙が一杯たまります。私も涙が出てしまいました。

この本を読んで、最近、民家まで下りてきて畑を荒らし、射殺されるクマ、捕獲される鹿や猿などを思い出しました。昔の人達は、動物達の生を尊重することが自分達の生活を守ることだと判っていたので、こういった行事をしていたのでしょう。

今、地球温暖化、樹木の伐採など、彼らのえさを取り上げているのは私達人間。自然、野生の動物、人間がどう共存していくのか、改めて考えさせられる一冊でした。(東京都40代ママ 2010年)

 

熊森から

 

子供を巻き込んでの昔からの野施業は、山に住む動物たちと人間との共存方法を、現地での実践を通して子々孫々に体得させていくすばらしい環境教育です。

 

私たちは今一度、クマ、サル、シカ、イノシシ、明治になった時にはこの国にまだオオカミも残っていましたが、このような大型野生動物たちを一種もほろばさなかった奇跡の日本文明の元となる、祖先の動物観や自然観に学ぶべきだと思います。西洋文明と違って、私たちの祖先はこうやって、人間も動物たちも、みんな一緒にこの国で暮らしてきたのです。

 

西日本で生まれ育ってきた私たちには、飢えに耐えかねて山から次々と出て来るクマたちを今のように皆殺しにするのではなく、都会の公園で集めたドングリを獣道に運んでやって、山から出てこなくてもいいようにし、人身事故が起きたりクマが射殺されたりしないようにする緊急避難措置の「どんぐり運び」に、何の違和感もありません。

 

もちろん、私たちが熊森が23年間全力を注いできたのは、クマ問題の根治療法である奥山での広葉樹林再生里山でのクマ止め林造り、すなわち、棲み分け再現事業であることはいうまでもありません。

 

<祝>石川県小松市のクマ止め林づくりクラウド・ファンディング、早々と目標額500万円達成

石川県小松市×かが森林組合プロジェクト

ふるさと納税で応援(ガバメントクラウドファンディング)

・・
クマを森に帰そう!
豊かなドングリの森づくりで、
・・
人と野生動物の共生を
目標額、達成!
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<以下、中日新聞12月2日記事より>

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

 

食べ物を求めて人里に現れるクマの出没を減らそうと、小松市とかが森林組合(同市)は、豊かな餌場をつくる森林整備のため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。クヌギやコナラなどドングリの実をつける広葉樹を植栽する。目標金額は500万円。

 市には今年、例年の約5倍の225件のクマの目撃情報が寄せられ、人身事故が2件起きている。冬眠前のクマの餌のドングリが凶作で、餌を求めて住宅密集地まで出没するクマが後を絶たない。森林の手入れが行き届かず、里山が荒廃し、人里との境目があいまいになったことも出没の要因とされる。
 寄付金は放置林の除去、森林の間伐や植栽、苗木の生産などに活用する。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング」で受け付けている。募集は来年2月24日まで。
 開会中の市議会一般質問で8日、岡山晃宏議員=会派自民=がクマの餌不足対策を質問した。市産業未来部の林活歩部長は「伐期を迎えた森林の再造林を進め、クマがすみやすい環境づくりに必要な森林を整備したい」と話した。
(問)市財政課ふるさと納税推進チーム0761(24)8068 (長屋文太)

 

小松市岡山晃宏市議の質問

1.有害鳥獣対策について

今年も集中豪雨により、球磨川の氾濫など天候による災害はありましたが、それ以外に新型コロナウィルス、感染症、クマの出没と、生き物が絡む災害ともいうべき被害で日本中が大混乱した年になりました。

本市においてもクマによる人身被害が出てしまったことは残念ではありますが、消防署や消防団、警察、市の職員や関係者の皆様には、昼夜を問わず、監視の強化や、薮払いなど今できる最大限の対策をとっていただいたことに、心より感謝申し上げます。

 

 ・緩衝帯の整備について

クマが人里に降りて来る原因もいろいろあるようですが、長い目で見るとクマ対策、有害鳥獣対策は、野生獣と人との棲み分けをめざす里山の整備が必要だと考えます。一昔前は里山では、畑で多くの人が仕事をし、薪炭材として木が伐採され、移動しやすいように道が造られることにより、自然と緩衝帯ができ、里山には実のなる広葉樹が多くあり、野生獣との棲み分け・共生が成り立っていたこと、それが、過疎化や林業の後継者不足などで管理ができず、耕作放棄地や里山が荒れて行ったことを聞いたことがあります。これまで野生獣の出没抑制の緩衝帯整備は、県の石川森林環境税を使って整備され、昨年から交付が始まった国の森林環境譲与税は、本市では県の事業と重複しないよう、森林管理者や境界の調査、森林管理に必要な人材育成、木材利用の普及の促進、森林状況調査などに使われてきました。根本的な鳥獣対策は、里山の再生につながります。そのような意味で里山の再生をめざす国の森林環境譲与税の使途を、人工林の伐採や緩衝帯整備に迄広げることはできないでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

 

・エサ不足への対応について

次に餌の確保についてでございます。熊が人里に降りて来る原因の一つが山林のえさ不足と言われています。えさとなる木の実の豊作凶作だけでなく、気候変動や酸性雨により木が枯れていることも懸念されています。今年捕獲されたクマは、胃の中が空っぽでやせ細っていたとお聞きしました。クマは本来、落ちた木の実は食べないと言われていますが、ドングリを集めて獣道に置いたら、夜食べに来たり、糞の中に普段は絶対に食べないギンナンが確認されたりと、クマも生きるために必死で食料を探していたと思われます。そのような意味で実のなる木を里山に植樹することが必要と考えます。樹種としてクヌギ、アベマキ、ナラガシワ、クリ、サルナシ、コバノガマズミや春から初夏にかけて実がなるサクラなどがよいと聞きました。これらの実のなる木は広葉樹であり、人工林を広葉樹林化することは森林環境譲与税の目的のひとつでもあります。森林環境譲与税で植樹を行うようにすることはできないのでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

<以下、石川県かほく市塚本佐和子市議のブログより>

 

小松市でのクマの出没 人身事故は深刻

今年は例年の5倍を超えるクマの出没

人身事故も多発

市民の方は 不安を抱える日々を送られてこられたと思う

・・

クマは本来

人目を避けて暮らす動物でありますが

主食であるドングリの実が不作で

食べ物を求めて人里に下りてきたものと考えられておりますが

 

この度 小松市では

長いスパンを見て(おそらく持続可能にするために)

豊かな森の生活者クマが棲みやすい

環境づくりと循環型の森林づくりを進めるため

人の野生動物の共存をテーマにしたプロジェクトとして

ふるさと納税で応援していただこうと募集を開始しました

 

プロジェクトは

ドングリの実を付ける広葉樹(クヌギ、コナラなど)を植栽し

クマの餌場と豊かな森をつくることで

クマが人里に降りてこなくても冬を越せるよう取り組みです

 

小松市!すばらしい

 

本市としては

今年はクマの出没はございましたが

人身事故はございません

 

しかしながら

森林が荒れていることや

人と野生動物のすみわけがわかる境界線がなくなっている現状もあり

今後のことも踏まえ

クマ対策についてお考えいただく必要はございます

(ということで 12月8日の一般質問ではクマ対策について質問いたします)

 

自然

森林の復興まで長い時間がかかりますが

何もしないよりまし

時間をかけて 森を取り戻そうとする動き

参考にさせていただきます

 

熊森より
・・
人間活動によって昆虫、サケ科渓流魚、木々の実り、山中の全ての食べ物が消え、冬ごもり前の食い込みができず、生きられなくなり、おなかをすかせて山から出てきたクマたちを、全部撃ち殺してしまう。今、日本中でしていることは、恥ずべきことで、人が狂ってしまっています。人間のすることではないと思います。
小松市が、今年もクマが山から続々と出てきたのは、山の実りが消えて、クマが餌不足に陥っているからと、原因を正しく特定してくださったことに、心から拍手を送りたいです。
・・
では、どうしたらいいのか。
・・
えさ場復元しか、共存への道はありません。
・・
このクラファン、もし集まらなかったら、熊森が補填しなければならないだろうと考えていましたが、それにしても500万円は大きなお金です。
どうしたものかと思っていたところ、うれしいことに早々と目標達成がなされたもよう。やれやれ。
2月24日締切の予定が、現在すでに、624万円になっています。
熊森は、日本初、小松市の英断に拍手です。
森林環境譲与税を使うという手もあります。
他の都道府県市町村も、小松市に続いてください。

何度でも訴えたい 石川の山からクマたちの命の糧、ミズナラの木が消えてしまっているのです

2005年時の石川県白山のミズナラ巨木の総枯れ写真です。当時、車で2時間ほど白山の周りを走りましたが、延々と山が真っ赤でした。この世の終わりを感じました。

 

北国新聞2005年8月トップ面

 

次は、石川県白山の2年後の写真です。

枯れたミズナラ巨木群が白骨死体のように見えます。主原憲司先生提供

 

現在の白山の写真

ミズナラの巨木が倒れた空間は、何事もなかったように、他の広葉樹が枝を伸ばして埋めています。

 

白山の山は今も、一見、素晴らしい自然林です。

しかし、何度でも言いたい。クマが冬ごもり前の命の糧にしてきた大きなドングリの実を大量にもたらすミズナラ、野生動物たちの命を支えてきたミズナラの木が消えているのです。

 

環境省も地方自治体も、担当者は3年ごとに新しい人に変わるため、新しい担当者は15年前にほとんどミズナラの木が消滅したことを知らないことが多いのです。

 

これでブナまで大凶作のゼロとなると、クマはもう生きていけません。この歴史を知らないと、クマがえさを求めてどんどん山から出て来るという現象を見て、クマが増えて山からあふれ出してきたという見解になってしまうのです。

 

ナラ枯れの原因は解明されていませんが、200年も300年も生きてきたであろうミズナラの巨木が一気に枯れてしまったことを思うと、ナラ枯れは、昨今の人間活動の結果である地球温暖化や大気汚染が原因であると思われます。

 

国は、ナラ枯れの原因を5ミリほどのカシノナガキクイムシのせいにしていますが、責任転嫁している間は、問題は解決しないと思います。

 

かつて大量の実りをもたらしていた、大きな実が大量に付くミズナラの木

 

1本のミズナラの巨木が100キロのドングリを落とすとすると、4本あるだけで、秋のクマ1頭の食料を賄えるのではないかと思われます。(以前15年生のクヌギを調査した時、1本の木で、10キロのドングリを落とすことが分かりました)祖先が残してきた奥山は、人間の予想以上に、数多くのクマたちを養っていたのではないかと推察されます。

それが、今や、ああ・・・絶望的です。

 

ナラ枯れの跡地にミズナラの稚樹を見かけた場所もありますが、まだまだ実をもたらすまでには至っていません。

とよ君、今年は早々と冬ごもり

12月15日、大阪府豊能町高代寺山の山頂に初雪が降りました。(すぐにとけてしまったようです)

15日のお世話日誌(ラインで毎日本部に送られてくる)によると、この日は飲み水に氷が張っていたということです。

とよは、寝室にこもったままで、入れてもらった藁を、好みの形に整えていたそうです。

冬ごもりに入るんじゃないかなと、思わせました。

本部は、2020年のとよの冬ごもり開始は12月15日と記録しました。(やはり、とよは初雪が降ったら寝る)

 

12月20日に、藁を足しに行ったところ、とよはなかなか寝室から出ようとしなかったため、ブドウなどでおびきだしました。ゆっくりした動作で運動場に出てきて、食べ終わるとすぐに寝室に戻ろうとしました。(冬ごもり中を起こした感じ)

冬ごもりを確認するために、寝室から運動場に出る引き戸を10センチだけ開けて帰りました。

 

12月22日最終確認に行きました。

引き戸は10センチ開いたままです。

運動場に出た形跡はありません。(出たければ、とよは自分で引き戸を開けて出ます。閉めることはできません。)

運動場に置いていたリンゴもブドウも食べていません。(ドングリしか食べない時期は、もう終わっている)

引き戸10センチ開いたまま、運動場のリンゴもブドウも手付かず。

 

寝室の餌箱に入れたボールの水を飲んでいるかどうか調べました。

餌箱に、少しだけ糞がしてありました。

今年最後の糞です。間違いなく冬ごもりに入っていることがわかりました。

触ってみましたが、無臭で、いつもの糞と変わった点はありません。

水入りボールの水替えをして、餌箱に戻しました。

 

とよが冬ごもりに入ったことを示すポスターを張りました。

とよ、来年3月にまた会いましょう。

私たち人間は、今年もとよにどれだけ癒されたことか。

とよ、ありがとう。

今頃は、野山を駆け巡る夢でも見ているかな。

ゆっくり冬ごもりしてね。

お世話隊を見つめるとよ

 

副住職さんがやって来られて、コロナのため、今年の除夜の鐘はお寺関係者だけでつくことにしましたと言われ、そのことを伝えるチラシを張られました。

 

殺処分されそうになっていたとよを助けてくださった、優しい住職さんのお寺です。

お寺の御朱印が、とよになっていて、びっくりしました。

住職さんがデザインされたそうです。

この御朱印にはご利益があるかもしれないと思いました。

今、参拝記念に御朱印を集めるのがブームだそうです。

高代寺の御朱印はいかがですか。

 

 

来年は、獣舎のペンキを塗りなおした方がいいな。

とよのとなりの部屋が空いたままなので、冬ごもりが明けたらとよに両方の部屋を使わせてあげるといいな。

いろいろ思いながら、帰途につきました。

今後は、近くに住む会員たちが、時々そっと冬ごもり中のとよの安否確認に行ってくださいます。

この1年、とよのお世話をしてくださった皆さん、とよに会いに来てくださったみなさん、遠くからとよに声援を送ってくださっていたみなさん、ありがとうございました。

とよは、まだ完全回復とまでは言えませんが、昨年の原因不明の両後肢マヒから見事に立ち直って、夏からは、また再びプールにも入れるようになっています。来年もあたたかく見守ってやってください。

 

 

徳島県支部設立記念シンポジウム、会場50人、ウェブ参加35人、盛大に開催

11月14日、熊森徳島県支部は、「くまともりとひと~わたしたちのこれから」をテーマに、設立記念シンポジウムを徳島市の市立図書館に併設されたシビックセンターで開きました。

 

シンポジウムには、四国4県から熊森会員だけでなく新聞報道などで開催を知った非会員を含め計約50人が会場で参加したほか、会場の様子はインターネット中継され、約30人がウェブ参加、入場時の体温チェックや着席の間隔を確保する新型コロナウイルス感染防止対策を取り入れながら、盛大に開催することができました。

 

大西さちえ支部長は開会のあいさつで、今年6月には人工林の皮むき間伐のため、今回のシンポジウム直前の11月12日には初の実のなる木の植樹のため、急峻な山道を2時間かけて、絶滅寸前といわれる四国のツキノワグマの生息地でもある徳島・高知県境の熊森四国石立山トラスト地に登り切って作業したことを報告。「会場には徳島、高知、愛媛会員の他、香川県で熊森の支部をつくりたいという人も来られています。四国のみんなで力を合わせて、くまもりの輪を大きくしていきましょう」と笑顔で呼びかけました。

 

続いて、滋賀県知事を2期8年務められ現在は参議員議員の嘉田由紀子熊森顧問と、徳島県旧木頭村の元村長の藤田恵熊森顧問が記念講演をしてくださいました。

 

記念講演要旨

 

●嘉田由紀子顧問

「奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守る」

 伐採寸前の滋賀県のトチノキ巨木群を裁判までして守ってくださったのが熊森協会です。弁護士の室谷会長です。本当にありがたい。
今年7月の九州豪雨で熊本県球磨川が氾濫し、死者50名。これによってダム必要論が再浮上、中止された川辺川ダム計画の復活の動きも出てきました。ダムに頼らない治水を訴えてきた私としては、ダムがあれば50名の死が防げていたかを現場を訪れ徹底的に調査しました。結論として、川辺川ダムがあれば救えていた命は3名です。

吉野川の河口堰もいつ復活するかわからない。水を流すための河川掘削や浸水する恐れのある地域に建物を建てないなど、奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守ります。

 

●藤田恵顧問

「日本は森再生に取り組むべき」

 全国各地で連日クマが山から出てきました。あれは山に餌がないからですよ。昔は木頭村でも奥山に行けば、大きなブナの木があり、クマは大木の洞などに寝て暮らしていました。森にはいろんな種類の木がありましたが、今は全くありません。国は拡大造林政策で1950年代から広葉樹を次々と伐り、スギなど針葉樹を密植したまま放置してきました。山の保水力は失われ、近年、豪雨時、山崩れなどの災害が頻発するようになりました。学者は御用学者ばっかりで、拡大造林の「カ」の字も言わない。マスコミも忖度して一切書かない。そんな中、拡大造林政策の弊害を熊森協会は一貫して指摘してきた。本当にすごい団体だ。
(森が豊かだった頃の徳島の森のイメージ写真を何枚も映し出しながら)今の徳島の山を自然だと錯覚しないでほしい。昔の豊かだった時の山の姿を知ってほしい。今後は、スギと広葉樹を交互に植えて針広混交林を造ったり、広葉樹林を再生したりしていかねばならない。砂漠緑化に成功したすごい人がいる。砂漠緑化に比べたら、日本の森再生はもっと容易なはず。熊森が進めようとしている森再生は、きっと日本で成功する。日本熊森協会の実践活動に大いに期待しています。

 

後半プログラム

 

●本部クマ保全担当、水見竜哉研究員

「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実のなる木を植えた」

 水見竜哉研究員が、四国のツキノワグマをめぐる現状や四国の山々で放置人工林が広範囲に及んでいる様子をスライドを使って基調報告。「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実際に実のなる木を植えることができました」と喜び一杯に報告。今後も、50メートル四方の群状間伐と広葉樹の植樹を継続していきたいと意欲を語りました。

 

●森山まり子名誉会長

「自然保護団体を大きくして、地球環境破壊に歯止めを」

最後に森山まり子名誉会長が、戦後の林野庁の「拡大造林政策」と、1999年に導入された環境省の「ワイルドライフ・マネジメント政策」、この2つの誤った政策により、日本の森や動物、地元の人たちが、悲鳴を上げています。

今年も、何の罪もないどころか人間活動の被害者であるクマが害獣のレッテルを貼られ、連日、大量に捕殺されていきました。私たちは毎日胸のつぶれる思いでした。クマが山から出て来るのは、生息地であった奥山の自然環境が破壊されたからで、この問題を解決しなければ、私たち人間もやがて生きられなくなります。

他生物や次世代に責任を持つ大人として、熊森がもっと大きくならなければならない。会員をもっともっと増やして、私たちが声を上げていかなければならないと、熱っぽく語ると、会場は大きな拍手に包まれました。

みなさん、ありがとうございました。

森の劣化によるクマ個体群の衰退 ー捕殺より 森の生産力の回復をー 金井塚務氏に聞く

メディアは「クマが出て騒動になっている」という事象しか伝えません。今森の中で何が起こっていて、今後どうしていかなければならないのか。宮島や西中国山地で野生生物の研究を進める環境NGO広島フィールドミュージアム代表 金井塚務氏にお話しいただきました。

金井塚先生にズームでインタビュー

生息地を移す「ドーナツ化」
広島県では1975年に初めてクマの有害鳥獣駆除の事例がでて、それ以降年々有害鳥獣駆除が増えています。西中国山地ではクマが絶滅の恐れがあるという指定を環境省より受けています。1994年に狩猟禁止の措置がとられたが、そこから急に有害鳥獣駆除が増えました。2000年以降は隔年ごとに大量出没が見られ、広島県では2002年、2004年と大量捕殺されました。隔年で出てくる傾向が3回くらい続いた後、それが3年、5年と間遠になってきて、それもクマが集落にそれほど多く出てこなくなっています。個体群が縮んできているという恐れがあります。

1994年度以降狩猟による呼格禁止措置がとられるが、有害鳥獣による捕獲数が激増している。1975年以降に有害鳥獣による捕獲が顕著に増えていることに注意。

西中国山地では、5年毎に再捕獲調査という形で個体群推定の調査をしています。信頼度としては疑わしく絶対数が推定できるわけではありませんが、繰り返して調査をすると、一定の傾向は見て取れます。中核地域の生息数に一定の係数を掛けて、ランク分けされ地域の面積を掛けて、全体の頭数を推定します。ところが目撃された外周を生息域と呼んでいるので、生息域というのは年々広がっています。面積が広がると、広がった分だけ数が増え、過大に見積もってしまう可能性があります。しかし、中核地域、本来の生息域では、生息密度が低下している可能性が高い。例えば細見谷地域でビデオカメラを設置して調査を続けていますが、クマの痕跡やビデオカメラに写る頻度が年々低下しています。クマが本来の生息地で生活しきれなくなり、生息場所を移す「ドーナツ化」が起こっている可能性があります。「生息域が広がる」というのは、クマの数が増え人口爆発が起こって広がっているのではなくて、クマが生産力の落ちた奥山から分散して人間の生産物に依存する生活に適応しながら、里へ広がってきているということなんです。

細見谷渓畔林。群を抜く生物多様性と西中国山地の原生的自然を保持し、絶滅の恐れのあるツキノワグマ個体群の中核的生息地ではあるが、近年ここですらクマの痕跡の低下がみられる。

 

深刻な森の劣化
一方で森はというと、1960年代に広葉樹林帯を大面積皆伐し、そこにスギ・ヒノキの造林地を増やしていきました。川にはダムがどんどんできて、支流には砂防ダムができて、「森の生産物が川を伝って海へ流れて、干潟を養ってまた戻ってくる」という循環が切られていきました。川を遡上してくるサケ科の魚などが森に帰っていけなくなる。私たちは調査をして、クマはサケ科の魚、渓流魚を冬眠前の秋にかなり集中的に食べていたのではないかと考えています。それが断ち切られてしまったのが、1970年前後。サケ科の魚が豊かな地域の人に聞くと、「今でもクマは魚を捕っているよ」と。環境があれば食べるんです。そういう環境が失われてしまったことが問題なんです。魚は毎年上がってくるので、安定的に捕れ、栄養価が非常に高い上に消化率も高い。ドングリが重要でないとは言わないが、栄養的にも消化の面でも動物質に比べてあまり優秀ではありません。さらに、クマは春から夏にかけてのハチ、アリ、アブを食べ、昆虫など動物質のものに頼ります。今山では、集中豪雨などで表土層が流され、そうした昆虫類が減少してしまってあまりいません。そのことがクマをはじめとする野生動物にかなり深刻な状況を生んでいます。

サケ科魚類のゴギ(左)とアマゴ(右) サケ科の渓流魚は水温上昇に弱い。人工林化による保水力の低下や渓畔林の衰退は、水温上昇をもたらす要因となる。

西中国山地の裾野はずっとクリ林が広がっていました。1950~1960年代、戦後復興の枕木としてどんどん切り出され、クリがなくなる。さらにはクリタマバチでクリがやられる。ミズナラ、コナラくらいしかなくなって、ごくごく限られたものに頼らざるを得なくなったクマたちが、高密度に生活できるわけがない。一方で人は二次林の利用をやめて、都会へ出て行き、過疎化していきます。残るのは利用されない二次林。そこにコナラ、クリが残る。そこがクマや野生動物の利用の場になるのは当たり前のことです。森は冷温帯落葉林が外観としてはあるが、その内容はかなり劣化していて、大型野生動物を養うだけの生産力がなくなっている、それが原因なんです。クマが増えているというが、集落周辺が増えているだけで、奥山には全く増えている傾向はありません。

 

対処療法ではなく、根本解決を
【熊森】現象だけ見ていると「激増」となって、有害捕獲を前提として生息推定数を出して、大量に捕殺しています。それを繰り返してしまうと、新潟、石川のような生息数が安定していただろうという地域においてすら、絶滅の危険が出てくるのではないでしょうか。
なります。むしろその方が危険。実際にはドーナツ化が起こっているのに、事故を起こす率が高まって、それを全部除去してしまうと、個体群が衰退してしまいます。歴史的に森林の状況や河川の状況を見て、生物層がどれだけ劣化しているのかを考えると、増える要素がない。東北にしても中部山岳地帯にしても森林の生産力、樹木だけでなくて川の生産力が劣化しています。これは自然の問題というよりは人間の社会政策の失敗です。

ツキノワグマ分布の経年変化。「生息地の拡大」と言われるが、実際には「ドーナツ化」

里に出たクマは何度でも奥へ持って行って放獣するということを繰り返す必要があります。行政は「住民の反対がある」と放獣をしようとしないが、こういう危機的な状況だからと対策をとらねばならなりません。
環境省はガイドを出し800頭を超えたら、超えた分は捕殺してよいと言っているが、その根拠はありません。有害鳥獣駆除をベースにした個体数推定をすると簡単に800頭を超えてしまいます。それは捕殺するための数字であって、本来の個体群維持になっていません。目撃数や、有害鳥獣の捕獲数をベースにして調査をする個体数推定数というのは無理がある。もっと条件を厳しく吟味しなければなりません。環境省にしても林野庁にしてもシカやイノシシの個体数が増える政策ばかりしています。うっそうとした森林にしていけばそんなにシカやカモシカは増えません。だいたいクマが増えるとシカの個体数を抑えることができます。林道を通したり、斜面を切って風力発電やメガソーラーを設置すると森林を傷つける、それでイノシシやシカが爆発的に増えて被害が出る。解決策としてジビエなどが出てくる。そんなマッチポンプ的な政策ではなくて、本来の森林の生産力を復活させる予算を組むべきです。

【熊森】捕殺抑制をしながら、生息地を回復すべきと自然保護団体としては訴えていて、クマの研究をしている人こそ言ってほしいのですが。
大学に籍を置くと、政策に反するようなことはなかなか言えない。例えば県立だと県の方針を下支えする役割を負わされたりするので、そういう立場でしかものを言えないのではないでしょうか。

 

森林・河川の生産力の復活
【熊森】私たちも奥山の生産力を高める活動はしていますが、森林の劣化の方が勢いが強く、転換をしていくことは容易ではありません。その間、絶滅に至る地域が出てきてしまいます。奥山の回復をしながら、どのように中山間地域の人は、そして私たち自然保護団体はクマと付き合っていけばいいでしょうか。
今はある意味で「耐える時期」です。奥山の生産力を回復するには時間がかかります。人間の生産物でクマの命をつなぐのは最低限にしておかないと、野生本来のところでの生活が難しくなるので、兼ね合いは難しいですが、10~20年は人間がエサを媒介して接触しないようにしつつ、なんとか奥へ戻ってもらう。戻ってもらう先も、例えば河川上流の一定の地域での釣りを禁止にして、あまり勧められたことではないが養殖的な工夫をなどしてそこにいた在来魚を増やす努力をする、沢沿いの森を優先的に復活させるといったことを続けていれば20~30年でかなり回復すると思います。しかし、行政は手を打つことをなかなかしません。西中国山地の保護計画のなかでも「クマが生活できる自然を回復させる」という項目を入れたが、予算措置がとられていません。本来はそこに予算を投下して、生息地の環境を整備視することを通じて事故防止のための予算執行へと変えていく努力をしないといけません。今林野庁が目指している皆伐政策は間違いです。間伐でも複層林化を目指す間伐で、まず沢筋を復活させれば、部分的でも復活の兆しが見えていくだろうと思います。

自動撮影カメラ(左)と沢を利用するクマ(右) かつては川面が盛り上がるほど渓流魚がいたという。川の生産力が衰退しており、沢沿いの森を復活させるのは急務。

 

【熊森】使っていない林道は閉じたらいいのではないか。森を回復させる提案としてはあり得るのかなと思うのですが。
あり得ます。林道を潰すと森が復活する。それと同時にいらない砂防ダムを撤去すべきです。ほとんど土石流は皆伐後の人工林や林道の路肩から起こっている。林道の開発と皆伐が原因です。それを止めれば砂防ダムも撤去できる。物質循環の「血管」の役割をしている河川を復活させる努力をしないといけません。それが日本全体の生産力を高めることにもなります。河川の三面張り護岸工事で伏流水が遮断されたりしているが、流水が海を養うということ、自然があらゆる面で我々の生活維持のベースになっているということを政治や社会政策に携わる人が持たなければなりません。また、森林についても、今までは材としてしか見なかったが、森林の持つ生産力が我々の暮らしにどういう意味を持っているか、評価に入れなければなりません

 

人身事故を防ぐには
基本的にはクマがパニックに陥らないように心掛ける。住宅街などクマにとってあまり馴染みのないところだと、どうしても緊張状態になるので、そうしたところでは事故が起こりがちです。不安でいる動物の前に突然人が出てきたりするとパニックになってしまいます。そこで正面突破を図るクマに小突かれたり噛まれたりして事故が起こります。逆に人里離れたところでは、人もクマもある程度慣れているので、穏やかな接触で、避けることができます。要するに人も動物も「落ち着いた出会い」をすれば、まず事故は起こりません。犬をけしかけるとか、大騒ぎするとか、クラクションをならすとか、追い立てる、追い詰めるというのは効果としてはマイナス。茂みのなかで近距離でばったり出くわす、子グマが好奇心でなんだろうと人間に寄ってくるといった避けようがない事故はいくつかありますが、避けることができるのは、ばったり出くわすことを止める、緊張を強いるような行動を避けるということです。例えば夕方散歩をするときも一人では行かず、複数で話しながら行くと、相手にも気付いてもらえます。
クマも不安になると暗いところや狭いところに逃げ込もうとする、それが家の中だったりします。そしてわーっと追い立てるとますますパニックになって大暴れする。それをしばらく放っておくと、クマもあきらめて寝てしまったり、ゆっくり休んだりするので、それから処置すればそんなにひどいことにはならないわけで、もう少し寛容になる必要があります。それからメディアの責任は大きいと思います。追いかけ回して、大したことはなくても、リポーターも大声を上げてわめきながらリポートしている。

 

寛容さの必要性
【熊森】この山の状況だと、オニグルミやクリとか食べているのであればそっと見守って山に戻るのを待つくらいの寛容さが必要ではないでしょうか。
食べたら帰るんです。帰れる状況を作ってやるのが重要です。それから集落周辺の柿もぎをやっているのもあるが、これもケースバイケースだと思うのは、柿を目当てにやってきたクマがそこに柿がないとなるとさらに里に来てしまう。飢えているということには変わりないので、さらにエスカレートしていきます。だから一番は出てこないようにするのが大事だが、それができなければ、当面柿の数を減らしつつ、ある程度はそこで柿を食べてしまってもいいくらいの余裕はあっていいと思います。それと家には入られない工夫は必要です。
【熊森】うちの会はこういった山の状況なのでカキを食べに来るのは許してほしい。ただそうは言っても人身事故が起こる可能性があるところには、カキをもいでクマの通り道におくということをしている。
何でもクマにエサをやればいいという発想ではいけないが、緊急避難的にはそれも必要だろうと思います。ただ出口戦略をよく考えて対応しないといけません。
【熊森】あくまでも奥山の回復をする間の、絶滅回避の緊急対策として、検証しながらしています。

 

熊森と行政担当者でカキもぎを行いました【兵庫県豊岡市】

約150㎏ほどのカキの実を回収。豊岡市の職員と熊森本部を入れて総員7名で作業を行いました。

 

大量の捕獲罠を常設している兵庫県

兵庫県でも、今年は山の実りが昨年に増して悪く、「大凶作」と言える年でした。しかし、クマの目撃数や捕殺数は昨年よりはるかに少なかったです。兵庫県は、平成29年の途中からクマの捕殺を強化し、推定生息数800頭前後と推計されるクマに対し、2000を超える罠を常設し、かかったクマは0歳や1歳の子グマであっても原則殺処分の体制をとっており、過去3年でクマの210頭を超えるクマを捕殺しています。捕り過ぎて数を減らしてしまっていることを心配しています。

 

11月になり、兵庫県でもクマが里へ下りだした

しかし、さすがに11月には、兵庫県でも、冬眠前のクマが里へ出てきたという目撃情報が増えだしました。

クマの捕殺が繰り返されている自治体へは、熊森としては何度も「捕殺ではなく共存・棲み分けを!」と訴えに行き、捕殺が必要なほどクマの被害が深刻な場合はぜひ、熊森本部が被害対策をしますので呼んでくださいと、お願いしてきました。

 

地元行政から応援要請を受け、現場へ急行。カキもぎを実施

11月17日、兵庫県のクマ生息地である豊岡市で「クマが柿の木に来ている場所がある。クマが来ないように柿をもぐのを手伝ってほしい」と、市の担当者から熊森本部へ連絡がありました。このように、行政の方から応援要請をいただけるのは、大変うれしいことです。

 

早速、熊森本部は、翌日18日、スタッフ2名、ボランティア4名で現場へ急行しました。

 

現地へ着くと、実が付いた柿木がおよそ8本目につきました。現場は駐車場裏手の山裾になります。すでに地元の方が何人かで取りやすい部分の実は取り終えられたようで、残っている実は道具がないと取れない高い部分にありました。

早速かきもぎを開始です。この日は天候にも恵まれ、温かい一日でしたが、高い木の上の柿をもぐのは一苦労です。それぞれのスタッフが、役割分担をしながら安全かつ効率よく作業を進めていきます。

林業用のはしごに登りながら高枝バサミで柿の実をもぐスタッフと、下ではしごを支えるスタッフ。木から実が落ちてくることもあり、ヘルメットを着用は必須。

竹の先に切り込みを入れて、枝ごと実をとるスタッフ。昔ながらの柿の実の収穫方法。

 

落ちたカキが潰れて、周囲を汚さないようにブルーシートで保護をしてから作業を進める。

 

現場には、クマが柿を食べたフンが数か所に落ちていました。まだ新しいものです。クマが柿を食べたフンは、柿をペースト状に混ぜたようなきれいなオレンジ色をしています。しかし、時間がたつと、フンの中の柿の成分が酸化して黒くなっていきます。他にも、クマの爪痕が新旧幾つかがありました。

新しいカキの糞 2020年11月18日

 

時間がたつと黒くなる、クマが柿を食べたフン 2020年11月20日 クマが来て約3-4日後

クマの新しい爪痕(赤枠内、今年)。新しい爪痕は、傷跡が白い。

古いクマの爪痕(赤枠内、昨年以前)。古い爪痕は、傷跡が黒くなる。以前もクマが来ていたことがわかる。

 

カキもぎをした木は大きく、木々の間にはササの繁みもありなかなか大変な作業で、応援要請があった理由がわかりました。豊岡市からも職員の方が1名応援に駆けつけてくださり、手伝っていただきました。

 

人身事故防止のため、草刈りもお手伝い

カキをもいだだけでは、人身事故防止対策としては不十分です。クマの人身事故が起きる原因は、見通しの悪い場所で、お互いに相手に気がつかないうちに、人とクマがばったり遭遇してしまうことです。集落に草が茂り、見通しが悪くなっている場所があったので、草刈りを行い、20m先まで見通せるように環境整備をしました。

草刈り前(駐車場側から撮影、2020年11月20日)

草刈り後(同地点 2020年11月20日)

地元の方々にも大変喜んでくださり、私たち作業スタッフ一人ずつに、差し入れをしてくださいました。地域の皆さんも心優しい方で、嬉しくなりました。

豊岡市のシンボル「コウノトリ」をモチーフにした、夢クッキー。コウノトリのような白黒の模様がなされたクッキーで、味もおいしかったです。

このような機会を下さった豊岡市と、地元の皆さんに感謝申し上げます。豊岡市からは、今も、別の場所でクマ被害対策としてカキもぎの要請を頂いております。

 

【クマ出没でお困りの自治体はぜひご連絡ください】

~ボランティアも募集中です~

日本熊森協会は、クマとの共存のために、人身事故を防ぎたいと強く願っており、人身事故防止やクマを寄せ付けない環境づくりの支援に積極的に取り組んでいます。

冬場はクマの活動は弱まりますが、クマが集落近くに来て困っているけれど、どう対策をしたらいいかわからない、手が回らないという方は、自治体でも、個人の方でも、ぜひ熊森本部にお問い合わせください。

 

熊森のクマ被害対策活動に、一緒に活動してくれるボランティアの仲間も募集しています。

一般財団法人  日本熊森協会

TEL:0798-22-4190

mail:contact@kumamori.org

 

熊森から

今秋も熊森本部は日々非常に目まぐるしく、11月に掲載予定の上記ブログが遅くなってしまいました。

ボランティアとして熊森活動を手伝ってくださる方、職員として人生をかけて熊森活動に取り組んでくださる職員、熊森は本気で自然を守りたいと願う多くの活動家を求めています。

 

 

 

 

[速報] クマ捕獲規制と共存対策を求める 26,798筆の全国署名と要望書を環境大臣、農林水産大臣宛に提出!!

絶滅回避と人身事故防止のために、緊急対策を要請しました

左から、宮崎勝環境大臣政務官、室谷会長、片山大介顧問

11月27日、環境省にて、宮崎勝環境大臣政務官(参議院銀)に、熊野正士農水大臣政務官に、全国から集まった26,798筆の署名とクマの絶滅回避と人身事故防止のための緊急対策を求める要望書を提出しました!

コロナ禍の中、人と会うことが制限される中で、本当にたくさんの人が、1頭でも捕殺されないように、クマと共存し、クマの棲める水源の豊かな森が日本にも残るようにと必死で集めてくださいました。署名提出には、赤松正雄顧問(元衆議院議員)、片山大介顧問(参議院議員)その他、たくさんの方にご尽力いただきました。

思いのつまった署名を、室谷悠子会長、片山大介顧問、クマ保全担当の水見職員、川崎東京支部長らと届けてきました。

 

捕殺より、えさ場の確保、人身事故防止、生息地復元が急務

熊野正士農林水産政務官を囲んで(右から川崎東京支部長、室谷会長、伊藤会員、熊野政務官、水見クマ保全担当職員、菅原職員)。

 

近年、食料を求めてクマが里に大量に出没し、誘引物を入れた罠に誘引され、大量に捕殺されています。昨年度のクマ捕殺数は過去最多6000頭を超えました。

私たちは24年間奥山を歩き、調査し続けてきました。クマが、人里に出てきたのは、クマが増えたからでも、人を恐れなくなったからでもなく、クマの本来の生息地である、奥山水源域の自然林が、クマを養えないまでに劣化したことが原因です。

拡大造林政策により広大な奥山自然林が失われ、ダム建設によって俎上するサケ科の魚を失い、地球温暖化によって昆虫が消え、液果は実を結ばず、酸性雨によってドングリ類を枯死させるナラ枯れが全国的に大発生、山にクマの食料が皆無という危機的な状況となり、大量出没が起こっています。

今年の全国のクマ捕殺数は、9月末現在で4000頭を超えており、このままいけば昨年を上回る捕殺数となることが予測されます。

クマをこのまま捕殺し続けると、クマは絶滅し、生態系保全上からも人道上からも問題です。豊かな水源の森の造り手を失えば、人間も近い将来水不足で苦しむようになります。

環境大臣への要望事項 ※要望書はこちら

【クマとの共存のための緊急要請】

 全国の自治体が捕殺を抑制しながら、人身事故回避・共存対策を実践できるように、今年度改訂予定の「特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ類編)」においても、以下の対策を反映させてください。

1 山の実りがない年は、緊急対策として、里のどんぐり、オニグルミ、カキ・クリなどをクマに分けてやってください。人身事故の危険がある場合は、実をもいで山へ運ぶことを実践できるようにしてください
栄養補給ができればクマは山に戻って冬眠します。山の実りの凶作年は、人里周辺の木の実を食べに来たクマには近づかないでそっと見守る。民家が近く、人との接触の恐れがある場合は、実をもいで、山へ運ぶことを、緊急対策として、推進してください。

2 人身事故が起きないようにするためにも、できる限りの捕殺抑制を
ただ出没しただけで、子グマや親子グマまで大勢の人たちで追いかけまわして捕殺しており、クマは恐怖のあまりパニックに陥り、かえって人身事故を誘発します。クマ出没時に人が至近距離に近づかない工夫をすることで事故は防げます。過剰捕 獲は地域的な絶滅を招く恐れがあり、捕殺をできる限り抑制することが必要です。
捕殺を抑制できるように全国的な放獣・一時保護体制の整備をしてください。また、シカ用・イノシシ用罠での錯誤捕獲の放獣を徹底してください。

3 クマが里に出てくるのを押さえるために、山裾にクリなどを植え、クマ止め林を造る必要があります
奥山の自然林劣化の回復には時間がかかり、今後も奥山のエサ不足の頻繁な発生が予測されます。クマが人里に出て来ないように、集落から離れた里山にえさ場を作っていくべきです。全国の自治体で実践できるよう事例の紹介や補助事業の創設をしてください。

4 潜み場除去のための草刈りや誘因物除去など人身事故防止対策の徹底を
人とクマの至近距離での突発的な遭遇が人身事故の原因です。過疎と高齢化により、これまでできていたクマを寄せつけない集落づくりができない地域が多くあり、公的支援が必要です。今後は、捕獲ではなく、被害防止と棲み分け対策に力を入れるべきです。

5 根本対策として、奥山の生息地の復元を
奥山にクマの生息環境があれば、クマと人は以前のように棲み分けて共存することができます。時間はかかりますが、根本対策である放置人工林の広葉樹林化や奥山自然林の劣化を止めるための土壌改良など、さまざまな対策が急務です。

農林水産大臣への要望事項 ※要望書はこちら

【クマの人身事故防止と棲み分け対策のための要望】

鳥獣被害対策予算、森林整備関連予算、森林環境譲与税などを活用し、クマの生息環境整備と人身事故防止及び棲み分け実現のため、以下の対策を実現ください。

1  人が気をつけることで人身事故は防げます。潜み場除去のための草刈りや誘因物除去など人身事故防止対策を鳥獣被害対策予算で実現させてください
人とクマの至近距離での突発的な遭遇が人身事故の原因です。過疎と高齢化により、これまでできていたクマを寄せつけない集落づくりができない地域が多くあり、公的支援が不可欠です。捕殺のための事業メニューはたくさんありますが、一番必要な被害防除のための予算を充実させ、利用しやすいものにすることが急務です。

2  里のどんぐり、オニグルミ、カキ・クリなどをクマに分けてやってください。人身事故の危険がある場合は、実をもいで山へ運んでやってください
栄養補給ができればクマは山に戻って冬眠します。緊急事態として人里周辺の木の実を食べに来たクマには近づかないでそっと見守ってください。木の実と民家が近く、人との接触の可能性がある場合は、実をもいで、山へ運ぶことも鳥獣被害対策予算で実現できるようにしてください。

3  根本対策として、生息地・奥山の広葉樹林の復元を至急進めてください
奥山にクマの生息環境があれば、クマと人は以前のように棲み分けて共存することができます。時間はかかりますが、根本対策である放置人工林の広葉樹林化や奥山自然林の劣化を止めるための土壌改良など、さまざまな対策が急務です。
森林整備予算、昨年創設された森林環境譲与税を活用し、奥山の広葉樹林化を至急進めてください。これは、保水力豊かな災害に強い森をつくることでもあります。

4  クマが里に出てくるのを押さえるために、山裾にクリなどを植える「クマ止め林」を造るための事業に公的補助が使えるようにしてください
奥山の自然林劣化の回復には時間がかかり、今後も奥山のエサ不足の頻繁な発生が予測されます。クマが人里に出て来ないように、集落から離れた里山にえさ場を作っていくべきです。
これらも鳥獣被害対策予算や森林整備予算、森林環境譲与税の活用により実施できるようにしてください。

室谷会長は、「本来の生息地である奥山にえさのないなか、捕殺を繰り返しても、出没や人身事故は無くなりません。①えさの問題をどうするか、②棲み分けをどう進めていくかという視点の対策が急務です」と訴えました。

宮崎勝環境大臣政務官は、「来年度前半までに、ガイドラインやクマ出没対応マニュアルの改訂が予定されており、「共存」という視点を取り入れていきたい」と答えられました。熊森が実践し、提案するえさ場の確保や棲み分け対策、放獣体制の整備などもガイドラインに取り入れられるよう重ねてお願いしました。共存のための各自治体のモデルになるガイドラインができるように、今後も要請を続けます。

熊野農林水産大臣政務官には、奥地の放置人工林をクマの棲める広葉樹林に戻してほしいということと、鳥獣被害対策として、捕殺に頼らない棲み分け対策やクマたちのえさ場の確保に力を入れてほしいとお願いをしました。熊野政務官は、エサの問題、生息地の問題を考え、棲み分けをすることが必要という話を、「ゾーニングが大事なのですね」と真剣に聞いてくださりました。

「農林水産省の鳥獣被害対策予算が、来年度さらに拡充される予定です」と政務官がおっしゃられたので、現在の捕殺を中心とする獣害対策から、野生動物たちが山で暮らし、棲み分けができるような環境整備と野生動物を寄せつけない集落づくりにシフトしていくことが必要なことをお伝えしました。

 

農政記者クラブでの説明の様子

署名提出に合わせて、環境省記者クラブと農政記者クラブで、記者に説明をしました。「クマが出てきて捕殺された」「事故が起こった」という現象だけではなく、クマたちが奥山から出て来ざるを得ない現状や共存と人身事故防止のため、何をすべきかということを報道してほしいと訴えました。「現場を取材に行きたい」とおっしゃられる記者さんもおられました。

日本熊森協会の提案は、いずれも24年間、クマ生息地で実践してきた取組に基づいて行われているものです。ぜひ、私たちの活動を取材に来ていただきたいです。

現在も、全国各地で、クマが出没し、捕殺が続いています。署名提出を契機に、安易な捕殺に頼らない共存の取組みが進んでいくよう、今後も、国に対して要請を続けるとともに、都道府県や地元自治体にも共存対策の実施を働きかけていきます。

 

国際動物福祉団体 Wild Welfare(ワイルド ウェルフェア)も共存対策を提案

世界をまたにかけて、飼育下にある野生動物の福祉向上に取り組むWild Welfare(ワイルド ウェルフェア)の幹部のSimon Marsh(サイモン マーシュ)氏からも、小泉進次郎環境大臣宛の親書を授かり、政務官にお渡ししました。

サイモン氏は、捕獲された野生動物の自然復帰プロジェクトに関わった経験を持ち、人との軋轢を減らすための啓発や捕まったクマの放獣、野生復帰のための一時保護施設の整備などを、日本熊森協会などのNGOとも連携し、行うべきだと提言をされました。

Wild Welfare(ワイルド ウェルフェア) サイモン氏の親書はこちら

海外では、クマが人里へ出てきただけで捕殺するのではなく、原因を究明し、人側も十分に注意し、クマを寄せ付けないように配慮して行動することを徹底している地域が多くあり、学ぶべきことがたくさんあります。

四国山地の奥山で、熊森がついにクマたちの餌場づくりを開始 

戦後の林野庁の拡大造林政策により、頂上近くまでスギやヒノキの人工林でびっしり埋め尽くされた四国山地。

この山の中には、動物たちの食料が皆無です。

結果、四国のツキノワグマは残りわずかな自然林の中の食料を食べるしかなく、あと十数頭にまで追い詰められています。

絶滅の危機に瀕していることが報道されて久しい四国のツキノワグマ。

にもかかわらず、誰一人、彼らの餌場を復元してやろうとしません。

熊森の四国トラスト地内を歩くクマ。誘引物なしで熊森自動撮影カメラが撮影。

 

見かねた熊森は、数年前からツキノワグマたちの生息地のど真ん中にトラスト地を探し始め、2017年と18年、各1カ所をトラスト地として取得、2019年からトラスト地に登れる道を造り、人工林を伐採し、着々と準備し続け、ついに2020年11月12日、第一弾の実のなる木の植樹にまでこぎつけたのです!

今回伐採に参加してくださった2名は、いずれも若手の森林組合職員。「こんな何もない山にクマたちは住んでいるのか。かわいそうに」を、連発されていました。

かかり木にならないように、一発で倒す。プロの腕の見せ所。

頂上が平原だからか、木は意外と大きく育っていた。伐り出せればよいのだが、奥地過ぎて伐り出せないので捨て伐りに

 

今回の伐倒で、開始前はうっそうとして何も見えなかった人工林の内部の空が急に開かれ明るくなり、何と、隣接する標高1708メートルの石立山の雄大な山頂が見えるまでになりました。

石立山が見える

 

今回シバグリやクヌギ以外に多く植えたのは、ナラガシワ。このドングリは4年で実がなります。堅果(ドングリ類)、液果、昆虫、とにかくえさになるものを四国の山奥にもう一度そろえてやろうと思います。動物は食べ物を食べないと生きていけない生き物です。食べ物がなくなって一番に滅びていくのは、クマなど一番たくさん食料を必要とする大型野生動物たちです。

ついに夢にまで見た植樹こぎつけた

鹿よけ網を張って植樹終了

 

 

この日、熊森徳島県支部の大西さちえ支部長も息子さんたちと険しい山を登りきり、他のボランティアさんたちと初の実のなる木の植樹を行いました。

今回の作業は、12日から14日までの3日間でした。徳島新聞が同行取材して、1日目のことを記事にしてくださいました。感謝。

今回、本部スタッフや愛媛、徳島両県支部の会員ら9人が地元森林組合の2人と協力してトラスト地に登山して、トラスト地のスギやヒノキの人工林約150本をチェーンソーで伐倒し、実のなる木を合計35本植樹しました。昨年間伐した場所の地面を目を凝らして見ると、小さな植物の芽がいくつか顔を出していることがあちこちで確認できました。実生の生育も楽しみです。

 

 

まだクマの餌場づくりは始まったばかり。この山だけで22ヘクタールもあります。作業は50メートル四方の区域で展開。群状間伐といわれるやり方で、まず今回で2カ所の伐採ができました。今後も順次作業を続けていきます。

 

手っ取り早く大型ドローンで里のドングリを山に運んでやればどうか、道が急峻すぎて一般人が登れない場所のため、道づくりから始めるべきだ、潜在植生でなくてもよいので、ナラ枯れに強いものを植えればいいのでは、スギやヒノキの人工林で放置されているよりはずっといいなど、いろいろな声をいただいています。皆さんのお知恵もいただいて、試行錯誤しながら、会員の会費と寄付で食料豊かな森に戻していきます。

 

静岡県から駆けつけてくださった伐倒のプロである山路淳さんは「今回の伐採と植樹は絶滅寸前のツキノワグマを救うために、わずかでも動き出そうとする確かな一歩だと思います。歴史的なことでもあると思い、ぜひとも参加したいと思ってやって来ました。伐倒では思っていたより太い木も多かったですが、作業が順調に進み、目標の植樹もできてよかったです」と話されていました。

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