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カテゴリー「支部・地区・地域」の記事一覧

栃木県塩谷町、牧場の飼料タンクに落ちた親子グマの救出作戦

2019年7月18日、親子3頭のクマが、デントコーンなどが入った家畜用飼料タンクの中に落ち、4日間出られずに閉じ込められたままになっているというニュースが流れました。

 

飼料タンクに親子グマ 4日間閉じ込められ衰弱

 

ニュースに取り上げてくださった記者さんに、深く感謝します。

記者さんのおかげで、私たちはこの親子グマたちのことを知り得ました。

 

異変に気付いたタンクの持ち主は、親子グマがタンクに落ちて出られなくなっていることを、14日に役場に届けています。

その後の役場の対応はどのようなものだったのでしょうか。

 

熊森本部を初め関東の熊森支部員らは、町の担当者へ次々と電話して、この親子グマの救出を願い出ました。

 

 

現地は、標高1000~1100mの山奥にある町営牧場です。人家や集落からは離れています。

事件発生場所はかなりの山奥(担当者の聞き取りをもとに、熊森本部が作成)

 

以下、塩谷町の担当者とのやりとりです。

 

熊森:この親子グマを、何とか山へ帰してあげてほしいです。

担当者:私たちも何とか助けたいので、山に放す方針です。しかし、4日間、この中に閉じ込められていたので、衰弱していないかが不安です。

 

熊森:放獣決定に、感謝いたします。どのようにして放されますか。

担当者:飼料タンクを解体して横に寝かせ、タンクの上部にある蓋をロープで引いて開け、自力で脱出させます。衰弱していますので、麻酔は使えません。本日中に放獣作業をしたいです。

 

熊森:何とか水を飲ませてあげてください。本日放獣作業ができないのなら、ひもつきバケツに水を入れて、ロープでタンクの中へ降ろしてやってください。

担当者:はい。やってみます。

 

(夕方、熊森本部は、再度、塩谷町の担当者に問い合わせました。)

 

熊森:無事放獣は出来ましたか。

担当者:午後、タンクを横に寝かせ、蓋を開けて放獣作業を行いました。子グマ2頭はすぐにタンクから脱出し、走っていきましたが、母グマは衰弱がひどいのか、タンクから出られない状況です。タンクを横に寝かせるときは、母グマは興奮していたのですが。

 

熊森:タンクの外に、水を入れたバケツをたくさん置いてください。タンクを横にするときに怖かったと思います。人がタンクの近くにいると、安心して出られませんので、母グマも余計に気を張って体力を消耗してしまいます。みなさん遠く離れてください。子グマも近くで母グマが出てくるのを待っていると思います。また、現在の状況を獣医師にも相談してください。

 

担当者:わかりました。やはり水が必要なんですね。やってみます。

 

しかし、18時のニュースでは、母グマが衰弱死したことが報じられました。

 

熊森から

ニュース映像を見ると、自らも脱水症状に陥っていると思われる母グマが、タンクの中で懸命に子グマに自分の唾液を飲ませていました。

とてもつらくて見ておれません。

もう少し早くこの情報を察知できていたら、助けることができました。

とても悔しい気持ちです。

 

関東の熊森会員の皆さんをはじめ、この件で、親子グマを助けたいと、何度も町の担当者へ電話をしてくださったみなさん、

本当にありがとうございました。

また、タンクを壊してもいいから、中の親子グマを助けてやってほしいと言ってくださった牧場主さんにも感謝します。

 

飼料タンクにクマが落ちてしまう事件は、東北地方や北関東のクマ生息地では時折あります。

牧場経営者のみなさんは、クマが蓋を開けられないように、蓋の改善をお願いします。

 

この件で、日本熊森協会顧問の門崎允昭顧問と、水見竜哉研究員がメディアの取材を受けました。

 

門崎顧問のコメント入りNEWS

はしご使って?屋根のタンクに“親子クマ”落ちる

 

水見研究員コメント入りNEWS

高さ6mの飼料タンクに落ち・・・クマの親子か、救出大作戦

 

山に逃げた子グマが、母なしで生き残ることはむずかしいと思います。

命に対しては、いかに迅速な対応が必要かを、改めて思い知らされた事件でした。

みなさんと共に、今後の教訓として生かしたいです。

石川県 金沢市・白山市で室谷会長が講演

森林環境税についてもお話し、大盛況でした!!

7月12日、13日と室谷会長は日本有数の豊かな自然が残る霊峰「白山」のある石川県へ講演に出かけました。

 

12日、若手議員の会で森林環境税について講演 金沢市

金沢市会議員の熊野盛夫(くまのもりお)さんの所属する石川県の若手議員の会で、森林環境税のお話をさせていただきました。

石川県の市町村では、今年から交付される森林環境譲与税の使い道を決めていない自治体がほとんどでした。国会で、森林環境税を使って広葉樹林化の推進を求める附帯決議が付いたことなどを紹介し、豊かな水源の森再生のために放置人工林の天然林化に活用してほしいと訴えました。

これから自治体が使い道を決めていくというだけあって、1時間30分の話をとても熱心にお聞きいただき、地域の振興にも役立てられるような仕組が必要ではないかなど、活発なご意見をいただきました。森林環境譲与税の使い道を議論していく自治体の市議のみなさんに直接お話をさせていただくことはとても大事なことだと感じました。

 

13日、石川県支部主催「森と水といのち、の今」 白山市

石川県支部のみなさんがこの日のために、1人1人に声をかけ、何と104名の方が集まってくださいました!副支部長の飯島さんは、連日、フェイスブックを更新して参加を呼びかけてくださいました。

 

講演会では森林環境税・譲与税で放置人工林の天然林化を進めてもらうために行った国会でのロビー活動や石川県支部での取り組みも紹介しました。

石川県支部の浴衣での森林環境税署名活動(2018夏)

石川県支部では、地域の方と協力して金沢市への陳情を全国に先駆け実施しました。

また、熊森が22年間取り組んできた天然林再生や野生動物との共存のための実践活動も紹介しました。映像も交え、2時間弱の長時間になりましたが、みなさん最後まで、熱心に聞いてくださいました。

森林環境税の導入など、森と私たちの関りをもう一度見直す時期に来ている今こそ、豊かな森再生のために動き出すときが来ていると感じて、石川県支部のみなさんが準備してくださった講演会。石川県でたくさんの人が手をつなぎ、実践活動が始まるきっかけになればこれほどうれしいことはありません。石川県支部では、野生動物との共存へ向けた森づくりに動いていきたいとのことで、今後がとても楽しみです。

講演会終了後に支部スタッフのみなさんと。子どもたちと一緒に作ってくれた動物たちのたくさんいる素敵な壁飾りと一緒に。

石川県支部のみなさん、ご参加いただいたみなさん本当にありがとうございました。次は、ぜひ、森づくりの実践活動の現場でお会いしましょう!

 

全国で森林環境税の講演会を

日本の森の現状や豊かな森再生のために活用できる森林環境税について地域の方々や議員の方に詳しく知ってもらうこのような機会を持つことはとても重要なことだと感じました。全国の自治体が、森林環境譲与税を何に使うか検討している時期なので、各地を回ってこういう講演会ができたらと思います。

企画をしてみようという方は、ぜひ、本部までご相談ください。

 

 

 

 

6月22日、兵庫県の山奥に、初の大苗植樹!

大苗を植えたらシカ除け柵が不要だったと、地元で植樹をされているグループに教えてもらいました。

今年6月22日、熊森も試験的に、2m~3m級の中苗~大苗4種4本を但馬地方に植えてみました。

クワ、ウワミズザクラ、ヤマボウシ、クリです。

クワとウワミズザクラは、初夏にクマの食糧となります。

大苗とまではいかないのもあるので、当分シカ防除も必要と判断し、シカ除け網も張りました。

 

左からクリ、ウワミズザクラ、ヤマグワ、ヤマボウシの苗木。

 

この日は、いろいろな場所で長年、植樹指導をされてこられた但馬の熊森会員が、指導して下さいました。

 

植える苗がいつもより大きいので、掘る穴もいつもより大きくなくてはなりません。

指導1、掘った穴の底を、つるはしでつついて柔らかくすると、根が張りやすい。

指導2、植樹後、苗木の周りに少し盛り土をする。

(地面にへこみがあると、雨水がたまって根腐りを起こす)

 

ヤマグワには、すでに実がびっしりついている

 

次は、支柱の立て方指導です。

 

大きな苗の植樹は、成果がすぐ出そうで、これまで以上に楽しかったです。

植樹後、突然の雷雨となり、植えた苗木はたっぷりと雨水を浴びました。

「苗木がうまく根付いて、早く動物たちに食料を提供してくれるようになってほしいね」とみんなで話しました。

 

作業後、植えた苗木をバックに記念撮影

 

クマが人里に出てこないように、熊森本部はこれまで1万本以上の実のなる木を、兵庫県のクマ生息地の奥山に植樹してきました。苗木は全て、一番根付きやすいと言われている小さな3年苗でした。

 

中苗や大苗でも根付くことがわかったら、苗木代は高いのですが、これからどんどん中苗や大苗を植えていこうと思います。

 

 

6月24日、滋賀県高島市でのクマによる人身事故現場へ熊森本部が急行、聞き取りと草刈対策を実施!

2019年6月23日、滋賀県高島市今津町でクマによる人身事故発生!

MBSTV 裏庭でクマと遭遇、70歳男性噛まれけが 滋賀県高島市

 

上のニュースを見て、6月24日朝、高島市の担当者に電話をすると、高島市としては、朝夕のクマが出やすい時間帯に、近くの道路をパトロールしている。クマ捕獲予定はないということでした。

心配なので熊森が現地に行って、ケガをされた男性を見舞い、できる被害防除対策があればやってもいいかたずねると、「それはありがたいです。ぜひよろしくお願いします」と言ってくださいました。

 

そこで、さっそく熊森本部スタッフ2名が、兵庫県西宮市から現地へ駆けつけました。

 

現地は山すその別荘地帯で、クマが出る地域だそうです。

お会いした方々は、「このあたりの人は皆、クマ鈴を持ってるよ」と話されていました。

ケガをされた男性は、自然が好きで10年ほど前に引っ越してこられたということで、左腕に包帯をされ、顔や左腕の一部にはクマの爪痕が残っていました。命にかかわるお怪我ではなかったことが確認でき、熊森本部スタッフも安心しました。

男性は、熊森の訪問を大変喜んでくださいました。

 

男性のお話

「事故があった日は、朝早くに(5時くらい)庭で物音がした。窓から見てみたら、2頭の小さなクマが、自分が庭に捨てた生ごみを食べていた。この地域はよくサルが出てくるので、家の中に何個かの石を用意している。サルが敷地内に入ろうとしたら、家の窓から音がするように石をポイと地面に投げて追い払ってきた。クマを見たのは今回が初めて。

 

クマといってもコグマだったので、山に追い払おうと思って、サルの時と同様にコグマに当たらないように、石をポイと地面に投げた。

 

そのあと、2頭のコグマが山へ逃げたかどうか確認しに庭に出て行ったら、塀の外側のスギの木に2頭が登っているのが見えた。

その瞬間、視界の左前方から塀を超えて、母グマが突然飛び出してきて、私の左腕に噛みついた。私は驚き、その場に倒れこんだ。母グマは、そのあとすぐに、コグマを連れて山へ走り去っていったと思うが、衝撃のあまりそのあとは覚えていない。噛まれたのは一瞬だったと思う。

 

事故現場で説明を聞く。2019年6月24日

 

すぐに家に入ってタオルで止血をし、救急車を呼んだ。入院するほどではなく、病院では3時間ほど治療をうけて帰ってきた。かまれた部分は傷が深いので腕を動かすと痛む。

 

今思うと、母グマは子供たちを守ろうと必死だったんだなと思う。考えもせずコグマに近づいていった自分が迂闊だった。今後は、生ごみを外に置かないようにする。反省している。」

 

再発防止対策

 

事故現場にはクマが身を潜められる繁みが多くありました。

事故再発防止のために、男性の許可を得て、草刈り機で草を刈り、見通しを良くしました。

事故現場(草刈り前) 写真の最奥部分の繁みにご注目ください。

 

草刈り後。30m先まで見通せるようになった。

 

男性は「こんな団体があるんだ。知らなかったです。来てくださって嬉しかったです。ありがとう。」と、大変喜んでくださいました。

 

熊森スタッフは、「こうした活動は、全国各地のくまもり会員の方々が、クマを初めとする野生動物たちと人との棲み分け共存を願って振り込んでくださる会費や寄附によって成り立っています」と話し、会報「くまもり通信」や小冊子「クマともりとひと」をお渡ししました。

 

男性はすぐに読んでくださり、「動物たちも、山に餌が無くて大変なんだな。人間が豊かな山を壊してしまったんだな。」とご理解くださっただけではなく、なんとその場でご寄附してくださいました。

 

全国の熊森会員の皆様・ご寄附くださった皆様へ

 

皆様のおかげで熊森本部は今日も、クマと人の棲み分け共存を進める活動ができました。

本当にいつもありがとうございます。熊森はこれからも可能な限り、現地へ駆けつけます。

これからも、よろしくお願いします。

兵庫県丹波篠山市「篠山市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」創設

兵庫県にこんな町があります。以下丹波新聞より。

 

人工林皆伐補助が”大ヒット”単価8倍増で申請件数9倍に

4/19(金) 11:00配信

丹波新聞

人工林皆伐補助が”大ヒット” 単価8倍増で申請件数9倍に/兵庫・篠山市

「篠山市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」を活用した山林=2019年4月8日兵庫県

所有者負担減、林業家も育成

 森林所有者が行う山すそなどの人工林(スギ、ヒノキ)、広葉樹林(コナラ、アベマキなど)の皆伐にかかる費用を補助する兵庫県篠山市のモデル事業が昨年度、補助単価を8倍に拡充したことが奏功し、前年度実績を大幅に上回る“大ヒット”となった。100平方メートルあたりの補助単価を2500円から2万円に拡充するなどしたところ、前年度は9件200万円だった補助実績が、79件3200万円まで増加した。

 

 この「市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」は2015年度から始まり、人工林などを皆伐し、広葉樹に転換していくのがねらい。伐採した木を市場に出せば売上は所有者に還元される。

山の手入れが行き届かず、特に人家裏などで木が生い茂るなど危険な個所は増える一方で、伐採しようと思っても、以前の補助を活用してもなお所有者の負担が大きく、見送るケースが目立っていたという。

そこで市は昨年度、補助金を8倍増にしたほか、大径木(およそ胸の高さで直径20センチ以上)を伐採する場合は15万円を上乗せするよう改正。2180万円を当初予算に盛り込んだところ、申請は件数で約9倍、補助額で16倍に。補正予算で対応した。

市森づくり課は、「申請は増えると思っていたが、予想以上」と驚き、「補助を使い、伐採した木を売れば“とんとん”か、ややプラスという単価。所有者にも有利で、林業家にもメリットがあり、育成につながる。材として売れない木はペレットにするなど、資源として循環していけば理想的」と話す。

川阪自治会は昨年度、同集落内を通る県道本郷藤坂線沿いの約1・2ヘクタールで、同補助事業を活用した。昨年度まで自治会長を務めた男性は、「台風で木が道路上に倒れそうになるなど危険な状態が続き、道路の視界の妨げにもなっていた。木を伐採し、村全体が明るく開けたような印象になった」と話している。

 

くま森から

100平方メートルあたりの補助単価2万円ということは、1ヘクタールに換算すると200万円。これだと伐採業者に支払う伐採費用は全額補助されたに等しい。兵庫県内にこんなことをしている町があることを、今まで知りませんでした。経緯や実施結果などについてもっと詳しく知りたいです。兵庫県民緑税との関連や森林環境税との関連も知りたいですね。何と言っても、地元から、「スギばかり植えて失敗した。天然林に戻そう」という声が高まり、市が条例を制定して後押しし始めたというのがすばらしいです。

全国を探せば、他にもこんな町があるのでしょうか。もしあれば、ぜひ、日本熊森協会までご連絡いただきたいです。

 

久し振りに、人工林の広葉樹林化や天然林化をキーワードにして、ネットで検索してみると、だいぶん項目が出てくるようになりました。

三菱総合研究所などは、日本の森林は大部分を占める人工林の荒廃が進み、有史以来第 4 の危機を迎えているとまで 記述しています。

まさにその通りなのですが、私たちが26年前、日本の山が大荒廃していることを絶滅寸前のクマから教えてもらい、「大変だ、拡大造林にストップをかけてほしい」と訴え出した頃は、理解者が皆無に近くて、どこでも怒鳴られ笑われ変人扱いされたものです。このことを思うと、隔世の感があります。

しかし、論文や記述が増えても、実際に人工林の天然林化が社会で進んでいるかどうかは別問題です。

もう手遅れの感もありますが、日本熊森協会は自然保護団体として、実際に人工林の天然林化が進むよう、これからも活動し続けていきます。

みなさんぜひ応援してください!どうしたら応援できるかとよく聞かれますが、一番簡単にすぐできる応援は、会員に登録していただくことです。

賛同者はまずご入会ください!世の中を変えていくには、数が必要なのです。

島根県浜田市 いとも簡単に連続2頭の若グマ捕殺 メディア報道にも大問題 熊森本部厳重抗議

浜田市内ではこの2週間余りで、JR下府駅周辺や石見海浜公園、それに県立大学周辺などの広い範囲でクマの目撃が23件相次いでいたそうです。
警察などがパトロールを強化する一方、石見海浜公園を一部を立ち入り禁止にして、捕獲おり2基を設置していたところ、

①5月30日に体長1メートル13センチ、体重36キロで2歳から3歳のオスがかかり、直ちに殺処分されました。

 

テレビニュースから

 

親から離れたばかりの若グマです。殺処分が速すぎて、熊森が放獣してくださいの声を挙げる暇もありませんでした。

 

この件に関するマスコミの報道のひどさには、絶句です。

 

テレビニュースでは、檻にかかったクマに記者が近づき、「カメラに向かって、威嚇してきました!」と、それが重大問題であるかのように伝えていました。クマがどんなに狂暴であるか人々に伝わるようにしたら面白いニュースになると思ったのでしょうか。

罠にかかってしまい、人間に殺されるのではと恐怖でいっぱいになっているクマに人が近づいたら、クマは人間を必死で追い払おうとします。クマの行為は、当然です。こんなことすらわからない記者さんがおられるのでしょうか。

クマが捕殺された後、「捕まって一安心です。良かった」と、いうようなコメントをばかりを取り上げていました。

他生物との共存本能を失っていない子どもたちは、このニュースを見たらショックで胸がつぶれただろうと思います。

 

捕まえるのは仕方がないとしても、相手は、まだこの世に生まれて2~3年しかたっていない、何もわからない若グマです。

このクマがやったことは、公園にたくさん実るサクラの実を食べに来たことだけです。

殺してしまうのではなく、山へ逃がしてやろうという声は、島根県民から起きなかったのでしょうか。

信じられないほど一方的なニュースでした。

記者の不勉強には、あきれるばかりです。

 

 

目撃数が多いことから、クマは他にもいるのではないかということだったので、熊森本部としては、次回クマが捕獲されたら、今度は山に放獣してやってくださいとお願いしようと思いました。

6月5日、行政の連絡先をネットで探し始めたところ、体長130センチメートル、年齢は5歳か6歳、体重45キロのオスの若グマが、浜田市国分町の住宅の近くに仕掛けたおりにかかったので、すぐに殺処分したという新しいニュースが入っていました。またしても、罠にかかるのと殺処分が同時なので、声を挙げる時間がありませんでした。

 

今、日本国は、一部の研究者たちが広めた、「大切なのは人間の命だけ」という、とんでもない誤った思想に覆われてしまっています。

西中国山地のクマは、環境省が絶滅の恐れがある地域個体群に指定しており、島根県の保護動物でもあるのです。これまで島根県は、日本一のクマの保護先進県として名をとどろかせてきました。罠にかかったクマの放獣体制も整備されています。殺さなくてもいい命を殺すのは、犯罪だと思います。

 

いったいどういうことなのか、石見海浜公園の管理責任者に電話をしてみました。

 

責任者によると、自分たちはこの件にノータッチで、自分たちが殺処分してくれと言った訳ではないということです。次回からは、山に逃がしてやってくれるよう県に頼んでほしいとお願いしておきました。

 

次に、浜田市の農林振興課に電話をすると、自分たちは捕獲申請はしたが、捕獲されたクマを殺処分してほしいとも、山に逃がしてやってくれとも、何も言っていない。全て、権限は県にあり、県が決めたということです。

そうかもしれませんが、若いクマが、人間の恐ろしさも知らずに、桜の木の実や住宅のビワの実を食べたからと言って、即死刑は行き過ぎです。県にクマをどうするかの権限があったとしても、市の職員として、山に逃がしてやってくださいとお願いはできたはずです。ここでも、次回は、人間としての倫理観から、山に逃がしてやったらどうかと県に頼んでほしいと、お願いをしておきました。

 

最後に、島根県庁の鳥獣対策室の担当者に電話しました。今回クマが出た場所は、人が多く訪れる場所で、島根県ツキノワグマ保護計画のゾーニングでは、クマ排除地域だったということです。それはわかりますが、それと捕獲後殺処分するのとはつながりません。島根県は放獣技術を持っているのですから、次回から、放獣してやってほしいとお願いしておきましたが、なんだか歯切れの悪い対応でした。どうされたのでしょうか?

 

電話を切ってから、みんながクマという動物をあまりにも悪く誤解し過ぎていることに気づきました。さっそく、石見海浜公園と浜田市に、くま森小冊子「クマともりとひと」を郵送しておきました。人々が、野生動物に共感を持てなくなり、害獣としか見なくなったのは何故だろうと思うと、やはり、メディアの報道姿勢に問題があるからだと思いました。あす以降は、メディアの記者たちにも、アタックしてみようと思います。くま森小冊子「クマともりとひと」を読んでいただければ、クマがどんな動物か、クマたちが棲んでいた山を、人間がいかに破壊し続けてきたかが、短時間でだいたい伝わると思います。

 

クマを初めとする野生動物の本当の姿や、彼らが置かれている悲惨な状況を知っていただくために、行政やマスコミのみなさんを筆頭に、くま森小冊子「クマともりとひと」を、生涯をかけて、全財産をつぎ込んで、全国民に配布して回りたいです。心ある皆さん、ご協力ください。

野生動物たちの存在意義を知ることは、とりもなおさず、私たち人類が、この地球上で生き残る道なのです。(完)

 

p.s 島根県のクマと森の状況をお知りになりたい方には、日本熊森協会発行の、田中幾太郎著「西中国山地からクマを失うことの意味」500円(送料別)をおすすめします。

益田市在住の田中先生は、幼少の頃より、猟師だったおじい様と、中国山地を駆け巡られてきた方で、「中国山地の主」と、呼ばれています。

地元の方々に、中国山地の生き証人の声を、ぜひ聞いていただきたいです。

 

お奨め本

石川県羽咋市・宝達志水町で4日間目撃され続けている子グマ、両行政は、捕獲後山へ放獣の方針

5月27日あたりから、石川県羽咋(はくい)市や宝達志水(ほうだつしみず)町で、目撃され続けている子グマがいます。この子グマが、川を泳いだり水田の畦を走ったりして捕獲隊から逃げる様子が、テレビでも放映されています。

 

日テレニュース24、2019年5月29日より

29日午前7時に目撃された子グマ(クリックすると動画再生)

 

石川県ツキノワグマ管理計画では、市街地や田畑をクマ排除地域と決めており、ここに出てきたクマは「全て殺処分」することになっています。(熊森は、やりすぎだと思う)

何とか命を助けてやってもらいたくて、日本熊森協会本部は羽咋市の担当者に電話をしました。

 

担当者:

このクマは、親離れをして間もないクマのようで、単独で行動しています。川や繁みを伝って山から出てきたのではないかと思われます。昨日29日には、田んぼの畦や市街地近くの川を泳いでいるのを目撃され、市や警察、消防が駆けつけました。現在は羽咋市内での目撃も落ち着いていますので、パトロールも一旦やめました。看板設置や防災無線での呼びかけもしました。基本的に山に戻ってもらえるように見守る方針です。捕獲罠は3基設置しています。

私たちも子グマまでは殺処分したくはないので、もし捕獲されたら麻酔をかけて山に放獣する予定です。

 

熊森から

この子グマのことを心配してくださっている全国のみなさん、ご安心ください。行政担当者も、子グマまでは殺処分しようと思っていないようでした。日本熊森協会石川県支部も行政に電話をし、もし捕獲されたら山に返すよう頼んでくださっていました。支部のみなさん、ありがとうございます。

テレビニュースでは、人間たちがみんなで子グマを追いかけまわしていました。子グマは恐怖心でいっぱいになっていると思います。この様な対応は、クマによる人身事故を誘発します。クマが人間の生活場所に出て来た時は、クマもとまどっています。人間側が冷静になって、そっと見守ることが大切です。クマは自分から山に帰っていきます。親から離れたばかりの若グマは、どこが危険でどこが安全か、今、学んでいるのです。なんとかクマを刺激せず、見守ってやってください。

 

 

 

 

大阪の法人会員である豫洲短板産業株式会社のみなさんが、保護飼育中のクマ「とよ君」を訪問

5月26日(日)、日本熊森協会を長年応援してくださっている豫洲短板産業株式会社の森社長と大阪本社社員から8名、ベトナム支社のベトナム人研修生16人の計25名が、高代寺山をハイキング。その途中、とよ君を訪れてくださいました。

この日、とよ君はとてもフレンドリーで、お腹がすいていたのか旺盛な食欲でエサを食べていました。

 

すっかり人間にフレンドリーになった元野生グマ「とよ君」

 

ベトナム人研修生たちからは、

「クマは何を食べますか」→「果物やドングリです」

「肉は食べますか」→「魚は少し食べますが、肉は食べません」

「体長と体重はどれくらいですか」→「体長は132cmくらい、体重は推定100kgくらいです」

などの質問が出ました。

逆に日本熊森協会本部スタッフが、

「ベトナムにクマはいますか」

と尋ねたところ、

「マレーグマもツキノワグマも非常に数が減っていて、動物園でしか見たことがない」という返事でした。

 

獣舎前で記念撮影

 

豫洲短板産業株式会社は、ステンレス鋼板を取り扱う会社で、これまで、とよ君の水飲み容器やエサ入れの引き出し、フンを分解するコンポストなどにステンレス材料を提供してくださっています。

 

冬ごもり中に、とよ君がエサ入れのステンレス製引き出しにおしっこを何回かためていたことから、クマは冬ごもり中に排泄を一切しないという通説が間違っていたことが分かった話は、今年3月のブログに書きました。

森社長さんは、「これが例のとよ君が冬ごもり中トイレにしていた引き出しですか」と、豫洲短板製ステンレス引き出しに見入っておられました。

 

みなさんとても楽しかったようで、また来たいと言ってくださいました。

ぜひ、また来てください。

この日、クマファンが新たに多数誕生しました。良かったです。

 

四国クマ生息地ツアー参加者唖然 徳島県の奥山にクマの生息環境なし 天然林までもが大崩壊 

2019年5月26日、日本熊森協会は、人工林率63%の徳島県のクマ生息地を見に行くツアーを組みました。

午前9時、徳島県那賀町の四季美谷温泉(標高400m)に集合。

 

四季美谷温泉駐車場。この谷の奥が剣山。

 

うれしいことに、徳島新聞のツアーお知らせ記事を読んで7名の方が、外部から参加してくださいました。

熊森協会からは、会長、名誉会長、本部職員2名以外に、赤松正雄顧問、元徳島県木頭村村長の藤田恵顧問をはじめ、徳島県・高知県・愛媛県の熊森会員が参加、その他那賀町の知人たちも参加してくださり、総勢35名のツアーとなりました。

 

一車線の剣山スーパー林道を車で走り、四国第二峰の剣山(1955m徳島県)をめざします。

剣山スーパー林道は9割が舗装されており、地道の1割も平らに整備されていました。

徳島県は、こんな山奥にまでと、信じられないぐらい人工林が多い県です。

崩れている人工林もありました。

 

上の人工林が崩れている

 

標高1200mまで来たところで、剣山が見えてきました。

待望の針広混交林が現れました。広葉樹はブナやミズナラなど、針葉樹はシコクシラベ(シラビソの変種)やモミなどです。

 

標高1500mの奥槍戸山の家に到着。車はここまでです。

藤田顧問が怒りを込めて語られました。

石の上に立って語る藤田顧問

 

「ここは、クマが高密度に住んでいた地域で、かつて直径1メートルを超すブナやミズナラの巨木の原生林だったんです。50年ほど前に、戦後の拡大造林政策で、ここから見える全ての山々の木が、尾根まで二束三文のパルプのために皆伐されました。伐採後、スギを植えたけれど、山が崩れたりして根付きませんでした。山の保水力が失われ、川の水量も川魚の種類や数も激減してしまいました。とんでもないことになってしまったのです。放置していたら、そのうち今のように一見、針広混交林に一部は戻りました。しかし、全て2次林であり、原生林ではありません。細い木ばかりです。内部には下層植生がありません。とうとう森に戻らなかったところもあります。奥山は急斜面な上、土壌も脆弱で、気候条件も悪い。何千年何万年と気が遠くなるような長い年月をかけて形成されてきた原生林をいったん伐ってしまうと、もう元の森には戻らない。全て元凶は拡大造林政策です。」

 

 

昼食後、徳島の方が、かつての天然林がわずかに残っており、クマの冬眠穴もあったと言われる山に、みんなで入って行きました。山の中に入ってびっくりしました。シカのお口が届くところまで、緑が全くありません。ブナ、ダケカンバ、ツツジ、ヒメシャラ等の木はところどころに残っているのですが、下層植生がほとんど何もないのです。15年前までは、2mを越えるスズタケで一面が覆われていて、やぶ漕ぎをしないと進めなかったそうです。何という変わりようでしょうか。スズタケは完全に消えており、背の低いミヤコザサにとってかわられていました。山全体が乾燥してカサカサです。あちこちで木が枯れています。

 

ディアラインがくっきりと出ている山の中

 

1時間ほど山を登り続けましたが、歩けども歩けども、クマが生息できそうな森もクマの痕跡も皆無です。この山は大崩壊しつつあると感じました。四国の山に詳しい方に聞くと、ここだけではなく、四国では一見、針広混交林のいい森に見える山の中も、今や全てこうなってしまっているということでした。四国の山は元々海底で形成された岩石の山です。雨が降るたびに表土が流れ落ちているようで、岩盤がむき出しになってきていました。たとえ植林しても、もう元の森に戻すことは無理なのではないかと感じました。

 

次郎笈(1930m)の森林限界となっている頂上が見渡せる標高1700mまで登りましたが、かつての原生林は、完全に消えていました。こんな隠れ場所のない山に、怖がりのクマがいるわけありません。今回は、クマの痕跡や巣穴を見ることができると地元の方から聞いて、ツアーを組みましたが、結局、ご参加いただいた皆様にお見せすることができず、申し訳ございませんでした。四国のクマの最後の生息地といわれている剣山周辺までもが、いかにクマが棲めない場所になってしまっていたかが分かりました。

 

四国の奥山は、クマの食糧にならないスギやヒノキの植林で埋め尽くされているだけではなく、残された自然林も大荒廃していることが分かりました。

 

森が消え芝生のようになったミヤコザサの上で最後の記念撮影

 

熊森から

絶望的な、四国のクマの生息地を見てしまいました。5年前に、このあたりの山に来られた方が、1200mより上のササは死んでいなかったと証言されていましたので、ササ枯れが猛スピードで進んだ結果だと思われます。犯人はシカということにされていますが、地球温暖化で昼夜の気温差が大きくなったことも、ササ枯れを引き起こした原因だと言う研究者もおられます。ならば、人間も原因です。

兵庫県でも京都府でも、同様の奥山大荒廃が進んでおり、クマを初めとする野生動物たちは生きられなくなり、奥山を出て、里山に集結しています。里山の植物は、地球温暖化の影響を受けにくいため、里山には豊富な食料があるからです。

私たち人間は、日本の山が、奥山から大崩壊していっていることを知って、かつての保水力豊かな山をどう取り戻すのか、奥山の動物たちの絶滅をどう止めるのか、真剣に考えねばなりません。(完)

5月25日 徳島県美波町、スギ人工林伐採跡地の自然回復状況を視察

2019年5月25日、日本熊森協会本部スタッフ4名と赤松正雄顧問は、美波町にお住いの方を訪れました。

 

この方は、30年前にUターンしてみて、子供の頃あんなにうじゃうじゃいた川や海の生き物が消えたり激減したりしているのにびっくり。

山をスギやヒノキに変えたからだと気づかれたそうです。

日本熊森協会としては、川や海の生き物が消えたのは、「森が消えれば海も死ぬ」(北海道大学松永勝彦教授著)で、スギやヒノキの植林が原因でフルボ酸鉄が山から十分供給されなくなったからだと科学的にも証明されていることを伝えました。

 

この方が、3年前に裏山の人工林を自力で伐採し、放置している場所を見せてくださいました。

 

中央が、伐採跡地

 

徳島の温暖湿潤の気候が、植物の成長に合うのでしょう。結構シカがいるというのに、シカ防除などしなくても、クマイチゴやタラノキなどトゲげのあるものを中心に、みるみる多様な植生が回復してきていました。徳島県はなんと恵まれた県なんだろうと、うらやましくなりました。

お会いした地元議員さんも、「戦後のスギ・ヒノキノの拡大造林は完全に失敗だった。森林環境税を使って、人工林を天然林にもどしたい」と、強く望まれていました。

 

ここは若者も入って地域おこしに取り組んでおり、裏山にアスレチック施設を造るなどいろいろとおもしろいことをされていて、いろんな人たちが訪れているようでした。

この日は、民宿に泊めていただきました。

台風襲来時の雨と風は恐ろしいそうですが、それ以外はとても暮らしやすくていいところだとわかりました。

 

 

 

 

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