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カテゴリー「石川県」の記事一覧

<祝>石川県小松市のクマ止め林づくりクラウド・ファンディング、早々と目標額500万円達成

石川県小松市×かが森林組合プロジェクト

ふるさと納税で応援(ガバメントクラウドファンディング)

・・
クマを森に帰そう!
豊かなドングリの森づくりで、
・・
人と野生動物の共生を
目標額、達成!
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<以下、中日新聞12月2日記事より>

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

 

食べ物を求めて人里に現れるクマの出没を減らそうと、小松市とかが森林組合(同市)は、豊かな餌場をつくる森林整備のため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。クヌギやコナラなどドングリの実をつける広葉樹を植栽する。目標金額は500万円。

 市には今年、例年の約5倍の225件のクマの目撃情報が寄せられ、人身事故が2件起きている。冬眠前のクマの餌のドングリが凶作で、餌を求めて住宅密集地まで出没するクマが後を絶たない。森林の手入れが行き届かず、里山が荒廃し、人里との境目があいまいになったことも出没の要因とされる。
 寄付金は放置林の除去、森林の間伐や植栽、苗木の生産などに活用する。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング」で受け付けている。募集は来年2月24日まで。
 開会中の市議会一般質問で8日、岡山晃宏議員=会派自民=がクマの餌不足対策を質問した。市産業未来部の林活歩部長は「伐期を迎えた森林の再造林を進め、クマがすみやすい環境づくりに必要な森林を整備したい」と話した。
(問)市財政課ふるさと納税推進チーム0761(24)8068 (長屋文太)

 

小松市岡山晃宏市議の質問

1.有害鳥獣対策について

今年も集中豪雨により、球磨川の氾濫など天候による災害はありましたが、それ以外に新型コロナウィルス、感染症、クマの出没と、生き物が絡む災害ともいうべき被害で日本中が大混乱した年になりました。

本市においてもクマによる人身被害が出てしまったことは残念ではありますが、消防署や消防団、警察、市の職員や関係者の皆様には、昼夜を問わず、監視の強化や、薮払いなど今できる最大限の対策をとっていただいたことに、心より感謝申し上げます。

 

 ・緩衝帯の整備について

クマが人里に降りて来る原因もいろいろあるようですが、長い目で見るとクマ対策、有害鳥獣対策は、野生獣と人との棲み分けをめざす里山の整備が必要だと考えます。一昔前は里山では、畑で多くの人が仕事をし、薪炭材として木が伐採され、移動しやすいように道が造られることにより、自然と緩衝帯ができ、里山には実のなる広葉樹が多くあり、野生獣との棲み分け・共生が成り立っていたこと、それが、過疎化や林業の後継者不足などで管理ができず、耕作放棄地や里山が荒れて行ったことを聞いたことがあります。これまで野生獣の出没抑制の緩衝帯整備は、県の石川森林環境税を使って整備され、昨年から交付が始まった国の森林環境譲与税は、本市では県の事業と重複しないよう、森林管理者や境界の調査、森林管理に必要な人材育成、木材利用の普及の促進、森林状況調査などに使われてきました。根本的な鳥獣対策は、里山の再生につながります。そのような意味で里山の再生をめざす国の森林環境譲与税の使途を、人工林の伐採や緩衝帯整備に迄広げることはできないでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

 

・エサ不足への対応について

次に餌の確保についてでございます。熊が人里に降りて来る原因の一つが山林のえさ不足と言われています。えさとなる木の実の豊作凶作だけでなく、気候変動や酸性雨により木が枯れていることも懸念されています。今年捕獲されたクマは、胃の中が空っぽでやせ細っていたとお聞きしました。クマは本来、落ちた木の実は食べないと言われていますが、ドングリを集めて獣道に置いたら、夜食べに来たり、糞の中に普段は絶対に食べないギンナンが確認されたりと、クマも生きるために必死で食料を探していたと思われます。そのような意味で実のなる木を里山に植樹することが必要と考えます。樹種としてクヌギ、アベマキ、ナラガシワ、クリ、サルナシ、コバノガマズミや春から初夏にかけて実がなるサクラなどがよいと聞きました。これらの実のなる木は広葉樹であり、人工林を広葉樹林化することは森林環境譲与税の目的のひとつでもあります。森林環境譲与税で植樹を行うようにすることはできないのでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

<以下、石川県かほく市塚本佐和子市議のブログより>

 

小松市でのクマの出没 人身事故は深刻

今年は例年の5倍を超えるクマの出没

人身事故も多発

市民の方は 不安を抱える日々を送られてこられたと思う

・・

クマは本来

人目を避けて暮らす動物でありますが

主食であるドングリの実が不作で

食べ物を求めて人里に下りてきたものと考えられておりますが

 

この度 小松市では

長いスパンを見て(おそらく持続可能にするために)

豊かな森の生活者クマが棲みやすい

環境づくりと循環型の森林づくりを進めるため

人の野生動物の共存をテーマにしたプロジェクトとして

ふるさと納税で応援していただこうと募集を開始しました

 

プロジェクトは

ドングリの実を付ける広葉樹(クヌギ、コナラなど)を植栽し

クマの餌場と豊かな森をつくることで

クマが人里に降りてこなくても冬を越せるよう取り組みです

 

小松市!すばらしい

 

本市としては

今年はクマの出没はございましたが

人身事故はございません

 

しかしながら

森林が荒れていることや

人と野生動物のすみわけがわかる境界線がなくなっている現状もあり

今後のことも踏まえ

クマ対策についてお考えいただく必要はございます

(ということで 12月8日の一般質問ではクマ対策について質問いたします)

 

自然

森林の復興まで長い時間がかかりますが

何もしないよりまし

時間をかけて 森を取り戻そうとする動き

参考にさせていただきます

 

熊森より
・・
人間活動によって昆虫、サケ科渓流魚、木々の実り、山中の全ての食べ物が消え、冬ごもり前の食い込みができず、生きられなくなり、おなかをすかせて山から出てきたクマたちを、全部撃ち殺してしまう。今、日本中でしていることは、恥ずべきことで、人が狂ってしまっています。人間のすることではないと思います。
小松市が、今年もクマが山から続々と出てきたのは、山の実りが消えて、クマが餌不足に陥っているからと、原因を正しく特定してくださったことに、心から拍手を送りたいです。
・・
では、どうしたらいいのか。
・・
えさ場復元しか、共存への道はありません。
・・
このクラファン、もし集まらなかったら、熊森が補填しなければならないだろうと考えていましたが、それにしても500万円は大きなお金です。
どうしたものかと思っていたところ、うれしいことに早々と目標達成がなされたもよう。やれやれ。
2月24日締切の予定が、現在すでに、624万円になっています。
熊森は、日本初、小松市の英断に拍手です。
森林環境譲与税を使うという手もあります。
他の都道府県市町村も、小松市に続いてください。

何度でも訴えたい 石川の山からクマたちの命の糧、ミズナラの木が消えてしまっているのです

2005年時の石川県白山のミズナラ巨木の総枯れ写真です。当時、車で2時間ほど白山の周りを走りましたが、延々と山が真っ赤でした。この世の終わりを感じました。

 

北国新聞2005年8月トップ面

 

次は、石川県白山の2年後の写真です。

枯れたミズナラ巨木群が白骨死体のように見えます。主原憲司先生提供

 

現在の白山の写真

ミズナラの巨木が倒れた空間は、何事もなかったように、他の広葉樹が枝を伸ばして埋めています。

 

白山の山は今も、一見、素晴らしい自然林です。

しかし、何度でも言いたい。クマが冬ごもり前の命の糧にしてきた大きなドングリの実を大量にもたらすミズナラ、野生動物たちの命を支えてきたミズナラの木が消えているのです。

 

環境省も地方自治体も、担当者は3年ごとに新しい人に変わるため、新しい担当者は15年前にほとんどミズナラの木が消滅したことを知らないことが多いのです。

 

これでブナまで大凶作のゼロとなると、クマはもう生きていけません。この歴史を知らないと、クマがえさを求めてどんどん山から出て来るという現象を見て、クマが増えて山からあふれ出してきたという見解になってしまうのです。

 

ナラ枯れの原因は解明されていませんが、200年も300年も生きてきたであろうミズナラの巨木が一気に枯れてしまったことを思うと、ナラ枯れは、昨今の人間活動の結果である地球温暖化や大気汚染が原因であると思われます。

 

国は、ナラ枯れの原因を5ミリほどのカシノナガキクイムシのせいにしていますが、責任転嫁している間は、問題は解決しないと思います。

 

かつて大量の実りをもたらしていた、大きな実が大量に付くミズナラの木

 

1本のミズナラの巨木が100キロのドングリを落とすとすると、4本あるだけで、秋のクマ1頭の食料を賄えるのではないかと思われます。(以前15年生のクヌギを調査した時、1本の木で、10キロのドングリを落とすことが分かりました)祖先が残してきた奥山は、人間の予想以上に、数多くのクマたちを養っていたのではないかと推察されます。

それが、今や、ああ・・・絶望的です。

 

ナラ枯れの跡地にミズナラの稚樹を見かけた場所もありますが、まだまだ実をもたらすまでには至っていません。

【速報】石川県支部が金沢市長に要望書を提出

森林環境税で放置人工林の天然林化を!

石川県支部、飯島さおりさんからうれしい報告です!
10月4日、石川県支部5名が、いしかわ若手議員の会の市議5人と「森林環境譲与税で放置人工林の天然林化」を求める要望書を山野之義市町に提出しました。山野市長からとても素敵な返答をいただいたそうです。以下、飯島さんの報告です。
来年度から、森林環境譲与税での天然林化が実現しそうです
結果から申し上げますと、天然林化(広葉樹林化)を進める流れができそうです!
山野金沢市長からは、
「心が伝わりました」
「ベクトルはしっかりと同じ方向を向いています」
「様々な知見があるとのこと、相談させていただくこともあるかもしれません」
などなど、涙がでるような嬉しいお言葉も頂きました。

要望書を提出する飯島さおりさん(中日新聞記事より

手探りの状態でのスタートでしたが、会長始め、本部の皆様、支部の仲間なにより、金沢市議の熊野盛夫さん(←くまもりにふさわしい名前(笑))のバッグアップがあって成し遂げられたことです。熊森石川メンバー5人、金沢市わかて議員の会から5名、共に手を携えての要望書提出となりました。
資料を揃え、どんな質問にもできるだけ答えられるような前準備は徹底的に行ったつもりです。
今回の要望が成功したもう1つの大きな要因は、山主さんからの天然林化の要望が出始めていることです。森林組合からの聞き取り調査や里山での聞き取り調査でわかりました。
全ての要因が必然と合致したタイミングだったと思います。
今回は報道陣3社も来て頂き記事にもなっています。
今回の流れは、本部の努力なしでは、到底成し遂げられず、その姿に勇気ずけられ私も今年は頑張ろう!!という意気込みで駆け抜けてきました。
県が違えば、山も違い、やり方も違います。簡単なことではありませんが、知恵を出し合い手を取り合い頑張りましょう。
最後は、人です。どんな意見も大切に対立せず、調和しながら、自分たちの想いを心を込めて伝えていく。
必ず伝わります。
絶対に風穴は開きます。
日本の山を復活させましょう!!
日本熊森協会 石川県支部 飯島さおり

石川県内 春夏のクマ目撃多発 元猟師とくまもり室谷会長が、若グマの餌場不足を指摘 中日新聞 

以下、中日新聞石川版の後半部分

 

県内餌場減 山戻らず越冬

 

半世紀余りクマ猟にかかわってきた石川県白山市白峰の元猟師加藤隆夫さん(78)は、人里に下りてくるクマに若い個体が多いことに注目する。「木の実などの餌場が少なくなり、餌の奪い合いになっている。確保しにくい子グマが押し出されている可能性がある」

 

親子グマ 石川県白山にて 日本熊森協会石川県支部撮影 2018.9.2

 

餌場はなぜ少なくなっているのか。天然林の再生活動に20年余り取り組む「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は「スギやヒノキを植林する造林政策が大きな原因の一つ」と指摘する。

 

人工林の木材は近年、価格の安い外材に押されて伐採や間伐が進まず、多くの森林が放置されたまま。日光が差さず下草が消え、雨で表土が流出して保水力が低下し、クマの餌になる木の実も育たなくなっているという。人工林が多く、手入れが行き届かなくなっている金沢、小松市の山で目撃情報が多く、木の実がなる天然林が残る白山麓では少なくなっている。

 

日本熊森協会は、2019年度から新設された森林環境譲与税による国の交付金を利用し、天然林を増やし整備するよう石川県内の自治体にも働き掛けている。室谷悠子会長は「クマは本来、山奥にすむ臆病な動物。人間とクマはこれまでうまくすみ分けてきたし、今後も共生できるはず」と訴える。

以上。

 

熊森から

中日新聞前半記事によると、人工林率40%の石川県で、クマの目撃が相次いでおり、金沢市の4月から7月21日までの目撃数は85件、この時期の目撃数としては過去16年間で最多。住宅地でも目撃されているということです。山から出てくるのは、ほとんどが3歳以下の立場の弱い若グマだそうです。

 

石川県は、7月初めに、今年の秋の木の実の結実状況を調査した結果、ブナが凶作、ミズナラが豊作、コナラが並作になる見通しで、今秋のツキノワグマが平野部に出没する可能性は低いとの予測を発表しています。

 

では、なぜ、春や夏に、山から出て来るのでしょうか。

 

環境省系の研究者たちの予測は、以下の通りです。

1、クマが生息数を増やした。

2、クマが放置された里山へ生息域を拡大した。

3、クマが人間の食べ物のおいしさを知った。(味しめ説)

4、クマが人間を恐れなくなった(人なめ説。新世代グマの誕生)。

 

原因は、全て、クマにあります。

対策は、個体数低減のための捕殺と緩衝帯としてのやぶ刈りです。

 

神のみぞ知るの世界なので、全面否定はできませんが、余りにも短絡的です。

 

熊森は、この時期、クマが出て来るのは、まず、山の中に夏の餌(オオヤマザクラ、ニワトコ、ヤマグワなどの夏の木の実、アリやハチなどの昆虫、サワガニなど)の量が不足しているのが原因だと思います。

 

みなさんはどう思われますか。

 

いろんな原因が考えられるでしょうが、熊森は若グマたちが空腹による苦しさの余り、餌を求めて出てきているという事実を押さえることから考え始めるべきだと思うのです。

 

熊森は、原因をすべて物言えぬ弱者に押し付けるのではなく、拡大造林政策、奥山観光開発、酸性雪、地球温暖化、大規模林道建設など、人間がしでかしたことで、山中のクマたちの夏の餌量不足をまねいていないか、検証していくべきだと考えます。

 

中日新聞さん、元猟師や熊森の室谷悠子会長のコメントを載せてくださってありがとうございました。

行政や肩書のある研究者のコメントしか載せない他紙と比べて、多様な意見を掲載しようとされる貴紙に、心から敬意を表します。

 

石川県 金沢市・白山市で室谷会長が講演

森林環境税についてもお話し、大盛況でした!!

7月12日、13日と室谷会長は日本有数の豊かな自然が残る霊峰「白山」のある石川県へ講演に出かけました。

 

12日、若手議員の会で森林環境税について講演 金沢市

金沢市会議員の熊野盛夫(くまのもりお)さんの所属する石川県の若手議員の会で、森林環境税のお話をさせていただきました。

石川県の市町村では、今年から交付される森林環境譲与税の使い道を決めていない自治体がほとんどでした。国会で、森林環境税を使って広葉樹林化の推進を求める附帯決議が付いたことなどを紹介し、豊かな水源の森再生のために放置人工林の天然林化に活用してほしいと訴えました。

これから自治体が使い道を決めていくというだけあって、1時間30分の話をとても熱心にお聞きいただき、地域の振興にも役立てられるような仕組が必要ではないかなど、活発なご意見をいただきました。森林環境譲与税の使い道を議論していく自治体の市議のみなさんに直接お話をさせていただくことはとても大事なことだと感じました。

 

13日、石川県支部主催「森と水といのち、の今」 白山市

石川県支部のみなさんがこの日のために、1人1人に声をかけ、何と104名の方が集まってくださいました!副支部長の飯島さんは、連日、フェイスブックを更新して参加を呼びかけてくださいました。

 

講演会では森林環境税・譲与税で放置人工林の天然林化を進めてもらうために行った国会でのロビー活動や石川県支部での取り組みも紹介しました。

石川県支部の浴衣での森林環境税署名活動(2018夏)

石川県支部では、地域の方と協力して金沢市への陳情を全国に先駆け実施しました。

また、熊森が22年間取り組んできた天然林再生や野生動物との共存のための実践活動も紹介しました。映像も交え、2時間弱の長時間になりましたが、みなさん最後まで、熱心に聞いてくださいました。

森林環境税の導入など、森と私たちの関りをもう一度見直す時期に来ている今こそ、豊かな森再生のために動き出すときが来ていると感じて、石川県支部のみなさんが準備してくださった講演会。石川県でたくさんの人が手をつなぎ、実践活動が始まるきっかけになればこれほどうれしいことはありません。石川県支部では、野生動物との共存へ向けた森づくりに動いていきたいとのことで、今後がとても楽しみです。

講演会終了後に支部スタッフのみなさんと。子どもたちと一緒に作ってくれた動物たちのたくさんいる素敵な壁飾りと一緒に。

石川県支部のみなさん、ご参加いただいたみなさん本当にありがとうございました。次は、ぜひ、森づくりの実践活動の現場でお会いしましょう!

 

全国で森林環境税の講演会を

日本の森の現状や豊かな森再生のために活用できる森林環境税について地域の方々や議員の方に詳しく知ってもらうこのような機会を持つことはとても重要なことだと感じました。全国の自治体が、森林環境譲与税を何に使うか検討している時期なので、各地を回ってこういう講演会ができたらと思います。

企画をしてみようという方は、ぜひ、本部までご相談ください。

 

 

 

 

石川県羽咋市・宝達志水町で4日間目撃され続けている子グマ、両行政は、捕獲後山へ放獣の方針

5月27日あたりから、石川県羽咋(はくい)市や宝達志水(ほうだつしみず)町で、目撃され続けている子グマがいます。この子グマが、川を泳いだり水田の畦を走ったりして捕獲隊から逃げる様子が、テレビでも放映されています。

 

日テレニュース24、2019年5月29日より

29日午前7時に目撃された子グマ(クリックすると動画再生)

 

石川県ツキノワグマ管理計画では、市街地や田畑をクマ排除地域と決めており、ここに出てきたクマは「全て殺処分」することになっています。(熊森は、やりすぎだと思う)

何とか命を助けてやってもらいたくて、日本熊森協会本部は羽咋市の担当者に電話をしました。

 

担当者:

このクマは、親離れをして間もないクマのようで、単独で行動しています。川や繁みを伝って山から出てきたのではないかと思われます。昨日29日には、田んぼの畦や市街地近くの川を泳いでいるのを目撃され、市や警察、消防が駆けつけました。現在は羽咋市内での目撃も落ち着いていますので、パトロールも一旦やめました。看板設置や防災無線での呼びかけもしました。基本的に山に戻ってもらえるように見守る方針です。捕獲罠は3基設置しています。

私たちも子グマまでは殺処分したくはないので、もし捕獲されたら麻酔をかけて山に放獣する予定です。

 

熊森から

この子グマのことを心配してくださっている全国のみなさん、ご安心ください。行政担当者も、子グマまでは殺処分しようと思っていないようでした。日本熊森協会石川県支部も行政に電話をし、もし捕獲されたら山に返すよう頼んでくださっていました。支部のみなさん、ありがとうございます。

テレビニュースでは、人間たちがみんなで子グマを追いかけまわしていました。子グマは恐怖心でいっぱいになっていると思います。この様な対応は、クマによる人身事故を誘発します。クマが人間の生活場所に出て来た時は、クマもとまどっています。人間側が冷静になって、そっと見守ることが大切です。クマは自分から山に帰っていきます。親から離れたばかりの若グマは、どこが危険でどこが安全か、今、学んでいるのです。なんとかクマを刺激せず、見守ってやってください。

 

 

 

 

「石川県クマ管理計画」のパブリックコメント締め切り近づく 3月13日まで 

石川県では、現在第3期ツキノワグマ管理計画案のパブリックコメントを募集しています。

意見を提出できる方は、よろしくお願いします。

 

計画案の入手と、意見の提出方法は

第3期石川県ツキノワグマ管理計画案(石川県HP)

をクリックしてください。

 

石川県の個体群管理について

石川県は個体群管理の名の元、全国で唯一、一年中、何の被害もないクマまで殺害し続けている県です。

クマ保護精神がゼロなのでしょうか。

 

まず春になると、事前個体数調整捕獲という名の春グマ猟が始まります。猟師たちは銃を持って秘境に入り込み、冬眠明けのクマを撃って遺体をもらいます。

 

その後は、個体数調整捕獲の名や緊急捕獲の名で、何の被害も出していないクマを市町村に割り当てた数だけ、罠で捕獲して殺して良いことになっています。石川県では今もクマノイが高く売れます。(1gが1万円)個体数調整捕獲されたクマの遺体は、誰のものになるのでしょうか。

 

そして、11月からは、狩猟期間となり、猟師たちが山の中にいるクマを撃ちます。

 

石川県の管理計画には、個体群管理の期間は、毎年5月1日から翌年の4月30日までとすると記述されています。

これって、1年中じゃんということです。

 

●被害を出していないクマまで殺す個体群管理は、残酷すぎるのでやめるべきです。

●一番大切な奥山のクマ生息地の自然環境がどうなっているかの記述が全くありません。

●クマと共存していくための被害防除対策が実際にはどれくらい進んでいるのかまったく書かれていません。

管理計画を読んでも、クマを殺す以外のことが、ほとんど何も見えてきませんでした。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

(以下は、熊森本部スタッフによる意見例)

○全体を通して

クマの生息数が何頭に増加したとか、捕殺上限数は何頭とか、数の管理の話ばかりで、クマを殺さずに人間とクマが共存するための方策について全く考えられていないのはおかしい。

クマの生息数や分布域が増えたのではなく、クマが奥山に棲めなくなって人里まで出て来ていることも考えるべき。

 

○個体数調整捕獲について

全く無害なクマまでも捕殺してしまうような個体数調整捕獲をやめるべき。追い払いや電気柵などの被害防除によって対応できるものは殺処分すべきではない。

 

○ゾーニングについて

ゾーニングの作り方があまりにも機械的で人間中心すぎる。保護地域は、石川県の山林面積の10%ほどの面積しかなく狭すぎる。

これで、推定生息数1052頭のクマが養えるのだろうか。保護地域を、県内各地にもっと設置できるのではないか。

(石川県の全保護地域のブナ・ミズナラ林の面積は約2万2400ヘクタール。1頭当たり約22ヘクタールしかないことになる)

石川県ツキノワグマ管理計画案p22の図18より引用

 

 

○具体的な被害防除対策がない

たとえ「排除地域」であっても、「クマが入ってきたら即殺す」という対応はおかしい。

クマは、臆病な動物であり常に人間の存在を恐れて警戒しながら生きている。クマが排除地域に出てきたら、その原因(生息地の環境劣化、クマの潜み場・侵入経路・誘因物があるなど)をさぐり、誘引物を取り除いたり、捕獲して山に放獣するなど、可能な限り殺さずに対応すべき。

山から川沿いの繁みを伝って市街地や宅地にクマが侵入してきたとみられる例が報告されているが、そのような場所では侵入経路の刈り払いを行うべき。

 

 

○錯誤捕獲は放獣すること

この案では「排除地域」に該当する場所でクマの錯誤捕獲が発生した場合、クマを殺処分することになっている。

石川県では最近、罠免許をもつ狩猟者が激増しており、シカ・イノシシ捕獲用の罠にクマが誤ってかかる錯誤捕獲が多発することが考えられる。

石川県は、クマの錯誤捕獲は発生していないと言っているが、今後のことも考えて錯誤捕獲予防対策と放獣義務を明記すべき。

 

○生息環境管理について

2000年代の「ナラ枯れ」猛威で、石川県では大量のミズナラの巨木が広範囲で枯れてしまった。

クマが冬ごもりに備えて大量に食するミズナラのドングリが、壊滅状態になっているはず。

計画では、クマの生息地である奥山の自然環境の変化についての考察がないのは問題。

 

 

〇なぜ里グマが増えたか

山の実りの異常なまでの大凶作年(2004年、2006年、2010年)に、冬ごもり前の食い込み用食料を求めて多くのクマが人里に出て来ては撃ち殺された。

母グマを殺された子グマたちは、どこにいればいいのかわからず、里に住みついた。

このような歴史的経緯を、しっかりと管理計画に書き残すべき。

 

 

本部・石川県支部 白山トラスト地及び周辺の調査に入る 6月29日

6月29日、本部8人と石川県支部8人は、研究者と共に白山トラスト地22ヘクタール及びその周辺の山の調査に入りました。

当日は天気も良く、前回の岐阜県の奥飛騨トラスト地に続いて下層植生が生い茂り、多様性豊かな森を見ることができました。

s-ギャップ

トラスト地は、極相林に近い森です。100年たってもこの景観が保たれます。それぞれの遺伝的な木の高さをもった木が生えており、高木層、亜高木層、低木層、草本層という形できれいに光配分ができているので、一面が緑色でした。

s-ハイイヌガヤ

この山にはまだシカが入っていないこともあり、兵庫県ではもうほとんど見ることができないシカの大好物ハイイヌガヤの群生があちこちに残っていました。 s-虫の食痕

奥飛騨ではほとんど確認できなかった虫たちの食痕が、ここ白山では驚くほど多くの葉に見られました。

しかし、この時期は蝶々がたくさん飛んでいる時期であるにもかかわらず、ほとんど飛んでいませんでした。やはり、昆虫が豊かに生息しておれる状況ではなくなっているのかもしれません。

s-桑の実

 

クマが大好きな桑の実がたくさん実っていました。夏の木の実はクワぐらいしかなく、クマにとっては貴重です。

s-今年のクマハギ

今回、石川県支部スタッフの皆さんが、大雨の中で事前に調査をしてくださっており、みんなで今年のクマハギを見ることができました。白い部分がクマの歯跡です。

s-チシマザサ(グレード8)

ここにはササも多く生えていましたが、奥飛騨トラスト地でも一斉開花が始まってきているので、10年後にこのササが残っているかどうかは、研究者の先生にも分からないということです。

s-HPの画像

白山連峰にはまだクマが住めそうな場所がたくさん残っていると感じ、安心しましたが、地球温暖化や、酸性雨、農薬関連の化学物質などによって、地球環境が激変していっている今、10年後にこの森がどうなっているのかという気がかりも残りました。

 

また、白山では、場所によっては、2005年あたりから、ミズナラなどの広葉樹の巨木の枯れがすさまじく、森が消えてしまうんだろうかと心配していましたが、今回調べてみると、更新稚樹があちこちで育ってきていました。自然界はすごいです。

 

本部・石川県支部 交流会 6月28日

石川県支部が結成されて8年です。石川県支部から、本部スタッフの皆さんと交流したいというお声かけをいただき、本部から6名のスタッフが、1泊2日の日程で、車で石川県まで行ってきました。予想外に多くのみなさんが集まってくださり、びっくり。(写真中央が、支部長)

 

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残念ながら、森山会長は多用のため、参加できませんでしたが、とてもいい交流会になりました。お集まりくださったみなさん、お世話してくださったみなさん、本当にありがとうございました。これからも、年に1回は、このような交流会を続けていければいいなあと思いました。

クマ駆除隊が捕殺したクマ遺体の利用禁止を求めて くまもり本部・支部が金沢市・石川県の行政回り

(1)金沢市役所 森林再生課

 

<金沢市猟友会クマ駆除隊が、捕殺したクマの遺体を長年利用していたことが判明>

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中日新聞に、「県猟友会金沢支部 熊の胆無許可販売、県が調査 理事会で中止決定」の記事が出た5月20日当日、金沢市役所の熊駆除担当課である森林再生課では、金沢猟友会支部長らを呼んで、

「これまでクマ駆除隊が捕殺したクマの遺体は利用していないと言われていたのに、どういうことなのですか」

と尋ねられたそうです。支部長らは、実は長年、熊の胆を乾燥させて猟友会内で班長達に売っていましたと話されたそうです。

注:金沢猟友会員は180名で、そのうち熊駆除隊員は113名。

 

金沢市行政は、これまで、外部に対して、

「金沢市は、クマ駆除隊が捕殺したクマの遺体が利用されないように、行政が責任を持って焼却場にまで立ち会って確認しています」と公言されてきたのですから、

●①「実は、利用されていたことが判明しました」

と、県民や国民に謝罪されると同時に、②どうしてこのようなことになったのか、行政内部で調査をされて、真相を発表されるべきだと思いました。

 

 

(2)石川県庁薬事衛生課

<薬事衛生法に違反するようなことはしていないと猟友会金沢支部長が言ったから違反なしと、結論していた>

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クマ駆除隊は、数名から10名までで組まれるそうですが、駆除に参加しなかった多くの猟友会員たちにまで熊の胆が売られていた事実は、すでに自家消費の範囲を超えており、薬事法に違反していると、私たちは思います。しかも、猟友会内の班長に売られた熊の胆が、その後、外部に一部流通しているという情報を、私たちは得ています。事実なら、明らかな薬事法違反です。

第3者への聞き取りや、猟友会内の会計帳簿提出など、証拠となるものを集めて、調査と呼べるような本格的な調査をしてほしいと、わたしたちは要望しました。

これを受けて、現在、薬事衛生課は本格的な調査を展開中だそうで、全容が出たらご報告いただけるということです。

 

ちなみに、金沢市の薬局では、熊の胆が1グラム12000円で売られていました。熊の胆は、成分が解明され、すでに合成薬品が作られています。クマを殺して、熊の胆を得ようとしないで、使いたい人は、安い合成薬品を買っていただきたいです。

 

(3)自然環境課

<石川県は、クマ駆除隊が捕殺したクマの遺体は、法に反しないように処理するように指導→今回違反?>

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石川県では、平成14年以来、クマが殺されるのは、狩猟と個体数調整の2種のみになりました。個体数調整というのは、クマが増えすぎないように、年間上限数を決めて、クマの生息地に入って行って、猟友会員たちが銃や罠でクマを殺すことです。個体数調整名目でクマが殺されるのは、主に3月や4月です。これは、この時期が、熊の胆が一番大きいため高く売れることと、雪解け直後の落葉広葉樹の木々がまだ芽吹いていない時期は、一番クマを獲りやすい時期だからです。いわゆる「春熊狩りの復活」になっていると、わたしたちは感じました。

 

自然界の生き物たちは、本当に人間が殺し続けないと数が増えすぎてしまうのでしょうか。そのような論文やデータがあるのか尋ねると、そういうものはないが、これまでいなかった能登とかでクマが目撃されるようになってきたなど、熊は増えすぎていると考えられるので、毎年一定数は殺していかないとダメだという、担当者のお考えでした。ちなみに平成25年度の捕殺上限数は、96頭だそうです。(石川県のクマ生息推定数は、600頭~800頭とされているそうです)

 

また、個体数調整したクマの遺体は、法に反しないように処理することと指導しているということでした。(利用を禁止する法律は、日本にはありませんから、利用してよいということになります)それでは、1年中狩猟してよいのと同じことで乱獲されるのではないかと、疑問を投げかけたところ、捕獲上限数を決めているから大丈夫ということでした。(野生動物が何頭いるかなど、人間には絶対にわからない上、猟友会金沢支部の事例からもわかるように、人間が正確に報告しないこともあることを、考慮すべきだと思いました)他県は、有害捕殺したクマの遺体は、埋葬または焼却処分し、利用しないように指導しているところが多いので、石川県のクマ行政は、かなり他県と違うと感じました。

 

私たちは、山の中で静かに暮らしているクマまで殺しに行かなくてもよい。そのような考えでは共存できないと考えます。自然界のことは、人間にはわからないことでいっぱいです。どちらの対応が正しいのか、これからも意見交換を続けていきたいと思いました。

 

☆各行政のみなさん、お忙しい中お時間を取っていただき、どうもありがとうございました。

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