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新潟県クマ生息地調査でわかったこと

6月20日(木)、自然保護団体として久し振りに新潟県庁を訪れました。

もちろん、「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」を熟読した上でのことです。

事前に、県民生活環境部・環境企画課・鳥獣保護係に電話を入れておきました。

できれば、森林環境税のこともあるので、林政課の担当者ともお会いしたいなと思いました。

兵庫県西宮市にある熊森本部から飛行機で新潟空港へ、新潟駅からはバスに乗って県庁前で降りました。

えらく立派な県庁ですが、外にも内にも人影がほとんどありません。

 

新潟県庁

 

新潟県の人口は約222万人。人口が少ないからなのでしょうか。

知る人ぞ知るですが、明治初期、新潟県の人口は東京都よりも多くて全国一位でした。(第一次産業全盛時代の明治21年、新潟県人口166万人全国一位)

 

鳥獣保護係の方には会えましたが、クマの担当者は不在でした。

新潟県のツキノワグマの推定生息数は1574頭(平成28年計算)です。

どうやってこの生息推定数を算出したのか訊ねたら、「新潟大学に頼んで出してもらった。どうやって計算したのか、県としては知らない」ということでした。

新潟県のクマは、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除の3種によって、命を奪われます。

 

「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」の内容は、なかなかすばらしいものです。

(1)生息環境整備 (2)被害防除対策 (3)個体群管理の順に、論じられています。

一番に生息環境整備が位置付けられているのはその通りで、他県でも見習ってほしいです。野生動物は生息環境さえあれば、人間などに何もしてもらわなくとも生き抜いていけるのです。

 

有害捕獲された個体でも、場合によっては、県と市町村が連携して学習放獣を試行的に実施することになっています。

今回の訪問で聞きたかったことの一つに、いつからどうやって学習放獣を開始したのか、効果はどれくらいあるのかがあります。

たずねてみたところ、県は学習放獣に関しても何も把握しておらず、文面はすばらしいが、実際には実施しているところがないように感じました。

 

鳥獣のことで環境省に電話すると、鳥獣関係の許認可は都道府県に全て降ろしたので関知しませんという反応が返ってきます。

一方、都道府県にたずねると、県は把握していないので出先機関や市町村に聞いてくださいと言われるところも多く、都道府県がどこまで日本の鳥獣保護に責任を持っているのかというと、はなはだ不安になります。

 

人権の方は、戦後、虐げられてきた人たちが声を挙げだしたのでずいぶんと進歩したと思います。しかし、物言えぬ野生動物の生存権に関しては、声を挙げる人間がこの国にはまずいないので、生息地は破壊され、何の罪もない動物が無駄に大量捕殺されており、無責任極まりないことになっているような気がします。

 

鳥獣保護係の担当者には、ていねいに対応していただきました。ありがとうございました。林政課の担当者は不在でした。ちゃんとアポを取っておくべきだったと反省しました。新潟のナラ枯れは終息したようでした。

 

 

翌6月21日、新潟県のクマ生息地を研究者と調査しました。

 

阿賀野川の豊かな水

米どころだけあって、道中は広大な田んぼ風景が続く

 

今回の新潟県の山の調査には、熊森協会の第一顧問である宮澤正義先生の娘さん(新潟県在住)も同行してくださいました。

山に入る前に、ぜひ見ていただきたいと言われたのが、娘さん推薦の阿賀野町の人工湿原「たきがしら湿原」です。

生物の多様性が保たれた100点満点のたきがしら湿原

 

湿原には様々な花が咲き誇っていました。昆虫の種類も豊かで、研究者によると、生物相も自然湿原そのもののすばらしさだということでした。湿原の奥には当然ですが、クマもいるようです。人工湿原というものの、ここは山から湧き出た滋養豊かな湧き水を湿原に導入していますから、自然湿原のようなものではないかと思いました。木道や東屋、トイレなども良く整備されており、地元の人たちによる訪問者へのおもてなしの心が随所に見られました。観光地としては最高だと思いました。

 

お昼に、熊森新潟県支部の結成を考えてくださっている新潟県の大企業の社長さんと会食しました。

 

お蕎麦が本当においしかった

 

この後、いよいよ、みんなで新潟県のクマ生息地の調査です。

 

 奥山調査後、室谷悠子会長を中心に記念撮影

 

会津に通じる山塊には、崖が点在していました。ここの地質は、火成岩の上に硬度の低い砂岩が堆積したもので、急斜面には植生を欠いた崖が多くみられます。植物相は、もちろん豪雪地帯のものです。ここは標高帯としては日本海側のブナが出現する場所ですが、なぜかブナが見当たりません。伐採された過去があるのだろうと思われます。

林分は、自然スギやアカマツの他に、亜高木層のオニグルミ、ケンポナシ、アズキナシ、ミズキ、カエデ、シデなどで構成されていました。ミズナラ、コナラが稀なのは、ナラ枯れで枯れてしまった跡なのかもしれません。スギの人工林は生育が悪く、放置されており、もはや林業的価値のないものでした。

立派な林道が造られていましたが、通る車もほとんどなく、ここでは、クマたちの生息が保たれているように感じました。

 

林内に入ると、谷川が流れていて、カジカガエルのオタマジャクシがたくさんいました。

きれいな谷川を見る室谷会長と宮澤先生の娘さん

 

豪雪と狩猟でシカが姿を消してしまった新潟県ではありましたが、最近は、シカの生息が各地で確認され始めてきました。しかし、爆発増加しているような状況ではありません。新潟県内の山林の下層植生はまだ豊かで、昔よりは減っている可能性がありますが、野生動物たちの食料もそれなりにあるようでした。

 

まだ赤い段階のヤマグワの実(黒くなるとおいしい)

 

熊森から

行きの飛行機からではわかりにくかったのですが、帰りは新幹線だったので、新潟県の山をまじまじと車窓から見続けることができました。

新潟県の人工林率は23%と低く、しかもスギを植えた場所は奥山ではなく里山がほとんどです。市街地のすぐ後ろが、もうクマの棲む豊かな森です。

 

兵庫県で見られるような山間部の高速道路開発や長距離トンネル工事など、生息環境が人為的開発によって大きく損なわれるような場所は、ほとんど見当たりませんでした。同行してくださった研究者によると、新潟県には、月山や糸魚川流域、妙高山、奥只見方面に、今も良好な森が数多く残されているということです。自然保護団体としては、是非そのような場所の森を数100ヘクタール規模でトラストして、永久保全しておきたいです。売ってくださる山主さんがおられたら、当協会にお声かけください。

 

西日本と違って、当分、新潟県のクマの生息に危機的な状況は起きないように感じましたが、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除はもちろん、地球温暖化や酸性雪による森林劣化などに、今後も、注目していきたいです。

 

クマなどの野生動物や森に親しむ新潟県民が増えてほしいので、熊森新潟県支部が結成できる日を願っています。

 

 

新潟県上越市が人道的判断、市街地に迷い込んだ子グマを山奥へ放獣!

5月9日、クマの目撃が相次いでいた上越市の中心部で、子グマが捕獲され、全国ニュースに取り上げられました。

 

読売新聞 5月9日ニュース

クマは子グマで、人身事故は起きていません。

熊森本部は、さっそく行政担当者に電話でききとりを行いました。

 

以下は、その報告です。

上越市の担当者:捕獲した猟友会の方が保護され、本日10日の朝に、市の西側の山奥に放獣しました。

猟友会のお話では、子グマと言っても自分で木に登って自活できる能力をもっていたということで、親から離れたばかりのクマだろうということです。

 

コグマは、山が深い妙高山系に放獣された  熊森作成

 

熊森から

人道的な対応をとってくださった上越市と猟友会の方に、感謝を申しあげます。

新潟県ではクマの捕獲許可権限が市町村にあります。

ぜひ、他の市町村でも、このような人道的なご対応をお願いします。

今回も、熊森会員の皆さんが、この子グマを案じ、市の担当者に「必ず放獣してあげてください」と電話してくださったようです。

いつも、ありがとうございます。

 

 

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