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カテゴリー「熊森の見解」の記事一覧

もう隠せない全国都道府県の林業公社大破綻  奥山人工林を自然林に戻し公社を廃止すべし

熊森の見解

戦後、林野庁が進めた「拡大造林政策」の失敗によって、森の動物、地元農家、林業家が、生死にかかわる大被害を受けています。

近い将来の都市の水源を壊されたという点では、都市市民もやがて被害に気づくことになるでしょう。

 

「拡大造林政策」は、元々、私たち人間が自然の恩恵を受けて初めて生きられる動物であることがわからない研究者たちが考え出した理論で、林野庁も初めは良かれと思って推進しました。

 

事ここまでに至ったのは、以前の私たちも含め、山林崩壊に気づかなかった国民、山林崩壊の実態を国民に伝えようとしなかったマスコミ、知っても声を上げなかった林野庁や全国民に責任があります。よって、膨大な税金で損失を穴埋めすることはやむをえないと思います。

 

自然を破壊して造林し続けてきた針葉樹一辺倒の人工林を、税金を投入して、奥山を元の自然林に戻してから森林公社を廃止してください。

 

自然林に戻すべき5か所       

奥山・尾根・山の上1/3・急斜面・沢筋 

 

もちろん、林業が成り立つ場所の人工林は、地元林家が林業で生活できるように配慮してから、公社を閉めるべきです。

 

 

以下は、5月6日の朝日新聞デジタル記事です。

林業公社を廃止し、森林資産を時価評価した11県

「資産2407億円」実際は99億円 廃止11林業公社

 借金で木を育て、売った収益で返済する。そんな青写真で事業を続けてきた都道府県の外郭団体「林業公社」の廃止が近年相次いでいる。これまで公社を抱えていた39都道府県に朝日新聞がアンケートしたところ14府県が公社を廃止し、うち11県が森林資産の実際の価値を回答。計2200億円の債務に対し、時価評価額は100億円弱だった。差額の多くは税金での穴埋めになる。

 

ほかに廃止した岩手、大分、京都の3府県は時価評価していないか時価を答えなかった。公社を維持している25都道県は帳簿上、森林資産の価値の合計額が債務を上回っているが、実際に木材の売却や、公社の廃止で時価評価した場合、損失が生じる可能性が高い。

 

日本は国土の約7割(約2500万ヘクタール)を森林が占め、うち約3割は国有林。その他の民有林を対象に、1960年代に多くの公社が設立された。借金で民有地に木を育てた後、伐採して土地のオーナーと収益を山分けし、借金を返すのが主な仕組みだが、木材価格が下がり、売れても利益が出にくい実態がある。

 

ただ各公社は業界団体の会計基準にのっとり、森林の価値は帳簿上、「育てるのにかけた費用と同じ価値がある」とみなしている。木を育てる経費や借金などの債務が膨らんでも、同時に森林資産の価値もその分、上乗せできる仕組みだ。実態は損失が増えても表面化しないため、対応の先送りにつながりやすい。

 

朝日新聞が森林の実際の価値を都道府県にアンケートしたところ、公社を廃止し、時価を回答したのは福井や広島、青森など11県。うち10県は2010年度以降に廃止していた。これらの公社は、債務を上回る2407億円の森林資産があるとしていたが、実際の評価額は99億円余で、4%程度の価値しかなかった。

 

公社を存続中と回答したのは兵庫や島根など25都道県で、16年度の債務総額は8437億円に達している。現行の会計ルールでは、計30万ヘクタール超の森林の価値は帳簿上、「9千億円超」あることになっている。(赤井陽介)

 

■時価で評価し、損失の確定を

宮脇淳・北海道大学教授(行政学)の話 林業を取り巻く環境の変化で、木を売って収益を上げるのが難しくなった中、独自の簿価の仕組みが対応の遅れにつながり、負担が将来世代に先送りされる結果となった。早めに時価で評価し直し、損失を確定して原因を総括するべきだ。その上で、「環境や防災のため」という公益性を明確にし、新しい森林管理の制度を考える必要がある。

肉食オンパレードのファミリーレストラン 日本人の肉食化、これでいいのか

最近、久し振りにファミリーレストランに入って、メニューを見て目を疑いました。

数多いメニューのうち、魚料理はたった一つ、後は全て肉食なのです。

そういえば、昔と違って、スーパーも肉売り場の面積がものすごく大きくなっています。

日本人は、今や、肉食民族になってしまったんだと思い知らされました。

 

多くの日本人は、こんな食生活スタイルが、自然にできあがったとノーテンキに思っているのではないでしょうか。

しかし、実は、巧妙な戦略に、日本人がホイホイと乗せられてしまった結果であると船瀬俊介さんは言います。

 

現代版植民地化とは、その国の国民の食料を左右する「食民地化」であり、これによって、その国を自分の思い通りに動かすことができるようになるのだそうです。

 

<以下、ブログ船瀬塾より概要抜粋>

 

日本人はもともと肉を食べていなかった。

仏教の殺生戒の教えで自然や動物を大切にする思想観から肉食は卑しいと考えられ憚られていた。

日本人は、米と発酵食品、野草を中心とした和食で農作業などを元氣にこなしていた。

 

(熊森:かつての日本の成人男性は、米俵1俵や籠を担ぐのは当たり前だったが、肉食化した現在の日本人で担げる成人男性はほとんどいない。肉食すると筋骨隆々となるはまやかし)

 

江戸時代の弘化四(1847)年の、「神代の余波」という文献には「猪、鹿の類を食らう人、稀なり。しもざまの卑しき人も、密かにて食らいて人には言わず、肩身に恥ありき」と書いてある。

要するに、「猪とか鹿を食らう人は卑しい者だ」とはっきり書いてある。猪の肉は「牡丹」、鹿の肉は「紅葉」と隠語を用いていたし、肉を食べることは「薬食い」と呼ばれていた。

こそこそコソコソと一部の変態が食べる、今でいうゲテモノ食いみたいな感じだった。

当時、肉を食べさせるお店の名前は「ももんじ屋」と呼ばれた。「ももんじ」とは、毛の生えた化け物という意味である。 化け物を喰らうという卑しい感覚だったのだ。

 

日本人が表向きに肉を食べるようになったのは、明治になってから。しかも、食文化の自然な流れで習慣づいたのではない。そこには政治的な背景があったのだ。

ところが、「牛肉を食べると牛になる」とか、「肉を喰らうと西洋人のような顔になる」と庶民は囁きあって、肉を食べる習慣は思惑通りに広まらなかった。

 

戦後、現地の文化、価値、行動様式を本国と同じように変えさせることによってマーケットを拡大し、占領し、富を収奪することができるという植民地政策にのっとって、GHQの指導の下、アメリカは改ざんされた栄養学などを使い、いっきに日本人に肉食を広めていった。

 

 

<熊森から>

何を食するかは大変デリケートな問題なので、自然保護団体としては言及することを差し控えたいのですが、ここまで日本人が肉食化することには問題を感じます。広大な牧場づくりは森林破壊であり、肉は殺生の結果です。肉食するからには、牛たちがどのように飼われ殺されていくのか、目をそらしてはならないと思います。

 

(以下、地球・人間環境フォーラムより)

 

遠くで土煙があがっていたので「何だろう?」と車を止めると、それは広大な牧場!

土煙のように見えていたのは、何千頭もいる牛の移動で生じたものでした。

これまでのアマゾン森林破壊の最大の原因は、肉牛のための牧場開拓です。

2000年から2005年までの森林消失原因の6割は、牛の牧畜によるものといわれています。

森を切り拓いて土地を焼き、牛を放牧するのが1年目。

2 年目くらいから土地が少しずつやせてきて生産性が減り、牛の数も増えていくので、新たに森を拓いて牧場を増やす・・・これの繰り返しで、アマゾンの森が減っていったのです。

 

 

参考資料:平成12年~28年までの我が国の牛肉の供給量変化(農水省統計)

クリックしていただくと、画面が大きくなります。

一時期、狂牛病の発生でアメリカからの牛肉輸入は止まりましたが、現在は、BSEの全頭検査体制もなくなり、月齢制限もなくなって、輸入が戻っています。

1月27日  水源の森を守るための川上・川下交流フォーラム 主催:エコネットあんじょう

「矢作川水源の森トラストプロジェクトフォーラム2018」が、愛知県安城市のアンフォーレ1階で開催され、熊森の森山会長もパネリストとして呼んでいただきました。

まず、2つの発表を聞かせていただきました。

 

①根羽村(長野県)ー安城市の場合

<川上>根羽村:90㎢(うち92%が山林、人工林率75%)、人口      921人  産業はずっと林業※

※明治期に村有林を全世帯450軒に5.5ヘクタールずつ分配したため、全世帯が山林所有者。

<川下>安城市:86㎢(うち田畑47%、宅地27%)、            人口180000人、産業は農業や自動車工業

 

安城市による水源の森の守り方

1.平成3年・・・根羽村の分収育林48ヘクタール(=人工林)が伐採されそうになった時、地元では再造林費用のめどが立たなかったため、安城市は費用分担してこの分収育林事業に30年間契約で参入し、伐採を止めた。木材価格の低迷で、今後、分収が見込めないため、材として売れそうな木以外は強度間伐を施して、保水力を高めるために針広混交林に変えていくべきとの声が出ている。

2.平成23年・・・NPO 法人エコネットあんじょうが上の分収育林地の対岸にある自然林36ヘクタールを3600万円で買いとって安城市の水源の森として手つかずで保全していこうと呼びかけている。

 

②道志村(山梨県)ー横浜市の場合

<川上>道志村: 80㎢、人口   1685人

<川下>横浜市:438㎢、人口 3730000人         京浜工業地帯

横浜市による水源の森の守り方

1.1916年(大正5年)・・・横浜市の水源の森として、道志村の36%にあたる山林2780ヘクタール(自然林63%・人工林27%)を購入。現在保安林。
横浜市は、生産林(=林業)環境林(=水源涵養林・生物多様性保全林)をはっきりと区別して、それぞれの用途に合わせて管理の仕方を変えている。現在道志村の6割にあたる4600ヘクタールの人工林が放置されて荒れているため、横浜市は市民ボランティアを募って間伐などを進めている。

 

この後のパネルディスカッションでの森山会長の発言

発表いただいた2例とも、川上と川下がトップだけではなく住民に至るまで交流して助け合っており、すばらしい取り組みだと思いました。

 

●森≠林

今後、森造りについて論じ合うとき、森林という日本語を使わないようにする必要があると私は強く感じています。森と林は、別物として定義しなおさないと、このようなパネルディスカッションでも話が混乱して訳が分からなくなってしまいます。

自然林を森と言い、林業のための人工林を林(生やす)というと決めませんか。

しかるに、林野庁が、人工林を森林と呼ぶものだから、国民は訳が分からなくなるのです。

このたび国会で課税されることが決まった「森林環境税」は、現時点までの内容では、「林業振興税」と名前を変えるべきです。

林野庁にも問い合わせてみたんですが、「市町村が行う間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に使う」とされています。もうお分かりですね。全て林業やそれに伴う林道建設に使われるのです。

しかし、みなさん、戦後1000万ヘクタールも作ってしまった人工林、私たちの多額の税金を投入してまで今後も今の規模のまま管理する必要はありますか?

今や、我が国の林業は、補助金で成り立っているだけというのは皆さんもご存知です。

なぜ産業として成り立たないか?材価が安いからです。なぜ材価が安いのか。需要がないからです。

なぜ国産材の需要がないのか?大量の安い外材が入ってきたからだと勘違いされている方が多くおられます。

違います。国民のスギ・ヒノキ材に対する需要がどんどん減ってきているのです。

木造建築を建てる人は激減です。空き家が今国中にいっぱい。今後、人口は確実に減っていく。

日本国が今しなければならないのは、根羽村のように林業に向いており林業の専門技術を持つところは、当然林業の町として残すべきですが、それ以外の人工林は、水源確保のために、生物多様性保全のために、災害に強い山にするために、私たちの税金で自然林に戻すことなのです。

林野庁自身も、戦後、1000万ヘクタールも人工林を造りすぎた。660万ヘクタールに減らしていきたいとはっきり言っています。

 

●人工林を自然林に戻すには、皆伐が必要

熊森は、当然、人間のことも林業のことも考えますが、自然保護団体ですから、それだけではダメで、全生物のこと、全産業のこと、次世代のことまで考えています。熊森は設立以来21年間、奥山の人工林を森に戻すために、実に様々な実験を繰り返してきました。以前この場に呼んでいただいたときは、人工林に7割の強度間伐をかけて、間に広葉樹の苗木を植えて、針広混交林づくりに取り組んでいますと発表させていただきました。

しかし、今日は、前言を取り消します。10年間様子を見た結果、最初のうちはよかったのですが、50年生のスギの間に植えた広葉樹の3年苗は、やがて、スギの成長に負けてしまい、針広混交林にはなりませんでした。スギの3年苗を植えて放置していたら、針広混交林になったという所はあちこちにあります。針葉樹の苗木と実生の広葉樹のスタートラインがほぼ同じだったからでしょう。しかし、50年生のスギの間に植えた広葉樹の3年苗では、無理です。結局、地元の皆さんは、残されたスギを全部伐って除去されました。水源を確保したいからです。人工林を自然林にもどすには、間伐ではダメで皆伐です。部分的であっても、人工林は皆伐しなければ、その中に広葉樹の苗木は育たないという報告をさせていただきます。

 

●日本も水が不足している

日本は雨や雪に恵まれているから、水源の森の保全など必要がないと思っている方も多くいます。昨年度のわが国の食料自給率は38%でした。水ジャーナリストの橋本淳司先生が、せめて食料自給率を50%に上げられないかと計算されたそうです。その結果、不可能なことがわかりました。今、日本に降っている雨や雪、日本の森から湧き出す水、これだけでは、50%の食料自給は無理なのです。私たちは、外国に降った雨、外国の森から湧き出た水によって生産された食料で生きながらえているのです。

不要な人工林を、あってはいけない場所にある人工林を、森に戻す。今、このことにこそ、多額の税が使われるべきだと考えます。税の名前は、「森林環境税」でもなく「林業振興税」でもなく、「森再生税」です。

 

最後に感想ですが、エコネットあんじょうさんのフォーラムは、自分と考えが違う発言であってもみなさんがきちんと聞いてくださいます。出演者、参加者のレベルがとても高いといつも感じます。今後も、森再生情報を交換していきたいです。今回も、くまもりを呼んでいただき、ありがとうございました。(完)

8/3記者会見 奈良市D地区シカ捕殺計画は無用の殺生  農家のためシカのため防鹿柵強化で対応を

8月1日、熊森本部は奈良県荒井正吾知事に、

奈良市D地区のシカ捕殺計画を中止し、予算は防除強化に

という要望書を提出しました。

知事への奈良シカ要望書

 

そして、8月3日、森山会長、本部スタッフ、奈良市会員らは奈良県庁記者クラブを訪れ、1時間の記者会見を行いました。

熊森の考えを説明する森山会長(奈良県庁)

 

記者会見には多くの記者さんたちがご出席くださり、みなさん熱心に聞いてくださいました。

 

奈良では、テレビニュースやいくつもの新聞記事にしていただけました。

 

1時間話を聞いてくださった記者さんたちが、20年間自然保護を研究し実践してきた熊森の主張に一理あると思われたから、報道してくださったのだと思います。思い付きだけの浅はかな意見であれば、バカにして誰も記事にしないでしょう。

 

しかし、報道内容は結論だけの簡潔なものであったため、よくぞ言ってくれたという声と共に、シカ被害に苦しむ農家のことも考えず、無責任な発言をするな、シカ柵代金は熊森が全部出せなどという非難の電話、メール、FAXも計数件本部事務所に入りました。

 

結論だけ聞いてすぐに反発するのではなく、根拠も知ってから意見を言う習慣が、お互い必要だなとつくづく思いました。自分の全く知らない事実に基づいて相手が発言しているのかもしれないのですから。

 

<熊森発言の根拠概略>

●無用の殺生は良くない

D地区のシカ120頭を殺しても(箱罠に捕獲後、高圧電流を流してシカを殺すそうです。猟友会に予算付け済)、農作物被害は減りません。

なぜなら、隣接する京都府など、周りからすぐに他のシカが移動してくるので、やがて元の木阿弥になります。

そうなれば、来年は、もっと多く殺そうということになるでしょう。

こうしてシカ捕殺の泥沼にはまっていくのです。

C地区の鹿も殺すことにしようと、エスカレートしていくでしょう。

そのうち、B地区のシカも、A地区のシカもと、殺しがどんどんエスカレートしていくかもしれません。

そうなれば、世界中からやってきて奈良にお金を落としてくれている観光客が激減するかもしれません。

そんなことになったら、その時には反対すると言っても、戦争と一緒で、いったんエスカレートし始めると止めることが難しくなります。

せっかくこれまで1頭も殺さずに来たのですから、何とか当面、奈良だけでもこの伝統を守ってほしいです。

大量捕殺を終えて、やれやれと思って手を緩めたら、シカはまたすぐに元の数に戻ってしまいます。

「シカ殺せ」と言われている人たちは、無用の殺生になってもいいから殺したいのでしょうか。

そんな人はいないはずです。

 

 

・もういい加減に、人間にはワイルドライフ・マネジメントなど不可能なことに気づこう

今、西洋思考の一つである「人間による野生動物の※頭数調整」が、国策として全国で展開されています。

(※1999年当時の環境庁が、日本中の自然保護団体の反対を押し切って、西洋の自然観を良しとする研究者たちの提案を受け入れ、導入したもの。それまであった有害駆除と違って、農作物被害を出していない個体でも、頭数調整名目で殺すことができるようになった。人間一体何様なんだ)

 

この手法では、絶滅させない限りは、激減するまでシカを殺しても、捕殺の手をゆるめるとやがて元の数に戻ってしまいます。

本当に、残酷なだけでばかげています。人間には野生動物の頭数調整など、自然界のコントロールは不可能なのです。

 

日本の山をスギだけの単一造林にしたつもりが、自然に反していたため、大雨のたびに山がどんどん崩れて自然林に戻ろうとしています。これと同じです。植物も動物も、人間が手を入れるのをやめたら、自然に戻ってしまうのです。

 

熊森は、奈良のシカだけを殺すなと言っているのではなく、野生動物の頭数調整など人間には不可能だからやめようと言っているのです。野生動物は環境収容力に生息数を合わせます。しかし、それ以上は増えません。

 

奈良公園の野生ジカ(A地区に相当)は、奈良の鹿愛護会によって、毎年、生息数が数えられています。

奈良公園のシカ生息数

これは貴重なデータです。若草山の上など、シカに入られては困るところには、シカ柵が設けられており、シカは入れません。

 

 

・全ての大型野生動物と共存してきた祖先に学ぶ

私たちは歴史のある国に生まれたのですから、野生種を大量に絶滅させてきた西洋の人間中心文明ではなく、見事、野生動物たちと共存してきた祖先から、棲み分けや被害防除対策を学ぶべきです。

 

先祖は土や石を積み上げ、徹底したシシ垣で対応してきました。

参考文献「日本のシシ垣」(イノシシ・シカの被害から田畑を守ってきた文化遺産)

著者:高橋春成(奈良大学教授)

 

奈良では、田畑の周りをロの字型人家でびっしり囲う等、とにかくシカを殺さないでシカと共存するための知恵をたくさんひねり出してきました。民族の素晴らしい知恵です。誇りです。

私たち子孫も、平成のシシ垣造りで対応すべきです。

 

祖先の、明治になるまで1200年間出続けていた殺生禁止令や、輪廻の思想などもすばらしいと思います。

今度、生まれ変わってきた時、自分がシカだったらと考えてみたら、むやみな殺生などできなくなるはずです。

 

・金網の防鹿柵でシカ被害は防げる

もちろんこの結論に至るまでは、私たちは兵庫県を中心に長年現地調査を行い、シカ被害に苦しむ農家とも随分話し込んできました。そして、私たちの提案は、しかるべき農家のみなさんから賛同を得ています。

 

以下のグラフ「防鹿柵の効果」は、兵庫県のシカ管理計画(兵庫県庁作成)から転載したものです。

 

 

この農会アンケートによると金網柵を張ることで、8割前後の農家がシカ害を防ぐ効果があると答えています。ある集落で金網柵の負担額を聞いたところ、集落負担は1割で、補助金が9割出たということです。(兵庫県では、何キロも金網を張って、集落を田畑ごと囲んでいるところがいくつかある。)

奈良の農家の方も、ノリ網はだめだが、きちんとした金網柵なら、シカから田畑を完全に守れると証言されていました。

 

2007年に「鳥獣被害防止特措法」が国会を通って、被害防止に多額の国家予算がつくようになりました。

 

奈良D地区のある農家の方は、奈良県も他府県並みに、防鹿柵に補助金が付くようにしてほしいと言われていました。そうであるなら、奈良県も兵庫県並みに防鹿柵に補助金が付くようにしてあげればどうでしょうか。

 

・他生物の生命を尊重する文明しか生き残れない

私たちが、環境省が進める頭数調整という国策に反対するのは、このような人間中心主義、経済第一、科学盲信の上に成り立つ近代文明が、人間を生かしてきた地球環境を破壊し、人類を破滅に導くものであることを感じているからです。

 

平成になってから、奈良県庁には奈良市D地区の農家から、シカに対する要望書が3回出ました。

シカ被害に悩みながらも、いずれにの要望書にも、シカ捕獲やシカ捕殺の言葉はないそうです。

これが、奈良の心だと思います。日本文化だと思います。

 

今回、シカ捕殺を決定したのは行政が集めた専門家による審議会の答申によるものということで、国策推進派の学者たちが出した結論ではないかと思われます。

 

日本は肩書社会なので、大学教授たちの出した結論が正論にされてしまいますが、原発問題を振り返ってみてもわかるように、専門家とよばれる先生方が出した結論が必ずしも正しいとは限りません。子どもや一般庶民の生物としての本能的な感覚の方が正しいことも多々あるのです。多くの日本国民は、殺生を嫌い、殺さない解決法があればそちらを選ぼうとします。これまで会ってきた多くの動物学者たちは、この反対でした。

 

最近は地球温暖化で、シカのえさとなる草が青々としている時期が、以前より1年に付き2か月長くなっています。これによって、以前よりシカが多く生きられるようになったという研究者もいます。

戦後の拡大造林のための皆伐による一時的な奥山大草原の出現や、山奥まで張り巡らされた林道、農地化宅地化による草原・湿原の9割消滅、地球温暖化、郡部の過疎化高齢化など、シカを害獣に仕立てたのは、全て人間ではないでしょうか。

 

この大地は人間だけのものではありません。殺さなくてもいい命までは殺さない。

これは、人間の倫理観として当然の考えだと思いますが、いかがでしょうか。

そして、何よりも、他生物の生命を尊重する文明だけが持続可能な文明なのです。

 

熊森が、せっかくこれまで殺さずに来た天然記念物奈良のシカを殺さないようにしようという理由は他にもまだまだありますが、長くなったので、今回はとりあえず、ここで終えます。

 

●奈良のシカを市民が守ってきたことを知り感動 6月4日ブログ

 

●今夏、旧奈良市管理地区で天然記念物のシカの初捕殺が開始されることに疑問 6月4日ブログ

 

●殺しても鹿害は減らない 予算は防除柵強化に!奈良市D地区訪問 7月13日ブログ

報道言葉は「豪雨災害」ではなく、「谷筋、急斜面の人工林崩壊による土砂災害、流木災害」に

福岡県、大分県を襲った今回の災害で、7月17日現在、死者34人、不明7人となっています。イヌやネコ、野生動物まで入れれば、さらに多くの命が失われました。痛ましい限りです。

ところで、「北九州豪雨災害」という報道言葉が氾濫していますが、大変違和感を覚えます。これではまるで、災害の原因が、豪雨だけにあったように錯覚されてしまいます。

 

豪雨は自然現象です。このような悲しい災害は、今後も防ぎようがないものなのでしょうか。

7月16日日経新聞記事に、専門家の言葉として、「山間部から広がる河川の下流域では、どこでも起こる災害だ」というのがありました。

私たちは山を25年間見てきた者として、この専門家先生の言葉に異を唱えたいと思います。

豪雨だけでは、これだけの災害は起きていなかったはずです。

 

谷筋、急斜面の人工林崩壊による土砂災害、流木災害が、ここまで被害を大きくしたのです。

では、山国日本では、仕方のない災害だったのでしょうか。

いいえ、谷筋、急斜面がスギの人工林、しかも、※挿し木スギの人工林だったという人災面が占める割合は限りなく大きなものです。(※挿し木スギの成長ははやいが、木を支えるための直根が欠けている上、根が地中深くに入らないという特徴がある)

今後、谷筋、急斜面の人工林を早急に、実生の自然林に転換していく必要があります。

豪雨気候、山国地形、これはどうしようもありませんが、谷筋、急斜面を自然林に戻すことで、今回のような災害は今よりかなり減るはずです。

 

<2009年8月、兵庫県西北部甚大災害の場合>

2009年に、兵庫県佐用町周辺でも同様の災害が起き、死者20名、不明2名、家屋の全半壊並びに一部損壊1100戸以上、床上・床下浸水2000棟という甚大な被害が生じました。

私たちが現地調査に行った時、崩れている山の斜面はほとんどが人工林であることが見ただけですぐにわかりました。

すごい数の流木は、ほとんどどれもが、幹がまっすぐで根がついていましたから、人工林のスギが植わったまま山腹が崩壊し、流されてきたものだとわかりました。無数の流木が橋げたに絡まって川をせき止め、洪水を起こしていました。

産経新聞より 兵庫県朝来町

 

しかし、当時も兵庫県のマスコミはどこも、「豪雨災害」としか報道しませんでした。谷筋や急斜面にスギをびっしりと植えたのは、戦後の林野庁の国策であり、国中の行政が推進した結果です。この国策の失敗に、触れてはならぬというタブーがあるのでしょうか。

 

当時、熊森は、兵庫県の大きな新聞社の責任者に電話をして、「報道に人工林の「じ」の字も出てこないのはどういうことですか。もう2度とこのような災害が起きないように、真の原因を県民に知らせるべきです」と訴えました。責任者は、「甚大災害の原因は、人工林です。しかし、書けません」と言われました。がっかりです。

 

私たちは、行政にも訴えました。「谷筋、急斜面に植えたスギの人工林が甚大災害の原因です」。

行政は、私たち自然保護団体が訴えると、いつもきまって、「データは?書かれた論文を見せてください?」と、言われます。

「私たちは研究者ではないので、そのようなものはありません」と答えると、「お帰り下さい」となります。

これっておかしくないですか。

現地を見れば、小学生でも、崩れているのはほとんどが人工林だ。谷筋、急斜面にスギを植えてはならないと気づくはずです。なぜこんな単純な、見てすぐわかる真実に、データや論文が必要なのでしょうか。

各地で同様の災害が多発し続けています。当協会顧問の熊本県の代々の林業家である平野虎丸先生も、声を大にして、「戦後植えられた人工林のスギがそれなりに太くなってきており、あの小さな根ではますます自分の体重を支えきれなくなってきている」と、声を大にして災害原因を訴え続けられています。しかし、いまだに、甚大災害の原因が世に伝えられていません。わたしたちは残念でなりません。

 

以下は、2009年に兵庫県で起きた局地的豪雨による被害状況を兵庫県がまとめたものから転載しました。

 

<有林地における山腹崩壊面積>

庵川  ・・・ 人工林0.14% 天然林0.02 %

神子畑川・・・ 人工林0.04% 天然林0.009%

田路川 ・・・ 人工林0.02% 天然林0.000%

 

<流木の内訳>  立木81%、 間伐材10%、 風倒木9%

 

山腹崩壊には土質や斜面の勾配など、様々な要素が関係しており、自然界の出来事はこの上もなく複雑です。

自然林なら山腹崩壊が起きないという訳ではありませんが、兵庫県のデータからも、人工林という要因は、この上もなく高い原因です。

 

熊森は近々、九州北部災害地に調査に入る予定です。

九州のマスコミのみなさん、人工林が大きな災害原因を占めることを、どうか勇気を出して報道していただきたいです。

 

谷筋、急斜面、尾根筋、山の上3分の1、奥山の人工林は、野生動物のためにも、地元の災害を減らすためにも、都市の水源確保のためにも、自然林に戻すべきです。

当時、林野庁が良かれて思って計画し、多くの国民が協力して造った人工林です。熊森は誰も責める気はありません。

しかし、弊害が明らかになった今、国民の命と財産を守るためにも、国を挙げて早急に人工林の自然林化に取り組んでいきませんか。

 

行政のみなさん、国民のみなさん、林業も大切ですが、命あってのものです。

経済のために、全ての山を人間が利用しようと考えたことが、欲張り過ぎた、人間のおごり、失敗の元だったのです。

日経7月3日の私見卓見欄に、林野庁の方が、「山にお金が戻る仕組みを確立し伐採から再造林への循環を作ろう」と訴えておられましたが、これでは、今後ますます激甚災害が多発する一方となります。何とか考え直していただきたいものです。

 

(参考)

①農林水産省九州森林管理局の調査結果発表 (表層崩壊同時多発)

今回の豪雨で、朝倉、東峰、日田で、少なくとも300か所の土砂崩れが発生。ほとんどは、深い岩盤までは崩れず、表土層と樹木が滑り落ちる「表層崩壊」とみられる。

②熊本大学北園芳人名誉教授(地盤工学)

日田市小野地区の土砂崩れに関しては、深層崩壊に近い。

「秋田県で、鈴を携帯していてもクマに襲われるケースが相次ぐ」という報道の真偽を考察する

「相次ぐ」という言葉から、みなさんはどれくらいの数字を思い浮かべられますか。

 

上記報道の根拠を確かめてみました。

2016年度秋田県でのクマとの人身事故19件発生…うち、鈴を携帯していたのは2例のみ。

2017年度秋田県でのクマとの人身事故1件発生…うち、鈴を携帯していたのは1例のみ。

20件中3例あれば、相次ぐと報道しても日本語としては許されるのでしょうか。

 

しかも、この3件は、いずれもネマガリダケのタケノコ(鉛筆サイズ)を採集中の事故です。

ネマガリダケのタケノコは小さいため、しゃがんで採集している時、鈴が鳴っていなかったことは考えられませんか。

秋田県当局に問い合わせると、「考えられますね」という返答でした。

 

ではでは、「クマは、鈴を携帯していても人を襲ってくる」と思わせる報道は、完全に国民をミスリードしたことになります。

鈴の音が鳴っていなかったのなら、鈴を携帯していたことになりません。

「相次ぐ」報道が、実はゼロ事例だったのかもしれないのです。

 

近年世間を見ていると、クマに口がないのをいいことに、マスコミ報道が国民に間違ったクマ狂暴像を一方的にセンセーショナルに伝え、何も知らない国民が、クマなどこの国からいないほうがいいのだと判断ミスするようになってきていると感じます。

 

昨年の米田一彦氏による「殺人グマ誕生!」などのマスコミ報道が、面白おかしく過激にクマを報道した結果、秋田県民がクマに過剰反応するようになり、昨年度、生息推定数の約50%にあたる476頭が有害獣として捕殺されました。マスコミの無責任報道の罪は、クマという種を絶滅させるかもしれないまでに本当に大きいのです。

 

豊かな水源の森を造ってくれるクマを凶悪犯に仕立て上げて大量捕殺の流れを作り、この国からクマを滅ぼして日本をダメにしてやろうとしている者たちがいるのかもしれないと、わたしたちは疑ってしまいます。

 

<入山時、クマとの人身事故を避ける方法>

秋田県を代表する以下のお二人のコメントに、熊森は賛同します。(以下、NHK TVニュースより)

 

①秋田県立大学星崎和彦准教授

同様の被害はどこでも起きる可能性がある。どうしても山に入る必要がある場合は、複数で常に声を出しながら行動すべきだ。
本来、クマは人を恐れる動物なので、人の声が聞こえれば逃げていく。鈴よりも人間の声の方が効果的だと考えられるので、山では常に複数で会話しながら行動してほしい。

 

②秋田県佐竹敬久知事

国有林や私有林の所有者と協力して一定期間、入山を規制することは可能だが、タケノコ採りで収入を得ている方もいるし、県の名産品にもなっている。クマがいそうな山については立ち入りを自粛してほしい。

 

(熊森から)

◎朝日新聞デジタルニュース5月22日23時「クマと倉庫で鉢合わせ 64才女性 足かまれる」の表現を高く評価します。

理由 クマ、人を襲うと書いていないから。クマに人を襲う習性はありません。印象操作をせず、事実だけを報道してくださっているのがすばらしいです。他のマスコミのみなさん続いてください。

 

◎5月27日東京朝日テレビに感謝

理由 午後6時半のクマ関連ニュースのコメンテーターとして、くまもり森山会長を電話出演させてくださいました。

マタギについての熊森見解

「マタギについてどう思いますか」と、ある新聞記者から突然、電話で取材を受けました。

 

A:秋田の経営破たんした八幡平クマ牧場に残されたクマたちの命を救おうと、2012年から八幡平に通うようになって、奥地に住んでクマを獲らなければ生きていけなかったマタギの人たちを初めて理解できるようになりました。

4メートルの雪が積もる2月の厳寒の秋田の奥地を訪れた時、どこを探しても食べ物が本当に何もないことを実感しました。

真冬でも畑に行けば豊かに作物が収穫できる所で育ってきた者にとっては、想像を絶する風景でした。

ここで生きていかなければならなかった人々が、手を合わせて祈り、許可を得て必要最少限のクマを獲っていたことは、やむ終えなかったと思うようになりました。

 

Q:現代のマタギについてどう思いますか?

 

A:現代に、マタギなんているんですか?今は、交通網も発達し、真冬であっても、秋田の山奥のお店にも食料があふれていました。今はもう、クマを獲らなければ生きていけない人などいないんじゃないですか。

 

Q:大学の先生で、マタギ文化を継承しなければならないとして、手を合わせて祈ってクマを獲っている人がいます。

 

A:それって、マタギの真似をしているだけで、マタギじゃないんじゃないですか。

当協会を長年指導してくださった長野県の宮沢正義先生のマタギの定義は、「貧しくて白米を1年中食べられない人たち」です。

先生は終戦の日から、マタギを訪ねて東北を歩かれました。みなさん、お正月しか白米を口にできない貧しさで、着る物もなく、カモシカの毛皮を体にまとっておられたそうです。

もっと住みやすい平地に出てきたらいいのですが、かれらには事情があって奥地に住んでいたということでした。

宮沢先生が、当時のマタギの古老たちから聞き取った<マタギとは何か>の研究は貴重です。

 

2006年、軽井沢で行われた「国際クマ会議」で、長野に残る最後のマタギという父子が講演されました。

お父さんは、「昔は本当に貧しくて、クマを獲らなければ生きていけなかった。しかし、今は、旅館業なども営み、クマなど獲らなくても生活できるようになった」と、余裕の笑顔で話されました。

講演後、会場から「ならば、なぜ今もクマを獲っておられるのか」という質問が出ました。

お父さんは、しばし答えに詰まって考えておられましたが、やがて、「みなさん、ゴルフに行かれるでしょう。どうしてですか。楽しいからでしょう。私たち父子にとって、クマを獲ることはみなさんのゴルフと同じ。それが楽しいことだからです」と、答えられました。

わたしの価値観から言えば、この人たちはもはやマタギではありません。

お釈迦様も言われたように、本来、人間にとって、殺生は許されることではありません。

まして、必要のない殺生をすることは、犯罪です。

日本人は長い間、この価値観を保ってうまくやってきました。

今、環境省が、スポーツやレジャーとしてハンティングを楽しむようにと国民を教育していますが、とんでもないことで、西洋かぶれもいいところ、日本人ここまで狂うかと感じています。

今の銃は、望遠鏡付きで昔と比べて各段に発達しており、人間が完全に100%優位です。

様々なハイテク技術で身を包んだ人間が、丸腰の野生動物を撃って遊ぶ。弱い者いじめの典型です。

こんなことを大人がしていて、子どもたちに「いじめをやめよ」など言えません。人間社会まで変になってしまいます。

 

Q:今の日本のハンターすべてを否定するのですか?

 

A:そうでもないです。これまで多くのハンターに会ってきましたが、実にいろいろで、すばらしい方にも何人かお会いしました。日本熊森協会を設立した時、副会長の一人になってくださった方も、ハンターでしたが、すばらしい方でした。この人たちの共通点は、山や生き物の生態に実に詳しくて、目的があってハンティングしておられました。

 

Q:マタギ文化を継承することについてはどうなんですか?

 

A:かつて雪深い東北に、マタギ文化があった。過去形で認めます。今の時代に形だけそのまねごとをしても、かってのマタギ文化を継承したことにはならないでしょう。

人間が狩猟をしてやらないと、野生動物が増え過ぎて大変なことになるという人たちがいます。傲慢にもほどがあります。証拠はあるのでしょうか。自然界は絶妙のバランスをとって動いており、人間による頭数管理など必要ありません。かつての北方領土やアフリカの奥地など、未開の場所はどこも生物数のバランスがとれており最高に豊かな自然が残されていました。

今、シカが増え過ぎているじゃないかと反論をされる人があるでしょうが、研究者の中には、以前のシカ数に戻っただけという人もいるし、今のようにシカ害が大変なことになったのは、戦後の森林政策や国土利用の失敗の結果であり、原因は全て人間側にあるという人もいます。

 

自然界のことは永久に人間にはわかりません。

ほっておいたらどんどん数が増えて爆発的に増加していく生物は、地球上で唯一自然生態系からはみ出して生きるようになった現代人という動物だけです。

そんななかで今、日本の人口爆発が止まり、自ら適正人口に減じ始めたということは、人類が地球上でこの後も生き残るための快挙であると思います。

 

(取材を受けて)

人間2人おれば、必ずどこかに意見の食い違いがあります。お互いに神様ではないのですから、思い違いもあるでしょうし、判断の違いもあります。

熊森会員の中でも、少しずつみんな違っていることでしょう。

生きていく上で、多様な意見を遠慮なく出し、多様な意見に耳を傾ける生き方が、よりよい社会を作っていく上で大切です。

今回、マタギ文化の継承を、熊森はどう考えるのかと聞いてくださった記者さんに、発言の機会を与えてくださったことについて感謝します。

私はこう思うと言っただけで、国の方針と違うから許せないと逮捕されてしまう戦前のような社会はまっぴらごめんです。

ひとりひとりの国民が自分の良心と正義感に基づいて責任をもって自由に発言し、自分と違う意見の人にもレッテルを貼ってしまわず真摯に耳を傾ける、いつまでもそんな国であり続けますように。

(感謝) 日本経済新聞社が、JR東海リニア工事による被害問題の記事を掲載 2月8日 

以下、日経新聞 2016年2月8日(月)記事より抜粋

『リニア着工、環境問題も』=山梨、日照被害など110件=

JR東海はこの度初めて、山梨県実験線での延伸区間24.4㎞工事において発生した計110件のトラブルの詳細を明らかにした。高架の日陰になる日照被害が76件、工事で農業用水などが確保できなくなる水枯れが34件だった。

補償などの経費はJR東海が全額負担したが、日照被害は4件、水枯れは1件が未解決。対策費の総額は明らかにしていないが、全体の工事費に比べるとわずかな額という。

南アルプストンネルでも工事に伴い、河川の流量の減少が予想されている。

トンネルを掘った残土処理や工事用車両による交通環境の悪化といった課題もある。

例えば、東京都内では600万立方メートルの残土発生が見込まれる。

都によると、埋め立てが減っていることもあり処理策は未定といい、課題も山積している。

(甲府支局長)

 

くまもりより

経済、経済と、いまだに経済第一で、リニア推進記事ばかりが氾濫しているメディアの中で、リニアによる環境被害記事を書いてくださった日経記者さんの勇気と正義感に感謝します。

これで、リニア問題に思考停止させられてきた多くの国民も、少しは問題視し始めてくれるかもしれません。

JR東海は、補償費は全額負担したと言われていますが、それは、今生きているもの言える人間に対してだけです

 

JR東海は、もの言えぬ生き物たち・母なる大地・次世代の人々にも補償すべきです。(というか、母なる大地の大破壊をやめよ)

 

昔、作家の森村桂さんが、「ゼネコンはお金が欲しいから、かけがえのない環境を破壊してまで工事をするのでしょう。お金は私たちの税金から取ってもらってもいいから、何もしないでください」と魂を振り絞って訴えられたことがあります。

 

くまもりも、同じ気持ちです。南アルプス山脈にトンネルを貫通させ、無数の水脈をぶち切るなど、正気の沙汰ではありません。そのようなことをした後に、何が起きるか考えてみたことはあるのでしょうか。誰が認めても、日本の国土を誰よりも愛する私たちは、絶対に認めません。

 

くまもりに賛同してくださる方は、2月21日(日)、大阪市弁天町ORC生涯学習センターでのリニア市民ネット代表川村先生の講演会に、万難を排して来ていただきたいです。14:00~16:30

「狩りガール」を持ち上げるテレビ番組に苦言

いつの世でも、どこの国でも、国民の洗脳や国民の意識改革の宣伝に、効果的に利用されるのは、若くてきれいな女性です。

危険なものや間違ったことでも、「若い女性もやっています!」とプロパガンダされると、多くの国民は、警戒心を失い、同化されやすくなります。

若い女性は、間違ったことに利用されないように、本当に、何が正しくて何が善なのか、よく勉強して、慎重に行動して欲しいと思います。

4月3日、毎日テレビ夕方6時過ぎからの放送「VOICE」で、「狩りガール」が、取り上げられました。

「VOICE」への意見は

→voice@mbs.jpまたは、FAX06-6359-3622

この番組は、近畿2府4県と徳島県の一部に報道されています。

「狩りガール」報道は、今や国策プロパガンダ放送局に成り下がってしまったかのように見えるNHKテレビが、昨年10月に、「狩りガール」を持ち上げるニュースを流していましたから、別に、目新しいものではありません。しかし、本当にこんな方向に日本文化を進めていってもいいのか、全国民がしっかり考えねばならないと、今回のテレビ報道で改めて強く思いました。

近年、環境省は、日本人は狩猟民族であるとして、「すごいアウトドア」というキャッチコピーで、若者たちにハンターになることを呼びかけています。そのポスターの真ん中には、猟銃を持った若い女性の絵が描かれています。縄文時代ならともかく、日本人は誰が見ても農耕民族です。たとえシカが増えすぎて困ったとしても、レジャーや遊びとして国民にシカを殺させるのは、間違っています。環境省の政策に大きな問題があることは、報道関係者ならば、ちょっと調べていただければ、すぐにわかることだと思うのですが。

今回のテレビ報道では、銃という武器を持った圧倒的強者である人間(=若い女性)が、無抵抗の野生動物たちを、笑いながら撃ち殺していました。「野生動物たちが山から出てきて、農作物などに被害を与えたから、退治してやる」という、英雄気取りなのでしょうが、自分が被害を受けたわけでもないのに、ファッション感覚やゲーム感覚で、厳しい自然界の中で、人間の援助も受けず、一生懸命に生きている野生動物たちの命を奪うなら、人として許されるものではありません。冷静になり、慎重に考えなおしてほしいと思います。(この狩りガールと個人的に話し合ったわけではありませんから、彼女を深いところまで知って書いているわけではありません。ただ、報道の仕方に問題を感じたのです)

「狩猟者を増やしたい。そのために、若い女性を使おう」

環境省の政策の後ろには、戦後の森林政策の失敗を覆い隠そうと躍起になっている人達の黒い企てと、研究という名で無数の元気な動物たちを解剖し続け、命の尊厳がわからなくなってしまい、一般人の感覚からはるかにかけ離れてしまった研究者の存在があると、私たちは感じます。

「狩りガール」のみなさんは、かつて、野生動物たちが棲んでいた山が、今どうなっているか、奥まで入って一度検証してみてほしいと思います。

国策により、戦後、青森から福島まで、東北6県分の面積に等しい広大な原生林が伐採されました。その跡地などに、1000万ヘクタールの針葉樹一辺倒の人工林が奥山を中心に造られました。

しかし、林業の低迷で、今や多くの人工林は放置され、内部は砂漠化しています。広大な奥山人工林内には、動物たちの餌は何もありません。動物たちは本来の生息地では、生きられなくなっているのです。動物たちは、被害者です。

人間は、各地で、動物たちの欠席裁判を行い、死刑判決を下していますが、これは弱い者いじめです。こんなことをしていては、この国で、人と野生鳥獣との共存などできないでしょう。

●●

自然界のことは、人間の頭ではわからないことが多過ぎるのですが、戦後の拡大造林や東京オリンピック時に行ったヤマイヌ全頭殺害、地球温暖化など、様々な人間活動の結果、シカは生息数のバランスを崩して増えているのではないかと思われます。

すべて、人間の失敗です。人間が問題の原因を作ったのです。目の前の現象だけを見て、被害者である野生動物たちを加害者扱いし、山奥にまで入り込んで命を奪うという、相手の存在を全面否定する行為を、若い女性が、笑いながら軽々しくやってほしくはありません。まず、彼らがどこにいたらいいのか、生息地を保証してやるところから始めるべきでしょう。

狩猟行為は、山奥にはりめぐらされた林道、車や銃、犬があれば、女でもできるかもしれませんが、狩猟の後始末は、女性には一般的にむずかしいと思います。殺したシカやイノシシは、山に埋めるか、焼却場へ持って行くかしなければなりません。山中に放置すれば、クマを初めとする多くの野生鳥獣の餌となり、ますます山の生態系が狂ってしまいます。しかし、若い女性に、重いシカやイノシシを運ぶことなど、普通は無理です。

「狩りガール」を推奨している人たちに、なぜ若い女性を狩猟に巻き込むのかたずねてみました。

答えは、「若い男の狩猟者を増やしたいのだが、呼びかけてもなかなか増えない。罠猟免許を取る人は増えたが、銃猟免許者は減る一方だ。若い女性に目を付けたのは、若い女性が銃を持つと、彼氏が影響を受けて銃を持つようになる。そこを狙っている」と、いうことでした。

私たち人間にとって命はたった一つしかない最高に貴重なものですが、野生動物たちにとっても同じです。なぜか、優秀な官僚のみなさんには、現在起きている野生動物問題を、野生動物を殺さないで解決しようという努力がまったく見られません。初めから、殺害ありきです。これは、恐るべき倫理観の欠如です。

動物用防除柵を作ったり、奥山の針葉樹一辺倒の人工林を広葉樹林に戻して生息地を復元したり、シカに関しては、人間が彼らから奪った草原や湿原を返してやったり、シカが増え過ぎないようにシカ用避妊薬を開発したり、シカの天敵であるヤマイヌやキツネなどを放して、人間が壊した生態系のバランスを自然の力で取り戻したりして、人間は、あくまで生命尊重思想の上に立って、非補殺対応をめざすべきです。

若くてきれいな女性には、生き物の命を大切にする、人にも生き物にも優しい人間であってほしいと願います。

メディアのみなさんは、生き物の為にも、人間の為にも、慎重な報道を心掛けてほしいです。身の回りに、軽い気持ちで銃を持つ人が増えれば、銃を持たないわたしたちは、不安でたまらなくなります。

神道や仏教の影響も大きかったのでしょうが、日本人は殺生を嫌い、物言えぬ弱者である野生鳥獣を大切にしてきました。このような文化を大切にしていかないと、自然破壊にいっそう歯止めがかけられなくなり、やがて日本文明は水源を失って滅びてしまうでしょう。

メディアの皆さんは、番組制作にあたって、必ず、反対者、疑問者の声も同時に拾っていただきたいと思います。でないと、国民は、何が正しくて何が善なのか、考える力を失ってしまいます。

クマ駆除隊が捕殺したクマ遺体の利用禁止を求めて くまもり本部・支部が金沢市・石川県の行政回り

(1)金沢市役所 森林再生課

 

<金沢市猟友会クマ駆除隊が、捕殺したクマの遺体を長年利用していたことが判明>

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中日新聞に、「県猟友会金沢支部 熊の胆無許可販売、県が調査 理事会で中止決定」の記事が出た5月20日当日、金沢市役所の熊駆除担当課である森林再生課では、金沢猟友会支部長らを呼んで、

「これまでクマ駆除隊が捕殺したクマの遺体は利用していないと言われていたのに、どういうことなのですか」

と尋ねられたそうです。支部長らは、実は長年、熊の胆を乾燥させて猟友会内で班長達に売っていましたと話されたそうです。

注:金沢猟友会員は180名で、そのうち熊駆除隊員は113名。

 

金沢市行政は、これまで、外部に対して、

「金沢市は、クマ駆除隊が捕殺したクマの遺体が利用されないように、行政が責任を持って焼却場にまで立ち会って確認しています」と公言されてきたのですから、

●①「実は、利用されていたことが判明しました」

と、県民や国民に謝罪されると同時に、②どうしてこのようなことになったのか、行政内部で調査をされて、真相を発表されるべきだと思いました。

 

 

(2)石川県庁薬事衛生課

<薬事衛生法に違反するようなことはしていないと猟友会金沢支部長が言ったから違反なしと、結論していた>

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クマ駆除隊は、数名から10名までで組まれるそうですが、駆除に参加しなかった多くの猟友会員たちにまで熊の胆が売られていた事実は、すでに自家消費の範囲を超えており、薬事法に違反していると、私たちは思います。しかも、猟友会内の班長に売られた熊の胆が、その後、外部に一部流通しているという情報を、私たちは得ています。事実なら、明らかな薬事法違反です。

第3者への聞き取りや、猟友会内の会計帳簿提出など、証拠となるものを集めて、調査と呼べるような本格的な調査をしてほしいと、わたしたちは要望しました。

これを受けて、現在、薬事衛生課は本格的な調査を展開中だそうで、全容が出たらご報告いただけるということです。

 

ちなみに、金沢市の薬局では、熊の胆が1グラム12000円で売られていました。熊の胆は、成分が解明され、すでに合成薬品が作られています。クマを殺して、熊の胆を得ようとしないで、使いたい人は、安い合成薬品を買っていただきたいです。

 

(3)自然環境課

<石川県は、クマ駆除隊が捕殺したクマの遺体は、法に反しないように処理するように指導→今回違反?>

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石川県では、平成14年以来、クマが殺されるのは、狩猟と個体数調整の2種のみになりました。個体数調整というのは、クマが増えすぎないように、年間上限数を決めて、クマの生息地に入って行って、猟友会員たちが銃や罠でクマを殺すことです。個体数調整名目でクマが殺されるのは、主に3月や4月です。これは、この時期が、熊の胆が一番大きいため高く売れることと、雪解け直後の落葉広葉樹の木々がまだ芽吹いていない時期は、一番クマを獲りやすい時期だからです。いわゆる「春熊狩りの復活」になっていると、わたしたちは感じました。

 

自然界の生き物たちは、本当に人間が殺し続けないと数が増えすぎてしまうのでしょうか。そのような論文やデータがあるのか尋ねると、そういうものはないが、これまでいなかった能登とかでクマが目撃されるようになってきたなど、熊は増えすぎていると考えられるので、毎年一定数は殺していかないとダメだという、担当者のお考えでした。ちなみに平成25年度の捕殺上限数は、96頭だそうです。(石川県のクマ生息推定数は、600頭~800頭とされているそうです)

 

また、個体数調整したクマの遺体は、法に反しないように処理することと指導しているということでした。(利用を禁止する法律は、日本にはありませんから、利用してよいということになります)それでは、1年中狩猟してよいのと同じことで乱獲されるのではないかと、疑問を投げかけたところ、捕獲上限数を決めているから大丈夫ということでした。(野生動物が何頭いるかなど、人間には絶対にわからない上、猟友会金沢支部の事例からもわかるように、人間が正確に報告しないこともあることを、考慮すべきだと思いました)他県は、有害捕殺したクマの遺体は、埋葬または焼却処分し、利用しないように指導しているところが多いので、石川県のクマ行政は、かなり他県と違うと感じました。

 

私たちは、山の中で静かに暮らしているクマまで殺しに行かなくてもよい。そのような考えでは共存できないと考えます。自然界のことは、人間にはわからないことでいっぱいです。どちらの対応が正しいのか、これからも意見交換を続けていきたいと思いました。

 

☆各行政のみなさん、お忙しい中お時間を取っていただき、どうもありがとうございました。

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