カテゴリー「神奈川県」の記事一覧
神奈川県またしてもくくり罠に錯誤捕獲された絶滅危惧種クマを殺処分 県立七沢森林公園厚木市
神奈川県厚木市には、県立七沢森林公園という65ヘクタールもある広大ですばらしい森林公園があります。
・
公園パンフレットより転載 wクリックで拡大
・
この公園に仕掛けられたシカ・イノシシ捕獲用罠に6月20日、1頭のツキノワグマが誤ってかかっていたそうです。
またしても、放獣場所がなかったからという理由で、神奈川県は残り少ない絶滅危惧種ツキノワグマを捕殺してしまいました。
ツキノワグマの捕殺について
令和5年6月20日(火曜日)午前7時30分頃、県立七沢森林公園内に設置されたシカ・イノシシ捕獲用のくくりわなに、1頭のツキノワグマが掛かっているのを、見回りにきたわな設置者が発見しました。
ツキノワグマが公園内に立ち入ったことによる公園利用者や施設への被害はありません。
当公園では、引き続き、公園利用者への注意喚起を行い、安全管理に努めてまいります。
なお、他の動物捕獲用のわなに掛かったツキノワグマについては、人身被害を生じさせる恐れが高い場合を除き、人が怖いことを学習させて奥山に放獣することとしていますが、放獣できる場所を確保することができなかったため、やむをえず、捕殺しました。
(1)性別、大きさ等
性別 メス、全長 127cm、体重 44.5kg
(2)捕殺の状況
ア 日時 令和5年6月20日(火曜日) 午後2時47分
イ 場所 神奈川県立七沢森林公園(厚木市七沢901-1)
(3)捕殺後の措置
学術研究のため、神奈川県立生命の星・地球博物館に搬送します。
捕殺したツキノワグマ(神奈川県の記者発表ページより)
問合せ先
神奈川県県土整備局厚木土木事務所
所長 竹内 電話 046-223-1711
道路都市課長 西田 電話 046-223-1715
以上 上記HPより
熊森から
神奈川県がクマを殺処分したことを即公開されていることは評価しますが、神奈川県発表では県のツキノワグマは残り少ない絶滅危惧種であること、国の鳥獣保護管理法では錯誤捕獲された動物はその場で放獣することになっているのに、神奈川県が法違反を行ったことが書かれていません。
また、公園利用者への安全管理には心配りされていますが、何も悪いことをしていないのにくくり罠にかかって恐怖と痛みを味わった上、殺処分されてしまったクマへの思いやりや謝罪が全くありません。これは神奈川県だけの問題ではなく、今の日本の行政全般の傾向です。日本の行政担当者の多くは、政権と結びついたワイルドライフマネジメント系の研究者たちに洗脳され、人間さえよかったらいいという人間中心主義に染まってしまっています。この考えでいくと、人間は自然を破壊し続けて、やがて自らも滅ぶことになります。しかし、日本人は元々、他生物の命と人間の命は同じく貴いという持続可能ですばらしい生命観を持っていたので、今も、多くの一般国民はこのようなニュースを知れば、私たち同様、胸を痛める方が圧倒的に多いと思われます。
神奈川県では5月にも相模原市で錯誤捕獲されたクマを殺処分しており、熊森はその時も、今後このようなことがないように、市町だけに任せず、至急県が放獣場所を確保するように県行政の皆さんにお願いしたばかりです。2022年度、神奈川県は錯誤捕獲グマを4頭も殺処分しています。2023年度はこれで2頭目。 これでは、神奈川県ではツキノワグマは絶滅危惧種なので保護していますという言葉が嘘になってしまいます。
どうしてこんなことになったのか、熊森本部は今回も順次担当部署に電話して聞き取っていきました。
①神奈川県庁 環境農政局 緑政部 自然環境保全課
県庁は報告は受けていたようですが、実質的な判断は現地の出先機関に任せているようです。
②七沢森林公園管理事務所
ほとんど何もご存じではないようでした。
③神奈川県厚木土木事務所
県立公園なので、厚木土木事務所がこの公園を実質管理をしていることがわかりました。シカを見かけたりイノシシが地面を掘った跡があったりしたので、厚木土木事務所がくくり罠を掛けたいと、神奈川県県央地域県政総合センター環境部環境調整課に申請して、捕殺許可を得たそうです。
今年は4月から30個のくくり罠を掛けており、3か月間でシカ1頭がかかった。イノシシは0頭、そして、今回クマがかかったということでした。クマの錯誤捕獲があったばかりなので、もうくくり罠はいったん公園から撤去されたのかと思っていたら、まだ掛けたままで、7月1に片付けようと思っているということでした。(3か月間の設置許可だったのかもしれません)
熊森からは、またクマがかかるかもしれないので、放獣場所が見つからない限りすぐに撤去してくださいと訴えました。
④県央地域県政総合センター
直接の担当者は不在でした。職員の方に、この公園をはじめ、クマの放獣場所はないといっている市町に対しては、クマがかかるかもしれないような場所にくくり罠の設置許可を出さないようにお願いしました。神奈川県には、緑の回廊もある丹沢という広大な国有林があるのですから、神奈川県森林管理署と連携して、市町に放獣場所がない場合は、国有林に放せるようにしてほしいとお願いしておきました。
四国のツキノワグマのように、残り10数頭になってしまってから慌てても、種の保全は非常に難しいです。神奈川県の場合、いろんな部署の方々にクマ保全に頑張ってもらおうと思っていますが、やはりこうなったらもう急がねばならないので、黒岩祐治知事に早急にクマの放獣場所を確保していただくよう動いてもらうしかないと感じました。
もちろん、熊森は、シカやイノシシにならくくり罠を掛けていいと思っているわけではありません。足をばねで締め付けて切断してしまうこんな残酷な罠は、人間として使用してはならないと考えています。多くの国民の皆さんに実態を伝え、野生動物たちに共感できる感性をお持ちの方々に声を上げてもらいたいです。野生動物にやさしい国をつくるのは、研究者でもなく、行政でもなく、名もなき心優しき一般国民の声なのです。
4月1日くまもり神奈川講演会に参加者84名!熊森の輪がさらに大きく! 於:横浜市
2023年4月1日(土)、横浜市のかながわ県民センターで神奈川県支部主催のくまもり講演会が開催されました。
支部長作成のポスター
神奈川県・東京都支部のボランティア計13名が会場の準備・片付け等をお手伝いしてくださいました。
当日の参加者はなんとスタッフ寄せて84名!
みなさん、お忙しい中、足をお運びくださってありがとうございました。
神奈川県支部の高野支部長は、以前から個人でツキノワグマの調査をしていました。誰か一緒に調査してくれる人はいないかなと探していて、熊森を見つけたそうです。今も仕事を兼ねて毎日山に入っています。今回初めて熊森講演会を企画しました。
高野支部長
まず、神奈川県出身の本部研究員羽田が、クマの特性や熊森が行っている被害対策、都市の人々に知っておいてもらいたいことなどを30分間話しました。
本部研究員羽田
次に、室谷悠子会長が熊森の成り立ちや歴史、再生可能エネルギーによる森林破壊に対する熊森の取り組みについて90分間講演しました。
室谷悠子会長
会場風景
参加者の皆さんには質問事項を用紙に記入してもらい、休憩後、室谷会長と羽田が約20分間、お答えさせていただきました。
<主な質問内容>
・野生動物が山で生きてけるようにするにはどうしたらいいのか?
・クマの個体数が急増しているというニュースをよく見るが実際どうなのか?
・人工林はどうやって伐り出すのか?
・国は荒れた人工林に対してどのような対策をとっているのか?
・人工林を天然林に戻す場合、山は購入しなくてはならないのか?
などなど
皆さん最後まで熱心に聞いてくださり、「今日は勉強になりました」という喜びの感想を何人もいただきました。
帰る前に物販コーナーに立ち寄ってくださる方も大勢いました。
熊森協会の活動を多くの方に知っていただくことができて、とても良かったと思います。
高野支部長のリーダーシップでさらに神奈川県での熊森の輪が大きく広がり、大型野生動物と彼らの棲む豊かな森を守ろうという流れが関東でも大きくなることを願います。(完)
絶滅危惧種、神奈川県丹沢山地のクマ、なぜ今年すでに殺処分2頭目なのか
以下、報道記事(カナロコ、6月30日)より
大山では6月19日から、大山ケーブル駅周辺や女坂などでクマの目撃情報が相次いでいた。県と市が合同で花火で驚かすなどして追い払ったが、そのたびにクマは戻ってきた。神奈川県と伊勢原市は大山の大山寺近くの山中に箱わなを仕掛け、かかった若い雄のツキノワグマ1頭(体長123センチ、体重47.5キロ)を、6月29日、住民や登山客を襲う恐れがあるとして殺処分した。
丹沢では5月14日にも秦野市名古木の弘法山周辺のハイキングコース近くで、くくり罠に誤捕獲されていた雄のツキノワグマ1頭を殺処分している。丹沢のツキノワグマは2013年の調査で40頭前後と推計されており、県から絶滅危惧種に指定されている。
熊森本部は神奈川県行政担当者に電話で聞き取りを行いました。
熊森:絶滅危惧種をなぜ殺処分したんですか。
担当者:追い払いをしても、逃げなかったクマだからです。
熊森:どんな追い払いを、何回くらい行ったんですか。クマがいたのはどんな場所ですか。
担当者:県と市と猟友会の総勢5名で、花火を使って2度追い払いました。場所は丹沢山の麓~中腹の山の中の道路脇です。クマは昼間から出て来ており、観光地ですから危険な状況でした。このクマは人間への警戒心が非常に少なく、職員が5mくらいの距離まで近づいても、クマは無反応でした。
熊森:クマは、その時、何をしていたんですか。
担当者:草のようなものを食べていました。
熊森:丹沢山のクマの生息地は、スギやヒノキの人工林でいっぱいじゃないですか。やっと見つけた物を食べているクマは、周りが見えないくらい夢中になっているんです。
担当者:それは知らなかったです。
熊森:こういう時は、専門家の方を呼んでください。クマの習性を知っておられるので、もっと効果的な対応を取られ、駆除対象にはしなかったと思います。人間が近づいても逃げなかったクマは、捕獲して殺処分して良いなど、むちゃくちゃです。
担当者:専門業者は、錯誤捕獲のクマを放獣するときだけ来てもらっています。
熊森:丹沢山地のクマは、なぜ、絶滅危惧種になったのか。山に十分な餌がないから、増えられないんです。今回のクマは、そうした中で、わずかに残っている餌場を探し当てて、必死で食べていたんです!観光客を立ち入り禁止にして、このクマが草を食べ終わるまで、なぜ見守ってやれなかったんですか。クマは草を食べながらも、耳を立てて行政の皆さんがおられる方向を警戒していたはずです。
神奈川県の前任者は、クマを殺さないと宣言して、色々な対策をとられていました。担当者が変わると、急に対応が変わるのですか?
担当者:変わっていませんよ。今年、養蜂箱がクマに荒らされる事態がありましたが、捕獲せずに、電気柵を設置して対応しましたよ。電気柵は効果がありました。
熊森:どうか、生き物を簡単に捕殺しない神奈川県であってください。
熊森から
神奈川県は、放獣業者にクマの放獣を委託したり、被害防除対策にも精力的に取り組むなど、これまでクマ保護先進県でした。
しかし、すでに今年に入ってすでに2頭も殺処分しています。これ以上殺処分しないように、生息地を復元するように、声を届ける必要があります。
神奈川県環境農政局自然環境保全課 野生生物グループ
電話:045-210-4319
FAX:045-210-8848
1月29日 東京クマ学講座
くまもり東京都支部とくまもり神奈川県支部の共催による東京クマ学講座が、日本教育会館一ツ橋ホール707号室で開催されました。
講師は「東京のクマ」で有名な山﨑晃司氏(東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授)です。
「東京、そして日本のツキノワグマの今」という演題で話してくださいました。
会場風景
1991年から奥多摩のツキノワグマの調査に取り組んでこられた山崎先生のお話は、東京都などのくまもり会員が以前からぜひお聞きしたいと熱望していたものでした。参加者一同、全神経を集中させて聞き入っておられたことと思います。
先生はまず初めに、クマ保全に取り組むなら、現地に行き、地元の方とお話をし、地元の方たちの気持ちをくんであげて、その上で自分の意見を言うことが大切だと話されました。これは熊森本部もずっと言い続けてきたことで、その通りだと思います。まだ地元集落と結びついていない支部は、ぜひがんばってください。
大昔、日本列島の本州には、ヒグマ、ツキノワグマ、ヒョウ、トラ、オオカミたちが暮らしていたそうで、想像しただけですごいです。アジアの広大な地域に生息してきたツキノワグマですが、現在、残念ながら、分布域がどんどん縮小されているそうで、危機感を持ちました。そんな中で、日本には、まだツキノワグマがいます。単位面積当たりで見たら、日本はクマの生息密度がもっとも高い国のようで、祖先の共存文化をとても誇らしく思いました。残念ながら、九州のツキノワグマは滅びてしまいました。四国は大変危うい状況なので、山崎先生も、今年、何とかしようと決意されているようでした。熊森も、四国のクマの絶滅を止めるために、できる事をみんなで一緒にしたいです。
2016年に起きた秋田県鹿角市のツキノワグマと人との事故については、一体何があったのか、神のみぞ知るですが、山崎先生の推察を興味深く聞かせていただきました。それにしても、この事故があったことで、秋田のクマは推定生息数の約半分500頭近くが殺処分されてしまいました。
熊森が思うに、クマによる人身事故が起きると、いつも、研究者を名乗り、どこまで本当かわからないセンセーショナルなことを流してメディアの寵児となる人がいます。今回もそのような人の言葉を真に受けて、マスコミが、「人喰い熊誕生」、「殺人熊誕生」などと、大騒ぎしました。その結果、全国で罪もないクマが大量に殺されたのです。熊森は、マスコミのあり方に猛省を促したいです。
東京都奥多摩のクマについては、まず、終戦直後の1947年にアメリカ軍が上空から撮った禿山だらけの山々の写真を見せていただきました。会場からどよめきの声が上がりました。ここまで過度に人間が山を利用していたということです。今、この場所は木々で覆われています。山崎先生の調査によると、最近、山に入った時出会うクマの数や見る痕跡が増えて来ているということでした。これまでクマがいなかったところにも、クマの分布域の拡大がみられるということでした。首都という巨大な大都市のバックにある奥多摩には、今も、クマ、サル、シカ、イノシシ、カモシカ、大型野生動物たちがすべて残っているということで、本当にすごいことだと思います。1362万人東京都民の水源を支える奥多摩の山々を、調査してみたくなりました。
山崎先生のわかりやすいやさしい語り口に、参加者一同、参加して良かった勉強になったと、みな喜んでおられました。
この後、森山まり子(日本熊森協会会長)が「日本熊森協会とツキノワグマ」という題で話しました。森山会長は、人工林・自然林とも荒廃して奥山にクマが棲めなくなっている兵庫県の現状から、作今のクマの生息域拡大現象が、実は生息域の移動によるドーナツ化現象なのではないかという推察や、今、全国で実施されている「数を 推測して殺すだけ」の野生動物を物扱いした管理(=ワイルドライフマネジメント)の残酷さや非人間性を、物言えぬ野生動物たちに代わって、物言える私たち人間が声を大にして世に告発していかねばならないなどと話されました。
会場には山崎先生を含めて、大学の先生が3名出席されておりました。後の2人の方には、大気汚染が及ぼす森林の枯死や、ベイズ推定法でクマの生息数を推定することが不可能な理由など訳などについてミニ発表をしていただきました。おかげさまで、この講座がさらに盛り上がったと感じました。
会場との質疑応答では、クマの生息数推定を計算する手法が現在確立しておらず、将来も確立するとは到底思えないため、研究者たちがそのようなことに労力を費やすことへの疑問など、参加者一同が考えさせられるような質問がいくつも出て、有意義でした。
今回の学習会で発表してくださったみなさん、会を企画してくださったみなさん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。今後の熊森活動の力にしていきましょう。
講演会「ツキノワグマと人との共存のために」最終案内
・東京クマ学講座「ツキノワグマと人との共存のために」が明日1月29日に開催されます。
まだ席がありますので、ぜひご参加ください。参加者募集中です!
チラシはこちら
・クマ学講座「ツキノワグマと人との共存のために」
日時:2017年1月29日(日)
開演13:25〜16:15(開場:13:00)
場所:日本教育会館一ツ橋ホール707号室
(東京都千代田区一ツ橋2‐6‐2)
主催:日本熊森協会 東京都支部・神奈川県支部
資料代:500円
定員:100名
講師:山﨑晃司氏(東京農業大学教授)
「東京、そして日本のツキノワグマのいま」
森山まり子(日本熊森協会会長)
「日本熊森協会とツキノワグマ」
講演会後、会員の懇親会を予定しています。
申し込みは下記まで
メール:kumamori.tokyo.kwsk@gmail.com(東京都支部)
電話:0798-22-4190 (本部)
Fax:0798-22-4196 (本部)
当日参加も歓迎します。
3月22日 祝 神奈川県支部設立総会
待望のくまもり神奈川県支部が設立しました。おめでとうございます。
この日、設立記念総会の会場となった横浜市社会福祉センターに、63名の方がお集まりくださいました。ここまでこぎつけるには、支部長を初め、関係者のみなさんの並々ならぬご尽力がありました。ほんとうにすごいです。
本気の神奈川県支部長は、この日、少年のように輝いておられました。
写真はあいさつする支部長です。
会場後ろには、支部長が現地で撮られた丹沢山地などのすばらしい写真が展示されていました。
写真展示
<丹沢山地のクマ…もう駄目かもしれない>
くくり罠には、一説には、獲ろうと思った動物の3倍もの他の動物が、誤捕獲されるそうです。誤捕獲だから放してやろうと思っても、そばにいくと、動物は殺されると勘違いして暴れるため、全身麻酔という大変な作業を行わない限り、罠から放せません。熊森は、以前から、このような大欠陥を持つくくり罠の使用禁止を訴え続けてきました。
丹沢山地のクマは、あと30頭と言われていますが、シカやイノシシを獲るためのくくり罠に誤捕獲され続け、近年だけでも、やむなく貴重な4頭が殺されました。
会場風景
以下、プログラム順にご報告します。
(1)熊本テレビ「現場初!山は警告する」上映
この2012年度熊本テレビ制作番組は、秀作です。この年、阿蘇で起きた大規模土石流の検証番組です。土石流が、戦後の拡大造林によるものかどうかが、争点になっていました。この番組には、熊森顧問の熊本県在住平野虎丸氏の「植えない森」も取り上げられていました。
組織を守ろうと必死になっている林野庁の官僚の見苦しい言い訳場面には、思わず、失笑してしまいました。官僚のみなさんは、正直に失敗を認めればいいのにと思いました。その方が、国民も納得して、好感を持ち、林野庁に協力しようと思うようになります。林野庁の絶対に自分たちの非を認めないこっけいな答弁を残念に思いました。
現在、大手メディアには、政府広報を流しているだけというジャーナリズム精神を失った情けない番組が多いのですが、地方テレビには、健全な批判精神を失っていない優れた番組がまだあることがわかり、意を強くしました。
(2)地元の猟友会員からの勇気ある告発
神奈川県が実施した「水源の森林(もり)造り事業」によって、丹沢山地の下草が大幅に刈り取られてしまい、クマやイノシシなどが姿を隠す場所がなくなり、棲めなくなった現状がよくわかりました。
神奈川県の担当者は、確かにやり過ぎましたと非を認めているということで、どちらも勇気ある人たちだと思いました。こういう人たちだと、熊森も連携できます。
人間は神様ではないので、失敗します。その時は素直に認めて謝り、やり直す。小学生の時に教わった、そんな人間の生き方を、お互い貫きたいものです。
(3)渓流釣りの現場から見た渓流魚の激減と奥山の荒廃報告
現在、国は、人里に動物たちが出て来るようになったのは、過疎化高齢化が原因であるとして、野生動物と地元の人達に問題の責任を押し付けています。
まさに、国策の失敗隠しですが、奥山を覗く人がほとんどいないので、国民は簡単にこのようなねつ造報道に洗脳されてしまいます。
しかし、「渓流釣り」をする人は、放置されて大荒廃している広大な奥山人工林を見ておられるので、だまされません。
熊森は、渓流魚の復活を願い、谷川の人工林を伐って、花の咲く広葉樹の木に植え替えていっています。渓流釣りの人達と、熊森は連携できますね。
(休憩 )
(4)森山会長による支部結成祝い講演
森山会長は、神奈川県支部結成を心から喜ぶと同時に、「今後の神奈川県支部の発展のために、支部長を支えてほしい。支部長を支えず、支部長の足を引っ張るようなことをすれば、組織はつぶれてしまう。日本の自然を守れるのは市民であり、市民がもっともっと勉強して、知識面でも人間面でも成長しなければならない」と、支部員たちにお願いしました。
また、「動物たちのために、次世代のために」とのスローガンの元、奥山間伐を続ける熊森間伐隊の動画を見せて、他者のために生きようとする者だけが、大変な困難を乗り越える力を得、幸せに輝く使命感ある人生を歩めると、自分の人生を振り返って話しました。
●この会には、東京都支部長とスタッフ、栃木県副支部長、三重県支部長も参加してくださいました。ごくろうさまでした。みんなで、神奈川県支部を応援していきましょう!
●会終了後、神奈川県支部長は、「今日集って下さった神奈川県会員や、今日出席できなかった神奈川県会員のみなさんを、今後、熊森神奈川の活動にどのように結び付けていけるか、会員をどうやって倍増していくか、これからが支部長としての力の見せどころです」と、抱負を語っておられました。
熊森の、東京事務所!神奈川事務所!待望
また、打ち上げ会場では、今後の熊森活動を発展させるために、今一番必要なものは、東京や神奈川に支部の事務所を持つことであるということで一致しました。さっそく、事務所用物件も持っている会員に、薄謝で貸してもらえるよう、会報を通じてお願いしてみることになりました。
12月1日 神奈川県支部結成準備会を開催
2011年の東北大震災・福島原発事故以来、日本国中に脱力感・無力感が広がっているように感じます。
こんなときであっても、町を行く動物たち、犬や猫たちは、普段と変わらずに元気いっぱいです。私たち人間も負けてはいられません。彼らと一緒になって、飛び跳ねまわりましょう。
このたび、神奈川県支部長が決まったのを機に、神奈川県支部結成への動きが進み始めました。この日は、支部結成準備会も兼ねて、横浜市内で神奈川県会員のつどいが持たれました。
参加者14名が、自己紹介をしていきました。丹沢に毎年10回は登っているという、山好きの方もおられました。どなたも、動物たちに愛情をもち、森や生き物の命を守りたい、この地球を少しでも他生物とともに幸せに生きていける星にしたいという願いを持っておられました。犬猫の保護に関わっておられる方が多かったのも、特に印象的でした。温かい雰囲気で、会は進んでいきました。
その後、「立ち上がろう、神奈川のくまもり達」という、支部長からの活動構想が説明され、奥山・原生林部会、講演会・催事部会、広報部門などの役割分担を、みんなで決めていきました。、4名の副会長が誕生しました。
支部長の、「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために、という心で力を合わせてやっていきましょう」「活動は、楽しいか、やりがいがあるか。それが大事です。やりがいがあるとは、大変なこともあるということ。でも、だからこそ、やりがいもあるんです」という言葉が、参加者を鼓舞しました。
初めて出会う仲間でしたが、想いを出し合っているうち、あっという間に予定の3時間が過ぎてしまいました。
別れ際に、ある方が、「犬や猫たちを大切にしようとすると、近所の方などから変な目で見られてきたけれど、今日は同じ思いの方々と出会えて、本当に、来てよかった」と言われました。そんな優しい心が、社会を、温もりのある血の通ったものにしていくのだと思います。
神奈川県支部は2014年3月に結成祝賀会をもちます(日にちは現在調整中)。いよいよ、くまもり神奈川の始動です。神奈川県会員のみなさん、今から予定に入れておいてくださいね。
準備会の後の、支部長の一言。「どの人とも、今回初めて会ったのにもかかわらず、初対面とは思えない、他人とは思えない不思議なつながりを感じた。われわれをつなぐもの、それは犬や猫、熊など、何かの動物かもしれないし、何か命そのものといったようなものかもしれない」。
8月6日 関東の猟友会員から熊森に叱咤激励の電話 山は空っぽだぞ
(関東の猟友会員より)
くくりわなの12センチ規制が、なし崩し的に規制緩和されていっているのに、熊森は何をしてるんだ。ある県では20センチまでOKにしようとしている。熊森はクマの絶滅を止めるんだろう。クマが誤捕獲されたら、放獣したらいいと言う人もいるが、実際は、誤捕獲されれば放獣なんて大変だから、猟友会は黙って殺してしまっているんだぞ。これではクマがどんどん減ってしまうよ。熊森、もっと動けって怒ってやろうと思って電話したんだ。12センチ規制があっても、シカ、イノシシはいくらでも獲れるよ。
(くくりわなの12センチ規制:シカやイノシシを獲るためのくくりわなの直径を、クマがかからないように12センチ以下にするよう、環境省が規制したもの。く くりわなは残酷で危険な上、誤捕獲が多いので、廃止するようにというわたしたち自然保護団体の主張に対して、当時の環境省が、くくりわなの廃止は 出来ないが、クマが誤捕獲されないよう、直径を12センチ以下にすると決めたもの)
今のように、鳥獣保護員がオールハンターでは、猟友会の監視など期待できないよ。熊森のように動物を守りたい人たちが、鳥獣保護員になって、違反がないか監視してほしいんだ。
自分はクマを滅ぼしたくない。シカやイノシシは獲るけど、クマは絶対に獲らないね。山でクマに会ったことが何回かあるよ。ほれぼれとして、じっと見つめてしまうね。クマも逃げたりしないよ。お互いに見つめ合っている。私の横を通り過ぎていくよ。そんな間柄だ。
今、山に動物などいないよ。山は空っぽさ。みんな里に下りてきているよ。どうしてこんなことになるのかわからないね。最近の現象だ。餌がないんだよ。
クマは1年中、高く売れるからね。獲り尽くされないか、本当に心配なんだ。自分のような思いの猟友会員は1割ぐらいいるよ。獲物を獲りたいだけの人もいるから本当に心配だ。(熊森の取り組みをいろいろと話すと)そうか、お宅らもがんばっているんだな。とにかくクマのいる所では12センチ規制を守ってもらわないとね。がんばってくれ。
2011年第2回神奈川県くまもり会員のつどいのお知らせ
- 2011-02-06 (日)
- お知らせ(参加者募集) | 企画・イベント | 神奈川県
来る2月11日(祝日)午前11時から、「麦っ子畑保育園」にて、神奈川県支部結成に向けての2011年第2回神奈川県会員のつどいをもちます。
自然食パン工房からお弁当(700円相当)を注文いたしますので、事前にお申込みください。(小麦アレルギー等でパンが召し上がれない方は、お弁当をご持参ください。)
お問い合わせ先:
日本熊森協会 本部事務局
TEL:0798-22-4190
FAX:0798-22-4196
Email:contact@kumamori.org
当日連絡先:
TEL:046-255-7087
麦っ子畑保育園 大島 貴美子
〒252-0015
神奈川県座間市南栗原1-4-2
TEL&FAX: 046-255-7087
http://www.mugikko.org/
アクセス地図
最寄り駅・相鉄線「さがみ野駅」
より徒歩20分。もしくは、タクシーにて約5分。
*駐車場はございます。事前にご連絡ください。
2011年第一回神奈川県会員のつどい
1月23日(日)に、神奈川県座間市にある「麦っ子畑保育園」にて、神奈川県支部結成に向けての会員のつどいがもたれました。神奈川県会員のみなさんをはじめ、本部から会長とスタッフ2名、関東支部長、昨年支部を立ちあげた山梨県支部の副支部長らも駆け付け、総勢30余名で円形になり、熱い思いを出し合いました。
神奈川県の会員の方が、丹沢山地の報告をしてくださいました。丹沢山地に残されたツキノワグマは孤立個体群になっており、残りわずか30頭と言われていますが、まだ狩猟禁止になっていません。参加者一同危機感でいっぱいになりました。関東地方でクマが狩猟禁止になっているのは、まだ、東京都だけです。次は、神奈川を狩猟禁止に持っていこうということになりました。
4月に統一地方選挙があるので、県議会議員などに働きかけて、丹沢の森や動物を守る流れを大きくしよう。今年、このような集いを何回かもって、神奈川県支部を立ち上げようとみんなで決意しました。
次回会合には支部長候補者や支部スタッフ候補者が出るということで、今後の神奈川県の動きが大変楽しみです。次回の会員のつどいの日程が決まり次第、HP上でもお知らせいたしますので、神奈川県の会員のみなさん、その時は、老いも若きもぜひご参加ください。