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カテゴリー「_現地訪問・調査」の記事一覧

2018年兵庫県クマ生息地の山の実り 本部豊凶調査 ブナ凶作、ミズナラ並下、コナラ不作

●今年の調査結果

 

今年も9月10日から1週間、兵庫県北部のクマ生息地をまわって、恒例の山の実りの豊凶調査を行ってきました。豊凶は、場所によって、また同じ種類の木でも木によって違うのですが、全体的には、ブナ凶作、ミズナラ並下、コナラ不作、ミズキ並下でした。

全国的に偶数年は実りがよくないと言われており、今年はその偶数年に当たります。

しかし、これまでの偶数年に比べると少し良いかなと感じました。

 

●ブナ

 

ブナ林は兵庫県にはそんなにありませんが、14か所調査しています。今年はまったく実がついていない場所が多かったのですが、少しだけ実りがある場所も複数見受けられました。

不思議な場所が一か所だけあって、今年、豊作でした。ここのブナは全体として他の場所といつも正反対の結果になるのです。

もしかしたらここのブナはDNAが違うのかもしれません。

このエリアだけ豊作

 

●ミズナラ

ミズナラは21か所で調査しました。今年は場所によって豊凶の差が大きかったです。、実のなりが悪いエリアはどれも悪く、実りが多いエリアはどの木も実りが多かったです。全体としては並下ですが、地域差があるので、実りがあるエリアにクマが移動してくれれば、餌はあると思います。

峰山高原の豊作のミズナラ

 

●コナラ

 

兵庫県の本来のクマ生息地は標高が高い所が多く、コナラはあまり生育していません。コナラは9か所で調査をしました。どこも、少し実りが悪かったです。

峰山高原の豊作のコナラが数本ありました

 

●ミズキ

 

ミズキは今が一番食べごろの液果植物です。同科同属の植物にクマノミズキがあります。両種は非常に似ていますが、分布している標高や花の時期、葉の形状などが少し違います。豊凶調査ではミズキとクマノミズキを分けずに調べています。ミズキも地域によってばらつきがありましたが、場所によっては豊作のエリアもありました。

上山高原のミズキは大豊作

 

●くまもり植樹地

 

小粒ですがミズナラはよく実っていました。かつて、植樹してくださったみなさんおおかげです。ささやかながらクマの餌場が出来ています。

毎年クマが登るクリの木。今年も、既にクマが来た痕跡がありました。

 

●ホオノミ

 

普段見るのは落ちている黒い実ばかりですが、これは赤い状態のホウノミです。

 

●クマのフン

 

クマのフンも見つけました。豊凶調査でクマのフンを見つけることはまれですが、見事なフンでした。中にはたくさんの木の実が詰まっていました。

 

●サルナシ

 

結構たくさん実っているサルナシがあったので撮影しました。サルナシや山ブドウはクマをはじめとする山の動物たちの貴重な食料ですが、人も焼酎付けにするなどして利用するので、道から取りやすい実は結構人間に取られてしまっています。

 

豊凶調査では、思わぬ発見があったりして結構楽しいです。。

クマ生息地の豊凶情報をお持ちの方は、本部まで報告していただけるとうれしいです。

 

クマは冬ごもりに備えて、秋にはたくさんのドングリを食べます。ドングリは豊作の年と凶作の年があるので、秋の山の実りが少ないと、クマは十分な食い込みができず、食べ物を求めて集落にやって来る傾向があります。

そこで毎年どんぐりの豊凶調査をして、その年のクマの餌が山にあるかどうかを調査して回っています。

全体的に山の実りが凶作の年は、クマの目撃件数がとても多くなります。そうなると、クマが有害捕殺されないように、また、地元を支援するために、熊森がクマ生息地の集落へ被害防除を手伝いに行く回数が増えるのでした。

 

しかし、兵庫県は昨年から、クマの捕殺体制を問答無用で強化したので、状況はかなり変わってきています。

こんなことでいいのか、10月13日の「兵庫県クマ狩猟3年目と大量捕殺を考える会」に、ぜひ、みなさん、お集まりください。

14:00 ~16:00(13:30開場)
尼崎商工会議所 701号2号線沿い
兵庫県尼崎市昭和通3-96(阪神尼崎駅より北へ徒歩5分)

 

クマが祠や墓を壊した訳は(兵庫県加西市) 熊森現地へ

熊森本部は、神戸新聞デジタル版で、兵庫県加西市北部でクマが神社の祠やお墓、養蜂箱を壊したというニュースを目にしました。

加西市北部にクマが出た?!

加西市位置図

赤色が加西市

 

兵庫県のクマの生息最前線が年々南に拡大していることは、熊森も日頃より問題視しています。

さっそく加西市の担当者に電話をしてみました。

 

加西市の担当者のお話

「クマの被害や目撃は、5月上旬から6月中旬の間に発生しました。現在は終息しています。被害状況としては、ニホンミツバチの巣を狙って、祠が2か所で屋根をはがされ、墓地が1カ所で墓石の一部をずらされ、養蜂箱が1カ所で壊されました。

加西市は、これまでクマが出てくる地域ではありませんでしたが、ここ2、3年、毎年数件のクマ目撃情報が市に寄せられるようになりました。クマによる被害が発生したのは初めてです。

地元の皆さまにとってクマは見慣れない動物なので、区長会で兵庫県森林動物研究センターの専門員の方をお招きし、クマについてのお話と、クマ対策の方法についてのDVD上映を行いました。被害は終息しているので、クマの有害捕獲は検討しておりません。」

 

被害が終息していること、このクマを捕獲しようとしていないことを知り、とりあえず安心しました。

また、地元の皆さんが、クマを敵視していない地域であることもわかってきました。

それにしてもクマは、ここにハチの巣があるとよくわかったなあと感心します。

また、祠を壊したり、墓石を持ち上げたり、クマのハチの巣に対するすごい執念と、その力の大きさに驚かされます。

このような場合、クマの誘引物を早く見つけて除去してしまうことが大切です。

今度またクマが出てきたら、熊森も誘引物探しに協力したいです。

 

 

祠やお墓はきれいに修復されていた

 

現地でクマの情報の聞き取りしていると、当時の状況を詳しく知る男性に出会いました。この方が、現場を案内してくださいました。ありがとうございました。

男性からいただいた被害を受けた時の祠の写真

 

クマが壊してしまった祠やお墓は、すでにきれいに修復されていました。特に、壊れた祠2か所のうち1カ所は、どこが壊れたのか全く分からないほどでした。

修復された今の祠

 

この男性に名刺と連絡先をお渡しましたら、兵庫県にこんな自然保護団体があるなんて知らなかったと感心されていました。もっともっと広報に励まなければならないと思いました。

 

 

地元では、区長会で見せてもらった兵庫県森林動物研究センター作成のDVDをもらい、地区の常会でも上映会をして、多くの住民に観てもらったそうです。DVDを観た方の中には「秋にクマが集落のカキの木やクリの木に来ないように、トタンを巻いてみよう」と言われている方もおられたそうです。可能なら、熊森も被害防除のお手伝いをしたいです。

 

熊森は、クマが目撃されたりクマ被害が出たりした時、クマを悪者にしてすぐに殺処分してしまおうとする今の日本の風潮に、大変危機感を感じています。クマを飼ってみるとよくわかりますが、クマは犬やネコ以上に、人間と心が通じ合う賢くてとても優しい動物です。日本の国土で棲み分け共存が十分可能です。

 

棲み分けを復活させるためには、何としても、来年からの森林環境税を、奥山放置人工林の天然林化に確実に使っていただく必要があります。井戸知事、どうかよろしくお願いします。

 

同じ国民として、リニア工事に泣く沿線住民を見捨てられない 熊森岐阜がリニアルートを視察

5月20日、日本熊森協会岐阜県支部員23名と本部リニア担当者1名は、岐阜県におけるリニアルートの3か所を視察しました。

地元の「リニアを考える会」のメンバーのみなさんが説明をしてくださいました。

 

①瑞浪市日吉町:残土置き場が崩れたら下の集落に危険が!

 

まず、初めに訪れたのは、リニアのトンネルが掘られようとしており、すでに残土置き場が造られている瑞浪市日吉町です。

ここでは、リニアによって地元住民が得るものは何もありません。

リニアに賛成している人は誰もいないということでした。

リニアのトンネルを掘った時に出て来る残土を運ぶための、ベルトコンベアーがすでに設置されていました。

棚田が広がっていた広大な谷が、残土置き場になっていました。

この谷を、残土が埋め尽くすことになるのです。

すぐ下には、集落があります。豪雨などで残土置き場が崩れたら、集落のみなさんの生命に危険が及びます。

工事開始が差し迫っており、騒音、排気ガス、電磁波など自分たちの身に降りかかってくる危険をどう回避するかで地元は必死でした。

 

 

残土が運ばれる場所。この下には集落が。

 

②中津川市:駅舎の日陰で、米作りが不可能に

 

中津川市では、岐阜県駅と非常口予定地を視察しました。

道の両側に田畑が広がり、交通量も人通りもそれほどない、静かな場所でした。

田植えを終えたばかりの田んぼが広がっていました。

ここに30メートルほどの高さの駅ができます。

田畑は駅舎で日陰になってしまいます。

もう米作りはできません。

市が買い取って田畑を駐車場などにするそうです。

中津川市の山口非常口建設予定地では、すぐ上に、人家がありました。

ここにトンネルを掘ることによって、この人家はどうなるのか不安を感じました。

中津川市の山口非常口周辺

 

③恵那市:電磁波と騒音が不安な住民たち

 

最後に恵那市岡瀬沢地区を訪れました。

この地域では、JR東海に対して地上部リニア走行部分にフードを取り付けてくれるように要望していますが、JR東海は首を縦に振ってくれないということでした。

理由はわかりませんが、地上部全てにフードを付けるとなると、建設コストが莫大になるからだろうと住民の人達が言っていました。

家の数メートル上を、大量の電磁波を放出し、かなり大きな騒音を出してリニアが走るのです。

住民たちは、フードをつける約束をしてくれるまでは、断固として中心線測量をさせないとがんばっておられました。

 

熊森から

岐阜県リニアルート視察に参加して、大企業であるJR東海の利益の為に、何の罪もない住民たちの生活が奪われようとしている現実を目の当たりにしました。

すでにリニアのトンネル掘りが始まっている長野県の大鹿村では、発破のために家にひびが入ったり、裏山が崩れてきたりしているそうです。

2001年に施行された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」によって、地下40メートルより深い土地は、無許可で使用できることになりました。リニア中央新幹線はこれを利用して、地下水脈を次々とぶっちぎってトンネル工事を進めているのです。取り返しのつかない国土大破壊工事です。

リニアルートの沿線では、多くの一般住民がどうやって声をあげればいいのかもわからず、不安を感じながら生活しています。

リニア建設は、弱い者いじめ以外の何ものでもないと思いました。

 

今、たまたま外部の安全圏にいる私たちこそが、不安におびえている住民の方たちを見捨てず、「リニア工事中止・JR東海は住民の声を聞け」の大声をあげることが必要だと感じました。

 

多くの国民は、リニア工事に泣く住民の実態を知りません。

マスコミの皆さん、なんとかがんばって報道してください!

 

12月4日 本部 奥山の生き物調査 (兵庫県)

 

登り口となった標高650m付近は、まだ雪がありません。

頂上に近づくにつれて数センチ程度の積雪が現れてきました。

この日は地下足袋ではなく長靴で来ていたので、雪対策はバッチリでした。

 

ブナにつけられた新しい爪痕を発見しました。

爪痕が深いので、幹が柔らかい春につけられたものだと思われます。

花か若葉を食べに来たのでしょう。

 

山中でのクマの痕跡は、以前と比べると激減です。

そんな中、まだ山にクマが居るかどうか、各地で奥山の生き物たちをチェックし続けている熊森のなかまたちの存在は貴重です。

昆虫も、いなくなったと言っていいほど、激減しています。

 

以下、一般社団法人「ハニーファーム」代表理事 船橋康貴氏の言葉(みやざき中央新聞12月11日号より )

私たちが食べている作物の70%が、蜜蜂の受粉に基づくものです。

ネオニコチノイド系農薬が近くで撒かれた時、私の育てていたミツバチ40万匹が、一夜で全滅しました。

地球温暖化もミツバチが少なくなった原因の一つではないかと言われています。

よく、クマやイノシシが人里に下りて来て畑を荒らしたり、人間を脅かしたりしていると言いますが、あれは、ミツバチが少なくなって森の中の植物が受粉できなくなって、木の実が実らなくなっているからです。お腹がすいて里へ下りてくるのです。

 

 

15時、自動撮影カメラには、イノシシが雪の中を寂しそうに歩く姿が写っていました。

見たところ、餌らしきものは、ありません。

 

午前7時、オスジカが座り込んでいました。ここで寝ていたのでしょうか。

 

この辺りは、これまでも何度かヤマドリが写りました。メスですね。

 

今回、ツキノワグマは映っていませんでした。

この辺りの積雪は3m~4mにもなるそうです。

雪の間も生き物たちが撮影できるように、木に登って高い位置に自動撮影カメラを設置し直してきました。

 

この国で、共に生きるなかまたち。

熊森のブログを通して、多くのみなさんに野生動物たちを身近に感じてもらえればうれしいです。

今後も奥山での生態調査を続けていきます。

 

 

2017年 熊森本部による兵庫県クマ生息地の豊凶調査結果 ブナ並下、ミズナラ並、コナラ並上

ブナ、ミズナラ、コナラなどのクマ生息地のどんぐり(堅果類)には豊作、並作、凶作などと、年によって実りに差があります。

クマは8月の末から木に登り、まだ青いうちから堅果類の実を大量に食べて体に脂肪を貯え、冬籠りに備えます。

堅果類の実りが悪いと脂肪不足で冬籠りに入れませんから、食べ物を求めて人里への出没が増えてしまう傾向があります。

近年、2004年、2006年、2010年のいずれかが地域によっては山の実り全てゼロという異常なまでの大凶作となりました。原因不明です。

おびただしい数のクマが人里に出てきて駆除されました。

人里のドングリであるアラカシ等は良く実っておりましたから、それを食べに来たクマもいました。

 

熊森本部では毎年9月中旬に兵庫県のクマ生息地の豊凶調査を実施し、秋のクマの出没を事前に予測しています。

今年も9月11日から16日まで、1週間ほどかけて全21か所を回ってきました。

調査結果を数値化し、凶作、不作、並下、並上、豊作の5段階で評価しました。

 

ブナは13か所で調査しました。

一斉開花年(9割以上が実をびっしりと付ける)ほどではありませんが、場所によっては豊作の木もたくさんありました。

まったく実がついていない木もあり、県全体の平均としては並下でした。氷ノ山のブナのシイナ(殻だけで中身なし)率は53%でした。

一部地域的には、去年豊作だったところが今年はゼロなど、他地域と連動していない場所もありました。

鳥取県境のブナ

 

ミズナラは18か所で調査しました。多くの木で実りがみられましたが、並作程度の木が多かったです。

蘇武岳のミズナラ

 

今年はコナラを9か所で調べました。コナラは結構実りが良く、並上でした。

ブナ、ミズナラ、コナラの全てにおいて豊作の木も沢山みられたので、今年は全体的に実りが良いと感じました。

 

西日本では以前、どんぐりの凶作年の秋にクマの出没が多かったのですが、近年は夏の出没も多くなっています。夏のクマの餌は昆虫や液果です。奥山を調査してみると昆虫が激減しています。液果類の実りはどうでしょうか。ミズキ、クマノミズキ、ヤマブドウも数本ですが調査してみました。

氷ノ山のヤマブドウ

ミズキ・クマノミズキは並下でした。

ヤマブドウやサルナシは判断が難しいと思いました。実りゼロと思っても、人間が採ってしまったあとかもしれないからです。

ブナについたクマの古い爪痕

 

調査時にクマの古い爪痕を見つけましたが、今回は1週間歩いても、フンも含め、新しい痕跡がまったく見つけられませんでした。

もう奥山に、クマはあまりいないのかもしれません。

もしそうなら、大変なことになってきたと思います。

 

ちなみに、兵庫県森林動物研究センターの調査結果は以下です。ただし、こちらは、兵庫県全域調査の結果です。

ブナ並上、ミズナラ豊作、コナラ豊作

9月8日熊森本部、岡山県の山を調査 森林破壊により、クマが山から出て行ってしまっていた

はじめに

岡山県の山を知っている人は、岡山県にクマが残っていると聞くと驚かれるのではないでしょうか。

なぜなら、山が観光やレクレーションのために開発され尽くしており、人間がどこまでも山に入り込んでいるからです。

クマがいる地域は岡山県東部の兵庫県に接する西粟倉村と旧東粟倉村(現:美作市に合併)あたりで、面積にすれば岡山県のほんの一部だけです。

少し前までは、岡山県にクマが残っていても、10頭程度だろうと言われていました。

 

クマの分布 JBN作成

水色は環境省2004年確認地点、赤色は2014年の分布拡大地点

 

大量捕獲

ところが、山の実りゼロの異常年だった2010年には、何と岡山県で60頭のクマが捕獲され、全頭放獣されたのです。

兵庫県から大量に入ってきたのではないかという説もありましたが、真相は不明です。

その後は落ち着いていましたが、平成28年度は、目撃数が237件、有害捕殺が12頭(西粟倉村、美作市、津山市)、錯誤捕獲が28頭という大量捕獲となりました。

しかも、最近は、岡山県の西方面にも目撃が広がりだしました。

目撃数が増えたのは、この年、秋田県でクマによる人身事故死4名があったので、人々がクマに神経質になって、犬やイノシシをクマと見間違って報告したり、それまで見かけても気にせず届けなかった人達が行政に届け出たことも考えられます。しかし、40頭もの捕獲は、どう説明すればいいのでしょうか。

 

岡山県今年からクマ狩猟再開

岡山県は、兵庫県でMCMC法によるベイズ推定でクマの生息数を推定した研究者に岡山県のクマ数を推定してもらい、中央値205頭という数字を得たため、クマが激増しているとして、兵庫県にならって今年からクマ狩猟を再開することにしました。

 

 

熊森本部が後山連山調査に

9月8日、くまもり本部調査研究員3名は、岡山県にそんなに多くのクマがいるのだろうかと、兵庫県から西粟倉村に入り、兵庫県境にある岡山県の最高峰後山(うしろやま旧東粟倉村)標高1345m(「西大峯山」とも呼ばれ、かつては修験道の中心地)あたりを調査してみようと出かけました。

 

 

この日の移動ルートを以下の図に示します。人工林の部分がわかるように、早春のグーグルアースに重ねてみました。

濃い緑色の部分がスギやヒノキからなる常緑針葉樹の人工林、ベージュ色の部分は落葉広葉樹の自然林です。白色は残雪です。

赤線が車で移動した部分 黄色い線が歩いた部分(クリックすると拡大します)

 

毎回、このあたりに来ると、左右の山のほとんどが人工林であることに驚かされます。

人工林率は西粟倉村が85%、旧東粟倉村が73%、植えられるだけスギやヒノキを植えたという感じです。

クマの棲める広大な自然林など残っていません。

 

 

すばらしいながめ

ダルガ峰(なる)林道の展望台で昼食をとりました。

ここから、後山連山である駒の尾山(1280m)、後山方面への見晴らしは、抜群でした。さわやかな風に吹かれて、快適度100%です。

ここから見える範囲に205頭のクマが生息しているのでしょうか。

 

昼食後、車を置いて、ダルガ峰(なる)標高1163mに向かいました。

不思議なことに、こんな標高の高い山のてっぺんに、約80ヘクタールの平地が広がっています。

 

ダルガ峰(なる)の入り口 

 

「クマ注意」の看板を見て、私たちはクマに会わないように、鈴を鳴らしたり手をたたいたり大声を出したりしながら進みました。

皆伐された人工林の木の切り株がずらっとならんでおり、跡地はススキが原になっていました。

ところどころに生えている木は、ほとんどすべてシカの食べないウリハダカエデです。

道は平らで、中国自然歩道として立派に整備されており、最初のうちはとても楽しかったです。

しかし、良く考えてみると、ここは元々、クマたちの国だった場所です。

人間がこんなことをしてもいいのだろうかと思いました。

 

クマの餌も痕跡もなし

そのうち人工林地帯に入りました。

標高1000メートルを超えてまだ人間がスギを植えるなら、もうクマの居場所はありません。

祖先がしていたようにせめて標高800メートルより上は野生動物たちに返してやらないと、もうひとつの国民である野生動物たちとの共存などできません。

広葉樹林地帯もありました。しかしここのミズナラやブナにはなぜか実がなっていない木が多いのです。

私たちは約1時間半、クマの痕跡とエサを探して注意深く歩き続けましたが、何もありませんでした。何という山だ!

この山は人間が楽しいだけで、クマは時には通るかもしれないが棲めないと確信を持ったので、引き返すことにしました。

 

帰りは、もう、音や声を立てず、黙って下山しました。こんな山にクマなどいるはずがないと思ったからです。

1000メートル級の山々が連なる岡山の奥山連山にクマが棲めないのなら、岡山のクマはどこで何を食べて暮らしているのでしょうか。

駐車していた所まで戻り、車でアスファルトの道路を一気に下りました。

 

低標高地帯にクマの痕跡

周囲は延々と続く人工林地帯ですが、低標高まで下りて来たとき、道路沿いの1本の桜の木に今年の熊棚ができているのを見つけました。

サルナシの実もなっていました。

岡山のクマたちは、山ではなく、こんな人目を忍ばねばならない道路の横で餌をとっているのかと思うと、かわいそうになりました。

町まで降りると、姿を隠せる小さな自然林がいくつかありました。ドングリの木もありました。果樹もあります。

岡山のクマたちは、むしろこのあたりに身を潜めているのではないでしょうか。

 

熊森本部は近年、兵庫の奥山が荒れてクマが棲めなくなっていると大問題にしてきましたが、岡山の奥山の動物の棲めなさは兵庫の比ではありませんでした。

 

行政担当者のみなさんは、休みの日に山を歩いてみてください

岡山県のクマが激増しているとコンピューターで計算した研究者は、西粟倉村や旧東西粟倉村の連山を最近歩かれたことがあるのかたずねてみたいです。

夕方になっていましたが、今年からクマ狩猟再開を決めた岡山県行政に会いに行って、担当者に狩猟再開にあたって山を調査されたかたずねました。答えは、行ったことがないということでした。

 

クマが人里に出て来るのは増えすぎたからであり、猟期にはクマを山中で狩猟して個体数低減を図るべきという、兵庫県や岡山県が進めている政策を、みなさんはどう思われますか。

自然界の事は、25年間調べ続けている私たちにもわからないことでいっぱいです。

しかし、もし本当にクマが激増しているのだとしたら、何を食べて増えているのか、クマ狩猟再開を行政に進言してきた研究者たちは明らかにすべきでしょう。

 

行政は県民にクマ情報を公開すべき

実は、熊森本部は昨年度、クマ情報の公開を兵庫県に求めました。その中の項目の一つに、これまでに捕殺されたクマの胃内容がありましたが、公開を拒否されました。そこで、仕方なく兵庫県情報公開審議会に訴えました。審議会の答申は、「胃内容に関しては、(森林動物研究センターの研究者が)研究に用いるデータとしての状態が記載されていない部分に限り、公開する」でした。

しかし、この答申に基づいて、兵庫県が最終的に熊森に提示した胃内容情報は、全てが白紙か黒塗りでした。

 

このような研究者や行政の態度を、私たちは大変残念に思います。

一体何が起こっているのか、情報を提供してくださらないと私たちは考えられません。

民主主義の第一歩は情報公開のはずです。

 

クマ狩猟再開だなんてとんでもない

今回の調査で、私たちは、岡山県の知事さんに会って調査報告をし、クマ狩猟を再開するなどという無茶なことをやめていただくように訴えたいと強く思いました。

もし猟期に山にクマがいたなら、ここにいたら撃たれないとクマに思わせることが、地元の人たちにとってもとても大切なことなのです。

行政担当者のみなさんは、忙しくて奥山を調査する時間などない大学の先生たちの指示を鵜呑みにしないで、どのような政策が本当に地元の人たちの為になるのか、今一度、自分の頭でじっくりと考えていただきたいです。(完)

本部 東北クマと森調査(3)岩手県・秋田県

8月23日

この日は秋田県入りです。ドライブウェイを通って、岩手県と秋田県にまたがる雄大な八幡平(はちまんたい。約4万ヘクタール。ほとんどが国有林)を抜けました。

八幡平は火山で奥羽山脈北部の山塊です。頂上部分が平らなため、平の名がついています。

ドライブウェイから見下ろした八幡平のシラビソ原生林
この世のものとは思えない美しさ

 

頂上まで道路がついているから、この雄大な景色を見ることができたのです。

しかし、景色を見れなくてもいいから、ここは人間が入れない聖域にすべきだと思いました。

 

9千~5千年前に発生した水蒸気爆発によりできた多くの火口に水が溜まり、いくつもの沼ができています。

地形的に人が近づくことができない熊沼もそのうちの一つ

 

山の中で工事用大型車両とすれ違いびっくりしました。何をしているのか見に行ったら、地熱発電工事でした。

2012年、環境省が国立公園内の地熱発電工事を許可したのです。ここではやめてほしいです。

景観台無し

 

熊森は、経営破たんした八幡平熊牧場に残されたクマたちを救うために、何度も八幡平を訪れました。

親しくなった地元ホテルの女将さんを訪ねて、毎年夏に現れるクマの情報などを聞き取りました。

今年は、夏らしい日が2日しかなかったと言われていました。

その後、ビジターセンターを訪ね、いろいろと教わりました。

ビジターセンター(建物は環境省だが、職員は民間)

 

驚いたことに、八幡平のクマの夏の主食は、ミズバショウの花の真ん中の黄色い部分なのだそうです。

 

八幡平を抜けてから、秋田県仙北市の今年のクマによる人身事故(死亡)現場に行きました。

この奥で、タケノコ採りの女性が、クマによる事故で死亡した

クマに人間が来たことを知らせるため、大声を出しました

 

死亡事故の後、山中に仕掛けられた2つの捕獲罠に2頭のクマがかかり、殺処分されました。

しかし、DNA鑑定の結果、この2頭のクマは事故とは無関係でした。

生息地内に罠を仕掛け、事故とは無関係のクマまで殺すなど、許されるものではありません。

仙北市を訴えたい思いで市役所を訪れ、担当者から詳しい話を聞き取りました。

 

この後、キュウリ、スイカ、モモ、リンゴなどを買い込んで、久し振りの出会いが大変楽しみな、北秋田市のくまくま園の救命グマたちに会いに行きました。

まず会ったのは、愛知県豊田市で捕獲されたツキノワグマの愛知と豊子です。どちらも元気でした。

今年、2頭の子を産んでいた豊子

 

当時、有害駆除されるところを助けた愛知県豊田市の行政の人達が、去年、愛知と豊子を見に来られたそうです。

なんだか心が温まりました。元気にしているかどうか、心配して見に来られたのでしょう。私たちと同じです。

 

飼育係の方は、40数頭いるツキノワグマの顔を全部覚えておられるということでびっくりしました。

どのクマとどのクマが気が合わないか等ずっと見て、クマに対応していると言われていました。

 

次はヒグマ園です。

ヒグマたちの救命に協力してくださったみなさんに代わって、安否を確認し、餌の差し入れをしてきました。

昨年1頭が亡くなりましたが、あとはみんな元気です。

オスとメスは1日おきに運動場に出してもらっているということです。

この日はメスの日で、9頭全部のメスが、運動場に出ていたようです。

 

どのヒグマものんびりと幸せそうにしていました。

顔の表情や動きを見て、みんな大事にしてもらっているのがわかりました。

ちょうど夕食の時間で、全員が個室に入りました。

檻の外からスイカをあげるには、小さく切らねばならないことがわかって、汗だくで切りました。

おいしそうに食べてもらって良かったです。

スイカの差し入れ

 

熊森は、これからもずっと救命グマたちを見守り続けたいと思います。

みなさんも是非、くまくま園を訪れてください。

 

8月24日は、東北森林管理署、秋田県庁自然保護課、岩手県庁自然保護課を順次訪れて話し込みました。

この4日間で学んだことを、今後の熊森活動に大いに生かしていきたいと思います。(完)

本部 東北クマと森調査(2)福島県・宮城県・岩手県

8月22日

2009年と2010年に実のなる木を植樹した東北初の熊森植樹地が福島県にあります。

何度かその後、苗木の生育ぶりを見に行ってくださっている山形県の熊森支部長に案内していただいて訪れました。

当時はアカマツ人工林の皆伐跡地で、むき出しの地面でしたが、今や人の背丈を超える植物にびっしりと覆われ、分け入ることも困難な状況でした。

 

苗木以外に、マツなどのさまざまな実生の樹木が成育し、アザミ、ハギなど、種々雑多のきれいな草花がササの間にびっしり生えていました。

 

 

植樹当時見えていた、後ろの山を思い出して、なつかしむ

 

ミズナラの苗木に、実が1つついていた

 

この場所は、自然の力で見事、森に戻りつつありました。

 

 

この後、当時お世話になった元町長さん宅を訪ねました。

おうちの周りの柿園には、立派な柿の実がたくさんついていました。

「クマが秋に食べに来ませんか」とたずねると、「秋の山は食べ物でいっぱいだから、民家の柿になど1回も来たことないよ」と教えてくださいました。

他にも、地元の貴重なお話をたくさん聞かせてくださいました。

蓮の種は、傷をつけないと芽が出ないそうですが、東日本大震災の後に、蓮が芽を出した不思議な池があります。

地震で、昔池の中に埋まっていた蓮の種が傷を受け、芽を出したのではないかということでした。

今では一面の美しい蓮池になっていました。

地震の後、蓮池になった池

 

この後、宮城県北部のクマ生息地で、家の周りに3本の日本熊森協会の旗を立て、クマ保護を周囲に訴えておられるくまもり会員のご自宅を訪ねました。

宮城県の人工林率は50%と、とても高いのです。

林業に携わっておられるこの会員から、山のことや野生動物の情報を得ました。

兵庫県と違って、混み入った人工林の中にも、下層植生が育っている

 

会員の家の前で記念写真

 

この後、岩手県に入り、岩手の森や動物に詳しい写真家の方に、いろいろとお話を聞かせていただきました。

 

みなさんから教わって、だいぶんいろいろなことがわかってきました。

みなさん本当にありがとうございました。

 

本部  東北クマと森調査 (1)宮城県

東北3泊4日の調査で、私たちは実に多くのものを得ました。ここでは、ごく、簡単に報告させていただきます。

今回の調査に参加した本部3名は、仙台まで飛行機で、後はレンタカーで移動しました。

 

8月21日

①宮城県庁自然保護課の方と懇談

②午後から、宮城県の森調査

ふだん、人の手が入り尽くした近畿地方の奥山を歩いている私たちには、東北の森は深くて別の国に来たのかと思うほど豊かでした。

しかも、人口密度が低いせいか、車で行けども行けども集落がありません。この森は、野生動物の国なのです。

 

宮城県の森の中

 

森の中を歩くと、餌の少ない夏の時期ですが、次々と実がなっている木が現れます。

サルナシ、ヤマブドウ、ミズキ、ウワミズザクラ、ヤブデマリ・・・

サルナシに無数の実がなっていた

 

足元には、地面を踏みしめる度に様々な昆虫がたくさん飛び出してきます。

クマの生息痕跡が至る所にあります。熊棚、背こすり跡、杉の皮ハギ跡、爪跡、足跡、糞・・・

ウワミズザクラの巨木にあった今年の熊棚(中央)

 

木の実を食べた後のクマ糞(この日見つけた4つの糞のうちの一つ)

 

この森には、クマが何頭もいるなと感じました。

クマはここにいたらいいのに、中には夏にデントコーン畑などに出て行くのがいて、昨年度も宮城県では1か月に30~40頭ぐらい有害捕殺されています。

しかし、東北のクマは、秋になるとふつうは一斉に山に戻ってしまうそうです。

なぜなら、山の中にドングリの木がたくさんあるから、人里にまで食べ物を探しに行く必要がないのです。

宮城県、月別クマ出没数

 

ここの人達は、山にクマがいるのは当たり前で気にしていないそうです。

山から出てきたクマは、駆除すればいいと思うそうです。

一応、人とクマとの棲み分けができています。

しかし、殺生は良くないので、山から出て来ても、追い払ったり、畑の周りに電気柵を張ったりして、殺さない解決策を追求してほしいです。

宮城県ではクマは狩猟対象獣で、毎年10頭前後のクマが狩猟されています。

 

追伸ですが、谷川の水が冷たいと思ったら、水温が12度でした。

 

真夏に水温12度

 

野生のクマにも会えて感激でした。

車の中から撮影したクマ

 

宮城のブナ林

 

宮城の森を案内してくださった先生に、感謝でいっぱいです。

この奥山のブナ・ミズナラ林(120ha)にクマは棲めるか?熊森本部が専門家に山の調査を依頼

8月9日、熊森本部調査研究部は、専門家に来ていただき、兵庫県宍粟市にある氷ノ山山系の奥山ブナ・ミズナラ林を調査していただきました。

まず、標高600メートル地点から沢沿いを伝って登っていきました。

(1)魚影が見られない

水量の少ない谷川

 

小さな川魚は少しはいると思うのですが、周りの山が人工林で埋まっているせいか、谷川の水量も少なく、おそらく水温も高く、確認できるような魚影はありませんでした。(イワナの適正水温は16.8℃まで)

 

昔のように渓流の水が冷たく水量が多いと、川魚も豊富でクマは年中ここに棲めるそうですが、これでは無理とのことでした。

 

(2)酸性降下物の影響はない

夏なのに、枯れた葉が少しありました。酸性降下物の影響でしょうか?

 

先生のお答えは、「酸性降下物による影響であれば、下層植生のみならず同時に多くの樹木も枯れます。しかし樹木はしっかり育っていますから、違うだろう」ということでした。

 

(3)液果植物がほとんどない山

この山にはなぜか、液果植物であるヤマザクラやウワミズザクラが全くありません。

ミズキやヤブデマリが1本ぽつんと生えているのが見つかりましたが、クマは何本も液果植物が生えている山に来るのであって、こんな1本しかないような効率の悪い所には来ないそうです。

案の定、ヤブデマリには実がついていましたが、クマが食べに来た形跡はありませんでした。

この山には、熊の餌となるような昆虫もいないし(地球温暖化の影響か?)、クマの春夏の食料はありません。

実のついたヤブデマリは1本あったが・・・

 

(4)秋の食料

①ヤマブドウ

クマはトチの実を食べませんが、幹の苔のはがれ方で、トチノキにクマが登ったことがわかると教えてもらいました。

トチノキには、葉のない太いツルが巻きついていましたが、上を見上げるとヤマブドウが高い所で葉を広げていました。枯れ木のように見えたツルは、ヤマブドウの生きたツルでした。ヤマブドウは日光のあたる場所にしか葉を付けないようです。

 

②ブナ・ミズナラ

この山を登って行くと堅果植物であるブナ・ミズナラ林です。凶作でなければ、秋にクマが利用しにくるだろうということです。数年前、ナラ枯れが入って、ミズナラが壊滅するのではないかと心配しましたが、一部枯れただけで今のところ終息した感じです。

 

(5)若木・稚樹・下草がない

私たちは、この山に若木・稚樹・下草がないことを、非常に気にしていましたが、先生は、林冠が鬱閉(うっぺい)していることを考えると、それほど異常な状況ではないだろうと言われました。

鬱閉(うっぺい)した林冠

木が1本倒れてギャップが出来たら、そこにはさまざまな芽生えが生じるのでしょうか。シカが食べつくしてしまわないでしょうか。

 

(6)ササが消えたのは、シカではなく一斉開花

沢沿いを3時間ほど登り続け、標高1000メートルあたりで北側の尾根へ上がろうということになり、急斜面を登りました。

 

 

斜面には、背丈の低いチシマザサがぽつぽつと広がっていました。

シカがササを枯らしたのか、たずねてみました。日本中でシカが犯人にされています。

先生の判定は、一斉開花によるササ枯れであり、自然現象ではないかということでした。

その証拠に、枯死したササは背が高く、緑色のササはどれも枯れたササの根元の地下茎から出た芽でした。

徐々に下層植生が回復していくのではないかと言われていました。

 

 

ササの青い葉は地面近くだけで、先端部はどれも枯死している

 

下層植生がササばかりになると、他の植物が入ってこれなくなるので、これまたよくないそうです。

下層環境も多様性が必要です。

 

<先生のこの山の評価>

「ドングリなどの堅果類等、秋の食糧になるものはあるが、全体的に、クマの夏の食糧となる液果類の樹木が少なすぎる。たとえば、ヤマザクラやウワミズザクラの実はよくクマが食べるが、この山にはそういった液果類の樹木がほとんどない。川魚もほとんどいない。兵庫県ではクマの数が爆発的に増加していると聞くが、奥山にクマが生きていくための充分な食糧がないのに、増えられないだろう。クマがこの山に棲みつくことはできない。秋に利用するだけだろう」

 

(熊森から)

ブログでは主な事しか書けませんでしたが、専門家の先生に来ていただいて多くのことを学びました。内部資料には、もっと多くのことを残しておきたいです。

 

この山のふもとの集落のおばあさんたちが、「むかしは谷川に30センチくらいのヤマメがたくさんいて、女でも手づかみできたよ」と以前、教えてくださったことが思い出されました。そんな川があれば、クマは年中この山に棲めたのかもしれません。戦後の拡大造林政策によって、どこの谷川も水量が激減です。スギやヒノキばかり植えられたことによって、クマたちは直接、食糧を失っただけでなく、川魚という貴重な食料も失うことになったのです。

 

この自然の山に液果植物がほとんどない理由は、よくわかりません。理由を思いつかれた方は教えてください。自然界の事は、人間には永久にわからないことでいっぱいですが。

 

東中国山地にある兵庫県では、兵庫県森林動物研究センターの研究者(当時、兵庫県立大学准教授、現在、株式会社 野生鳥獣対策連携センター代表取締役)が2011年春、ベイズ推定法を用いてクマが爆発増加したと発表しました。私たちには、推定過程がよくわかりません。集落でのクマの目撃が増加したこともあって、兵庫県はクマ狩猟を再開しただけではなく、現在、積極的にどんどんクマを有害捕殺しています。

 

山すそに、クマが大好きな糠入りの罠をシカ・イノシシ用として大量に設置したことも、クマの目撃数や錯誤捕獲が激増した原因の一つではないかと私たちは思うのですが、兵庫県は情報公開を請求してもほとんど非公開回答なので、県民としては訳が分からなくなります。

 

一方、西中国山地では、生息推定数は微減とされ、奥山のクマの生息密度が低下していることが分かった(ドーナツ化現象)として、狩猟も禁止されたままです。熊森の自動撮影カメラから、兵庫県もドーナツ化現象を引き起こしていることはまちがいありません。

中国山地の東と西、なぜこれほどまでに結論が違うのでしょうか。

 

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