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一番肝心の生息地大荒廃への言及0分 、兵庫県森林動物研究センターのクマシンポジウム3時間半

2月25日の兵庫県森林動物研究センターが主催するシンポジウムに参加されたみなさんは、どのような感想を持たれたでしょうか。

 

我が国は、林野庁が戦後行った人工林政策で、山の自然植生を壊滅的に破壊してしまい、現在、広大な荒廃人工林を放置したままです。(国が先頭に立って自然林に戻すべしの声を、みんなであげていきましょう!)

 

 

今度は、環境省が行っているまず初めに殺害ありきの野生動物管理政策で、野生動物たちを壊滅的に破滅させてしまおうとしています。

 

 

なぜクマが山から出てきたか、その原因を正しく特定することが大切なのです。センターの研究者たちは、クマが増えたから、ハンターが減ったからとして、「山が荒廃して棲めなくなったから」とは、決して言いません。

 

平成1年からのハンター数は、減ってはいません。

(以下、兵庫県狩猟者の推移)

 

 

 

 

 

 

第1種(銃ハンター)(白色部分)は警察が厳しく取り締まるため減っています。しかし、その分、第2種(罠ハンター)(黄色部分)が増えています。銃を持っていなくても、罠だけでも充分捕殺できます。(殺し方は残酷すぎるので、ここでは割愛します)

 

高齢化はしています。

 

 

 

シンポジウムのなかで、人工林荒廃問題(奥山のクマ生息地に、大荒廃したスギの放置人工林が延々と残されたままになっており、クマが棲めない)や、自然林荒廃問題(近年ナラ枯れやシカの食害などで急速に劣化が進み、クマが棲めない)などへの言及は、いつものことながらゼロ!でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●人工林問題(内部大荒廃)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●自然林問題(内部大荒廃)

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの根本原因を解決せずに、山から出てきたクマをどうすればいいかばかり論じてみても、クマ問題は解決しません。

 

シンポジウムでは、発表者が、「科学研究をもっと進めてクマ(=自然)をうまく管理していこう」と言われていました。

自然に生かされているに過ぎない人間が、突然、自然を管理してやるぞなどと言い始めたら、天も、「人間、お前、一体何様なんだよ」と、びっくりしてしまうのではないでしょうか。

人間が野生動物を管理することなど不可能なことに、気づいてほしいです。

 

 

 

 

 

2月25日(土)マジですか?兵庫県森林動物研究センターが、兵庫のクマが絶滅の危機を乗り越えたというシンポジウムを開催されるそうです

兵庫県森林動物研究センターが開設10周年を記念して、「絶滅の危機を乗り越えたツキノワグマの保全管理」という題で、シンポジウムを企画されています。(シンポジウムの詳細チラシ)

そこまでやるかと、熊森は驚きました。

本気で、兵庫県のクマは絶滅の危機を乗り越えたと思っておられるのでしょうか。

優秀な方たちばかりなのに信じられません。

 

 

チラシには、「平成8年度、兵庫県内のツキノワグマの生息数は減少を続けており、このまま放置すれば絶滅が心配されたため、県は保護を目的に狩猟を禁止しました。それから20年、絶滅の危機を脱したと判断できるまでに推定生息数が回復しました。この間に取り組んできた研究成果を紹介し、今後の保全管理の在り方を考えていきます。」とあります。

 

あきれ返るとはこのことでしょうか。

まるで、平成8年度に、県が自主的にクマ狩猟を禁止したことになっています。事実を曲げ過ぎです。

しかも、センターができて10年ですから、20年間の研究成果はないはずです。

 

平成4年に、兵庫県ツキノワグマが絶滅寸前に陥っていることを知った当時尼崎市の中学生たちが起こした激しいクマの保護運動があります。署名を集めたり新聞やラジオ、テレビに次々と出て、中学生たちは、「兵庫県のクマが絶滅する。みんなで守ろう」と、大運動を展開しました。

兵庫県に狩猟禁止を何度も申し入れましたが、当時、県は、全く聞き入れようとしませんでした。

また、平成4年には、猟友会の狩猟自粛発表がありました。

当時、環境庁は、平成6年に、兵庫県クマ狩猟禁止を発表しました。

多くの声があって、やっとのことで県が最後に動いたのです。

そのことは、きちんと書くべきでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に、平成8年に兵庫県が狩猟を禁止したから、クマの絶滅が回避されたのか、兵庫県森林動物研究センターの説を検証してみましょう。

以前、兵庫県でどれくらいのクマが狩猟されていたのか、以下のグラフをご覧になって下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフは2度クリックしていただければ、大きくなります。

現在、平成以前の有害駆除数が未入手となっています。近々、入手次第、差し替えます。

 

兵庫県でクマを狩猟していた人など昔からほとんどいませんでした。

平成8年の狩猟禁止前20年間のクマ狩猟数は194頭(年間平均約10頭)です。

平成8年の狩猟禁止後20年間のクマ有害捕殺数は237頭です。(年間平均約12頭)です。

狩猟で獲られていたクマよりも有害捕殺で獲られたクマの方が多いのです。

 

兵庫県のクマが絶滅の危機に陥ったのは、戦後の奥山の人工林化と開発という行政の奥山破壊政策の結果です。兵庫県森林動物研究センターは、まだ、主原因を隠し通そうとされるのでしょうか。

 

当時新聞に載った朝日稔兵庫医科大教授(動物生態学)のコメントをかみしめてほしいです。

●1992.1.14 朝日新聞

スギ、ヒノキといった人間にとっては有用な人工林に山がどんどん変わっていく。冬眠に必要なブナや天然スギの大木が伐採されている。開発が進んでいる西日本では特に深刻で、九州で絶滅したように西日本でもクマは絶滅の危機にある。

 

●1992.3.24 神戸新聞

過去の森林伐採で破壊された生息環境を動物たちが棲める状態に戻さないと、餌を求めて畑を荒らすなどの被害はなくならない。国などが中心となってクマの生息地の自然環境の保護に取り組む必要がある。

 

広大な人工林は今もそのまま放置されており、全く改善されていません。その上、10年ほど前からは、クマたちにとって生きていく上で最後の頼みの綱であったわずかに残された自然林まで大荒廃してしまいました。この状況でクマが絶滅の危機を脱したというのなら、兵庫県森林動物研究センターのみなさんは、生きられなくなって人里に出てきたクマの数だけしか見ていないのではないかと、心配になってきます。

 

関心のある方は、シンポジウムに参加してみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クマが襲ってきた」発行:秋田魁新報社 

秋田県が平成28年度、478頭ものクマを駆除したことを知って、許せない思いがしていました。

こんなことになったのは、鹿角市でのクマによる死者4名事件に秋田県民が過剰反応した結果だろうと思いこんでいました。

当協会としては、事件当時、秋田県の行政や森林管理署に、連日、手当たり次第に電話をして、「ただちにタケノコ採りの入山禁止措置を!」と、お願いし続けた経緯があります。しかし、秋田側の動きは遅くて、そうこうしているうちに次々と死傷者が増えていきました。私たちには苦々しい思い出です。

 

秋田県会員から、秋田魁新報社が昨年末に「クマが襲ってきた」という本を出版したので読んでみてほしいという連絡が入った時、題を見て、またマスコミはクマを一方的に悪者にしているのかと、少し不愉快な思いになりました。

 

この度、熊森の理事から偶然この本が送られてきたので、読んでみました。そして、これまでの秋田の事件への自分の一方的な思いを深く反省しました。

やはり兵庫県から遠く離れた秋田の事です。自分ではわかったつもりになっていましたが、わかっていなかったことがたくさんありました。やはり現地の声を聞くことが大切です。

いろいろと教えられ、考えさせられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

秋田魁新報2016報道ファイル(さきがけブックレット)

 

題に関しては、読後も抵抗がありますが、内容は非常に誠実でよくできており、いい本です。もちろん、熊森としては、秋田県はクマを殺さない対応をもっと追求すべきだという思いは残りました。

 

感想が2つあります。

 

秋田の奥山の異変について

去年、秋田の集落に出てきたおびただしい数のクマや、クマを集落へ誘引した物については良くわかりました。しかし、これまでクマたちが棲んでいた秋田の山の状況が、今どうなっているのかの調査報告がありません。クマの行動に異変が起きたのなら、秋田の山にも異変が起きているのではないかと思えます。ミズナラが大量に枯れているとか、昆虫が消えているとか・・・。

集落側の過疎化高齢化がクマの出現を許しているという面はもちろんあると思いますが、クマ問題を考えるには、クマが出てきた場所や出てきたクマばかり見ていないで、クマがこれまで棲んでいた山に異変が起きていないか目を向ける必要があると思います。

 

「狩猟」効果について

人とクマとの棲み分けを復活させることは最重要ですが、そのために「現代狩猟」は必要でしょうか。疑問です。

クマが人間を怖いと思い、人間を避けるように仕向けるというのは、確かに必要だと思います。昔のマタギ的な「狩猟」なら、大勢の人間に追い掛け回されて逃げ終えたクマが人間を恐れるようになる効果はあったと思います。

しかし、今の銃には望遠鏡がついておりライフルの性能も飛躍的に発達しています。狩猟といっても、もはや人間はクマを追いかけず、クマが人間を人間と認識できないまでに遠く離れた所から100発百中でクマを撃つと以前聞いたことがあります。

クマにしたら、人間に狙われたことがわからないなら、人間を怖がることにつながりません。しかも、殺してしまったら、人間を恐れるクマは誕生しません。その上、棲み分けることが大事なのに、山奥にハンターが入ってきてクマを狩猟すれば、クマはどこにいたらいいのかわからなくなってしまいます。

もし、奥山に豊かな自然が残っていれば、ハンターが銃で脅しながら、クマを追い掛け回して奥山に追い上げることには意味があると思います。

「現代狩猟」の棲み分け効果について、国民的議論が必要だと思います。

 

<最後に>

鹿角の事故で79才のご主人を亡くされた女性が、「クマばり悪りと言われね。クマも命さもらってこの世さ来て、生きねばねえんだもの。じいさんとばったり会って、びっくりしたんだべ。かじるか引っ掻くかしかできねえ生き物だもの。クマも真剣だ。恨む気なんてないです」と答えておられるのを読んで、会いに行って手を取り合いたいほど、共感しました。必死に生きている生き物たちの身にもなって考えられる、このような自然観が、私たちの祖先の文化なのです。

 

秋田県鹿角市のクマによる死者4名事件に関心をお持ちの方は、ぜひ、ご一読されますようお勧めします。

秋田魁新報社のみなさん、これだけの本を作られるのは大変だったと思います。この本を作って下さったことに、心から感謝します。

日本にも、まだ、このようにまじめな本を作ってくださる記者さんたちがおられることを知って、うれしくなりました。

島根県でイノシシ罠に誤捕獲されたクマの大量殺処分(=違反)が発覚!パブコメ募集の中止を!

日本一のクマ保護先進県として熊森が称賛していた島根県が、現在、「島根県クマ保護計画案」に対するパブリックコメントを募集しています。(2月17日締め切り)

今年もいろんな県の「クマ保護計画・クマ管理計画」にパブリックコメントを提出している熊森ですが、「島根県保護計画案」だけ、平成28年度クマ捕殺数の記載がないことに気づきました。変だなあ?と、2月13日に島根県庁鳥獣対策室の担当者に聞き取ったところ、なんと・・・平成28年度、島根県は前代未聞、181頭という大量のクマを捕殺していたことが発覚しました!

これまで熊森が気づかなかったのは、イノシシ捕獲用の罠に誤捕獲されたクマ186頭のうち、125頭が殺処分されていることが発表されていなかったためです。誤捕獲されたクマを殺処分してしまうのは、ルール違反です。

<西中国山地3県の誤捕獲グマ殺害数と率・有害捕殺数・合計捕殺数>

島根県 誤捕獲グマ125頭/186頭を殺害  (殺害率67%)
・・・・・・・+有害捕殺数56頭 合計捕殺数181頭

広島県 誤捕獲グマ36頭/36頭を殺害    (殺害率100%)

・・・・・・・+有害捕殺数15頭 合計捕殺数51頭

山口県 誤捕獲グマ18頭/25頭を殺害        (殺害率72%)

・・・・・・・+有害捕殺数7頭   合計捕殺数25頭

 

西中国山地のツキノワグマは、環境省のレッドリストで絶滅 の恐れのある地域個体群とされ、国による狩猟禁止など、これまで保全への配慮が求められてきました。しかし、近年、分布域が外側に拡大しています。(平成24年JBN) 奥山での森林荒廃が進み、コア生息地の生息密度が薄くなってきていることから(金井塚務氏)、必ずしも生息数が増えたとは言えません。西中国山地のクマ生息数は、近年、微減と発表されていました。(2015年発表)

ちなみに、誤捕獲グマの殺害率は、平成28年度兵庫県、鳥取県、京都府では0%であり、これらの府県では、今も保全ルールがきちんと守られています。

 

(熊森から島根県へ)

「島根県クマ保護計画案」の保護の文字が泣きます。

これだけホロコースト的な大量捕殺を実施しておきながら、次年度も「保護計画案」の名を、どうして掲げることができるのでしょうか。島根県は平成28年度、クマを完全に管理対象(=捕殺対象)にしてしまっています。

 

現在パブリックコメント募集中の「クマ保護計画案」には、錯誤捕獲が発生した場合には「原則として放獣すること」と太字下線で強調して記載されています。むなしい限りです。

また、捕殺の上限も80頭と定められています。平成28年度の捕殺数181頭は記載されていません。全く意味のない捕殺上限数です。

このように、うたっていることとしていることが真逆の「クマ保護計画案」を提示してパブリックコメントを募集するのは、提供された資料を熟読し、まじめに考えて応募してきたわたしたち国民を欺き愚弄する行為であると思います。

島根県のこの様な姿勢を非常に悲しく感じます。

熊森は島根県に対し、現在の「クマ保護計画案」へのパブリックコメントの募集を中止し、島根県が本当に実施してくださる内容に書き換えて、再募集されることを申し入れました。また、すでに応募された方に対しては、平成28年度の補殺数を正直に伝え、資料不足をおわびして、再応募していただくよう依頼すべきです。

 

「島根県クマ保護計画案」パブリックコメント応募先

締切:2017年2月17日まで

島根県・西中国地域クマ保護計画 (提出先:農林水産部森林整備課鳥獣対策室 FAX:0852-22-6549 Mail:choju@pref.shimane.lg.jp)

募集要項等URL:http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/ringyo/choujyu_taisaku/tokuteikeikaku_ikenbosyu.html

 

1月29日 東京クマ学講座 

くまもり東京都支部とくまもり神奈川県支部の共催による東京クマ学講座が、日本教育会館一ツ橋ホール707号室で開催されました。

講師は「東京のクマ」で有名な山﨑晃司氏(東京農業大学   地域環境科学部   森林総合科学科   教授)です。

「東京、そして日本のツキノワグマの今」という演題で話してくださいました。

会場風景

 

1991年から奥多摩のツキノワグマの調査に取り組んでこられた山崎先生のお話は、東京都などのくまもり会員が以前からぜひお聞きしたいと熱望していたものでした。参加者一同、全神経を集中させて聞き入っておられたことと思います。

 

先生はまず初めに、クマ保全に取り組むなら、現地に行き、地元の方とお話をし、地元の方たちの気持ちをくんであげて、その上で自分の意見を言うことが大切だと話されました。これは熊森本部もずっと言い続けてきたことで、その通りだと思います。まだ地元集落と結びついていない支部は、ぜひがんばってください。

 

大昔、日本列島の本州には、ヒグマ、ツキノワグマ、ヒョウ、トラ、オオカミたちが暮らしていたそうで、想像しただけですごいです。アジアの広大な地域に生息してきたツキノワグマですが、現在、残念ながら、分布域がどんどん縮小されているそうで、危機感を持ちました。そんな中で、日本には、まだツキノワグマがいます。単位面積当たりで見たら、日本はクマの生息密度がもっとも高い国のようで、祖先の共存文化をとても誇らしく思いました。残念ながら、九州のツキノワグマは滅びてしまいました。四国は大変危うい状況なので、山崎先生も、今年、何とかしようと決意されているようでした。熊森も、四国のクマの絶滅を止めるために、できる事をみんなで一緒にしたいです。

 

2016年に起きた秋田県鹿角市のツキノワグマと人との事故については、一体何があったのか、神のみぞ知るですが、山崎先生の推察を興味深く聞かせていただきました。それにしても、この事故があったことで、秋田のクマは推定生息数の約半分500頭近くが殺処分されてしまいました。

熊森が思うに、クマによる人身事故が起きると、いつも、研究者を名乗り、どこまで本当かわからないセンセーショナルなことを流してメディアの寵児となる人がいます。今回もそのような人の言葉を真に受けて、マスコミが、「人喰い熊誕生」、「殺人熊誕生」などと、大騒ぎしました。その結果、全国で罪もないクマが大量に殺されたのです。熊森は、マスコミのあり方に猛省を促したいです。

 

東京都奥多摩のクマについては、まず、終戦直後の1947年にアメリカ軍が上空から撮った禿山だらけの山々の写真を見せていただきました。会場からどよめきの声が上がりました。ここまで過度に人間が山を利用していたということです。今、この場所は木々で覆われています。山崎先生の調査によると、最近、山に入った時出会うクマの数や見る痕跡が増えて来ているということでした。これまでクマがいなかったところにも、クマの分布域の拡大がみられるということでした。首都という巨大な大都市のバックにある奥多摩には、今も、クマ、サル、シカ、イノシシ、カモシカ、大型野生動物たちがすべて残っているということで、本当にすごいことだと思います。1362万人東京都民の水源を支える奥多摩の山々を、調査してみたくなりました。

 

山崎先生のわかりやすいやさしい語り口に、参加者一同、参加して良かった勉強になったと、みな喜んでおられました。

 

この後、森山まり子(日本熊森協会会長)が「日本熊森協会とツキノワグマ」という題で話しました。森山会長は、人工林・自然林とも荒廃して奥山にクマが棲めなくなっている兵庫県の現状から、作今のクマの生息域拡大現象が、実は生息域の移動によるドーナツ化現象なのではないかという推察や、今、全国で実施されている「数を 推測して殺すだけ」の野生動物を物扱いした管理(=ワイルドライフマネジメント)の残酷さや非人間性を、物言えぬ野生動物たちに代わって、物言える私たち人間が声を大にして世に告発していかねばならないなどと話されました。

 

会場には山崎先生を含めて、大学の先生が3名出席されておりました。後の2人の方には、大気汚染が及ぼす森林の枯死や、ベイズ推定法でクマの生息数を推定することが不可能な理由など訳などについてミニ発表をしていただきました。おかげさまで、この講座がさらに盛り上がったと感じました。

 

会場との質疑応答では、クマの生息数推定を計算する手法が現在確立しておらず、将来も確立するとは到底思えないため、研究者たちがそのようなことに労力を費やすことへの疑問など、参加者一同が考えさせられるような質問がいくつも出て、有意義でした。

 

今回の学習会で発表してくださったみなさん、会を企画してくださったみなさん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。今後の熊森活動の力にしていきましょう。

 

2月9日 冬ごもり中も、「とよ」の安否確認

只今、「とよ」は冬ごもり中です。

静かに見守ってやってください。

しかし、お寺のみなさんや「とよ」のお世話隊は、安否確認のため、そっと見に行っています。

家が近い会員の方の中には、何度も見に行ってくださっている方もおられます。

今日は木曜日なので本部お世話隊が安否確認に行きました。

高代寺は雪。気温0度。庭のスイレン鉢も凍っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獣舎を訪れる人もなく、あたり一面シーンと静まり返っていました。

先週来た時は、「とよ」は寝室の中にある自分で作った藁穴に埋まって、ほんの少しごそごそしたりしていました。

しかし、今日はまったく動きがありません。寝入っているのでしょうか。

呼吸に合わせて体が規則正しく膨れたり縮んだりしているだけです。

完全に冬ごもり中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万一に備えて運動場に積んであるドングリも全く食べた形跡がありません。

もちろん、糞もゼロ。

プールの水も澄んだままです。

糞取りも、プール洗いも何もする必要はないのですが、それでも、お世話隊は「とよ」を訪れます。

生き物を飼った責任感+みんな、「とよ」がかわいくて、たまらないのです。

 

平成28年度、京都府では67頭のツキノワグマが有害駆除されました。

これまで京都の山に放獣させてもらえなかった「とよ」が不憫でなりませんでした。

しかし、あの時、放獣していたら、民家の柿の実を夜中にこっそり食べに来た罪などで、今頃はもう殺されていた可能性が大です。

どっちの方が「とよ」のためなのか、かわからなくなってきました。

 

江戸時代に書かれた本「北越雪譜」には、「熊は和獣の王、猛くして義を知る」と書かれています。

同本中の実話「熊に助けられた男」を読むと、先人たちが熊を畏れ敬った訳がよくわかります。

熊はむやみに人を襲う動物ではないが、かわいいだけのぬいぐるみでもありません。

人間と同じように、喜びや悲しみ、恐怖、不安など、豊かな感情を持った生き物です。

 

この国土で人と熊が共存するには、お互いに正しく相手を知らねばなりません。

冬ごもりが明けたら、また多くの大阪府民に来ていただいて、熊がどんな動物なのか、「とよ」とふれあって欲しいです。

アイヌの人達、韓国の人達、ヨーロッパの人達、先人たちが熊に「神」を見た訳を、少しでも知って欲しいです。

 

 

 

 

 

ヒグマ冬眠穴の横にハンターが立ちチェンソー伐採、飛び出してきた母熊を射殺、穴に新生児熊3頭

以下、1月30日テレ朝ニュースより

 

北海道の新冠町で生後一月に満たないとみられるクマの赤ちゃんが3頭見つかり、保護されました。

 

 

 

 

 

 

 

1月28日、新冠町の山林で木の伐採をしていた男性が近くの穴から出てきたクマを見つけて駆除しました。

その後、穴の中から鳴き声がしたため、穴の中を探したところ、3頭の子グマが見つかりました。

いずれも生後1カ月未満の生まれたばかりの個体とみられます。

子グマは「のぼりべつクマ牧場」が引き取ることに決まり、育児経験のある雌グマに育てさせるか人工での飼育も検討しているということです。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000093266.html

以上。

 

 

ひどい事件です。熊森本部や支部が役場に電話をして、詳細を聞いてみました。

 

熊森本部の聞き取り報告

(電話をしたところ) 新冠町役場 産業課 林務班

新冠町の山中で6~7人で木をチェンソーで伐採する作業をしていた。

作業員のひとりが、現場近くにヒグマの冬ごもり穴を発見。

作業員の中のハンターが、穴からクマが出てこないか監視していると、穴から母グマが飛び出してきたので危険と判断し、銃で射殺した(有害捕獲ではなく狩猟として対応)。

その後、冬眠穴から鳴き声が聞こえてきたのでのぞいてみると、生まれたばかりのコグマが3頭いた。

ハンターが連れ帰って、警察や振興局に相談しにいった。

登別クマ牧場が引き取ってくれることになった。

 

熊森から

これはもはや事件というより、犯罪です。

母グマは、外界で人間が立てるチェンソーの大きな音に恐怖を感じ、穴から飛び出したのです。

飛び出してくることが予測されるから、ハンターは穴の前で銃を持って構えていたのでしょう。

ヒグマの冬眠穴があることがわかったら、そこでは伐採作業をすべきではないなど、小学生でもわかる人の道です。

ヒグマの冬ごもり期間中に木を伐採するなら、秋の時点でそのあたりでヒグマが冬眠しないように忌避剤をまいておくなど、人道的な準備が必要です。

新冠町担当者に、クマの冬ごもり穴を発見した時点で、作業を中止すべきであったと、山林伐採業者に指導していただけるようお願いしました。

狩猟は全て残酷ですが、その中でも穴熊を撃つのは、特に卑劣だと思います。

新生児グマを見て見殺しにできなかったハンターの心に、少しはホッとするものを感じましたが、それにしても後味の悪いひどい話でした。

 

 

 

 

環境省特定鳥獣保護・管理計画(クマ類編)ガイドライン に対する熊森の主な見解 その1

これからパブリックコメントを書かれる方のご参考にして頂ければ幸いです。

特定鳥獣保護・管理計画(クマ類編)

 

特定について

・野生鳥獣は、①豊かな自然環境の中で、②多種多様な無数の生物たちと網の目のように繫がりあって、絶妙のバランスの上に生存している。生態系まるごと見ていくことが大切であり、特定の鳥獣だけを取り出して問題を解決して行くことは不可能である。自然がどういうものかわかっていない。特定という言葉を外すべきである。

管理について

・「管理」という行政言葉は、銃や罠で殺して、野生鳥獣の生息数を人間の都合がいいようにコントロールする(=下げる)ことをさす。保護にしろ管理にしろ、人間が野生鳥獣の生息数をコントロールすることなど不可能であることを知るべきである。自然がどういうものかわかっていない。

「クマ類との共存計画」と表題を変えるべきである。

 

(1)クマ類の生息状況

p2-14 分布の拡大 → 分布域の最前線が人間の生活圏に近づいても、兵庫県のように、山に棲めなくなり、集落周辺に分布域を移動させてドーナツ化現象が起こしていることも考えられる。分布が拡大したと決めつけるべきではない。布の拡大または移動が考えられるとすべき。

p2-19四国のツキノワグマは、近年では10数頭しか確認されておらず、近未来、絶滅の危険性が極めて高い。→このように言われてから久しい。高知県と徳島県に任せておくだけでは、全く改善の兆しがみられないので、環境省が国家プロジェクトとして高知県や徳島県と共に絶滅回避に取り組むべき。

 

(2)捕獲動向

P4-2 狩猟獣→手負いのクマを生んでおり、人身事故の原因となっている。見直すべき。

P4-10 数年に一度の発生 → 2004年2006年2010年の3回あっただけで、数年に一度と決めつけられない。

 

(3)被害状況

1)農林業被害

P7-9森林被害 →事実誤認。クマは森造りの名人であり、森に被害を与えることは一切しない。具体的な中身を書くべき。スギの皮はぎを指すのなら、森林被害ではなく林業被害。クマは昔はスギの木の皮の片方しか剥がなかったので、スギを枯らすことはなかった。最近は全周の皮を剥いで、放置人工林のスギを間伐状態に枯らしている。これは放置人工林の荒廃を見かねたクマによる森造りのための無料間伐であり、林業的には被害かもしれないが、森林被害ではない。林業被害には被害防除対策が必要であり、現在も多額の補助金が使われている。広大な単一造林を生んだ森林政策の見直しが必要である。

 

3.ガイドライン改訂にあたっての課題

(1)ガイドライン改訂の背景

p10-7近年のクマ類の生息動向の変化やクマ類を取り巻く自然環境の変化、人間の社会状況の変化に伴い、

→ 最大の問題点は、クマ生息地に造り過ぎた人工林であり、明記すべきである。また、近年のクマ類の生息動向の変化・クマ類を取り巻く自然環境の変化・人間の社会状況の変化を並列に並べるのは間違っている。植え過ぎた人工林や、クマ類を取り巻く自然環境の変化・人間の社会状況の変化があって、クマ類の生息動向の変化が生じているのである。よってこの部分は、それぞれの中身も具体的に入れて、「植え過ぎた人工林や、近年のナラ枯れ、ブナのシイナ率の高まり、下層植生の消滅などクマ類を取り巻く自然環境の変化、過疎化・高齢化による地元の被害防除力の低下など人間の社会状況の変化に伴い、クマ類の生息動向の変化がみられるようになり」と、原因と結果が人々にはっきりわかるように書きなおすべきである。

 

誤捕獲グマ問題

p10-37錯誤捕獲の増加が懸念 → シカ・イノシシの多い所では、シカ・イノシシ用の捕獲罠が無制限数掛けられるようになり、箱罠の中の米糠の発酵臭にクマが誘引されたり、環境省の直径12センチ規制を緩和した直径20センチのくくり罠にクマの足がかかるなど、クマの誤捕獲数は、府県によっては恐るべき数に上っている。また、環境省の誤捕獲グマ放獣はまっとうな指針であるが、県によっては指針を無視して大量に殺処分しているところもあり、誤捕獲グマ問題は、クマ保全への脅威である。環境省は早急に実態を調査して、問題県が誤捕獲が起きない対策をとり、誤捕獲された場合は放獣するよう指導に乗り出すべきである。

 

1種2種問題

p11-8~12第1種保護、第2種管理の選択が必要→同一都道府県内でも場所によって生息状況はかなり違う。1種2種の二者択一的な分類は、四国のツキノワグマのようによほど極端な事態にならない限り、判定できない。自然界は個体群でとらえるべきで、人間が線引きした都道府県の行政ラインではとらえられない。また、著しく増加、著しく減少という表現も基準が曖昧で、原因を考えず生息数の変化だけ見て保護対象か管理(=捕殺)対象か判断してはならない。著しく増加したわけでもなく、著しく減少したわけでもないというところがほとんどなのに1種2種を選択せよというのは、あまりにも現実とかけ離れ過ぎている。それどころか、1種2種と決めつけてしまうことで思考停止が生まれ、今回の秋田県のように、うちはクマは第2種で管理対象だからどんどん捕殺すればいいのだとでもいう安易な捕殺推進体制を生む恐れがある。自然がどういうものかわかっていない。今後、1種2種の分類はやめるべきである。

 

 

 

 

 

クマ関連パブリックコメントに応募を 締切 秋田県1/20、群馬県1/26、岩手県1/27、島根・西中国2/17

クマ保護計画(一種)または、クマ管理計画(二種)について、以下の県がパブリックコメントを募集中です。本部はせっせと応募しています。

 

締切:1月20日中

秋田県クマ管理計画 (提出先:生活環境部自然保護課 調整・自然環境班 FAX:018-860-3835  Mail:shizenhogoka@pref.akita.lg.jp)

募集要綱等URL:http://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/18960

郵送の場合は、平成29年1月20日の消印まで有効です

 

締切:2017年1月26日まで

群馬県クマ管理計画 (提出先:農政部鳥獣被害対策支援センター FAX:027-371-0090 Mail:choujise@pref.gunma.lg.jp)

募集要綱等URL:http://www.pref.gunma.jp/07/ai0900017.html

※意見募集対象は群馬県民もしくは群馬県に所在する団体等のみです。

 

締切:2017年1月27日まで

岩手県クマ管理計画 (提出先:環境生活部自然保護課 FAX:019-629-5379 Mail:FA0031@pref.iwate.jp)

募集要綱等URL:http://www.pref.iwate.jp/public_comment/44191/051613.html

 

締切:2017年2月17日まで

島根県・西中国地域クマ保護計画 (提出先:農林水産部森林整備課鳥獣対策室 FAX:0852-22-6549 Mail:choju@pref.shimane.lg.jp)

募集要項等URL:http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/ringyo/choujyu_taisaku/tokuteikeikaku_ikenbosyu.html

 

ぜひ皆さんのご意見を、各クマ行政へ届けてください。

 

環境省特定鳥獣保護・管理計画(クマ類編)ガイドライン に対するパブリックコメントの募集について

今日のニュースが、霊長類の60%に絶滅の赤ランプがついたことを報じています。クマもその保全には広大な自然が必要であり、人間がよほど注意して保護体制を保持していないと滅びてしまう動物です。環境庁(当時)は、1999年の地方分権一括法案で、クマに関する権限を都道府県に降ろしましたが、クマに関する権限をもう一度国に戻して、日本国として責任を持って国内のクマ保全に取り組む必要があります。

 

特に、四国のクマについては、もう待ったなしの「風前の灯」状態であり、地元県に任せておいては保全が不可能なことが明らかです。環境省が日本国の威信にかけて日本国の名で「四国のクマの絶滅回避」に乗り出すべきです。(国民の皆さん、声を上げてください)

 

今回パブリックコメントを募集中の特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ編)は、生息推定数でクマ対応を決めるのではなく、国土をコア生息地・緩衝地帯・防除地域・排除地域にゾーニングして、コア生息地域では狩猟や捕獲を禁止するなど、当協会が長年主張してきた祖先の棲み分け共存法を大々的に取り入れており、その面では大変すばらしいものです。

 

しかし、問題は、絶えず新しい人が担当することになる都道府県の鳥獣担当者が、読むのか?どこまで守るのか?ということです。前回のガイドラインにも、クマ保護を意識したすばらしいことが書かれていましたが、現実には、都道府県が守っていなかったり、殺処分しやすいように勝手に規制緩和してしまったりしています。秋田県の場合、平成28年のクマ有害捕殺は468頭にものぼり、生息推定数1015頭の46%を1年で捕殺したことになるなど、もう無茶苦茶なことをやっていますが、環境省の指導はゼロでした。

 

環境省には、チェック体制も指導体制もないのです。目に余る場合、当協会が環境省に、都道府県がガイドラインを守るように指導してほしいと要請するのですが、権限外として国は動いてくれません。これでは多くの国民の声を聞いて、いくら立派なガイドラインをつくってみたところで、完全に「絵に描いた餅」です。

一生懸命考えてパブリックコメントに応募したわたしたち国民の労力はいったい何だったのでしょうか。全く報われません。ガイドライン作りが環境省の遊びになってしまっていると感じるのですが、言い過ぎでしょうか。

 

 

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