くまもりHOMEへ

ホーム > _クマ保全

カテゴリー「_クマ保全」の記事一覧

9月8日熊森本部、岡山県の山を調査 森林破壊により、クマが山から出て行ってしまっていた

はじめに

岡山県の山を知っている人は、岡山県にクマが残っていると聞くと驚かれるのではないでしょうか。

なぜなら、山が観光やレクレーションのために開発され尽くしており、人間がどこまでも山に入り込んでいるからです。

クマがいる地域は岡山県東部の兵庫県に接する西粟倉村と旧東粟倉村(現:美作市に合併)あたりで、面積にすれば岡山県のほんの一部だけです。

少し前までは、岡山県にクマが残っていても、10頭程度だろうと言われていました。

 

クマの分布 JBN作成

水色は環境省2004年確認地点、赤色は2014年の分布拡大地点

 

大量捕獲

ところが、山の実りゼロの異常年だった2010年には、何と岡山県で60頭のクマが捕獲され、全頭放獣されたのです。

兵庫県から大量に入ってきたのではないかという説もありましたが、真相は不明です。

その後は落ち着いていましたが、平成28年度は、目撃数が237件、有害捕殺が12頭(西粟倉、美作、勝山)、錯誤捕獲が28頭という大量捕獲となりました。

しかも、最近は、岡山県の西方面にも目撃が広がりだしました。

目撃数が増えたのは、この年、秋田県でクマによる人身事故死4名があったので、人々がクマに神経質になって、犬やイノシシをクマと見間違って報告したり、それまで見かけても気にせず届けなかった人達が行政に届け出たことも考えられます。しかし、40頭もの捕獲は、どう説明すればいいのでしょうか。

 

岡山県今年からクマ狩猟再開

岡山県は、兵庫県でMCMC法によるベイズ推定でクマの生息数を推定した研究者に岡山県のクマ数を推定してもらい、中央値205頭という数字を得たため、クマが激増しているとして、兵庫県にならって今年からクマ狩猟を再開することにしました。

 

 

熊森本部が後山連山調査に

9月8日、くまもり本部調査研究員3名は、岡山県にそんなに多くのクマがいるのだろうかと、兵庫県から西粟倉村に入り、兵庫県境にある岡山県の最高峰後山(うしろやま旧東粟倉村)標高1345m(「西大峯山」とも呼ばれ、かつては修験道の中心地)あたりを調査してみようと出かけました。

 

 

この日の移動ルートを以下の図に示します。人工林の部分がわかるように、早春のグーグルアースに重ねてみました。

濃い緑色の部分がスギやヒノキからなる常緑針葉樹の人工林、ベージュ色の部分は落葉広葉樹の自然林です。白色は残雪です。

赤線が車で移動した部分 黄色い線が歩いた部分(クリックすると拡大します)

 

毎回、このあたりに来ると、左右の山のほとんどが人工林であることに驚かされます。

人工林率は西粟倉村が85%、旧東粟倉村が73%、植えられるだけスギやヒノキを植えたという感じです。

クマの棲める広大な自然林など残っていません。

 

 

すばらしいながめ

ダルガ峰(なる)林道の展望台で昼食をとりました。

ここから、後山連山である駒の尾山(1280m)、後山方面への見晴らしは、抜群でした。さわやかな風に吹かれて、快適度100%です。

ここから見える範囲に205頭のクマが生息しているのでしょうか。

 

昼食後、車を置いて、ダルガ峰(なる)標高1163mに向かいました。

不思議なことに、こんな標高の高い山のてっぺんに、約80ヘクタールの平地が広がっています。

 

ダルガ峰(なる)の入り口 

 

「クマ注意」の看板を見て、私たちはクマに会わないように、鈴を鳴らしたり手をたたいたり大声を出したりしながら進みました。

皆伐された人工林の木の切り株がずらっとならんでおり、跡地はススキが原になっていました。

ところどころに生えている木は、ほとんどすべてシカの食べないウリハダカエデです。

道は平らで、中国自然歩道として立派に整備されており、最初のうちはとても楽しかったです。

しかし、良く考えてみると、ここは元々、クマたちの国だった場所です。

人間がこんなことをしてもいいのだろうかと思いました。

 

クマの餌も痕跡もなし

そのうち人工林地帯に入りました。

標高1000メートルを超えてまだ人間がスギを植えるなら、もうクマの居場所はありません。

祖先がしていたようにせめて標高800メートルより上は野生動物たちに返してやらないと、もうひとつの国民である野生動物たちとの共存などできません。

広葉樹林地帯もありました。しかしここのミズナラやブナにはなぜか実がなっていない木が多いのです。

私たちは約1時間半、クマの痕跡とエサを探して注意深く歩き続けましたが、何もありませんでした。何という山だ!

この山は人間が楽しいだけで、クマは時には通るかもしれないが棲めないと確信を持ったので、引き返すことにしました。

 

帰りは、もう、音や声を立てず、黙って下山しました。こんな山にクマなどいるはずがないと思ったからです。

1000メートル級の山々が連なる岡山の奥山連山にクマが棲めないのなら、岡山のクマはどこで何を食べて暮らしているのでしょうか。

駐車していた所まで戻り、車でアスファルトの道路を一気に下りました。

 

低標高地帯にクマの痕跡

周囲は延々と続く人工林地帯ですが、低標高まで下りて来たとき、道路沿いの1本の桜の木に今年の熊棚ができているのを見つけました。

サルナシの実もなっていました。

岡山のクマたちは、山ではなく、こんな人目を忍ばねばならない道路の横で餌をとっているのかと思うと、かわいそうになりました。

町まで降りると、姿を隠せる小さな自然林がいくつかありました。ドングリの木もありました。果樹もあります。

岡山のクマたちは、むしろこのあたりに身を潜めているのではないでしょうか。

 

熊森本部は近年、兵庫の奥山が荒れてクマが棲めなくなっていると大問題にしてきましたが、岡山の奥山の動物の棲めなさは兵庫の比ではありませんでした。

 

行政担当者のみなさんは、休みの日に山を歩いてみてください

岡山県のクマが激増しているとコンピューターで計算した研究者は、西粟倉村や旧東西粟倉村の連山を最近歩かれたことがあるのかたずねてみたいです。

夕方になっていましたが、今年からクマ狩猟再開を決めた岡山県行政に会いに行って、担当者に狩猟再開にあたって山を調査されたかたずねました。答えは、行ったことがないということでした。

 

クマが人里に出て来るのは増えすぎたからであり、猟期にはクマを山中で狩猟して個体数低減を図るべきという、兵庫県や岡山県が進めている政策を、みなさんはどう思われますか。

自然界の事は、25年間調べ続けている私たちにもわからないことでいっぱいです。

しかし、もし本当にクマが激増しているのだとしたら、何を食べて増えているのか、クマ狩猟再開を行政に進言してきた研究者たちは明らかにすべきでしょう。

 

行政は県民にクマ情報を公開すべき

実は、熊森本部は昨年度、クマ情報の公開を兵庫県に求めました。その中の項目の一つに、これまでに捕殺されたクマの胃内容がありましたが、公開を拒否されました。そこで、仕方なく兵庫県情報公開審議会に訴えました。審議会の答申は、「胃内容に関しては、(森林動物研究センターの研究者が)研究に用いるデータとしての状態が記載されていない部分に限り、公開する」でした。

しかし、この答申に基づいて、兵庫県が最終的に熊森に提示した胃内容情報は、全てが白紙か黒塗りでした。

 

このような研究者や行政の態度を、私たちは大変残念に思います。

一体何が起こっているのか、情報を提供してくださらないと私たちは考えられません。

民主主義の第一歩は情報公開のはずです。

 

クマ狩猟再開だなんてとんでもない

今回の調査で、私たちは、岡山県の知事さんに会って調査報告をし、クマ狩猟を再開するなどという無茶なことをやめていただくように訴えたいと強く思いました。

もし猟期に山にクマがいたなら、ここにいたら撃たれないとクマに思わせることが、地元の人たちにとってもとても大切なことなのです。

行政担当者のみなさんは、忙しくて奥山を調査する時間などない大学の先生たちの指示を鵜呑みにしないで、どのような政策が本当に地元の人たちの為になるのか、今一度、自分の頭でじっくりと考えていただきたいです。(完)

兵庫県環境審議会が、審議らしい審議もなく、今年もクマ狩猟を原案通り承認 茶番100%

9月4日、今年の兵庫県クマ狩猟をどうするかを決める兵庫県環境審議会鳥獣部会が、兵庫県庁北、のじぎく会館で持たれました。

直前の8月30日の兵庫県のホームページに審議会開催の予告が出ましたが、気づいた県民はまずいないでしょう。

傍聴者は熊森本部からの3名のみでした。

 

前の7名は審議会委員のみなさん、後方の大勢の方は行政担当者

 

会の冒頭、兵庫県秋山環境部長から、本審議会で、「ツキノワグマの狩猟による捕獲等の制限について」ご審議願いますという挨拶がありました。

 

この後、部会長の兵庫県立大学江崎保男教授の進行で、まず、兵庫県鳥獣対策課の藤本副課長が配布資料に基づき諮問内容(=意見を求める内容)を説明されました。

 

(主な諮問内容)

平成28年度兵庫県ツキノワグマの推定生息数がMCMC法によるベイズ推定で中央値が897頭であり、環境省狩猟基準の成獣800頭を超えているに相当するため狩猟対象とする。

クマは冬眠するため、狩猟期間は11月15日~12月14日とする。

狩猟者一人当たり原則1頭。安全講習会を受講すること。

依頼事項として、親子グマは捕獲しないこと。

捕殺上限設定は、(環境省規定では、通常、推定生息数の12%以下だが、)兵庫県の場合は分布域拡大により人間との軋轢が増加しているので、人身被害、精神被害、農林業被害防止のための有害捕殺と合わせて(環境省規定最大の)15%を捕殺上限とする。

897頭×0.15134頭が捕殺上限

()内は熊森捕捉

 

この後、兵庫県森林動物研究センターの廣瀬専門員から、ツキノワグマの目撃数や捕獲数が増加していること、生息域が阪神間北部にまで拡大していること、今年からゾーニングを取り入れて、個体数低減のために集落内だけではなく集落から200メートルまでのクマを有害捕殺していること(8月末までの有害捕殺は28頭)、昨年度人身事故が4件発生したこと、昨年度のツキノワグマ狩猟数は4頭だったことなどについて報告がありました。

また、昨年度のクマ狩猟講習会参加者140名に狩猟後アンケートを取ったところ、122名から回答があり、クマを狙って獲ろうと思った人は23名、後の8割は、狩猟中にクマに出くわしたら撃てるようにしておこうと思った人で、実際に山でクマに出会った人は16名だったそうです。

 

熊森は、行政のクマ対応を聞いてずっこけました。

●人間活動によって大荒廃している餌のない山の話に全く触れられていない!

●全国一律の環境省基準に、兵庫県の特質も考慮せず機械的に数字を合わせているだけ

●相手(クマ)の立場に立って考えることがさっぱりできていない

兵庫県と比べ物にならないほど森が深く豊かで人口密度の低い東北などのクマ狩猟県と同一基準で捕殺するのは無謀です。

人間が壊した生息地の復元も出来ていないのに、人前に出てきたクマを数が増えすぎているなどと安易に判断して捕殺するのは誤りです。

また、MCMC法によるベイズ推定を使用するとお好みの生息推定数にできると専門家によって指摘されているのに、耳を貸そうともしていません。

これでは、とてもクマの保護など任せられないと思いました。

クマがこの審議会を傍聴していたら、あまりの人間の身勝手さ残酷さに泣いたと思います。
山に食べ物がないから、人里に出て行っているのであり、ドーナツ化現象を起こしているだけです。

狩猟で人間の怖さをクマに教えると言いますが、今、銃の性能が飛躍的に向上しており、クマを追い掛けまわす必要はありません。

狩猟でクマを撃ち殺してしまうと、人間の怖さを知ったクマはいなくなります。

 

さあ、ここからが審議です。

しかし、委員の先生方の発言は誠に低調で、先程の兵庫県の説明に少し質問がある程度、兵庫県がそのたびに長々と答えていました。

諮問内容に対する意見は無きに等しかったです。

しいて意見らしきものと言えば、猟友会の方が発言された、「狩猟圧をかけて何度クマを追いやっても、奥山が豊かな森でなければまた出てきます。奥山生息ゾーンという名を、豊かな森ゾーンというようなインパクトのある名前にして、みんなで豊かな森について考えるべきではないでしょうか」だけでした。

しかし、この意見は流されました。

 

こうして、この審議会によって諮問内容は何一つ審議されないまま、原案通りの審議会答申となるのです。

これを茶番と言わずに何というのでしょうか。

 

熊森は25年間クマ問題に取り組んできた熊森の副会長を審議会委員に入れてほしいと、ずっと兵庫県にお願いし、面接まで受けましたが、はねられました。

熊森メンバーが審議会委員に入れば、現地を調べ続けているので、山のように意見が言えるのにです。

 

どこでも行政は、審議会をセレモニー的なものにしておきたがるようですが、そんなことではいい国が造れません。今のような体質を、とても残念に思います。

喧々諤々の議論があって初めて人々の思考は深まるのです。

 

 

帰宅後、審議とは何か、辞書で調べてみました。

ある物事について詳しく調査・検討し、 そのもののよしあしなどを決めることとありました。

 

かくして、今年も哀れ、山の中にひそんでいるクマまでが、「すごいアウトドア」として、ライフル銃で人間の楽しみのために撃たれるのです。

地元では、動物なんて殺してしまえという大きな声の人の陰に隠れてしまっていますが、生息地を破壊しておいて殺すことに胸を痛めておられる方は猟友会員も含め、何人もおられます。

みんなで、おかしいぞの声を挙げましょう。

でなければ、行政の方々は気づかれません。

肩書は立派だが野生動物を殺すことに何の心の痛みも感じない特殊な人の言いなりに動かれてしまいます。

 

 

以下、   NHK テレビ     関西 版 9月8日

兵庫 クマ狩猟ことしも解禁へ

 

ツキノワグマの住宅周辺への出没が増えていることなどから、兵庫県の環境審議会は、去年、20年ぶりに解禁したクマの狩猟をことしも認める方針を決めました。

動物の研究者や猟友会の代表などでつくる兵庫県の環境審議会は、県内のクマの生息数が去年4月の時点で897頭と推定され、狩猟が妥当とされる800頭を上回っているとしています。

またことし4月から7月までのクマの目撃などの出没件数が、去年の同じ時期を100件以上、上回る306件にのぼり、4月以降、2人が襲われけがをしているということです。

このため審議会は生息数の調整が必要だとして、去年、20年ぶりに解禁した狩猟をことしも解禁し、11月15日から1か月間、134頭を上限に狩猟を認める方針を決めました。

審議会の委員で、兵庫県森林動物研究センターの横山真弓部長は、「クマの出没が増え、人的被害も起きていて狩猟による捕獲が必要だ。また、クマを人里に寄せつけない取り組みも求められる」と話しています。

一方、(審議会を傍聴していた)西宮市の自然保護団体、「日本熊森協会」の森山まり子会長は、「森林(奥山)の環境が整備されていれば、里山からクマが下りてくることはない。狩猟ではなく、共存の方法を探るべきだ」としています。

くまもり本部2017年9月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)

※拡散希望

熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。

会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。

学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。

ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。

本部電話番号 0798-22-4190

本部FAX番号 0798-22-4196

メール contact@kumamori.org

 

2017年9月の活動予定

<いきものの森活動>森林整備

いきもり風景(皮むき間伐)

9月9日(土)柿の植樹地の草刈りと電気柵設置(兵庫県宍粟市波賀町原)

9月23日(土)高代寺の竹の伐採(大阪府豊能郡豊能町)

午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

  • いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

天候不順で中止になることがあります。

当日連絡先090-1073-0980(担当:家田)

 

<環境教育例会(於:本部事務所)>自然の大切さを伝える

環境教育例会

9月7日(木)10:15~ 見学も歓迎。

  • 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。

 

<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>飼育グマのお世話

お世話の人にもらったリンゴを食べるとよ

9月7日、14日、21日、28日(毎週木曜日) 

  • 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。

現地までの交通手段は本部にご相談ください。

 

<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>飼育グマのお世話

暑そうな太郎

9月24日(日)(毎月第4日曜)

参加費:1000円(交通費)

  • 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。

午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

 

環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。

太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。

自車参加も可能です。

たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

ヒグマの背こすり 北海道遠軽町

お盆の帰省中である8月13日、北海道遠軽町でヒグマの追い払いを行っている岩井基樹さんを訪ね、調査されている森を見せていただきました。

ヒグマの爪痕

 

森に入ると、エゾマツやトドマツの木にヒグマの爪痕が付いていました。ふだん、柿の木などについたツキノワグマの爪痕を調査している私にとって、ヒグマの爪痕は、さすがに大きく感じました。

砂利道の林道を車で進んでいくと、ヒグマの大きな糞がありました。

フキノ葉を食べたヒグマの糞

 

中身は、ほとんどがフキです。周辺には食べても食べても食べきれないまでのたくさんのフキが生えており、夏のヒグマの主な食料源となっています。

糞の臭いを嗅いでみましたが、臭いはほとんどありません。

クマは消化力が弱いので、食べたものの臭いが糞にそのまま残されます。ふつう、臭くないのが特徴です。

ツキノワグマはもちろんですが、ヒグマもほぼ植物食です。

北海道の「ヒグマの会」副会長の山本牧氏の講演によると、1970年代、1980年代の ヒグマの糞を調査したところ、98%が植物質で、残りの2%は、アリ、ザリガニ、自分の体を舐めた体毛で、ほぼベジタリアンだったそうです。

最近は、有害駆除されて山に放置されたシカの死体や山すそまで農地化された畑の農作物や牧草も食べるようになりました。

クマは人間と同じく雑食性ですから、環境の変化で食べ物も自由に変わります。人間が、クマの食性を変えているのです。

 

 

しばらく進むと、エゾマツの木に大きな爪痕が2つついていました。木に登った様子もなく不思議な爪痕であったため、岩井さんにきくと、

「これは、ヒグマが背こすりをした爪痕です。この木には何度か背こすりしに来ています。」

と教えてくださいました。

ヒグマが背こすりに通うエゾマツ(この奥は人工林)

 

クマの4つの足では、かゆくなっても背中をかくことができません。

背中がかゆくなった時は、背中を木の幹に当て、2本の前足を後ろ手にあげて木に爪をたて、体を固定します。

そして、背中を動かして木にこすりつけます。

この時についた爪痕だそうです。

よく見ると、幹にヒグマの毛がたくさんついていました。

どのクマか知りませんが、なぜかこの木が気に入って、何度もこの木に来ているそうです。

北海道には、熊の住む豊かな森がまだまだ残されています。

 

下の写真は、実家近くの裏山です。

下層植生も豊かな森

 

ここは市街地に近いのですが、時々ヒグマの目撃があるようです。

ここで暮らしていた時には、このような森を当たり前に思っていました。

しかし、熊森で仕事をするようになって、全国各地のクマ生息地を歩く中で、故郷の森がいかに豊かで貴重な森であったのかわかるようになりました。

兵庫県をはじめ、食料の乏しい荒れた森に棲んでいるクマたちに、北海道の豊かな森を分け与えてやりたいです。

兵庫・岡山:国が狩猟獣と定めているからと、頭数基準だけを見て山の違いを考慮せず、クマ狩猟

2017年度のクマ狩猟がどうなるのか、熊森本部は、東中国山地にある3県の各担当部署に問い合わせてみました。

 

8・31 兵庫県鳥獣対策課

今年もクマ狩猟を続行する。

狩猟と有害捕殺を合わせて、平成29年4月1日~平成30年3月31日までの1年間の上限殺数を134頭とする。

根拠・・・(県内推定生息数897頭×0.15=134頭)

 

(今年度のクマ狩猟の詳細は未定)

9月4日午後1時30分~兵庫県環境審議会鳥獣部会(於:のじぎく会館、傍聴可)で決める。

 

8・31 岡山県自然保護課

生息数増加により、17年ぶりに今年からクマ狩猟を再開する。

狩猟と有害捕殺を合わせて、平成29年4月1日~平成30年3月31日までの1年間の上限殺数を30頭とする。

根拠・・・(県内推定生息数205頭×0.15=30頭)

 

(今年度のクマ狩猟の詳細)兵庫県を参考にした。

ツキノワグマの狩猟期間は11月15日から12月14日までの30日間。銃猟のみ。

10月6日にクマ狩猟講習会を開くが、講習会に参加しなくても、銃猟狩猟者のクマ狩猟OK。他府県狩猟者もOK。

狩猟後狩猟者は最寄りの県民局森林企画課又は地域森林課に報告する。

専門員が駆けつけて、体重、体長、年齢(クマを見ればおよそ何歳かわかる)を測定する。クマの遺体は狩猟者が全てもらえる。

 

熊森:何故、上限が30頭なんですか?

岡山県:国のガイドラインに基づき、県内の生息数に捕獲上限割合(15%)を乗じて算出しました。
205頭は、平成28年末時点の県内の推定生息数(中央値)です。

熊森:数えたわけではなく、計算で出しただけの推定生息数の信憑性がまず問題です。次に、山の状態です。私たちは東北地方のクマの生息地を調査してきたばかりです。北海道よりは劣るでしょうが、それでも森の深さ、餌供給量は西日本の山とケタ違いに大きく、別の国の山かと思うほど豊かでした。一方、西日本の山は浅く、奥まで人間が入り込んでおり、開発もすさまじく、山が荒廃。餌供給量は非常に乏しい。いくら日本が中央集権国家だからといって、中央で決めた15%の値を全国一律に使用するのは間違っています。元々、環境省の指導が問題なのですが。全国一律に、スギ・ヒノキを植えよと言われて、スギ・ヒノキに向かない山にまでスギ・ヒノキを植えて失敗した拡大造林の過ちの繰り返しじゃありませんか。
兵庫県も岡山県も、ハンターにクマ狩猟を楽しんでもらうような場合ではありませんよ。地元の皆さんのためにも、クマが山に帰れるように森を復元することが、今一番にすべきことです。岡山県の検討会委員の中で、クマ狩猟再開に反対する委員はいなかったんですか?

岡山県:ひとりだけでした。

熊森:それは、岡山県が環境省指導に賛成する人ばかりを委員に集めているからですよ。もっと多様な意見の人を入れないと議論が深まらないし、政策決定を誤りますよ。1時間程度の講習会を受けたからと言ってどうということはないでしょうが、クマ狩猟の経験がない人でも自由に狩猟して良いなど、クマという動物を舐めすぎです。事故の元ですよ。

 

ちなみに、鳥取県はクマ狩猟を再開しないそうです。

理由は、山中にいるクマまで撃つのはおかしいと思うからだそうです。

一番まっとうだと、熊森は思いました。

 

☆東中国山地のクマ狩猟について、みなさんはどう思われますか。

山中のくくり罠にかかった子グマを見ていた猟友会員、母グマにかまれ重傷 子グマを母グマの目の前で射殺 

以下、 8月16日朝日新聞ヤフーニュースより

 

 16日午前6時10分ごろ、長野県信濃町大井の山中で、近くに住む猟友会所属の建設作業員、島田輝明さん(60)がクマに頭などをかまれたと、島田さんの友人から119番通報があった。長野中央署と長野市消防局鳥居川消防署によると、島田さんは、頭から顔にかけて複数回かまれて重傷を負い、長野市内の病院に搬送された。

 

島田さんはイノシシを捕獲するため山中にワナを仕掛けていて、ワナ(熊森注:くくり罠)にかかった子グマ(体長約75センチ)の様子を見ていたところ、母親とみられるクマが現れ、かまれたという。

 

島田さんは近くの道路まで逃げ、友人に電話した。

 

信濃町産業観光課農林畜産係によると、猟友会や町職員が現場に駆けつけた時、子グマは助けを求めて鳴き声を上げ続け、親とみられるクマは、逃げ去らずに興奮状態にあった。猟友会が子グマを殺処分すると、親とみられるクマは姿を消したという。

 

同係は「クマを落ち着かせるため、子グマの鳴き声を止めなければならず、殺処分せざるを得ない状況だった。近くに人家もあり、子グマが成獣になった時、再びこの場所に現れ、人を襲うなどする危険性も高いと判断し、猟友会などと話し合って殺処分を決めた」と説明している。

 

(熊森から)

信濃町産業観光課農林畜産係の主張は無茶苦茶で認められない。

それにしてもクマにとっても人にとっても何と悲惨な出来事であることか。

原因は何か。

棲み分けが出来ていない。

 

肥沃な平地はすべて人間が取った。

であるなら、山中は野生動物の国である。

それを認めないというのであれば、共存などもはやできない。

 

生物多様性条約批准国としては、山中に罠を掛けることをやめなければならない。

今回の悲惨な事件の原因は人間が作ったことを、忘れてはならない。

子グマをすぐに罠から外して逃がしてやるべきだった。

箱罠と違って、くくり罠は外しにくい。

そんな罠を山中に掛けるべきではない。

子グマが誤捕獲されたらどうなるか、当然考えておくべきだった。

西日本のツキノワグマの遺伝的多様性が減っている(2017年、国立研究開発法人森林総合研究所研究紹介より )

論文名

Loss of allelic diversityin the MHC class II DQB gene inwestern populations of the Japanese black bear Ursus thibetanus japonicus(ツキノワグマの西日本個体群におけるMHC遺伝子の多様性低下)

 

著者

石橋 靖幸(北海道支所)、大井 徹(石川県立大)、有本 勲(白山ふもと会)、藤井 猛(広島県庁)、間宮 寿賴(富山県自然博物園)、西 信介(鳥取県林業試験場)、澤田 誠吾(島根県中山間地域研究センター)、田戸 裕之(山口県農林総合技術センター)、山田 孝樹(四国自然史科学研究センター)

 

掲載誌

Conservation Genetics、Springer、2016年10月

 

内容紹介

西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、レッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。これまでの研究から、これらの個体群では、本州中部~東北地方の個体群と比べて、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)というタンパク質を作る遺伝子の多様性が低いことがわかっており、過去に著しく個体数が減少したこととの関係が指摘されています。

 

今回、私たちは新たに2001­~13年に集めたツキノワグマのDNAサンプルを調べ、少し古い年代のサンプルを用いた先行研究と多様性を比べました。その結果、3つの地域個体群や近畿北部の個体群では、先行研究で低い頻度で見られた遺伝子のタイプ(対立遺伝子)の多くが無くなり、多様性がさらに低下していることがわかりました。歯の年輪を調べたところ、私たちのサンプルは1980年代のなかば以降に生まれたクマに由来するものでした。したがって、今回見られなかった対立遺伝子はその頃までに消失したことがわかりました。

 

1980年代以降の保護活動により西中国や東中国個体群では個体数は増えつつ(熊森疑問:戻りつつと表現すべきではないのか)ありますが、それに対して遺伝的な多様性はかなり低下していることが明らかになりました。MHC遺伝子の多様性が低い個体群では、免疫機構が認識できないタイプの病原体による伝染病が蔓延するおそれがあります。この結果は今後これらの地域個体群を健全に保全するために必要な対策に活用されます。

写真:ツキノワグマ

 

(熊森から)

MHC遺伝子というのは、免疫をつかさどる遺伝子です。

 

上の論文によると、この遺伝子の研究から、西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、過去に著しく個体数が減少したことがわかるそうで、現在遺伝子の多様性はさらに低下しているそうです。

 

そんな中で、兵庫県が昨年からハンターに、「クマ狩猟を楽しんでください」と、クマ狩猟を再開しています。この間違った政策を、どう正当化されるおつもりでしょうか。

 

今、兵庫県がすべきことは、棲み分け復活をめざして、奥山人工林を動物が棲める自然林にもどすことです。これ以外にないはずです。

 

現在、ワイルドライフ・マネジメントと称して、厳しい自然界でひとり生き抜いている野生動物たちの命を、人間が好き放題殺してもてあそんでいます。(人間、お前一体何様なんだ?)

もはや異常な精神状態といえるでしょう。

「まっとうな声」を、気づいたひとりでも多くの人が上げねばならない時だと思います。

人間が、他生物の生命の尊厳がわからなくなって、本来のやさしさを失い、無用の殺生に走る。

もはや狂気としか言えません。戦争中の殺戮と同種の狂気です。

 

8月6日  守るべきは、あと十数頭の四国のクマでしょ! 愛媛県支部立ち上げ準備会(於:松山市)

 守るべきはパンダじゃなくて四国のクマでしょ!

愛媛県会員たちの中から、四国のクマを絶滅から救うためにくまもり愛媛県支部を結成しようという、うれしい動きが出てきました。

すでに、支部立ち上げ準備が始まっています。

8月6日の松山市での集まりに、本部から森山会長と本部スタッフも参加させていただきました。

本部は、神戸三宮から神姫バスハーバーライナーに乗って、4時間かけて松山に向かいます。

今や、島々は全部橋でつながっています。すごい技術です。

 

四国山地の人工林率は高率なので、山の動物たちは山で暮らせなくなって悲鳴を上げているはずです。

<四国人工林率>

香川県34%、徳島県63%、高知県66%、愛媛県64%

戦後、見渡す限りスギ・ヒノキが植えられました。

結果、その材は使われているのだろうかと、バスの窓から山々を眺めていました。

しかし、あちこちで人工林が皆伐されていた宮崎県と違って、松山に着くまでの間、1か所の伐採地も見つけられませんでした。

ハーバーライナー沿いでない所で、伐採されているのでしょうか。

四国の山の13%は、国有林です。そのうちの7割が、スギ・ヒノキの人工林にされてしまっています。

国有林を自然林にもどしていただくだけで、クマの絶滅は止められるのではないでしょうか。

注:国有林は、我が国の奥地脊梁山地や水源の森に広く分布しています。戦後、林野庁は、拡大造林政策を展開し、特別会計として林業を企業的に運営してきましたが、海外から安い材が入ってくるようになって経営が行き詰りました。平成24年に成立した法律によって、平成25年から国有林野事業は一般会計に移行されました。(もう、林野庁は、林業で儲けなくても国民の税金で食べていけることに!)

 

 

松山に到着して、初めてお会いする会員さんやその友人とすぐに打ち解けました。

お集まりくださった元気なみなさん (松山市)

 

「守るべきはパンダじゃなくて四国のクマでしょ!」と言われて、おもしろいと思いました。

四国のクマが絶滅寸前といわれて久しく、これまでいろいろな研究者や団体が調査研究に入られています。

ネット検索で「四国のクマ」と入れると、各団体や研究者の膨大なデータが出てきます。敬意を表します。

熊森もずっと気になっていましたが、なかなか手が回りませんでした。

しかし、四国のクマがいよいよ危ないと聞いて、絶滅は何としても止めたい。いてもたってもおれなくなってきました。

 

熊森に何ができるでしょうか。

愛媛のみなさんが言われるには、「四国の者は、四国にクマがいることを知らない」のだそうです。

四国のみなさんに四国のクマのことを知らせ、みんなで守ろうという流れを市民レベルで作って大きくしていく。

これなら、熊森の得意分野ですからできそうです。すでに熊森紙芝居も2回上演されたそうです。

 

四国のクマが増えられない最大の原因は、生息地となる落葉広葉樹林があまりにもわずかしか残っていないことです。

国有林を民間が買うことはできませんが、民有林なら熊森も借りたり買い取ったりできます。

スギやヒノキで埋まっている人工林を買い取って自然林に戻していく。これは、熊森が各地で取り組んでいることです。

人工林の自然林化によって、野生動物たちは守られ、人間は水源の森と災害に強い森を手に入れることができます。

 

熊森に出来ることを何とかしていきたいです。

わたしたちの、四国のクマの絶滅を止めたい気持ちは、誰にも負けません。

 

愛媛県支部結成は、11月5日(日)午後1時から3時 松山市男女参画推進センターで予定されています。

愛媛県の皆さんはもちろん、高知、徳島、香川の皆さんも、ぜひご家族やご友人を誘ってお集まりください。

 

赤丸内が今もクマが残っている所(WWFJより)

前橋市が設置している子グマ捕獲罠について  その後

くまもり本部がグーグルマップで場所特定

前橋市農政部農林課 東部農林事務所に電話して、今回の事故があった場所などをグーグルマップ上で教えていただきました。本部としては今たてこんでおり、現地に駆けつけられていませんが、これで場所や周りの環境をだいたい把握することができました。赤城山のすそ野という感じの場所です。これからは、グーグルマップを用いて、場所や環境を特定してから意見を言うようにすれば、話がもっと通じやすくなると思いました。便利なものができたものです。もちろん、現地に駆けつけることにまさるものはありません。

 

群馬県環境森林部自然環境課野生動物係に本部から電話

<群馬県のクマ放獣体制の現状について確認>

担当者:

以前、群馬県には、クマ放獣体制がありました。2~3年前までは市町村の要望に応じて、年間30~50頭のクマを放獣していました。しかし、人員配置が変わり、今、自然環境課に、クマの放獣ができる人も体制もありません。鳥獣被害対策支援センターというところには、麻酔銃を使える獣医が一人おられ、サルなどの放獣を手掛けておられます。しかし、その方にはクマの放獣経験はなく、クマはできません。イノシシ罠に錯誤捕獲されたクマに関しては、小さな子グマはその場で放獣できますが、それ以外は、殺処分するしかない現状です。

 

群馬県では、人畜の被害は市町村に捕獲権限を委譲しており、農作物被害などについては県庁の出先である県森林事務所が担当しています。今回の場合だと、前橋市長名で、このクマの捕獲申請を前橋市に出し、同じく前橋市長名で、このクマの捕獲許可を出したことになっています。クマが罠にかかったら、前橋市長名でどうするか決めることになっています。

 

熊森からの提案2<行政に、声を届ける>

①前橋市長あてに依頼の電話、メール、FAXなどを送る

(依頼内容)クマが罠にかかったら、すばやく赤城山の奥の水とえさがあるところにドラム缶檻ごと車で運ぶ。檻の扉が水平に引けるように檻を90度倒し、車の中からこの扉にかけたロープを横に引いて放してやってください。この方法だと、獣医さんをはじめ、麻酔銃や吹き矢など、一切不要です。

 

②群馬県知事・農政部長・環境森林部自然環境課あてに依頼の電話、メール、FAXなどを送る

(依頼内容)クマの放獣体制を至急再構築し、誤捕獲グマの放獣が群馬県でもできるようにしてください。

知事 大澤正明 様

総務部秘書課

〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2043
FAX 027-243-3575
E-mail hisyoka@pref.gunma.lg.jp

 

多くの声が届くと、行政も動いてくれると思います。みなさんの声を届けてください。

群馬県支部長も声を届けてくださっています。

群馬県前橋市でクマによる人身事故が発生 本部が電話で聞き取りするも、うまく話し合えず 追加 再追加

2017年7月24日、前橋市で70歳の女性がクマと遭遇し、頭や腹を引っかかれ軽傷を負う事故がありました。会員からの情報を受け、熊森本部担当者は早速、地元行政の担当者に電話を入れ、状況を聞き取りました。以下、概要。

 

●行政担当者

事故が起きた場所は、赤城山中腹の標高500m。クリやクワの巨木(胸高直径20センチ)が多く繁る、まさにクマの夏の食料庫ともいえる山中に、1軒家を建てた人がいます。そこに住む女性(70)が7月24日の早朝4時50分ごろ、一人で山中の林道を散歩していたところ、林道沿いの高さ1.5m程ある篠藪から、突然クマが出て来て引っ掻かれたということです。女性は、幸いにも少し引っ掻かれた程度の軽傷で、体長1m程度の小さなクマだったということです。この方は、ふだんは犬と一緒に散歩されていたようですが、この日は犬の調子が悪くて、お一人で散歩されていたということです。

 

熊森本部

今後どのような対応をされますか。

 

行政担当者

麓集落の方々へは、チラシを配ったり、防災メールを送って、ごみの管理の徹底や早朝・夕方のクマの活動が活発になる時間帯に外出される際は音の出るものを持ち歩くように呼びかけています。人身事故が起きたので、クマの有害捕獲用の檻を設置しました。捕獲したクマは、2次被害を起こさないようにするためにも殺処分します。

 

熊森本部

麓集落にお住いの方々への注意喚起は非常に重要ですので、今後も続けてください。しかし、クマの捕獲罠を設置するのはおかしくありませんか。そこは、クマの生息地です。しかも、捕獲罠を設置しても、事故を起こしたクマが捕獲されるとは限りません。事故を起こしたクマだとどうやって特定するんですか。関係のないクマを捕獲して殺処分してしまう可能性があります。新たな人身事故を防ぐためには、住民がクマにばったり遭遇しないように注意喚起するしかないと思います。

 

行政担当者

無関係のクマを捕獲してしまうかもしれませんが、行政としては2次的被害を防ぐためにも、何か対策をとらないといけないんです。

 

熊森本部

無関係のクマを捕殺して殺処分することが、今後の人身事故を防ぐことに、どのように関係してくるんですか?

 

行政担当者

普通の方はここまで言ってこないです。熊森さんは勉強されているからわかっているでしょ。人身事故が起きたら捕獲罠を設置して、かかったクマを殺処分しなくてはならないんです。他の行政どこもそうでしょ?それを、事故を起こしたクマを特定できないとわかっていながら、人身事故を起こしたクマを特定して捕まえることができるんですか?と聞く熊森さんはずるいです。

 

熊森本部

???・・みなさんは今回の事件を受けて、

①クマを殺して個体数を減らす

②クマによる被害を減らす

どちらが必要だと考えられているんですか?

 

行政担当者

どうして理解してくれないんですか?

 

熊森本部

まず、この質問に答えてくださいよ。そうでないと理解できないです。

 

行政担当者

そんなにわたしたちのクマ対策が不満なのであれば、もっと上の人たちに熊森さんが働きかけて、マニュアルを変えてみてはいかがですか。私たちはマニュアルに沿って実行しているので。パブリックコメントは重要ですよ~。書かれた方がいいですよ。

 

熊森本部

今年1月に群馬県が募集されていた、クマ管理計画改訂のパブリックコメントですか。群馬県のクマ管理計画へ意見提出しましたよ。私は、ちゃんと書きましたよ。クマによる被害を減らすために、被害防止対策を徹底するよう管理計画に書いてくださいって。単に何頭クマを殺すかだけ書くような計画にしないでくださいって。何回も文章練り直して群馬県に送りました。このような意見があったことを全然行政間で情報共有できてないんですか!私の書いた意見を読んでみてくださいよ!

熊森協会はこれまでに国や都道府県に、クマなどの野生動物と人々が共存していくためには何が必要か、各地のクマ生息地を訪れて調査してきましたし、本部のある兵庫県では、クマと人の事故が起こらないように、集落周辺の不要果実をもいだり、クマの潜み場の草を刈りはらったり、クマが集落へ近寄らないよう、クマの目撃が相次いだ山間地域で毎日大きな声を出して追い払いをしたり一生懸命活動してきました。その中でわかってきたことを、提言させてもらっているんです。人命を守るには、クマを殺すのではなく、被害防止対策を徹底して、人がクマにばったり出会わないように注意することが最重要なんです。熊森協会のブログにこれまでの活動を載せていますので、ぜひ読んで、勉強してください。

 

(熊森から)

この度のクマによる人身事故でけがをされた方には、お見舞い申し上げます。

今回の件で行政担当者は熊森の質問にほとんど何も答えてくれませんでした。

私は、全国の野生鳥獣担当者と絶えず電話で話し合ったり時には会いに行ったりしていますが、今回のような対応を受けることは珍しく、1時間も電話したのに話し合いになりませんでした。どこに問題があったのでしょうか。

 

集落から離れた赤木の山中のクマの餌がたくさんある場所、すなわちそこはクマの国です。そこに、クマ捕獲罠をかけてかかったクマがどのクマでもいいので殺処分して一件落着とするというのは、生態系保全上も倫理上も間違っていると思います。

現地は人間の背丈ほどのササに覆われたところだそうです。被害女性は、子グマだと思ったということですから、まだ母熊から離れたばかりのクマなのかもしれません。

このクマが何をしていたのかわかりませんが、午前4時50分という予期せぬ時間に突然人間が現れて、クマもびっくりし、恐怖の余り逃げようとして引っ掻いたのだと思います。この女性は元都市市民ということです。いつからここに住まれているのかわかりませんが、会いに行ってクマ対応を教えてあげたい思いです。

 

どちらにしても、今回のような事件の場合、普通、罠かけはしません。

現在設置中の罠にクマがかかってしまう前に、どなたか納得していただけるように担当部署に声を届けていただけないでしょうか。それとも担当者が言うように、もっと上の人に言うべきでしょうか。

前橋市農政部農林課 東部農林事務所

〒371-0217 群馬県前橋市粕川町西田面216-1
電話番号 027-285-4116
FAX番号 027-285-5227

 

追加

7月26日、くまもり森山会長が、東部農林事務所の責任者と電話で約1時間話し合いました。

前日担当者がマニュアルに沿って対応していると言われたようなので、群馬県ではどのようなマニュアルになっているのかたずねると、個々の状況に応じたものはなく、群馬県クマ管理計画に書かれているものを現地市町村で判断して対応しているということでした。(群馬県の熊捕殺権限は市町村に移譲されている)

前橋市では、クマは保護しなければならない動物だと考えているので、イノシシ捕獲罠の上部に穴をあけて、クマがかかったら脱出できるように全部改造したと言われていました。

今回の事故が、山に入ったハイカーの場合だったら、クマの捕獲罠はかけないが、1軒屋とはいえ、住民の生活道路上で起きた事故なので、行政としては捕獲せざるを得ないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、今回の場所なら、ハイカーであっても捕獲罠を掛ける。奥山でハイカーが引っ掻かれた場合は掛けないという意味だったと訂正が入ったので、そのように訂正させていただきます)

 

捕獲罠に入れられた誘引物に引き寄せられて、関係のないクマがやってきて罠にかかる可能性があり、そのクマを殺処分しても人身事故は減らないなど、熊森の言うことはよくわかるが、行政としては住民感情を考えると、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないとは言っていないと訂正が入りました。どこが違うのか尋ねると、捕獲されたら、まず県庁に電話して相談してみるのだそうです。しかし、群馬県庁は今クマの放獣体制がない上、前橋市が決めることと言われています。前橋市の担当者の方は、罠にかかったら殺処分しますと言われていたので、まとめるとこの記述でいいと思うのですが・・・訂正してほしいと言われた事実はお伝えします。)

熊森から:もし罠にかかったクマを放獣してやる気があるのなら、かかってから相談では遅くて、一刻も早く対処してやらないと、この暑い中ドラム缶檻の中でクマは死んでしまいます。かかる前から放獣場所、放獣人員、放獣法の確認など、いろいろと準備しておかなければなりません。そういうことを一切していないということは、選択肢に放獣はないというのと同じであり、かかったら殺処分しますの担当者の言葉からはこれでいいのではないかとおもいます)

 

何人かの方が、今回のような場合、罠をかけてクマを捕殺することは無用の殺生になるだけで、新たな人身事故の防止にならないと電話をしてくださったようで、ありがとうございました。熊森としては、言うべきことはもう十分お伝えしたと思います。後は、前橋市の担当事務所が私たちの声を聴いてどう判断するのか見るしかありません。

 

再度追加

本部に入った情報では、赤城山でクマが捕獲された場合、殺処分するとも別の場所に放つとも、前橋市農政部農林課東部農林事務所ではまだ結論を出しておらず、事務所責任者は、麻酔銃がないので、捕獲後に群馬県と協議して結論を出すと言っておられるそうです。

新聞報道の写真を見ると、ドラム缶型檻ですから、この暑い時期、かかったらすぐに対応しないとクマが弱って死んでしまいます。かかったらどうするかその時になって県と相談するというのはどう考えても、間に合いません。

麻酔銃がなくてもその場でふたを開けて放してやればいいことですし、何よりも捕獲すること自体が間違っています。

群馬県庁にも声を届けた方がいいかもしれませんね。人間側の道徳観の喪失、生命軽視にははなはだしいものがあります。人間たち同士で正していかねばなりません。

 

 

フィード

Return to page top