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政治も司法も不在の長崎県石木ダム 反対派住民「強制執行で古里奪わないで」と県庁に乗り込む
以下、長崎新聞7月18日より
川棚町に石木ダム建設を計画する県と佐世保市に、反対住民らが工事差し止めを求めた訴訟の第12回口頭弁論が7月17日、長崎地裁佐世保支部(平井健一郎裁判長)であり、水没予定地の住民ら原告7人が当事者尋問に出廷し「力づくで古里を奪わないでほしい」と訴えた。
長崎県収用委員会は今年5月、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地の明け渡しを求める裁決をし、家屋の撤去や住民の排除などの行政代執行が現実味を帯びる重大局面に入った。明け渡し期限は、家屋などの物件がない土地が9月19日、物件がある土地が11月18日。
住民の岩本宏之さんは「崖っぷちに立たされ、眠れない夜もある」、
石丸勇さんは「大変な人権侵害だ」と怒りをあらわにした。
岩下すみ子さんは「地域の人たちとのつながりを長い年月をかけて築き上げてきた。失いたくない」と声を詰まらせた。
石丸穂澄さんと松本好央さんは、イベントや会員制交流サイト(SNS)などを通じて、事業への疑問や反対の声に対する共感が全国で広がっていると主張した。
水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表と市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵代表も出廷。
嶋津共同代表は、石木ダムの治水効果は川棚川下流域にしか及ばず、上流域には氾濫のリスクが残っているとし「費用対効果が小さい」と強調。松本代表は人口減少による水需要の低下などを指摘し「誰のための公共事業か。県と佐世保市は現実を直視してほしい」とダム以外の利水対策を検討するよう求めた。
以下、長崎新聞7月31日記事より
石木ダム建設事業に反対する地権者や市民団体などの約200人が7月30日、約6時間にわたり長崎県庁内で抗議活動を実施し、庁内は一時騒然となった。家屋を含む土地の明け渡しを地権者に求める県収用委員会の裁決が出た中で、地権者らの不満が爆発した形となった。
県庁の担当者らに詰め寄る地権者ら(長崎新聞より)
熊森から
ダムは百害あって一利なし。
川は流れていてこそ価値があるのです。ダムでせき止めると、水は腐り、ダム湖にはヘドロがたまり、大自然破壊となります。
多くの生き物が死に絶えます。
このようなムダなダムを、なぜ我が国は造り続けるのか。
日本熊森協会顧問の京都大学今本博健先生が書かれた「ダムが国を滅ぼす」を読まれたら、答えは一目瞭然です。
ただただ、建設利権だけなのです。
建設会社と口利き政治家(報酬相場は、ダム建設事業費の5%)を潤すことだけのために、愛する故郷を失わねばならない。
50年間ダム建設に反対し続けてきた地元住民のみなさんの無念ぶりはいかばかりかと思いやると、胸が苦しくなります。
土建業の公共事業で経済を発展させようという戦後の経済政策から、もういい加減に脱却しないと、国が破滅してしまいます。
建設会社のみなさんは、これからはダム建設ではなく、放置人工林の広葉樹林化・天然林化を公共事業にする時代です。
乗り遅れないようにして下さい。これだと、誰も泣かすことなくもうけられます。精神衛生にもいいですよ。
7月30日、反対し続けてきた地元住民のみなさんは長崎県庁を訪れ、強制収用の取り下げを求める中村法道知事宛ての要請書を提出しようとしたようですが、知事は出張中で不在。副知事は「公務中」を理由に姿を見せなかったそうです。
長崎県側のコメントは、「大騒ぎになってしまい非常に残念」というものだったそうです。
なんだこれ???ふるさとを奪わないでほしいと全身全霊、体を震わせて訴えている地元住民に対する県側の思いやりのなさ、まるで他人事には、唖然とします。完全に、政治も司法も人権も不在です。私たち国民はこのような状況を認めてはならないと思います。やがて我身にも、この生きづらさが襲ってきます。
熊森は自然保護団体としてはもちろんですが、人間としても、おかしいことにおかしいと勇気をもって声を上げ続けてきた地元住民のみなさんに、心から連帯の拍手を送ります。
ダムは100%、自然破壊以外の何物でもありません。
わたしたち国民は、建設会社と口利き政治家の嘘にだまされないように、もっと勉強しなければなりません。
権力の暴力である強制収用は、今も昔も、絶対にあってはならぬものです。
<石木ダム問題について書いた2019年3月30日のブログを、もう一度以下に再掲させてください。>
たとえ、どんなに意味のあるダム工事計画であったとしても、50年間も住民が立ち退きたくないと断り続けているのですから、完全に行政の負けです。
行政が最後まで残っている13家族を説得できなかったのです。
そんなところにダムを造る権利は国にも県にも市にも誰人にもありません。
もはや基本的人権を認めるかどうかの問題です。
いくら自分がいいと思っても、相手が絶対嫌だということは、してはならないのです。
これは、人間社会に於ける最低限のルールだと思います。
私たちも長崎県知事に、石木ダム建設地を強制収用しないようお願いしましょう。
胸がつぶれる 石木ダムに50年間反対し続けてきた地元住民たちの土地を長崎県が強制収用申請
映画「ほたるの川のまもりびと」を、見に行きました。(現在、大阪の第七藝術劇場など各地で上映中)
なんとなく、ほたるを川に呼び戻す活動かと思って見に行ったら、全然違う内容でした。
50年前、川棚町に石木ダム計画問題が持ち上がりました。
地元住民が50年間も反対運動を続けておられます。
50年!?もう、気が遠くなりそうです。
人生のほとんどすべてを、ダム反対に費やさざるをえなかったことになります!
映画によると、住民は、業者によるダム工事の強行に備えて実力阻止部隊を結成し、1年中見張っています。
工事をする人は、行政からお金をもらって次々と新しく元気な人がやってきますが、地区を守ろうとする住民には、どこからもお金が出ません。その上、代わってくれる人もなく、同じ人間がずっとがんばり続けるのですから、もうへとへとだと思います。みんな年老いていきます。
想像しただけで、どんなに大変かと思います。
休みの日でも、旅行にも行けず見張りを続けなくてはなりません。
たとえ、どんなに意味のあるダム工事計画であったとしても、50年間も住民が立ち退きたくないと断り続けているのですから、完全に行政の負けです。
行政が最後まで残っている13家族を説得できなかったのです。
そんなところにダムを造る権利は国にも県にも市にも誰人にもありません。
もはや基本的人権を認めるかどうかの問題です。
いくら自分がいいと思っても、相手が絶対嫌だということは、してはならないのです。
これは、最低限の社会ルールだと思います。
行政としては、地元の人たちに、みなさんを50年間も苦しめ続けてきてすみませんでしたと謝り、反対運動に命を懸けてきた信念の住民たちを表彰すべきでしょう。
ところが、こともあろうに、長崎県は、国がダム事業を認定したことを盾にとって、ダムの完成で水没するおよそ9万平方メートルの土地などを国家権力によって機動隊を使って強制的に収用するための「裁決申請」を行ったのだそうです。もう無茶苦茶だと思いました。完全に、政治ゼロの世界です。
それにしても、小さな小川のような石木川をせき止めて、あんな大きなダムいっぱいの水などたまるのでしょうか。
工事会社が仕事欲しさに政治家を動かして、ダム工事を進めようとしてきたとしか思えません。
作家故森村桂さんが言われていたように、工事会社にお金をあげたらいいと思います。
50年も、彼らなりにがんばり続けたのですから。
ただし、工事は一切しないでください。
(土建業のみなさんは、国土をコンクリートで固める自然破壊工事ではなく、今後は、放置人工林の天然林化を仕事にして下さい。それなら応援します。)
みなさんも、ネットで石木ダムのことを調べてみてください。
50年前と今では、時代がすっかり変わっています。
これからはどんどん人口が減っていく時代です。
調べれば調べるほど、ここまでの無茶がこの国で許されていいのかと、胸がつぶれそうになりました。
熊森顧問の、京都大学名誉教授今本博健先生が、石木ダムを造る必要など全くないことを、見事、論理的に説明されています。
全国から長崎県知事に、もうここの地区の住民を自由にしてやってほしい。これ以上いじめるのはやめよという声を届けませんか。こんないじめを見逃して、いじめのない学校や社会など作れません。
強大な国家権力に押しつぶされようとしているこの地区の13軒の勇者たちを、全国民で支えていきましょう。
最近、各地で、このような国家権力による国民いじめや野生動物いじめが目立ちます。
まだ正義感を失っていない若者たちに、先頭に立って声を上げてもらいたいです。
国家権力につぶされそうになっている弱者たちを、人ごとだと思って黙って見すごす人たちは、本当に自己中で、弱虫だと思うのですが、みなさんはどう思いますか?
熊森は声を上げます。
映画の最後に登場した川原(こうばる)地区のみなさんの歌声が、今もずっと耳に残っています。
最後まで戦い続けてきた13軒のみなさんの心を思うと、泣きそうになりました。
みなさんも、長崎県知事に声を届けてください!
長崎県庁 〒850-8570 長崎市尾上町3-1 電話095-824-1111(代表)
FAX 095-826-5682
P.Sちなみに、ダム賛成派の声も聞いてみようと思ってネットで調べてみると、何と、長崎県が、ダム推進動画を造っていました。
<長崎県制作、石木ダム推進動画の感想>
偏見無しで見せてもらったつもりですが、見ただけで、その嘘嘘しいこと。
バックには大きな川棚川が流れていますが、今回のダムはその支流の小川みたいな小さな石木川をせき止めるダムで、問題をすり替えていることがすぐにわかりました。
それにしても、登場人物はみなさん、やらされていることが見え見えの演技。
お金がもらえるなら、良心や正義感を捨てる人はいつの世でもいるんですね。
映画「ほたるの川のまもりびと」に出て来た人たちの真実味ある発言と、思わず比べてしまいました。
反面動画として見てください。
おもしろいです。
改めて、人間どう生きるべきか教えられます。