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4月から「森林経営管理法」スタート 放置された私有人工林は市町村が管理、企業が伐採の流れに

生物の多様性や水源を失うとして、私たちが27年前から訴え続けてきた放置人工林問題。

最近は豪雨による崩れが激しくなり、野生動物だけではなく、人間も命を失ったり財産を失ったりすることが増加。もう待ったなしです。

 

事ここに及んで、国は、やっと重い腰を上げ、2018年に森林経営管理法、2019年に森林環境税・森林環境譲与税法を、国会で矢継ぎ早に成立させました。

 

突然の法案提出→成立だったため、放置人工林を抱える山主さんにどれくらい新法が周知徹底されているのかわからなかったのですが、和歌山県有田市と海南市で配布されているフリーペーパー「アリカイナ」の本年3月号に、興味深い記事が掲載されていました。

 

「アリカイナ」によると、今年2月9日に、和歌山県有田川町・旧清水町地区で開催された山林所有者説明会に、約200人が詰めかけたということです。やはり、具体的にどういうことになるのか、みなさんよくわからず、心配になられたのだと思います。

 

森林経営管理法によると、市町村は、放置人工林の所有者を調べ、森林管理の委託希望をたずねたり管理委託のお願いをしたりして、管理権を得ます。所有者不明の場合はホームページや掲示板で広告し、半年たっても連絡がなかった場合は、その森林を市町村の管理下におきます。

 

一方、都道府県は、意欲と能力のある林業経営者(企業)をリストアップします。市町村は、管理下に置いた森林のうち、もうかりそうな山は、リストアップされた企業に伐採や収益の権利を与えます。

 

「アリカイナ」によると、無断で人の山の木を伐って販売してもうけるのは、盗伐に匹敵するほどの財産権の侵害である(憲法29条に抵触)と森林経営管理法に反対している専門家もおられるそうで、山主にも結構反対者がいるということです。有田川町では、山林所有者への意向調査は、10年かけて行う予定だそうです。

 

熊森としては、放置人工林は余りにも弊害が多く、亡国につながるため、国としては一刻も早く手を打たなければならないと思います。しかし、どんないいことでも、強制は許されません。市町村山林担当者は、何とか山主さんとよく話し合っていただいて納得されたところから、管理方法、供給過多による材価低下を防ぐための計画的な伐採、伐採後の跡地の処置、販売利益の分配など、スムーズに事が運ぶように、がんばっていただきたいです。現在、全国市町村の3分の2には、山林担当職員がいないということです。放置人工林をかかえる市町村に、優秀な山林担当者を付けることが、森林環境譲与税を使って第一になされるべきことでしょう。

 

ただ、放置人工林は、材の搬出が不可能、または、無理して搬出しても搬出経費が掛かり過ぎて赤字となるため放置されてきた山林であることが多く、民間企業が無理に材を搬出しようとして、大型機械を入れて無茶な林道造りを実施し、どうせ他人の山、後は野となれ山となれで、山をずたずたにしてしまわないか心配です。市町村の強力な監視が必要です。

 

市町村は、企業に、山神様や野生動物たちの存在を忘れないようにすることを指導していただきたいし、放置人工林を天然林に戻すことで、林業者(山仕事)に森林環境譲与税から多額のお金が支払われるようにしていただかなくてはなりません。また、人口減、空き家増加、和風建築の需要減を考慮していただき、拡大造林政策の失敗を深く反省して、50年後の放置人工林を造るようなスギ・ヒノキの再造林だけはやめていただきたいです。

 

今後、あちこちの市町村で、森林経営管理法の実施に当たり、山主への説明会が持たれると思います。林森経営管理法がどのように進んでいくのか、私たちにはわからないことが多くあります。情報をお持ちの方は、熊森本部まで情報提供いただけたらありがたいです。

 

民間林業会社等に国有林の人工林伐採権を長期間与える「国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案」が国会に 

2月26日、上記法案が閣議決定されて、農林水産委員会に提出されました。

 

この法案は、2018年に成立した「森林経営管理法」で新たな民有林管理システムの要となる、意欲と能力のある民間林業経営者(森林組合、素材生産業者、自伐林家等)に、10年~50の長期にわたり、数百ヘクタール、年間数千立方メートルの国有林の伐採権を与える法案です。(現在も民間が国有林を伐採していますが、現行は3年までという制限がついています)

伐採後は、伐採林業者が再造林を行い、造林経費は国が支出します。

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これによって、民間林業経営者が収入を確保し、長期的な経営計画が立てられるようにするとともに、安定的に木材を供給できる仕組みをわが国に創設し、川上・川中・川下の連携による木材需要拡大をはかるものです。

 

林野庁経営企画課に電話をして問い合わせました。

くまもり:国有林の多くは最奥地にあるので、伐採跡地は、天然更新させて天然林に戻してください。伐採後は林業をせず、水源の森・生物多様性保全の森に再生させて、全生物のため、子や孫のため、永久保全すべきです。

林野庁:今回の法案は、林業として成り立つ場所での伐採しか考えていませんから、そのような奥地の人工林には手を付けません。

くまもり:じゃあ、伐採跡地には、またスギ・ヒノキを植えるのですか?

林野庁:地元の森林管理局や森林管理署に任せます。もし、造林するのなら、費用は国が持ちます。

熊森:国有林伐採に外資が参入するのではないかと心配している人がいますが、その恐れはありますか。

林野庁:伐採権を得られるのは、地元で実績のある林業会社と決められていますから、外国人が入ってきて国有林を伐採することはありません。ただ、その林業会社に外資が投入されることはあるかもしれません。

 

熊森から 

林業振興のためだけの法案であることがわかりました。これからはどんどん人口が減っていく時代ですから、材の需要が増えることは考えられません。無理に木材需要を拡大しなくても、身の丈に合った林業規模でいいのではないでしょうか。人間の利益ばかり考えるのではなく、生息地を人間に破壊されて苦しんでいる野生動物たちに、森を返してやることも考えていく人間でありたいです。

 

国産木材の需要の伸び悩み

以下、2月23日毎日新聞より

花粉症対策の決め手「少花粉スギ」 植え替え進まないのはなぜ?

花粉症対策の決め手「少花粉スギ」 植え替え進まないのはなぜ?

 「国民病」とも言われる花粉症患者が悩む季節が到来した。春とともに大量に飛散するスギ花粉。林野庁は花粉症対策の決め手の一つとされる「少花粉スギ」の苗木への植え替えを推進しているが、木材需要の伸び悩みや木材品質への不安などの理由が重なり、植え替えは進んでいない。

 

東京都の調査では、都内で花粉症を抱える人の割合は推定で48.8%(2016年現在)と、ここ20年で2.5倍に急増している。

花粉症患者の増加には、戦後の国の森林政策が関係している。成長が早く、加工がしやすいスギは人工林の主役。日本の国土の7割にあたる森林(2508万ヘクタール)のうち、人工林は約4割の1029万ヘクタール。中でもスギは448万ヘクタールと最多を占める。スギは樹齢20~30年で花粉を激しく飛散させるが、花粉症が社会問題化した昭和の後半と時期的に重なる。

 

そこで林野庁が進めているのが、少花粉スギへの転換だ。同庁の対策方針では、32年度までに少花粉や無花粉のスギを年間苗木生産量の7割にする目標を定めている。だが、16年度現在、少花粉スギの苗木の割合は25%どまりで、植え替えも難航。大半が少花粉スギとなるには数百年かかるペースだ。同庁担当者は「品質がダメな木だったら育てた何十年かが無駄になるので、所有者は植え替えに慎重になる。決して品質が悪いわけではないのだが」と話す。

 

さらに根本的な課題としては、国産木材の需要の伸び悩みがある。建物が高層化したことや輸入木材の普及、景気の低迷もあって、木材の総需要量はピーク時の6割ほどに落ち込んだ。林業従事者は15年時点で4万5000人と、1980年時点と比べ、3分の1にまで減っている。

林野庁は国産木材の活用がカギとみて、需要の拡大を図ろうとしている。昨年成立した改正建築基準法では、壁の厚さなど一定の条件が整えば高さ16メートル以上の中層建築物でも木材をそのまま使えるようになる。4月に導入される森林環境譲与税は森林整備のために各自治体に配分されるが、都市部では木材利用に使うこともできる。

 

林業に詳しい宮崎大の藤掛一郎教授(森林経済学)は「住宅需要の低下や労働力確保の難しさなどから、伐採後の植え替えを敬遠する林業関係者は少なくない。植え替えだけでなく、林業全体の維持に向けた取り組みが必要だ」と指摘する。【渡辺暢】

 

◇ことば「少花粉スギ」

花粉症対策のため森林総合研究所などが開発した、花粉量が極めて少ないスギ。花粉量は通常のスギに比べて1%以下。北海道と沖縄以外の都府県が苗木生産と植栽を進めている。07年には富山県農林水産総合技術センターが全国で初めて無花粉スギを開発し、登録した。

 

熊森から

今や空き家でいっぱいの時代です。建築材としての木材の需要が伸びることは、もう、考えられないのではないでしょうか。炭や紙などに利用するのであれば、広葉樹の方がいいはずです。

木材自給率の推移

50年スギの大量伐採は是か非か 森林環境税の使い方を考える

我が国の人工林のスギ・ヒノキの林齢には、大きな偏りがあります。

林野庁資料より

 

1950年代後半から始まった林野庁の拡大造林政策で、国内ではスギ・ヒノキ・カラマツを代表とする針葉樹の人工造林が猛スピードで進みました。

山林所有者が自らでは植栽できない箇所等については、森林開発公団(当時)や造林公社(当時)が、山主に変わって当面の費用を負担する「分収造林方式」により、人工造林が進められました。

 

しかし、1971年から、拡大造林面積は急速に減少し始めます。

造林できる場所は造林し尽してしまったこと、木材の自由化によって安い外材がどっと入ってきたこと、材価の暴落などが原因です。

日本の林業は、壊滅状態となっていったのです。

 

現在、林野庁は、大型機械を持つ企業などに委託して、森林環境税を使い、伐り出し困難な場所にある50年生以上の材を大量に搬出し、跡地に再びスギ・ヒノキを植えようとしています。目的は、林齢の平均化です。

あまりにも林齢に偏りがありすぎるので、林業の成長産業化を図るために、様々な林齢の材があるようにするという訳です。

 

この林野庁の方針に対して、林業政策を専門とする泉栄二愛媛大学名誉教授(森林国民会議)らは、猛烈に反対しておられます。

従事者が激減している日本の林業の危機を救うには、林齢の平均化ではなく、毎年同じだけの収入が林業者に一定量入る収入の平均化こそが必要で、そのための政策こそたてるべきだというのです。

一度にどっと搬出してしまえば、これが望めなくなります。

 

また、長期伐採をめざしている自伐林家からも、自分たちは巨木を育てて売ろうとしているのに、50年生以上の材を強制的に伐採させるような方針は受け入れられないと、猛反発が出ています。

 

さらにこれは、50年たった分収造林地の分収契約の実施(=林業収入の山分け)が不可能となった現在、山主にあと30年の契約延長を求め、ほぼ全員の契約を80年契約に書き換えさせた国の方針とも齟齬を生じるものです。

 

この問題、みなさんは、どう思われますか。

 

ひとり1000円の森林環境税をどう使うか、林業関係者だけではなく、いろんな者たちが声を出し合う時です。もちろん、国土の自然保護や水源の確保、野生鳥獣からの観点も絶対に必要です。

 

くまもり本部 近畿とは違う、九州の人工林を視察

7月19,20日、熊森協会本部から九州におもむき、熊本県支部長、宮崎県支部長、福岡県支部長、平野虎丸顧問や現地の熊森会員と共に,熊本県、宮崎県、大分県の山々を現地視察してまわりました。

 

移動中の車窓から眺める景色は本当に人工林ばかりで、九州の人工林の多さには愕然とするものがありました。

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九州の山は、ほとんどがスギの人工林

 

●地震による山崩れ跡と、豊かな湧水(熊本県)

熊本県阿蘇に入り、まず目についたのが今年4月の地震で崩壊した山々の姿でした。

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地震による山地崩壊

今回の地震で崩れた場所はその多くが人工林でした。しかし、そのような観点では報道されていないので、人々は<人工林が土砂災害の大きな原因>となったことにあまり気づいていないそうです。

 

阿蘇周辺では湧水が非常に多く、とてもきれいでした。毎分60トンもの水が湧きだす場所もあるそうです。高森町では湧水をいただきました。クマが絶滅した九州で、こんなにきれいな湧水が出るのを不思議に感じました。昔はもっとたくさんの湧水が湧いていたということです。私たち若い世代は、過去の自然の姿を知らないので、つい今の自然の状態だけで判断してしまいます。

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湧水(熊本県高森)

 

●九州では、皆伐してもすぐに森が再生

今回、九州の山を視察しに行った目的の一つは、九州の支部長の皆さんが、「九州では皆伐後、シカ柵を張ったり植林したりしなくてもすぐに自然林が回復する」と言われるので、この目で見てみたいと思ったことです。

 

実際に九州の山に入って驚きました。

皆伐して一年放置されていた山が、すでにパイオニア種であるヌルデやネムノキ、カラスザンショウなどの稚樹や、ノイチゴなどの下草に覆われていました。近くに広葉樹林が残っていたので、今後、次々と種が飛んできて立派な自然林に回復していくと思われました。

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人工林を皆伐して1年後の跡地(熊本県山都町)

 

下の写真は50~60年放置されていた牛の放牧場跡です。見事に自然林に復元しています。

皆伐後50~60年の山

皆伐後50~60年の山(熊本県)

 

奥山保全トラストが6年前に購入した宮崎県高千穂の人工林の皆伐跡地を見に行きました。沢の対岸から眺めただけですが、見るからに自然植生が回復しており、樹高が6~7mくらいに成長していると見られる木々もありました。九州では、わずか6年でこれほど回復するのかと、とても驚きました。もちろんどこも、シカ柵は張られていません。

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皆伐後6年の山(宮崎県高千穂)

 

自然林再生がむずかしい現在の兵庫の山

下の写真は人工林皆伐後3年たった兵庫県宍粟市の広葉樹植樹地です。シカ除けネットの外はもちろん、中にもほとんど下草が生えてきていません。

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人工林皆伐3年後 2015年8月28日撮影(兵庫県)

 

この違いは?

兵庫県のシカ年間捕殺数は4万6千頭、宮崎は2万5千頭、熊本は2万頭、どちらにもシカはたくさんいそうです。九州と兵庫の自然再生スピードの違いは、シカの密度差?気候差?他にも理由がありそうです。

 

●バイオマス事業の為に皆伐

九州では林業が収入になるということで、皆伐がかなり進んでいました。近年急速に需要が進んでいるのが、バイオマス事業です。これまで売れなかった木材がある程度の値段で売れるということで、林業界は活気づいていました。しかし、バイオマス発電に使われる木は、どんな木でもいいので、バイオマス事業を中心に林業を進めていくと、人工林を放置したり、自然林を伐採したりすることも考えられます。

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バイオマス事業のために皆伐された山(宮崎県)

 

熊森は林業を否定しているわけではありませんが、木材生産に使う場所、バイオマスに使う場所、そして動物がすめる自然豊かな水源の森にする場所などと、山をゾーニングすることがとても重要だと考えています。今のように、目先のお金のために人間が山を全部使うというやり方では、貴重な自然や生物の多様性、水源の森が失われてしまいます。

 

●ストップ・ザ・スギ再植林

残念ながら、九州では人工林の皆伐跡地は、ほぼ必ずスギを再植林していました。手厚い補助金が出るからです。

九州では、人工林皆伐跡地でも、放置しておくだけで簡単に自然林に移行していくのですから、何とか植え過ぎた人工林を自然林に戻していけるよう、熊森がその流れを作っていこうと、支部長さんたちと話し合いました。

再植林したものの、その後、放置されて、自然林に戻りつつある山もありました。

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再植林地が放置され、自然林へと移行

九州で再植林がさかんなのは、九州の山林所有者のみなさんの考え方として、人工林は手入れされたきれいな山で、雑木林は管理されていないきたない山であり、自分の山が雑木林になるのは恥ずかしいという意識があるのだそうです。そのため再植林したものの、その後の管理は補助金で補いきれないので、結局山は放置され、雑木林に戻っていく例もあるようです。

 

●自伐林家の手入れされた美しい人工林

最後に、山を非常にきれいな状態で保っている宮崎県の自伐林家の方をご紹介します。自伐林家は自分の山を間伐し、山が崩れないように手を入れてていねいに木を育てます。本来であれば60年生ほどの太さと思われるスギが、まだ45年しかたっていないというのでとても驚きました。下草もたくさん生えているとても綺麗な山でした。

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林床にはキレンゲショウマの花が一面に咲いていた(宮崎県高千穂)

 

他県の支部の山を見せていただいたことで、また、いろいろと勉強になりました。ご案内くださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

 

 

林野庁を林業から解放し、奥山の国有人工林を、まず自然林にもどすべき 参考書籍:里山資本主義

わたしたちが、人工林率60%70%80%という、針葉樹一辺倒の奥地の行き過ぎた人工林の大変な弊害を訴え続けて22年。

しかし、台風や大雨という自然の力が人工林を倒していく以外、人工林は放置されたままで、一向に、人為的な力による

人工林→自然林

の転換が進みません。

奥山生息地を壊された野生動物たちは人里に出てくるしかなく、哀れにも、人間によって有害獣のレッテルを張られ、大量殺害を受け続けています。

 

国や研究者、行政の指導で、地元の人たちの中には、動物を殺すことが当たり前のように洗脳される人たちが出てきているようで、心配です。

殺生をしない。生き物の命を大切にする。

これは、日本人のすばらしい特性であったはずです。この文化があったからこそ、日本には自然が残り、豊富な水があり、今日の繁栄があるのです。

自然を守るには、自然への畏敬の念や、同じ生きとし生けるものとしての生き物への深い愛情があればよく、高度の学問も研究者も科学技術も不要です。

 

かくなる上は

林野庁を林業から解放し、奥山国有人工林を自然林に戻していっていただく

しかありません。

 

林野庁に電話をして、前提となる現在の債務について尋ねてみました。

<林野庁債務> 2014年1月31日現在

一時期3兆8千億円まで膨らんだ累積赤字ですが、1997年、2兆8千億円が、国により補填され、残り1兆円の債務(国や銀行から借りたため、返さなければならないお金)となりました。

しかるに、この1兆円の赤字ですが、現在、1兆2700億円まで膨らんでしまいました。

林野庁はこれまでの特別会計から一般会計になり、職員の給料は国から出るようになりました。

あとは、木を伐って売って、1兆2700億円の債務(内訳、銀行に8000億円、財務省に4700億円)を返していけばいいだけです。

ちなみに、平成24年度返還できたのは41億円だそうです。これでは永遠に、林野庁は奥山の木を伐り続けなければなりません。

 

熊森は、2兆8千億円に引き続いて、1兆2700億円の債務も、国が補填して下さることを望みます。戦後の森林政策が失敗したわけですが、これは、林野庁だけに責任があるものではなく、行き過ぎた拡大造林に反対する声を上げなかった国民にもあると思います。

林野庁が林業から解放され、奥山国有人工林が保水力豊かな自然の森に戻されていくなら、国民にとってはこちらの方が、はるかにメリットがあると思います。林業は、里山民有林で行うようにすれば、伐り出しも簡単になります。(以下、参考書籍)

 

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林野庁を、森林保全庁とし、今後は森林保全業務のみ行うようにしていただくことを提案します。

みなさんは、どう思われますか。

平野虎丸顧問、むかしの熊本の山を語る

熊本の林家に生まれ育って75年、当協会顧問平野虎丸氏が、野鳥密猟Gメンの活動に忙しい中、合間を縫って、熊森本部事務所を訪れてくださいました。戦後の拡大造林などで、人間が自然生態系を破壊してしまう前の、熊本の山の話をしてくださいました。若いスタッフたちもみんな、目を輝かせて長時間聞き入りました。

 

自然を守るといっても、人間が余りにも今は何もかもに手を入れ過ぎてしまったので、今の人たちには、どんなのが自然の生態系なのかわからなくなっています。どれも大変興味深いお話でした。ほんの一部ですが、ご紹介します。

 

Q1:NHKクローズアップ現代が,かつて、シカが増えなかったのは、狩猟圧があったからだというのですが。

A: 自分の所では、考えられない。昔は、今のように山に道路がなかったし、もちろん車もなかった。シカは、当時、早朝家を出て昼にやっと到着するような奥山にいた。そこまで、道なき道を斜面をよじ登っていくん だが、普通の人が行けるようなところではなかった。昔は、銃の性能も悪かった。猟師でも、年に1~2頭シカが獲れたらいいとこ だった。

 

Q2:NHKが、増えたシカが生態系を壊しているというのですが。

A:人間は何を勘違いしている のでしょうか。生態系を破壊しているのは人間です。野生動物には、本来、生態系を破壊するほどの能力はありません。野生動物は銃も機械も使えず、林道もコ ンクリート道路も大きなダムも造ることが出来ません。原生林を伐採したこともありません。一斉造林をしたこともありません。野生動物が、人間よりも大きな自然 破壊力を持っていると、本気で信じているのでしょうか。森を破壊しているのは人間であることぐらい、小学生だってわかります。生態系を破壊しているのは人 間です。

 

Q3:拡大造林前の自然の山には、実のなる木がありましたか。

A:いっぱいあったです。山の中には、野生の柿や栗もたくさんありました。柿や栗は、どれも幹の直径が70センチぐらいの巨木でした。今栽培されている柿の木は、毎年実るでしょう。あれは人間が接ぎ木したものだからね。特別であって、自然じゃない。山に自然に生えていた柿の木は、数種類あって、成り年が微妙にみんなずれていた。その結果、毎年どれかの実がなっていました。実はどれも小さかった。種類によって、指の先ぐらいの実もあれば、ピン球ぐらいの大きさの実もあった。実は小さかったが、もうびっしり大量になるんです。今のように何の実りもない年とかはなかった。栗もね、実は小さかったが、びっしりなっていた。

 

Q4:山の生き物は多かったですか。

A:鳥がいっぱいいた。クマタカがうちの猫や鶏小屋の鶏をしょっちゅう獲っていった。蛇は1回山に入ると、10匹~20匹ぐらい出会った。昔の山にはハチがものすごくたくさんいた。ハチは大切な役目をしている。1度、巨木を伐ったら、ハチが怒って攻撃してきて、ひどい目にあった。その木に、ハチが巣を作っているのがわからなかった。地上10メートルぐらいの所に巣を作っていたようだった。ハチは、木のいろんな高さの所に巣を作るからね。昆虫は、もういっぱいいたから多すぎて気にもかけなかった。里山にはタヌキ・ウサギとかいろいろいた。マムシも沢山いたが、マムシは匂いがきついので、いるなとすぐわかる。独特のにおいだ。それで人間は注意するので噛まれることは無かった。

 

Q5去年、人工林を中心に、熊本でも、山があちこちで崩れましたが、人工林の根が小さいからですか。

A:植林した木が、成長して重くなってきたのです 。植林スギは根が小さいので、重くなった自らの体重を支えきれなくなって、どんどん崩れ始めました。これからますます崩れて来ますよ。

 

 

 

3月26日 職員研修で林業体験を希望している企業を、お手伝い 

6月に予定されている若手幹部研修会で、林業体験をさせたいという企業が熊森本部に来られました。奥山には間伐してほしい山がたくさんあります。スタッフの若者たちが下見に来たので、現地をご案内し、地元の方につなげさせていただきました。3月の末というのに、地元は雪が舞っていました。

6月に最適の皮むき間伐を、くまもり本部スタッフが放置人工林内で実演

どんなに努力しても、過疎化高齢化が進んでいく地元集落。「地元には、チェンソーを使える者も、もうほとんどおらず、地元に山はもう守れない。国民全体で守ってもらいたい。20世紀の人間中心文明は失敗した。これからは、水を制する者が世界を制する時代。水源の確保は、国の重要政策でなければならないはずだ…」地元のリーダーの話す内容は、どれも重く、現実そのものでした。

山は緑であればいいとしか思っていなかった都会の若者たちにとって、考えさせられることの連続の下見だったようです。6月の研修は50名でされるとか。成功を祈ります。

この場所は、人工林皆伐跡地で、地元の方が、植樹や下草刈りをしていただけたらと望んでおられる場所です。

3月21日広島地裁判決 細見谷林道 補助金は違法だが返還は求めず

廿日市の細見谷林道建設問題で、地元西山林業組合への廿日市市からの補助金は公共性が無い、貴重な生態系が残る渓畔林を破壊する事業にも公益性がないと指摘して、地元市民6人が市に対して07、08両年度の補助金計約425万円の返還を求めていた裁判で、広島地裁は住民の訴えを棄却しま した。21日の判決で広島地裁の金村敏彦裁判長は「補助金を出すことは公共上の必要がなく違法」としましたが「交付は20年以上前から続き問題視する声もな く不法行為などはなかった」として、住民の訴えを棄却しました。原告代表の金井塚務さんは「形式的に負けて実質的に勝った。今回の判決は(環境)保全のた めのスタートを切った」と話しました。

(03/21 18:28)

動画を見る

2/6、2/16 本部森再生チームが木材市場視察

本年4月から、現在破たんしている国産林業を立て直す目的で林野庁が菅首相当時に策定した「森林・林業再生プラン」が施行されます。この事業は、ドイツ林業をまねて山中に作業道を網の目のように造り、そこへ高額の大型林業機械を導入し、林業の工業化・効率化をはかり、木材自給率50%をめざすものです。

森林という言葉が使われていますが、実際は森のことには全くふれられておらず、官僚の皆さんが机上の上で考えられた「平成24年からの林業再生事業」です。

2005年にドイツを訪れ、すでにドイツ林業について調べていた熊森は、ドイツの平地林業を日本に導入するには無理があるとして、このプランが国に出された2010年、何度もこのプランについて熊森本部で学習会を持ち、熊森林業家会員達の声も聴いて

「このプランが実施されると、いっそう山が荒廃してしまう」

として、何度も何度も上京して林野庁や国会議員に修正を願い出ました。しかし、ほんの一部の提案しか受け入れてもらえず、このプランには今も危機感でいっぱいです。

これまでの切り捨て間伐のみの事業には、もはや国からの補助金は出ません。今春からは搬出間伐を伴う事業にしか林業補助金は出ないのです。

搬出した木材は売れるのだろうか。本部森再生チームのメンバーから8名が、木材市場を見学しました。

この日の原木の中値は、スギが1㎥が約9000円、ヒノキが1㎥が約18000円で取引されていました。価格は低迷したままでした。買い手のつかない原木もありました。今春からどんどん間伐材が市場に出て来ると思われますが、需要が無ければ山積みされていくだけです。どうなるのでしょうか。

熊森は、複雑極まりない自然界のしくみを知らず、大切な国民である野生鳥獣や現場作業員の声を無視した工業化林業をめざすこの国策の結末を見続けていきます。

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