くまもりHOMEへ

ホーム > 支部・地区・地域 > 高知県

カテゴリー「高知県」の記事一覧

四国山地の奥山で、熊森がついにクマたちの餌場づくりを開始 

戦後の林野庁の拡大造林政策により、頂上近くまでスギやヒノキの人工林でびっしり埋め尽くされた四国山地。

この山の中には、動物たちの食料が皆無です。

結果、四国のツキノワグマは残りわずかな自然林の中の食料を食べるしかなく、あと十数頭にまで追い詰められています。

絶滅の危機に瀕していることが報道されて久しい四国のツキノワグマ。

にもかかわらず、誰一人、彼らの餌場を復元してやろうとしません。

熊森の四国トラスト地内を歩くクマ。誘引物なしで熊森自動撮影カメラが撮影。

 

見かねた熊森は、数年前からツキノワグマたちの生息地のど真ん中にトラスト地を探し始め、2017年と18年、各1カ所をトラスト地として取得、2019年からトラスト地に登れる道を造り、人工林を伐採し、着々と準備し続け、ついに2020年11月12日、第一弾の実のなる木の植樹にまでこぎつけたのです!

今回伐採に参加してくださった2名は、いずれも若手の森林組合職員。「こんな何もない山にクマたちは住んでいるのか。かわいそうに」を、連発されていました。

かかり木にならないように、一発で倒す。プロの腕の見せ所。

頂上が平原だからか、木は意外と大きく育っていた。伐り出せればよいのだが、奥地過ぎて伐り出せないので捨て伐りに

 

今回の伐倒で、開始前はうっそうとして何も見えなかった人工林の内部の空が急に開かれ明るくなり、何と、隣接する標高1708メートルの石立山の雄大な山頂が見えるまでになりました。

石立山が見える

 

今回シバグリやクヌギ以外に多く植えたのは、ナラガシワ。このドングリは4年で実がなります。堅果(ドングリ類)、液果、昆虫、とにかくえさになるものを四国の山奥にもう一度そろえてやろうと思います。動物は食べ物を食べないと生きていけない生き物です。食べ物がなくなって一番に滅びていくのは、クマなど一番たくさん食料を必要とする大型野生動物たちです。

ついに夢にまで見た植樹こぎつけた

鹿よけ網を張って植樹終了

 

 

この日、熊森徳島県支部の大西さちえ支部長も息子さんたちと険しい山を登りきり、他のボランティアさんたちと初の実のなる木の植樹を行いました。

今回の作業は、12日から14日までの3日間でした。徳島新聞が同行取材して、1日目のことを記事にしてくださいました。感謝。

今回、本部スタッフや愛媛、徳島両県支部の会員ら9人が地元森林組合の2人と協力してトラスト地に登山して、トラスト地のスギやヒノキの人工林約150本をチェーンソーで伐倒し、実のなる木を合計35本植樹しました。昨年間伐した場所の地面を目を凝らして見ると、小さな植物の芽がいくつか顔を出していることがあちこちで確認できました。実生の生育も楽しみです。

 

 

まだクマの餌場づくりは始まったばかり。この山だけで22ヘクタールもあります。作業は50メートル四方の区域で展開。群状間伐といわれるやり方で、まず今回で2カ所の伐採ができました。今後も順次作業を続けていきます。

 

手っ取り早く大型ドローンで里のドングリを山に運んでやればどうか、道が急峻すぎて一般人が登れない場所のため、道づくりから始めるべきだ、潜在植生でなくてもよいので、ナラ枯れに強いものを植えればいいのでは、スギやヒノキの人工林で放置されているよりはずっといいなど、いろいろな声をいただいています。皆さんのお知恵もいただいて、試行錯誤しながら、会員の会費と寄付で食料豊かな森に戻していきます。

 

静岡県から駆けつけてくださった伐倒のプロである山路淳さんは「今回の伐採と植樹は絶滅寸前のツキノワグマを救うために、わずかでも動き出そうとする確かな一歩だと思います。歴史的なことでもあると思い、ぜひとも参加したいと思ってやって来ました。伐倒では思っていたより太い木も多かったですが、作業が順調に進み、目標の植樹もできてよかったです」と話されていました。

3月23日 室谷悠子会長が香美市法光院晶一市長と面談 絶滅寸前四国ツキノワグマ生息地復元を!

室谷悠子会長をはじめ熊森本部・愛媛県支部スタッフら5名は、3月23日、高知県香美市役所で法光院(ほうこういん)晶一市長と面談し、森林環境譲与税を活用しながら放置人工林の広葉樹林化を進めてほしいとの要望書を手渡しました。

 

室谷会長が、法光院市長に要望書を提出

 

この日、室谷会長は、法光院市長に、徳島県境に接する高知県香美市の四ッ足峠付近にある熊森トラスト地(22ヘクタール)でくまもりが進めている広葉樹林化について、

「今後クマなどの大型野生動物が食料として利用できるような実のなる樹を植栽していきます。森林環境譲与税を活用して、豊かな水源の森を復元し、絶滅危惧種である四国のツキノワグマが今後も生息できる環境を取り戻していきたいです」

と、現場の写真や午前中にスタッフらと現地に登り視察してきた山の様子も交えながら、詳しく説明しました。

 

トラスト地では、昨年11月に、第一弾として40m四方のくりぬき小面積皆伐を実施しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019.11.21に小面積皆伐した熊森トラスト地のヒノキ人工林 2020.3.23撮影

 

法光院市長はとても真剣に聞いてくださり、

「山は本来、経済林でもありますが、林業で活用していない山奥に放置されている人工林は自然林に戻すようめざしたいですね。日本熊森協会さんが所有するトラスト地は、自然林に戻すべき場所だと思います」

と、森林環境譲与税を使っての広葉樹林化に前向きの姿勢を示してくださいました。

前向き姿勢の法光院市長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなで記念撮影

 

地元の市長さんが、森林環境譲与税を人工林の広葉樹林化に使うことにご理解があるというのは、とてもありがたいことです。

今後、香美市と熊森がいっそう協力していけると感じました。

 

熊森の話を一生懸命聞いてくださった法光院市長と、市長と熊森本部をつないでくださった四国熊森会員のみなさんに、熊森本部は心から感謝しています。

 

3月21日22日、四国のクマたちの餌場づくりに向け、石立山トラスト地までの山道補修(第二弾)

2020年3月21日、22日

本来ならば、この日、絶滅寸前の四国のクマたちの餌場づくりに向けて、石立山の保護林に隣接する熊森トラスト地のヒノキ人工林の群状間伐第2弾を行う予定でした。

すでに、地元から10名ものボランティアさんが名乗りを上げてくださっており、大いに作業がはかどるだろうと期待していたところです。

しかし、新型コロナウイルス感染防止のためもあって、残念ながら計画を延期せざるをえませんでした。

一刻も早くクマたちのえさ場を再生してやりたいと願っていたので、とても残念でした。

 

仕方なく、熊森本部スタッフ4名と愛媛県支部スタッフ2名、那賀町地域おこし協力隊の方の計7名で、今後作業に参加してくださるボランティアの方々の安全も考えて、徳島県側から熊森トラスト地までの山道の補修を行うことにしました。

山道は、昨年11月にも補修したのですが、再び崩壊していた場所もありました。

 

今回の山道補修は、人工林皆伐跡地の急斜面です。

倒木や丸太を使って橋をかけました。

大人5人ががりで、6m程の丸太(1本200kg程)を7本~8本運びました。

熊森本部から参加した大学生アルバイト2名も、すごくがんばってくれました。

橋を架けるといっても、足の置き場がない急斜面ですから、大変危険です。皆、必死でした。

 

大変でしたが、2時間かかって橋を架けることが出来ました。

歩きにくい場所は、クワで道を拡張していきました。

これには、愛媛県支部員2名ががんばってくれました。

 

新型コロナが落ち着いたら、しっかり行程を組んで、群状皆伐地をどんどん作っていきます。

また、皮むき間伐や実のなる木の植樹も、どんどん進めていきたいです。

 

 

<参加スタッフの感想>

 

スタッフM:拡大造林政策の失敗を垣間見る

山を登るみんなの速さが速いのと、四国の山の傾斜の激しさに驚きました。

やっと辿り着いたトラスト地には、前回の作業で伐倒されたヒノキ材がありました。

良く乾いてすごくいい材になっているように見えました。

こんないい材なのに、山奥過ぎて運び出せないというジレンマ。

こんな標高の高いところにまで人工林を造ってしまった拡大造林の失敗を、垣間見たような気がしました。

運び出せないのであれば、その場で使う。この材で、山仕事に必要な道具を保管する山小屋を作ってみたいなあ…とほのかに考えています。

 

スタッフF(大学生):四ッ足堂周辺のゴミ回収

昨年11月と合わせて、今回、2度目の参加です。

前回、僕が参加して直した山道は、全く崩れていませんでした。直した甲斐がありました。

道中、ミツマタの群生地があって、黄色い花が満開でした。とてもきれいでした。

今回は道の修繕以外に、四ッ足堂周辺のゴミ回収も行いました。約60年前くらいと思われる古いゴミが多くありました。長い間、四ツ足峠の旧街道が放置されていたことがわかります。

峠道はスギ、ヒノキの針葉樹に囲まれていて暗かったですが、群状皆伐されたトラスト地は地面まで日が当たっていてとても明るかったです。

山を下りてから、地元の熊森会員さんを訪れたりしました。

どれもこれも、貴重な体験でした。

スタッフK(大学生):砂漠のような四国山地

四国は温暖で多雨な気候だと思っていましたが、人工林がいっぱいで、中に入ると、下草がなく礫がゴロゴロしていて、砂漠のような感じがしました。

このままにしていると、どんどん四国の山が崩れていくと感じました。

放置人工林の保水力のなさは一目瞭然です。

今回、道直しをした場所は、60ヘクタールもの広大な人工林を16年前に皆伐した跡地(注:この山は、熊森のトラスト地ではない。山林所有者には林道補修の了解を得ている)です。

生えている植物は、シカの食べないアセビやミツマタぐらいで、植生回復は全く進んでおらず、所々で林道が崩壊していました。

 

森林が回復せず、ボロボロと崩れていく広大な皆伐跡地

 

(本部から)今回、人工林の伐倒はできませんでしたが、熊森徳島県支部を作ろうという動きが出てきました。

こんな折なので、徳島県会員が集まったりはできないのですが、どうやって支部を作っていけばいいかなと考えているところです。

昨年暮れ、くまもり本部が高知県トラスト地を訪れ、地元の方と懇談

報告が遅れましたが、熊森本部4名(会長、名誉会長、職員2名)は、2018年12月18日と19日に、高知県香美市にある四国トラスト地の調査に入りました。

 

まず、12月18日。

兵庫県西宮市を出発して淡路島を抜け、徳島自動車道を西に進んでいくと、とてもお天気がよかったので南側に剣山が見えました。

徳島自動車道より南を望む

四国のクマはもうあの山の頂上付近にしかいないんだと思って眺めましたが、さすがに遠すぎてよくわかりません。

いったん愛媛県に少し入ってから、今度は高知自動車道を南下しました。

2018年の豪雨災害で崩壊したスギの人工林が何か所かありました。

高知自動車道は、片側車線が土砂に埋まって使えなくなっていました。復旧工事中でしたが、大変なことになっていました。

高知県大豊町

 

それにしても、トンネルの多いこと!

便利になったというものの、どれくらいの地下水脈が切られたことか。

石と違って、コンクリートは100年後劣化して崩れて来ます。その頃、修理する人はいるのだろうか。

現代人は、子孫に負の遺産を残し過ぎではないか。

こんなことを考えながら進みました。

高知自動車道トンネル

 

高速を降りて地道に入ると、四国山地が目の前に見えます。

冬だというのに山全体が緑色をしているのは、ほとんどが、スギやヒノキの人工林だからです。

ここまでよく植えたなあと思いました。

 

四国山地

 

しばらく進むと、また、スギの人工林が崩れていました。

ここは、放置されていました。

人工林の山崩れ

 

やっと、くまもりのトラスト地がある石立山が見えてきました。

このあたりは落葉広葉樹林が多く残されています。冬ですから落葉しており、山が茶色っぽく見えます。

黄色で囲んだ部分が熊森第一トラスト地

 

第一トラスト地に向かい、山に入ります。

トラスト地の下にある山

 

尾根に上がり、尾根筋を進みます。とにかく山が急です。左に落ちても右に落ちても大変なことになりそうです。

戻ろうかと何度も迷いましたが、室谷会長はどんどん前に進んでいきます。

同じ枝ぶりの木が続きますが、葉が落ちているので、なんの木かわかりません。

尾根筋を歩く

 

なぜかこんな山の中にオモトの群生がありました。

ほっと一息。

赤い実がとてもきれいです。

ということは、シカが食べないのだ。

やはり、毒草でした。

オモトの群生

 

やっとトラスト地の一番下に到着。

人工林皆伐地

 

山が急すぎて、くらくらします。

ここは、皆伐放置して天然林に戻るかどうか様子を見ている場所です。

 

私たち人間は、平地が好きなクマ・サル・シカ・イノシシを山に全部追い込みました。こんな急な所で暮らすかれらはどんなに大変だろうかと思いました。

 

やっとのことで全員、無事下山。

往復3時間程の行程で、見つけたシカの糞は2か所だけでした。

三嶺と違って、まだシカはそんなにいないようでした。

 

12月19日。

四国森林管理局の担当者にお会いして、四国のクマを滅ぼさないような森林整備をお願いしました。

新しく来られた担当者は、前向き回答で、熊森一行はうれしくて飛び上りそうになりました。!!!

 

次に、2か所のトラスト地がある高知県香美市の市長さんを表敬訪問しました。

お忙しい中、1時間も時間を取って下さり、私たちの話も色々と聞いてくださいました。

森林環境税を何に使おうかと考えておられました。

中央が市長さん 熊森本部・愛媛県支部員ら

 

午後からは、徳島県入りして、徳島県側から石立山を見ました。

その後、地元の方にいろいろと長時間、大変興味深いお話をお聞きしました。

山にとても詳しい方たちでした。

5月になったら、熊森会員にクマの棲んでいる山を案内してあげるよと言ってくださいました。

 

四国の熊森会員はもちろん、全国の熊森会員のみなさん、見学会に参加をご希望される方は、早めに本部までお知らせください。

本部からも何名か参加します。

5月になるのが、とても楽しみです。

10月12日 四国のクマの絶滅回避をめざし 熊森が 第2弾!高知県香美市の山林22haを新たに取得

本日、熊森は、四国山地の剣山系にわずかに残されたクマの生息地圏内に、新たに22ヘクタールの山林を購入することに成功しました。

 

平成30年2月27日、当協会は四国のクマの生息地を確保するため、四国森林管理局が設定した緑の回廊が途切れる場所に、緑の回廊をつなぐ効果もねらって、高知県香美市物部町の自然林を22ha購入しました。

 

今回購入した山林は、前回と同じく緑の回廊が分断された場所にあり、第1弾のトラスト地から1㎞しか離れておりません。

分断されたみどりの回廊をさらにつなげることができる場所です。

現地を、拡大します。

 

 

今回購入した山林は、標高が830m~1044mで、ほぼ全域が人工林です。

熊森は、標高800m以上の山は、野生動物たちの生息地として野生動物たちに返すべきだと思っています。

 

事前の調査で、この山林の尾根付近で、ツキノワグマの今年の新しいスギの皮剥ぎの痕跡を確認しました。

山林内の数か所に、クマによる新しいカワハギが見つかりました

 

まちがいなく、クマが利用している山です。

今後は、実践自然保護団体として、人工林を伐採して自然林を再生し、クマたちの餌場拡大をめざします。

購入資金は、会員からの寄付金を充てさせていただきました。

 

室谷悠子会長や本部研究員、熊森高知県支部員らは、山林購入後、高知県のある国会議員事務所を訪れ、四国のクマの絶滅阻止や奥山人工林の天然林化に取り組んでいただけるよう、お願いしました。

 

また、午後2時からは、高知県庁記者クラブで記者会見を行いました。5名の熊森高知県支部員も参加してくれました。

報道機関としては、NHKテレビをはじめ、朝日、毎日、読売等の新聞記者が来てくださいました。

近いうちにテレビニュースで放映される予定です。

その時は、ぜひ、四国会員のみなさん、ご覧になって下さい。

 

私たちは、今後も、四国の貴重な自然を丸ごと完全な形で次世代に残していくためにも、クマの絶滅回避をめざして実際的に効果がある活動を続けてまいります。

 

みなさん、ぜひ、日本熊森協会を今後とも応援してください!

 

今回の新たなトラスト地購入にあたり、様々な方々にお世話になりました。

みなさん本当にありがとうございました。

JBN主催シンポジウム 5月27日東京 「四国のクマ・絶滅へのカウントダウンを止めるために」

「四国のクマ・絶滅へのカウントダウンを止めるために」

(上の表題をクリックいただくと当日プログラムなどの詳細が出ます)


開催日時
:2018年5月27日(日)10:00-17:00
開催場所:東京農業大学アカデミアセンターB1F 横井講堂(世田谷キャンパス)
参加費:無料
主催:日本クマネットワーク(JBN)

東京農業大学 山﨑 晃司先生らが発表されます。

 

(熊森から)

公益財団法人日本自然保護協会によると、四国のツキノワグマの20年後に絶滅する確率は6割以上という研究結果があるそうです。

 

国(=環境省)はいまだに野生動物問題は1999年に都道府県に権限を委譲したとして、地元である高知県と徳島県に丸投げ。全く動いていません。両県の積極的な動きもありません。

日本国の名にかけて、今すぐ環境省本省に四国のクマの絶滅を止めるために動いていただきたいです。

地元の人達は、ほとんどクマの絶滅に関心がないということです。

何とかひとりでも多くの地元、そして全国のみなさんに関心を持っていただきたいです。

 

四国のクマを絶滅から救ってやりたいです。

そのために今すぐ必要なのは、繁殖できるだけの食料の確保と生息できる森の再生です。

熊森もがんばっていきます。

みなさん応援してください。

 

10月12・13日 四国のクマ保全に貢献するため、本部+高知県支部長+愛媛県会員が現地調査

四国に生息するツキノワグマは残り十数頭、絶滅は時間の問題とされてから、長い年月がたちます。

その後、生息調査が精力的に進められてはいるものの、一向に生息数回復のきざしがみえません。

四国山地が頂上付近まで人工林で埋められたままになっているからだろうと思われます。

クマたちが棲める広葉樹林の森の再生・拡大が急がれます。

 

11月5日にくまもり愛媛県支部が立ち上がることもあって、今回、会長以下本部3名と高知県支部長、愛媛県会員2名の計6名で、四国のクマの保全に関係する中心人物たちを訪れてつながり、高知県のクマ生息地である剣山地の奥山調査にも入ることにしました。

剣山地は、標高1500m~1900m級の山々が連なり、最高峰は剣山1955mです。

クマの生息地は、標高1000m以上のブナ・ミズナラ林にあります。

 

下の地図は、今回の調査コースです。

広域地図 クリックすると拡大

詳細地図 1日目のコース京柱峠 2日目のコース西熊渓谷 クリックすると拡大

 

【10月12日】

熊森本部は、兵庫県西宮市から3時間30分車を走らせ続け、高知県大豊町で四国のくまもり会員の皆さんと落ち合いました。

その後みんなで、京柱峠から3km南の稜線上にあるブナ林(標高約1400m、大豊町内)をめざして進みました。

四国に初めて行ってみて驚いたのは、高い山の上まで集落が点在していることです。

あんな高い標高地でどうやって生活するのだろうかと思いましたが、昔は尾根筋が街道で、多くの人々が行き来していたということです。

標高800m以上まで集落が点在する剣山地(高知県大豊町)クリックすると拡大

 

人工林が標高1200mくらいまで広がっていました。

放置されたスギ人工林。標高約1200m

 

林道の終点で車を置いて、徒歩で進みます。ここから先は背丈を超えるススキが原が延々と続いていました。

ススキが原。標高約1250m地点

 

標高1300mを少し超えたところで、やっと広葉樹林が現れました。しかし、よく見てみると、ここの広葉樹林はほとんどがカエデ類でした。クマたちの餌となる物は皆無です。

カエデ類の広葉樹林

 

もう少し上るとブナ林があるということでしたが、時間が足りなくなってここで下山しました。うーん、ここまでの山にはクマなど棲めないでしょう。

 

下山後、四国のツキノワグマの調査に長年取り組んでおられる認定NPO法人「四国自然史科学研究センター」を表敬訪問し、センター長の谷地森秀二農学博士や主任研究員の山田孝樹氏らと長時間心を開いて懇談しました。


四国自然史科学研究センターがある公民館

 

【10月13日】

この日は、四国のクマの存続のカギを握っている林野庁の出先である高知森林管理局(高知市)を訪れました。大事な局面なので、副会長も朝一の飛行機で高知空港まで飛んで来ました。総勢7名で、午前9時から担当者2名と面会。

クマが生き残っている高標高地域は国有林が多く、3割が人工林になっています。この人工林を自然林に少しでも戻すことができたら、クマの絶滅が少し遅まります。

熊森は高知森林管理局を今日初めて訪れたのですが、テーブルには厚さ2センチくらいの日本熊森協会ファイルがすでに置かれていてびっくりしました。

国有林で自然林に戻せそうな場所がないかと随分ねばってたずねてみましたが、「1か所もない」というつれない回答のみでした。

 

昼からは気を取り直して、高知県香美市にある西熊渓谷と白髪山(1769m)周辺の調査に入りました(地図参照)。あいにくの雨模様でしたが、山を登っていくと天候が少し回復してきました。

標高約900mの地点で、車を降りて森の中へ入ってみました。怖いほど急な斜面です。クマ注意の看板が2か所にありました。いくら四足でも、この急斜面は怖いだろうと思いました。

クマ注意の看板

 

クマの痕跡がないか慎重に探しながら歩きました。爪痕のようなものがありました(赤丸内)。樹に登った形跡はありませんでした。

クマの爪跡

 

この渓谷の先には、西熊山保護林という480haの広葉樹林帯があります。そこへ行けばクマの食糧が豊富にあるのかもしれませんが、今回はそこまで行くことはできず、再び、林道へ戻り、さらに車で上へ向かいました。

標高約1350mまで登ると、ササに覆われたミズナラの巨木が現れてきました。人為的に見える花園があり、養蜂箱がいくつか置かれていました。

ミズナラの巨木とササ

 

みんなでクマの生息痕跡を探しましたが、全く見つかりませんでした。いくらミズナラやササがあっても、人間が車でどんどん入ってくるところに、臆病者のクマは暮らせないのだろうと思いました。

人間に見つからないようにそっと生き残ってきたクマの最後の火が消えようとしている今、日本熊森協会に何ができるか、後で後悔しないようにできることに精一杯取り組んでいきたいです。

四国山地は頂上のわずかな部分を除いて、ほとんどがスギやヒノキの人工林に変えられてしまっています。

四国の植生

 

四国にクマが生き残ったのは、奇跡です。

この貴重な命を守るために、今後、四国4県のみなさんに、クマのすばらしさやクマを残すことの意義を伝えていきたいです。(完)

 

 

1月12日 本部から高知県へ 高知県支部長と人工林の共同伐採

IMG_6844

1月12日。高知県支部長が奥山の人工林を購入して伐採しているということなので、本部も協力しようと高知県に行ってきました。高知県の人工林率は66%にも達しています。

なんと、この日の高知県の奥山は、かなりの雪でした。

IMG_6845

雪のために、高知県支部長の自宅からは車を出せないと言われました。仕方なく、近くの宿泊施設に車を置き、あとは10分ほど歩いて、支部長の家に到着しました。最初、林業に従事してこられた徳島県の会員といっしょに来ようと思ったのですが、残念ながらひとりで来ることになりました。

IMG_6849

家のまわりは白銀の世界でした。

IMG_6848

猫さんも寒そうです

IMG_6847

鶏もいます

IMG_6851

ヤギもいます

IMG_6857

そして、なんと羊も飼っておられました。

IMG_6864

作業中、支部長の愛犬がまわりを走り回っていて楽しいのですが、危ないので慎重に伐採を進めました。

IMG_6866

この日、伐採した木は33本。これでしばらくは薪が足りると、支部長が喜んでいました。

IMG_6868

この道の奥に支部長が購入した杉山が10haほどあります。これからどんどん伐採して、自然林に戻していくそうです。

IMG_6865

愛犬のモコも一緒に撮影

 

また、本部から伐採を手伝いに行きたいと思います。四国の会員で伐採に参加できる方はお知らせください。

環境省主催 狩猟の魅力まるわかりフォーラム 静岡県

今日は、静岡市で、「すごいアウトドア!!狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が開催されました。静岡県には熊森支部がないのですが、4名の県民が協力して、がんばって、「すごいアウトドア」感覚でハンターを養成することに疑問を呈するチラシを、会場近くで配布しました。

 

興味を示してくれる人はあまりいなかったということですが、訴えたいことをメモにして、マイクを使って訴えたそうです。

 

最近、自分の意見を言わない国民が、増えてきていると感じます。これでは、良い国を、子や孫に残せません。今回、勇気をもって初めて声を上げたみなさんに、拍手を送りたいです。

shizuoka

・・・

ちなみに、12月7日に高知県で行われた「 狩猟の魅力まるわかりフォーラム」では、「すごいアウトドア!!」というキャッチコピーがチラシから抜けていただけあって、参加者の報告によると、内容もそのような軽々としたものではなかったということです。

高知県チラシから、”すごいアウトドア”が消えている

狩猟の魅力まるわかりフォーラム

 

今日初めて知ったのですが、私たちが他生物の生命軽視の最たるものとして、削除を強く願ってきた、”すごいアウトドア”という狩猟者養成のためのキャッチコピーが、12月7日実施予定の高知県の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」のチラシから削除されていました。

1468561_537771476313008_1237219977_n

12月7日実施予定 高知県 

563151_540573782699444_1058773679_n

12月15日実施予定 静岡県

高知県に対して熊森がこの言葉の削除をお願いをしたことは、ありません。高知県関係者のみなさんが、自主的に削除されたのだと思います。自然や生態系を破壊し続けてきた人間の責任を思うと当然ですが、とてもうれしいです。

豊かで広大な自然が残されていたら、そのなかで、ある種の生物だけが増え過ぎたり減りすぎたりすることなく、すべての生き物たちが増減を繰り返しながら、絶妙のバランスで共存していくのです。シカが多すぎるから、殺して生息数をコントロールしてやると言っている人たちがいますが、人間がとことん壊してきた自然を復元してやらない限り、自然界のバランスは永久に戻りません。

遠回りなようでも、まず、行き過ぎた奥山人工林を撤去して自然林に戻すことから始めるべきでしょう。それをせずに野生動物たちの殺害から入るなんて、人間として恥ずかしい限りです。

環境省主催狩猟の魅力まるわかりフォーラムは、12月に3回予定されています。以下の2回以外に、12月21日には長崎県で開催予定です。

フィード

Return to page top