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カテゴリー「_野生動物保全」の記事一覧

C.W.ニコルさんの死を悼む 作家・ナチュラリスト 79歳

自らをウェールズ系日本人と呼ぶC.W.ニコルさんは、1995年に日本に帰化され、自然に生かされていることが全く分からなくなってしまって自然を守ろうとしない私たち日本人に、クマの大切さ、森の大切さ、生物多様性を守ることの大切さを語り続けてこられました。

熊森は生前つながることができませんでしたが、4月3日にご逝去されたとの報に接し、心から哀悼の意を捧げます。

クマが大好きでクマのすばらしさを知っているC.W.ニコルさんによって、クマの棲む森を守り残すことの大切さを知るようになった日本人が多くおられると思います。

 

ニコルさんのすごいところは、森の再生を口で語るだけではなく、長野県北部の黒姫にある34ヘクタールの荒廃した里山を買い取り、アファンの森と名付け、実際に森再生を実践されたことです。

34年目の今、アファンの森は生物多様性に溢れる森となっているそうです。「豊かな森は人の心も豊かに育む」と言われていたそうですが、まさにその通りだと思います。ニコルさんと熊森は、すべて考えが一致していたわけではありませんが、一致点は多かったと思います。

 

奇しくも、4月1日、2日、4日と神戸新聞にニコルさんの「猟を語る」という取材記事が連載されていました。

狩猟者であったニコルさんが最後に応じられた取材だったかも知れません。

 

この記事はクマ狩猟を始めようとする記者がインタビューしたもので、ニコルさんが狩猟や罠猟について語っています。

以下、抜粋

 

「私はわなは大嫌い。ものすごく嫌いです。アフリカの国立公園長をしていた時、わなを使う人たちを逮捕していたから。わなは密猟者の道具。動物に恐怖と苦しみを与えてはいけない。大半の国でわなは違反です。特にワイヤロープ(くくりわな)。あれは無差別です。シカ以外の生き物もかかってしまう。でも(日本)政府はわなを勧める。それは日本の恥です。

ハンターの誇りはすごく奥深い。一発の弾で即死させられる腕がないとだめ。痛みを与えないよう一瞬で命を奪う。そうでないと動物虐待になる。散弾銃はとんでもない。一発に弾が9個入っていて、どこに当たるか分からない。シカの数を管理しないと森の生態系が変わる。自然を守るのが本当のハンターの仕事です」

 

熊森から

 

昨年熊森が話を聴いた猟師は、一人で罠を100個かけていると言われていました。かかった動物は、槍や包丁で何度も突いて殺すそうです。罠があれば、銃など不要と言われていました。銃を持って山の中を動物を追って走り回るより、罠の中に誘引物を入れておいて、動物がやってくるのを待っていた方が楽に決まっています。銃と違って罠は野生動物を大量に捕獲できるのです。

くくり罠の場合は、シカやイノシシを獲るという名目で許可を得たものであっても、キツネ、タヌキ、クマ・・・、もういろいろな動物がかかります(シカやイノシシなら、くくり罠で獲っても良いと言っているのではありません)。

 

くくり罠で錯誤捕獲された場合、罠を外してやろうと思って近づいても、動物たちは殺されると思って必死に暴れるため、罠を外してやれません。そこが、鉄格子でできた箱罠と違います。結局、くくり罠にかかった動物は、みんな殺すしかないのです。しかも、罠にかかった動物は、強力なワイヤーで締め付けられて、苦しみと痛み恐怖のうちに殺されていきます。

日本は今、環境省の指導により、無数の罠で毎年野生動物を大量に殺処分しています。山の中は罠だらけ。全国民にこの実態を知っていただきたいです。国民が地元の人たちや野生動物たちの悲鳴に無関心だから、こんな残虐なことが許されていると思います。環境省の担当者は、野生動物の捕獲許可権限は都道府県に全て移譲してしまっており、現地に出向くことはないと言われていました。法律を作るのは環境省ですから、環境省の担当者は部屋から出て、現地を見て回っていただきたいと思います。

罠猟は日本の恥、ニコルさん、よく言ってくださいました。

 

熊森は今、罠の規制を求める署名を開始しています。

くくり罠のような残虐な罠は使用禁止にするようにと、以前、熊森は環境省に何度も必死で働きかけたことがあります。

しかし、数が少なすぎて、ほんの一部の者の声であるとされ、環境省を動かすことができませんでした。

とりあえず、無差別捕殺となる「くくり罠は日本の恥」を使わせてもらおうと思います。

今度はたくさんの署名を集めたいです。

罠捕獲に強力な規制を!

みなさん、どうか署名の件、拡散をよろしくお願いします。

 

 

 

浜松市のクリハラリスたちの命を守ってやりたいのです

本部に以下のような相談が寄せられましたので、みなさんと共有したいと思います。

わたしは静岡県浜松市のくまもり会員です。

浜松市では、公園や緑地などでクリハラリス(通称タイワンリス)が放し飼いにされており、すっかり野生化しています。私もその一人ですが、その姿や仕草に心癒やされている市民も多くいて、すっかり地域の風物詩になっています。今やクリハラリスはアイドル的存在です。

浜松城公園で撮影したクリハラリス(尻尾を入れて30~40~センチ)

このリスたちは野生化してすでに半世紀近く経っています。浜松市はこれを観光資源として利用してきました。

その数、推定1万5千頭(浜松市のみ)だそうです。

しかし、今年度5000万円の予算が組まれ、このリスたちが、浜松市によって根絶殺害(=ゼロになるまで殺し尽くすこと)されようとしています。

理由は、

・外来種だから。
・家庭菜園の果物を食べるから。
・家の戸袋をかじるから。
・在来種のニホンリスを脅かすかもしれないから。
だそうです。

自分たちの楽しみのために海外から連れてきて利用しておいて、都合が悪くなったらいきなり全部殺す。私は、とてもではありませんが、はいそうですかと賛同はできません。あまりにも人間勝手ではないかと感じております。

賛同できない理由を、以下の6点にまとめました。

①コロナ禍にある今、やるべきことなのでしょうか

5千万円もの予算があるなら、今大変なことになっている人命を救うべきです。

②大きな哺乳類を大量に殺すことに対する市民感情を考えてください

リスはかわいい哺乳動物です。捕獲作業に当たる人間も、目の前で捕獲されていくリスを見ることになる市民も、その心的負担は相当なものになるはずです。子どもたちは間違いなく胸を痛めるでしょう。

③クリハラリスを根絶しても問題は解決されない

家庭菜園のミカンやビワを食べたり、家の戸袋をかじったりする。林業に影響が出るかもしれない。ある程度はそうだろうと思われます。

しかし、それは、ニホンリスをはじめ、他の野生動物たちもすることです。ミカンやビワなどは、カラスもスズメもネズミも食べています。全部殺さねばならなくなります。法的には許されないでしょう。

緑地近郊で暮らしたり、農業を業とするには、ある程度は避けて通れないリスクの一つではないでしょうか。


④在来種のニホンリスと本当に競合するのですか

クリハラリスのほうが体が大きいから、ニホンリスを駆逐するのではないか、ニホンリスを守るためにクリハラリスを根絶しなければならないと言われます。しかし、クリハラリスは南国出身であり、基本的には寒さが苦手です。浜松市北部の山中へ進出して先住民であるニホンリスを駆逐するとは限りません。したとしても、ある程度は限定的なものになる可能性も考えられます。

大陸から来たコウベモグラはアズマモグラより体が大きいが、競合することなく、自然環境の違いに合わせてうまく棲み分けています。種類の多いコウモリなども、実に、環境の違いによってうまく棲み分けています。

⑤第一、根絶などできないです

クリハラリスは静岡県だけでなく、すでに12都府県で生息しています。小さな島や半島の先ならいざ知らず、広い大地で自然環境を残したままの根絶殺害は不可能ではないでしょうか。根絶殺害を施したつもりでも少しは見逃しが出るはずです。その結果、気が付くと再び元の数に戻ってしまっている、この繰り返しになると思われます。このようなことのために、多額の税金を投入することは、費用対効果の面からも問題です。

外来種問題は、まず、外来種の輸入を止めること。すでに国内で大量に繁殖してしまっている外来種は、もう、新たな可能性として受け入れるしかないというのが世界的な流れになってきています。現在、在来種とされている動物でも、元をただせば外来種であったものがとても多いのです。

⑥対策の提案

諸外国でも外来リスが問題となっているところがあるようですが、アメリカなどは数の低減をめざして避妊ワクチンや生殖力減衰エサなどで対応している例もすでにあります。
浜松市もこうした動物福祉に沿った先進的な手法で問題解決をめざせないでしょうか。こちらの方が、圧倒的に市民からの賛同も得られやすいでしょう。


このコロナ禍の中、多くの国民が声をあげたことで、チャーター機が無料化されるなど、国が姿勢を変える場面を何度か見ました。クリハラリスの問題も国民が声を上げれば、変わるのかもしれないと知るいい機会でした。
リスのこと、クマのこと、自然のこと、私たちが声を上げることによって、今や罠や銃の前で完全弱者である地球のなかまたちを助けてやれないでしょうか。命を大切にする文明を取り戻せないでしょうか。何とかかれらとの共存をめざしたいと思います。

ご賛同いただける方は、浜松市に柵や網で果樹被害を低減させたり、海外のように避妊去勢策をとったりして、クリハラリスの命を奪わない対処法をとってほしいと一緒にお願いしていただけないでしょうか。他にもいいアイディアがあれば、ぜひ、浜松市にお伝え願います。

(要望先)

・浜松市役所 鈴木康友市長 〒430-8652 浜松市中区元城町103-2

市長へのご意見箱 https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/cgi-bin/simple_faq/form.cgi

広聴広報課電話番号:053-457-2021ファクス番号:053-457-2028

熊森注:担当部署には決定権がないので、要望先から外しました。

・環境省 自然環境局  野生生物課 外来生物対策室
電話03-3581-3351(代)

 

 

 

 

 

 

浜松城公園の森を臨む

 

 

 

 

クリハラリスの生存を支える浜松城公園内の自然豊かな森の中

・クリハラリス根絶殺害の開始を伝える新聞記事

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200327-00010013-satvv-l22

熊森から

今回のクリハラリス根絶殺害は、浜松市が考えたことではなく、日本哺乳類学会(茨城県つくば市にある国立研究開発法人森林総合研究所内に事務所)に属する一部の外来種根絶派の研究者たちの脅しともいえる要望書に、行政が屈して実施するものだと思われます。

 

<クリハラリスの根絶殺害を要望する日本哺乳類学会からの要望書>

2019年11月15日 熊本県知事・宇土市長・宇城市長宛て

2019年11月15日 神奈川県知事宛て

2017年12月12日 環境大臣・農林水産大臣宛て

2016年11月29日 静岡県知事・浜松市長宛て

2010年1月4日 熊本県知事・環境大臣・農林水産大臣宛て

 

確かに、大学の偉い先生方に、いますぐ外来種を根絶殺害しなければ大変なことになると専門用語を使って脅されたら、行政は人間として、そんな無茶なそんなかわいそうなと本能的に思うものの、専門知識もなく他に情報源もないため、震えあがってしまうのも無理のないことだと思います。

 

大人たちは思っていても口には出しません。まさに、裸の王様です。「外来種を皆殺しにするなんてまちがってるよ」という子供の声が、今こそ日本社会に必要です。

 

歴史は、専門家の判断が時には間違うこともあることを示しています。外来種根絶思想は、専門家たちが専門性を高めるために小さな穴の中にどんどん潜って行ったことによって、全体や他生物の命の貴さが見えなくなってしまったことで生じた誤判断ではないでしょうか。

 

まちがい1 倫理上完全にアウト

外来種が入ってきて在来生態系のバランスが変化するのを好まない研究者たちの気持ちはわかります。しかし、現在の外来種根絶政策は、そのような外来動物を輸入してもうけようとした人、輸入を許可した国、売った人、買った人、逃がした人、これら人間の責任を一切追及することなく、無理やり日本に連れて来られた哀れな被害者である外来種に全責任を負わせ、彼らの命を奪って終わろうとしています。これは、倫理上、完全にアウトです。恐ろしい思想だと思います。予算の5000万円(うち1200万円は環境省からの交付金)は、捕殺業者にわたすお金だそうです。

 

自然保護団体などの輸入を止めろという声で、現在やっと、植物も含めて148種の特定外来生物の輸入が止まりました。しかし、一方で、2000種以上の外来生物の生体輸入が今も続いていると聞きます。

 

昨年度、動物実験を廃止する会(JAVA)が取り上げたエキゾチックアニマル展示販売会問題に熊森も賛同し、環境省にこのような販売会を禁止するよう申し入れました。しかし、環境省は、職業は自由であり、特定外来生物種のリストに入っていない種の販売は違法ではないとして動きませんでした。今売られている外来種が、いずれ野に出て繁殖し増えて特定外来生物種になることは十分に考えられます。環境省は、蛇口をまず止めないとだめです。

 

 

まちがい2 外来種の根絶は不可能で、無用の殺生となるだけ

私たちも、在来生態系を守りたいと思っています。しかし、いったん野で繁殖してしまった外来種を根絶することはもはや不可能なのです。取り返しのつかない問題です。北海道では平成11年からアライグマ根絶事業が始まっていますが、北海道の気候がアライグマに合うのでしょう。殺しても殺しても生息域は拡大の一歩。あれから20年以上たちますが、頭数的に増えたか減ったかさえつかめないということです。これまで全国で殺してきたおびただしい数のアライグマの死体の山を想像すると、ぞっとします。根絶殺害は一体何だったのでしょうか。自然界をコントロールしようという人間たちのおごりがもたらした残虐行為ではないでしょうか。

 

大量に殺害しても、しばらくすると再び増えて環境収容力に合わせた元の数に戻ってしまうため、それまでの殺害が無用の殺生となります。行政はもういい加減に気づいてほしいです。

 

早稲田大学の池田清彦名誉教授のように、専門家でありながら、外来種根絶政策を無意味と批判しておられる方もいます。現在、外来種根絶派の研究者たちと環境省がつながっているので、こんな漫画のような理不尽で残酷な政策が全国でまかり通ってしまっているのです。

 

当協会がドイツの自然保護団体を訪れたとき、ドイツでは50年以上野で暮らす外来種は在来種とみなすということでした。ドイツのアライグマは50年以上たっているため、アライグマを組み込んだ生態系がドイツの新生態系とみなされるのです。合理的だと思いました。

 

日本哺乳類学会からの要望書が来ても乗らず、手間がかかっても、殺生しない解決法をめざす毅然とした命に優しい地元行政であってほしいです。

 

尚、浜松市の会員さんは、クリハラリスに関して膨大な資料や専門的な文献を集めておられます。今後、避妊ワクチン導入などの代替案を早急に出していかなければなりません。一人では大変なので何人かの方につながっていただきたいです。(完)

強力な誘引物で山中のクマをおびき出し、無害グマを大量に有害捕殺している行政はアイヒマン?

奥山生息地が野生動物たちが棲めないまでに荒廃している西日本で、ツキノワグマを初めとする野生動物たちが罠に次々と捕獲され、銃や、電気、槍、ロープによる首絞め、炎天下放置などによって前代未聞の大量殺処分を受けています。

 

<西日本の2019年度8月末までのクマ殺処分数と放獣数>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての野生動物に自然豊かな生息地を保証することは、地球上で最強・最大の力を持つようになった私たち人間の責務です。

しかし、現実には、野生動物たちのすみかであった広大な山は、戦後、人間が針葉樹の単一造林に大きく造り変えてしまい、生き物の住めない死の山となっています。

熊森は、野生動物たちのために、そして私たち人間の水源の森確保のために、会結成以来23年間、奥山を、天然林に復元・再生し続けています。

また、大型野生動物と人間が昔のようにすみ分けて共存できるよう、21世紀の柵設置(=祖先のシシ垣にあたるもの)も、行政に訴え続けてきました。

 

しかし、行政は現在、動物を殺して数を低減させておけば、野生動物による被害がなくなるという短絡的なエリート研究者たちの言いなりです。

そこにはもはや、他生物の生命への畏敬の念や人としての倫理観は完全に失われてしまっています。

 

それにしてもどうしてこんなに大量のクマが有害捕殺されるのでしょうか。

わが国ではこれまで、人間に何の被害も出していないクマを有害捕殺することは、原則できませんでした。

しかし、今やっているのは、有害捕殺とは言いながら、実は、無害グマを大量に捕殺しているのです。

現在、シカやイノシシを捕獲するための罠も含めて、クマの大好物である米糠を誘引物として入れたおびただしい数の罠が設置されています。

山中にいるクマまでおびきだして、捕獲されたら、何の被害など出していない無害グマであっても、有害獣として行政が猟師や捕獲会社に殺処分させています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱罠にかかった哀れなクマ

 

0歳児グマもどんどん殺されています。0歳児の子グマのあどけなさかわいさを思い浮かべると、とても殺す気に等なれないはずですが・・・どうしてこんな残酷なことができるのでしょうか。

 

以下、山中伸弥京都大学教授のネット発言が参考になると思います。(以下、ネットから一部転載。)

 

人間の残虐性に迫ったアイヒマン実験

 人間は、特定の状況に置かれると、感覚が麻痺して、通常では考えられないようなひどい行動におよぶ場合があります。そのことを示したのが、アイヒマン(ナチス将校で、第二次大戦中、強制収容所におけるユダヤ人大量虐殺の責任者。後に死刑に処せられた)実験です。

内気で、仕事熱心な人物が、どうして残虐になり得たのか。それを検証したのです。

ところが、白衣を着て、いかにも権威のありそうな監督役の実験者から「続行してください」とか「あなたに責任はない」と堂々と言われ、教師役はボタンを押すのをためらいながらも、どんどんエスカレートして、実験を継続したんです。(権威のある人のもとで、人間は際限なく残酷になってしまう。)

 

チームのほうが誘惑に弱くなる

ひとりで研究しているだけなら、生命に対する恐れを感じて、慎重に研究する。そういう感覚はどの研究者にもあると思います。

ところがチームになって、責任が分散されると、慎重な姿勢は弱まって、大胆になってしまう。たとえルールがあっても、そのルールを拡大解釈してしまう。気がついたらとんでもないことをしていたというのは、実際、科学の歴史だけでなく、人類の歴史上、何度も起きたし、これからも起こりえます。

チームを組んで研究することによって責任が分散され、倫理観が弱まって、危険な領域へ侵入する誘惑に歯止めが利きにくくなっているのではないか。歯止めとして有効なのは、透明性を高めることだと思います。密室で研究しないことです。研究の方向性について適宜公表し、さまざまな人の意見を取り入れながら進めていくことが重要ですし、そうした意見交換をしやすい仕組みを維持することも大切だと思います。

 

熊森から

山中教授の言葉はまさに言い得て妙です。

神の手で絶妙のバランスを保ってきた自然界に、現在、人間が手を入れてぐちゃぐちゃにしています。

シカやイノシシと比べて生息数が2ケタも小さいクマたちに、今のようなだまし討ち的な殺害を加え続けていたら、そのしっぺ返しは必ずや全生態系や人間に来ると確信します。

行政や研究者の皆さんは、大量殺害理論とその実態を隠さずに公表して、このような対応の仕方でいいのか、多くの国民の声を聞いてみるべきです。

 

 

 

 

 

 

獣害被害額が減少 防護柵設置が奏功、みなべ町

以下、7/13(土) 紀伊民放より

 

 和歌山県みなべ町によると、町内の2018年度の野生動物による被害額は328万2千円で、17年度(451万9千円)や16年度(507万5千円)に比べ減少傾向にある。被害は続いているが、町産業課は「被害額が実際の被害のすべてだとはいえないかもしれないが、防護柵の設置が増えた効果が大きい」とみている。

 

18年度の被害内訳はイノシシ124万7千円、サル48万5千円、シカ122万円、アライグマ33万円。17年度の被害内訳はイノシシ156万3千円、サル82万5千円、シカ180万4千円、アライグマ32万7千円だった。

 

防護柵の設置に当たっては、町と県の補助を合わせて資材費の3分の2(上限1メートル当たり900円)を補助している。防護柵の補助実績は、15年度が20・6ヘクタールの1万4435メートル、16年度が21・4ヘクタールの1万6365メートル、17年度が15・8ヘクタールの1万1597メートル、18年度が29・4ヘクタールの1万6620メートル。

 

同課は「被害額は徐々に減ってきている。防護柵の整備が進んでおり、設置した人からは被害がほぼなくなったと聞いているが、柵がない所は被害が多いと聞く」と話している。

 

防護柵の設置効果として、17年度に設置した人に対し18年度にアンケートをしたところ、以前被害があった面積の約96%で被害がなかったという。

 

熊森から

他生物にも優しい文明が、一番優れている。

アーバン・イノシシだなんて、とんでもない!

5月8日放映、NHKクローズアップ現代 「アーバン・イノシシ物語 ワシらが都会を目指すわけ」には、恐れ入りました。

都会に進出し始めた、アーバン・イノシシということですが、余りにも一方的な取り上げ方です。

全国の事例を知っている訳ではありませんが、少なくとも、子供の頃からずっと見てきた大阪から神戸に至る阪神間のイノシシ関する限りは、被害者と加害者が逆になっていると思いました。

 

阪神間の山を見てみましょう。

西宮市です。

イノシシの生息地をどこまでも、人間が奪っていっています。

子供の頃、山に家などありませんでしたが、今はこのありさまです。

 

宝塚市です。

 

上と同様です。

 

神戸市を筆頭に、経済成長期に、そして今も、都市では宅地開発が山の上へ上へと進んでいます。

イノシシが遠くから都会を目指してやってきたのではなく、都市の裏山に元々住んでいたイノシシたちが、人間による宅地開発で生き場を失って家の横まで出てきているだけのことです。

 

山の裏側の三田市では、もっと巨大なニュータウンづくりが行われました。

 

アーバン・イノシシなどと茶化し、物言えぬ野生動物たちに全ての責任や罪を押し付けるのは、人間として恥ずかしいことです。

阪神間のイノシシが、この番組を見たら、憤死すると思います。

 

特に都会では、確かに、人間と大型野生動物であるイノシシが隣り合って暮らすのには無理があると思います。

昔の人達が、この国土をうまく分け合って人とイノシシの棲み分けをはかっていたいたように、もう一度棲み分けを再現すべきです。

イノシシは、自然界にはなくてはならない動物です。

 

 

人間は、海に何ということをしてしまったのか 黒い津波 知られざる実像 NHKスペシャル

東北大震災当時、津波の映像も被害の大きさも、衝撃でした。

と同時に、もう一つの衝撃が当時ありました。

どうしてきれいなはずの東北の海の水があんなに真っ黒なのか。

まさかヘドロでは?

人間はここまで海を汚染してしまったのだろうかと、ぞっとしたことを覚えています。

 

黒いヘドロの津波

 

震災から8年、やっと、2019年3月3日NHKスペシャルで、黒い津波~知られざる実像~が報道されました。

 

最新の研究で、黒い津波の正体が次第に明らかになってきたのだそうです。(見逃した方は、ネットで見れます)

陸地に到達した津波は当初、透明でしたが、そのわずか5分後には真っ黒な色に変わっていたということです。

やはり、この黒い津波の正体は、人間活動によって海底にたまったヘドロでした。

これでは、海底に住む貝やヒラメや海藻は生きられません。

 

沿岸漁業が廃れた原因は、かつて大陸棚の白化現象と聞いていましたが、今や海底は真っ黒の汚いヘドロの堆積場になってしまっていたのです。(どちらも、人間活動が原因です)

魚が消えるのは当然でしょう。育てる漁業がこのような海洋汚染の原因という指摘もあります。

 

戦後だと思いますが、母なる海に、わたしたち人間は、何ということをしてしまったのでしょうか!

呆然とさせられました。

 

しかし、すぐに気を取り直して、海底のヘドロをチューブで吸い上げて陸に運び、乾かして、燃やすなりして処理しなければならないと思いました。

今、生きている大人は、みんな責任をとらねばなりません。

 

 

ところが、NHK番組が言及したのは、黒い津波によって、より津波被害が大きくなった事実と、今後、黒い津波の被害から人はどう生き残るかでした。

 

その前に、海底に堆積されたヘドロを回収して、母なる海をもう一度生き物たちが棲めるようにきれいにすることを考えるべきではないでしょうか。

 

みなさんはどう思いますか?

 

もちろんプラスチックも回収しなければなりません。

クリックすると新しいウィンドウで開きます

海を埋めるプラスチック ネットから

 

この片づけをしないのなら、人間は地球上で暮らす資格はもうありません。

マイクロプラスチックのことまで考えると絶望的になりますが・・・

 

 

熊森を早くもっと大きくして、海問題にも取り組める実践自然保護団体になりたいです。

国民の皆さん、どうぞご入会下さい。

熊森は会員の会費と寄付だけで活動している団体なので、どんな問題に対しても、遠慮なく発言し、遠慮なく行動できるのです。

年会費1000円から会員になれます。

市民の力で地球を守りましょう!

沖縄ジュゴン3頭のうち1頭死亡、2頭行方不明に胸痛む日々

熊森は、海や海洋生物までは手が回らないというのが現状ですが、今回の沖縄のジュゴンのことは、本当に大問題だと思います。

もっともっと、マスコミに騒いでもらいたいです。

人魚は、ジュゴンがモデルであることは、良く知られています。

海の草食動物で、食料は浅瀬の海草だそうですから、きれいな海にしか棲めない上、沿岸から離れて棲むこともできないと思います。

 

神経質で飼育は非常に難しいとされており、世界の2か所の施設で2頭だけが飼育されている現状だそうです。

日本では1972年に国の天然記念物に指定されており、沖縄県のレッドデータでは絶滅危惧IA類に指定されています。

 

沖縄で生息が確認されていた3頭ともこんなことになるなんて・・・

絶滅というのは、本当にもう、取り返しのつかないことなのです!

考えられる原因を徹底的に取り除く、疑わしいことも取り除くべきです。

 

行動することはできなくても、声を挙げることはできるのですから、みんなで大きな声を挙げていきましょう。

熊森も声を挙げていきます。

ジュゴン問題について取り組んでくださっている日本自然保護協会などの自然保護団体のみなさん、本当にありがとうございます。

 

以下はネット情報です。

 

米国の12の自然保護団体は19日(現地時間)、米下院軍事委員会のアダム・スミス委員長らに対し、環境を著しく破壊している名護市辺野古の新基地建設工事の一時中止を米国防総省に命じ、米連邦議会が監査権を行使して同省に米環境法を遵守(じゅんしゅ)させるよう求める連名の書簡を送付した。

書簡は、米国の環境法遵守が争点の「沖縄ジュゴン訴訟」が米裁判所で進行中であるにもかかわらず、「国防総省は無分別に行動し、環境に取り返しのつかない損害をもたらしている」と指摘。絶滅危惧種ジュゴンの重要な生息地であるサンゴ礁や海藻が工事の初期段階ですでに破壊されているとし、「米国の環境法を遵守しないまま新基地が完成した場合、これらの海洋哺乳類は絶滅する可能性がある」と工事を強行する米国防総省の姿勢を厳しく非難している。

 

熊森から

世の中には、こういう問題に対して何とも思わない人もいるのでしょうが、そういう人は命に対してあまりにも鈍感になってしまっていると思います。

 

5市町村が、放置人工林を順次計画的に天然林に戻すことを求める熊森陳情を採択

熊森は、2月8日、約1700近くの全国市町村に、「放置人工林を順次計画的に天然林に戻すことを求める陳情書」を、送付させていただきました。

現在、約300市町村から返答が返ってまいりましたが、そのなかで、これまで 5 市町村の議会が、この陳情を採択してくださいました!

 

以下は、これまでに陳情書を採択してくださった市町村議会です。

 

青森県  横浜町

青森県  野辺地町

秋田県  上小阿仁村

秋田県  五城目町

長野県  岡谷市(趣旨採択)

 

熊森から

5市町村からの返答、すごくうれしいです。

この5市町村で、放置人工林の天然林化がうまく進むよう、熊森も応援していきたいと思います。

 

今回、熊森が必死の思いで毎週兵庫県から国会に出向いて議員に訴え続けたり、全国市町村に陳情書を送ったからといって、一気に国が変わるわけではありません。

しかし、熊森が毎年アタックすることによって、少しずつであっても、今後は確実に、全国市町村が変わっていくだろうという確信が持てました。

 

本当は陳情より請願がいいのですが、請願は住民でないとできません。

放置人工林の天然林化を進めるためには、各市町村に、熊森会員がもっともっと必要です。

野生動物たちと共存したい方、まだ、会員になっておられない方は、ぜひご入会下さい。

 

私たち市民の手で、日本にも、欧米並み、100万人の自然保護団体を作りましょう!

 

日本学術会議・兵庫県共催「野生動物と共に生きる未来」は、ごまかし・隠蔽のオンパレード、科学の名に値しない異論封じの仲間内発表会②

シンポジウムの後半に移ります。

今回のシンポジウムの発表者のみなさんは、博士号を持つなど、一流大学を出たそうそうたる肩書きの方ばかりです。

 

兵庫県森林動物研究センター研究部長の横山真弓氏が、「兵庫県に於ける野生動物管理システム」という題で発表しました。

 

大荒廃している兵庫県の森を、豊かな森と見せかける

 

兵庫県の植生図が提示されました。右上に濃い緑がスギ・ヒノキ人工林、黄緑色は広葉樹林とあります。

1980年植生図

 

あれえ?兵庫県の森ってこんなに広葉樹林が多かったかしら?

何度も訪れ、どこにスギ・ヒノキ人工林があるのか大体わかっている町の一つ、但東町に注目してみました。

嘘ーッ、人工林が、もっとあちこちにあるはずだよ。

 

 

熊森が、環境省生物多様性センターが出している環境保全基礎調査の最新版を使って、スギ・ヒノキ・サワラ植林を赤く塗った植生図があります。

但東町部分だけを比べてみました。

 

横山氏提示 濃い緑が人工林         熊森提示 赤色が人工林

 

ずいぶんと兵庫の山のイメージが違ってきます。スギ・ヒノキの人工林内では野生動物は生きられません。

 

 

この後、横山氏は、但馬地域に於けるある集落の1950年と1980年の植生の変化という図を提示されました。隠す必要などないと思いますが、集落名は不明にされていました。

1950年          1980年

 

左図の灰色部分が荒れ地だそうです。30年後、集落の周辺には、森林が再生してきて、無立木地が消え、野生動物の生息環境はとても良くなったということを言いたいようです。このデータだけでそのようなことが言えるのでしょうか。

 

兵庫の森が豊かなら、そこから人里に出て来る野生動物たちはけしからんということになります。

 

しかし、実態は正反対なのです。

一部だけ出して全体イメージを作るのはごまかしです。人工林にせよ自然林にせよ、木が生えていても、内部が大荒廃していて野生動物の餌などほとんどないところがたくさんあります。

 

兵庫県は下層植生が消えている場所などの全県データを持っているのですから、そちらこそを提示すべきです。

 

野生動物が生きていくために必要なのは、ねぐらと食料です。そこを保障してやらないと棲み分け共存などできません。

熊森は兵庫県に対して、有害捕殺や頭数調整捕殺された多数のクマの胃内容を情報公開請求していますが、胃の中は全て空っぽだったとして、兵庫県は公開しません。

他県に同様の資料提供を要請すると、ちゃんと全頭分教えていただけます。

頭数調整捕殺する前にまず、彼らが何を食べているのか、生息地は保障されているのかが大切です。

 

兵庫県のクマ、サル、シカ、イノシシは、どこにおればいいのですか。

どこにいても殺されるというのが現状です。

 

兵庫県の山は、里山も奥山も、今、内部が大荒廃しています。これまで横山氏は、兵庫の森は絶好調、これまでで一番豊かと、国の戦後の森林政策の失敗を覆い隠す発言を続けて来られました。

行政のみなさんには非常に使いやすい研究者だと思います。しかし、最近、あの林野庁でさえ、人工林の7割が放置されて、内部が荒れていると発表する時代です。もう隠せなくなっています。人工林率や放置人工林問題にふれない野生動物管理発表は、やめるべきです。

 

 

このブログでもこれまで何度も兵庫県森林動物研究センターを批判してきました。

数字や図表を多用したところで、ごまかし、隠蔽があれば科学ではありません。

誰もが納得できるデータでなければ、科学的ではないのです。

指摘し出したらきりがないので、個々の指摘はもうやめます。

熊森のように、現場を歩き続けている者たちは、ごまかし、隠蔽にすぐ気づきますが、一般県民は、おそらく行政も含めて、誰も、まず、気づかないでしょう。

 

今回のシンポジウムの開催趣旨に、参加者の皆様と活発な意見交換を行いますとありました。大事なことです。しかし、結局は、質問や意見は前もって紙に書いて提出させ、自分たちに都合のいいものしか取り上げませんでした。これではシンポジウムではなく、単なるワイルドライフマネジメント派の発表会に過ぎません。

 

熊森はいつでも受けて立ちますので、ワイルドライフマネジメント派のみなさん、本当の討論会をしましょう。初めに殺すありきだと、日本中が物言えぬ弱者を強い者が迫害する恐ろしい国になっていくと感じます。もうなっていますが。

 

私たちは、野生動物たちを害獣視するような反自然的なこと、非倫理的なことが、兵庫県の周りの府県に広がって行くことを、今、真剣に恐れています。

 

人間の人間による人間のためのワイルドライフマネジメントは、必ず破綻します。人間社会もゆがめられていきます。

 

「王様は、裸だ!」と、誰かが大きな声で叫び、人々に目を覚ましてもらう時だと感じました。(完)

 

「鳥獣被害防止特措法」の苦い経験から、森林環境税の使途に「人工林の天然林化」の明記を願う

熊森が、「森林環境税」の使途に、「人工林の天然林化を進めること」という言葉を入れていただきたいと訴えて回っているのは、2007年の「鳥獣被害防止特措法」の苦い経験があるからです。

 

この法案は最初、「有害鳥獣特措法」という名前でした。「有害鳥獣」などこの世にいないのだから、「有害鳥獣」という言葉を法律名に使うべきではないとして、熊森顧問の赤松正雄当時衆議員議員が、当時、国会でひとり必死に闘ってくださいました。

 

そして、法律の名を、「鳥獣被害防止特措法」と変えてくださっただけではなく、赤松議員は、第十八条に

 

国及び地方公共団体は、人と鳥獣の共存に配慮し、鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全に資するため、地域の特性に応じ、間伐の推進、広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるものとする。(生息環境の整備及び保全)

 

という条文まで入れ込んでくださったのです。

 

熊森が、泣いて喜んだのは言うまでもありません。

この法案に対して、年間96億円程度の予算が国から出ることになったのですが、鳥獣を捕殺することに予算を使うだけではなく、鳥獣が人里に出て来なくてもいいように、鳥獣の奥山餌場づくりにも予算を使っていいことになったのです!

 

ところが、毎年予算の使われ方をチェックしましたが、鳥獣の餌場づくりには1円も使われませんでした。

 

鳥獣の餌場となる広葉樹林の育成にも使うことという明記がなければ、実際上は使われないと、私たち熊森は学習しました。

 

こういう経緯があったため、今、熊森は、森林環境税を使って人工林を天然林化することという文言を、法文に入れてほしいと訴えて回っているのです。

税は森林整備に使ってくださいという法文だけでは、人工林の天然林化が進むとはとても思えません。

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