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静岡県で「クマ止め林」づくり!

熊森の会員がボランティアで頑張ってくださっています

 先日、「クマ止め林」を作ろう!という記事を公開しましたが(10月18日)、実際に静岡県の山でクマ止め林づくりに取り組んで下さっている会員の山路淳さんをご紹介いたします。 

静岡県の天竜川上流で広葉樹林化をめざす

(公財)奥山保全トラストの静岡県佐久間トラスト地での広葉樹林再生活動。衛星写真で茶色く見える部分は人工林を部分的に伐採したところ。

現場は、静岡県浜松市の公益財団法人奥山保全トラスト地が所有する佐久間トラスト地です。

(公財)奥山保全トラストは、熊森の自然保護活動から生まれたナショナル・トラスト運動を進める自然保護団体で、市民のみなさんからいただいた寄付で、生物多様性豊かな水源の森を開発されないように買取って保全する活動をしています。現在、全国に19か所、2346haの水源地の森を買取り、保全しています。

スギ・ヒノキの人工林率77%と山のほとんどをスギ・ヒノキにしてしまった浜松市では、野生動物の棲める生息環境はわずかにしか残っておらず、放置人工林の荒廃も深刻です。人工林地帯である静岡県では、ツキノワグマは絶滅危惧種に指定されています。

奥山保全トラストが所有する294haの佐久間トラスト地も3分の1がスギ・ヒノキの人工林です。ここでは、地元森林組合や日本熊森協会のボランティアに協力いただきながら、クマをはじめとする野生動物の生息地の回復や、保水力ある災害に強い森をめざして、スギ・ヒノキを伐採し、広葉樹林再生活動を積極的に行っています。

 

くまもり会員によるクマ止め林づくり

佐久間トラスト地の一角で、熊森協会の会員の方による動物のえさ場となる森づくりが進められています。

十数年に亘り、ご夫婦でボランティアでご協力くださっているSさんご夫妻の熱意に触れて参加されるようになったのが山路さんです。

山路さんにクマ止め林づくりにかける思いをインタビューしました。

(山路さんが伐採しているスギ・ヒノキの林。伐採したことで光が入るようになりました。)
 

くまもり活動にかける思い 

茨城大学 理学部卒業後、静岡県西部で、高校の理科非常勤講師をしながら、ゴミ拾いや耕作放棄地の草刈りなどの環境活動に取り組んできました。

7年前に林業に転職。現在、中田島砂丘の海岸林整備、春野町、愛知県新城市の里山再生、広葉樹林化。竹林再生プロジェクトで、浜松市天竜区、中区の竹林整備を進めています。 海から山まで、総合的な環境保全の必要を考え、研究活動を行なっています。

 

熊森との関わりは、Sさんご夫妻のお宅の竹藪を整備して、沢沿いの眺め良くしつつ、孟宗竹の伐採技術の開発をしたことがきっかけで、熊森協会の存在を知り6年。奥山保全の重要さを改めて再確認して、入会しました。

人口減社会で、林業を続けるのが困難な場所を広葉樹林に戻していくことは、野生動物の保護だけでなく林業の今後の発展にも必要だと思い、活動に参加しています。

現在、ツキノワグマなど市街地の出没で騒動の中にいる人たちに、奥山の重要性について少しでも知ってもらいたいと思っています。

野生動物の聖域として保全しているトラスト地に立つ看板。Sさんご夫妻の思いのこもった動物たちのポスター。とてもキュートですね。

 

共生の場をつくりたい
 

かつてくまもりが植樹した場所。すっかり植物に覆われ地面が見えない。苗木も順調に育っている(2019年11月撮影)。

 現在、佐久間トラスト地でスギ・ヒノキの伐採や広葉樹の保護、生育調査を行っています。今後は、トラスト地全体の調査と適切な生態系保全に向けての簡易土工の実施をしていきたいです。

尾根伝いのスーパー林道の傍(最初の写真)は随分と明るくなりました。
栗の木が生えているので、それを避けて伐採を進めるのは難儀ではありますけど、広葉樹とスギ・ヒノキが混交する森を、作ること。
そのための高度の伐採技術を、地元の人々に見せていきたいです。
熊止めの森。人間と野生動物の共生の場を作っていくこと。そこは死ぬ気でやらざるを得ません。

 

山路さん、Sさんご夫妻、いつもありがとうございます。 奥山保全トラストや日本熊森協会の活動は野生動物との共存を願うたくさんのボランティアのみなさんに支えられています。

奥山保全トラストが全国TVに出ます!

日本熊森協会から生まれたナショナル・トラスト団体、公益財団法人奥山保全トラストがテレビに出ます!

 

フジテレビ「世界の何だコレ!?ミステリー」という番組より、取材を受けました。どんな内容かはミステリ-なのでお楽しみです♪

以下の内容で放送されます。

 

<番組名>世界の何だコレ!?ミステリー(フジテレビ・関西はカンレテレ)

<放送予定日時>2018年3月14日(水)19:00~20:54

番組HPはこちら

 

番組中の20分弱が当財団トラスト地の内容だそうです。番組内での放送時間は分かりませんが、是非ご覧ください!

6月8日③モリアオガエルの卵

対岸のあちこちの木々の枝に、モリアオガエルの卵がたくさん産み付けられていました。(対岸の木々に付いている白い塊)

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土砂が池にせり出してきているのが気になります。池の周りを人工林にする前は、周りは広葉樹林で、こんなことは起きなかったのだそうです。どうして人工林にするとこんなことになるのか、地元の人から詳しい経過報告を聞き、納得しました。

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山の崩れが止まってきたので、池の水がなくなった時期に、もう一度、土砂を取り除けば今後はもう大丈夫だと思うと、長年三重の山を見続けてきた方々が教えてくださいました。

 

池の周り、360℃、見渡す限りすべてトラスト地です。

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山頂から3分の1ぐらいの所に見えるのが崩れです。

 

 

6月8日② オタマジャクシの天の川

池のふちに黒い線が引かれており、キラキラ輝いていました。

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そばへ行ってみてびっくり。オタマジャクシの塊でした。さっそく、オタマジャクシの天の川と名付けられました。

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池のまわりはイタドリの大草原です。シカはイタドリが好物と聞いていますが、食べていないところを見ると、もうシカはほとんどいないのでしょうか。草の中では小さな茶色のカエルがいっぱい飛び跳ねており、何度も踏んでしまいそうになりました。

 

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池の周りをはじめ、トラスト地内の人工林約30ヘクタールは、いずれ広葉樹の自然林に戻していく予定です。

6月8日①三重県大台町池ノ谷

NPO法人奥山保全トラス トが所有する池ノ谷を訪れました。

日本一の清流宮川の水が初めて湧きだすところが、池ノ谷です。

途中の宮川では、アユ釣りの人が川に入って友釣りをされていました。

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池ノ谷に着くと、3年前の大雨で崩れた国道の復旧作業が終わっていました。コンクリートを使わずに、石をかごに入れたものを積み上げる工法でした。

ここを通過してしばらく行くと、道路の復旧がまだのところが出てきます。車の通行は無理なので、車から降りてみんなで歩きました。

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池の入り口にある桑の木には実がびっしりと付いていましたが、まだ小さくて実は熟してもいませんでした。(平地では、今ちょうど実は食べごろです)

池に行くと、今年も、透明度100%のきれいな泉ができていました。いつ見ても絵葉書のように美しい風景です。

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くまもり新年の誓いは、この国の奥山の風景を変えてみせる(=自然林にもどす)  

自然生態系は、絶妙のバランスの上に成り立っています。

シカ増加問題に関して、まるでシカに問題があって勝手にシカが増加したように、環境省はとらえておられるのでしょうか。

環境省は、ハンターを増やしたり、民間捕殺会社を創設したりして、シカを殺せばシカ増加問題が解決するかのように、次々と殺害強化法案を出し続けていますが、そんな単純な問題ではありません。

各地の山で、キツネ、ウサギ、ネズミなど、多くの野生鳥獣たちが激減している問題の方は、どうされるおつもりでしょうか。

 

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食料がなく動物が棲めないスギ人工林を除去中(遠景)静岡県

 

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上記写真の(近景拡大)静岡県2013年11月撮影

 

シカ増加問題は、人間が、戦後、自然を大破壊した結果、自然生態系がバランスを壊してしまったのが原因だと、私たちはとらえています。

シカも人間の自然破壊の被害者なのです。

自分たち人間がしてきたことを隠し、物言えぬ生き物たちにすべての罪をかぶせるやり方は、銃によってこの地球上で最強となった人間として、この上もなく卑怯であり、いじめの最たるものです。

環境省は、どうして、根本原因である、破壊し過ぎた山の自然林復元に、林野庁が乗り出してくださるようお願いしないのでしょうか。

 

殺すだけでは解決しない、シカ増加問題。今こそ、壊した自然の復元を!

三重県支部 池ノ谷トラスト地調査第2弾 山の昆虫が激減という異常 池は満水

6月7日、研究者と共に、池ノ谷の崩落現場を再度調査に行きました。参

加者7名。

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1か月前とは打って変わって、池は水をたっぷりとたたえていました。

1昨年の大雨で上流から崩れた土砂が流れてきて、池にせりだして

いました。ちょうど、ウツギの白い花が満開で芳香を放っていましたが、

ハチが2匹いただけです。この少なさは異常です。

多くの生物種が消え、生命の息吹が感じられない山は、不気味でさ

えありました。

動物種の8割を占めるといわれる昆虫がいなくなると、生態系は支え

られません。そうなる日々が近づいているそうです。

 

 

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池にせり出した木々の枝には、モリアオガエルの泡のボールが、80

個ぐらい付いていました。

これだけでも、かなりのオタマジャクシが誕生することでしょう。

 

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オタマジャクシなどを食べに来たのでしょう。たくさんのイモリが山から出

てきて、池の中を、所狭しと泳いでいました。

 

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研究者の先生によると、崩れてきた礫(れき)の河原は、中部地方では

よくみられる光景なのだそうです。そしてそこには、そういう場所に適した

植物が生えるようになるそうです。しかし、紀伊半島では、これまで自然

の森に守られて、このような崩れが起きなかったためか、礫(れき)の河

原に生える植物が見当たらないということでした。

 

山の上の方に登っていくと、礫が動いていない所も多くありました。

とにかく雨の多い地域なので、自然の森が再生されて安定状態になる

まで、100年ほどかけて見守るしかないということになりました。

 

調査に参加してくださったおひとりが、熊森に入会したいと言ってくださ

いました。仲間が増えていくのはうれしいものですね。(三重県支部発)

動物の棲める森再生・・・静岡県トラスト地人工林部分で400本間伐

この度、林業の経験がある3名の熊森本部スタッフ(3名とも30代)は、10月3日4日5日の2泊3日で、静岡県浜松市佐久間町にあるトラスト地(=渡辺保護区)内にある人工林の強度間伐に行ってきました。

 

この山は、元静岡テレビ社長が所有していた山で、294haもの広さがあり人工林の部分もかなり含まれています。地元の森林組合が、静岡県の「森の力再生事業」を使って、2010年に一部の人工林部分に縦に列状間伐を入れてくださいました。今回は、その場所に横列状の間伐を入れ、結果、7割間伐ぐらいにして、自然林を再生させようというものです。

 

トラスト地に向かう道中、この前の台風で山が崩れて抜けたところを、車窓から見ました。人工林の崩れやすさを再確認しました。

 

 

奥山保全トラストのトラスト地到着

列状間伐実施地には、少し、潅木などが生えて来ていましたが、表土があまり残されていないせいか、思ったほども森の再生が進んでいませんでした。

間伐実施跡地には、アセビ、シキミ、ススキなど、鹿の食べないものばかりが生えていました。鹿の糞があちこちに落ちていました。きっと、いろいろな植物が、日光を浴びて発芽したであろうに、鹿に食べられて枯れてしまったんだろうと思われます。この後、自然遷移をたどって、ゆっくり森に戻るのを待つしかありません。

地元の森林組合が実施してくださった縦列状間伐地

今回の僕たち3名の任務は、上写真の列状間伐地の左側に残された真っ暗なヒノキ人工林を、7割間伐して帰ることです。

 

現場①間伐前

↓間伐後

 

 

現場②間伐前

↓  間伐後

鹿が伐採跡地に入りにくいように、伐採した木はわざと枝も払わず、現場に放置しておくことにしました。終わってみると、見違えるほど山が明るくなっていました。これで森の再生は、さらに進むと思われます。間伐見本を示せたので、この後、会員の皆さんが寄付して下さった基金を使って、地元森林組合に、今回自分たちがやったような7割間伐を、順次お願いしていくことになりました。

 

熊森のミッションは、各地の奥山に、動物たちの棲める森を再生し、今、集落に出ている野生動物たちが山に帰れるようにして、地元の方にも、動物たちにも喜んでいただくことです。

 

自分たちの力で、少しでも山を自然な姿に戻すことができたと思うと、林業をしていた頃とは違い、清々しい気持ちで帰路につけました。

 

写真では見えないと思いますが、ヘルメットには熊森のロゴが付いています。また、僕たちの着ている制服の胸に、日本熊森協会という名前が、刺しゅうされています。僕たちは、熊森のスタッフであることを、日々誇りに思っており、どこへ行っても、隠さず、「日本熊森協会です」と、正々堂々と名乗っています。

 

ただ今、三重県大台町池ノ谷満水、モリアオガエルの産卵多し

今年の少雨で、6月4日にはいったん干上がりかけた池ですが、その後の雨もあって、現在は無事、池は満水状態ということです。

6月3日から、モリアオガエルが卵を産みだし(上写真の白いアワ)、6月13日現在、たくさんの卵が池の周りの木々に産み付けられているそうです。

現在、池に通じていた道は、去年の秋の紀伊半島集中豪雨で崩れ落ち、一般人は池に行くことが出来なくなっています。写真で楽しんでください。

 

環境省 ナショナル・トラスト法作り、立ち消え

国民がお金を出し合って、守るべき自然を買い取り永久保全するナショナル・トラストは、自然を守るための有効な手段のひとつです。ところが、日本では、なかなかナショナル・トラスト活動が進みません。その理由の一つに、ナショナル・トラスト活動を支援するための法整備がないことがあげられます。

2年ほど前、環境省が、ナショナル・トラスト法作りに取り組み始めたことを知って、ナショナル・トラスト活動を大きく進めている当協会としては、大いに期待しました。先日届いた(社)日本ナショナル・トラスト協会の会報に、今年の全国大会に環境省大臣官房審議官小林正明氏が出席され、「ナショナル・トラスト活動を支援する法律も徐々にできて来ています」と挨拶されたと書かれていたのを読んで、いよいよだとうれしくなりました。

当協会が作成し、雑誌「ビッグイシュー1月1日号」で今年発表させていただいた「日本版ナショナル・トラスト法案」を持参して、意見交換会を持っていただこうと思い立ち、環境省担当部署である生物多様性施策推進室に電話をしました。部署替えによって、以前の熱心だった担当者はもうおられず、新しい方にかわられていました。

くまもり「いよいよナショナル・トラスト法の原案が形になってきたのですか」
環境省「生物多様性地域連携促進法(2011年10月1日施行)が施行されました」
くまもり「ええっ、その法律に、ナショナル・トラスト活動のことなど載っていましたか」
環境省「12条です」

注:12条 国は、生物の多様性の保全を目的として国民又は民間の団体が行う生物の多様性の保全上重要な土地の取得が促進されるよう、これらの者に対し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うものとする。     

くまもり「この一文だけですか。今までと何も変わっていませんが」
環境省「今、新たな法制定は考えておりません」
       
なぜかわかりませんが、私たちが知らない間に、日本版ナショナル・トラスト法を作ろうという話は、国の方で立ち消えになってしまったようです。 

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