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くまもり本部 近畿とは違う、九州の人工林を視察

7月19,20日、熊森協会本部から九州におもむき、熊本県支部長、宮崎県支部長、福岡県支部長、平野虎丸顧問や現地の熊森会員と共に,熊本県、宮崎県、大分県の山々を現地視察してまわりました。

 

移動中の車窓から眺める景色は本当に人工林ばかりで、九州の人工林の多さには愕然とするものがありました。

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九州の山は、ほとんどがスギの人工林

 

●地震による山崩れ跡と、豊かな湧水(熊本県)

熊本県阿蘇に入り、まず目についたのが今年4月の地震で崩壊した山々の姿でした。

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地震による山地崩壊

今回の地震で崩れた場所はその多くが人工林でした。しかし、そのような観点では報道されていないので、人々は<人工林が土砂災害の大きな原因>となったことにあまり気づいていないそうです。

 

阿蘇周辺では湧水が非常に多く、とてもきれいでした。毎分60トンもの水が湧きだす場所もあるそうです。高森町では湧水をいただきました。クマが絶滅した九州で、こんなにきれいな湧水が出るのを不思議に感じました。昔はもっとたくさんの湧水が湧いていたということです。私たち若い世代は、過去の自然の姿を知らないので、つい今の自然の状態だけで判断してしまいます。

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湧水(熊本県高森)

 

●九州では、皆伐してもすぐに森が再生

今回、九州の山を視察しに行った目的の一つは、九州の支部長の皆さんが、「九州では皆伐後、シカ柵を張ったり植林したりしなくてもすぐに自然林が回復する」と言われるので、この目で見てみたいと思ったことです。

 

実際に九州の山に入って驚きました。

皆伐して一年放置されていた山が、すでにパイオニア種であるヌルデやネムノキ、カラスザンショウなどの稚樹や、ノイチゴなどの下草に覆われていました。近くに広葉樹林が残っていたので、今後、次々と種が飛んできて立派な自然林に回復していくと思われました。

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人工林を皆伐して1年後の跡地(熊本県山都町)

 

下の写真は50~60年放置されていた牛の放牧場跡です。見事に自然林に復元しています。

皆伐後50~60年の山

皆伐後50~60年の山(熊本県)

 

奥山保全トラストが6年前に購入した宮崎県高千穂の人工林の皆伐跡地を見に行きました。沢の対岸から眺めただけですが、見るからに自然植生が回復しており、樹高が6~7mくらいに成長していると見られる木々もありました。九州では、わずか6年でこれほど回復するのかと、とても驚きました。もちろんどこも、シカ柵は張られていません。

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皆伐後6年の山(宮崎県高千穂)

 

自然林再生がむずかしい現在の兵庫の山

下の写真は人工林皆伐後3年たった兵庫県宍粟市の広葉樹植樹地です。シカ除けネットの外はもちろん、中にもほとんど下草が生えてきていません。

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人工林皆伐3年後 2015年8月28日撮影(兵庫県)

 

この違いは?

兵庫県のシカ年間捕殺数は4万6千頭、宮崎は2万5千頭、熊本は2万頭、どちらにもシカはたくさんいそうです。九州と兵庫の自然再生スピードの違いは、シカの密度差?気候差?他にも理由がありそうです。

 

●バイオマス事業の為に皆伐

九州では林業が収入になるということで、皆伐がかなり進んでいました。近年急速に需要が進んでいるのが、バイオマス事業です。これまで売れなかった木材がある程度の値段で売れるということで、林業界は活気づいていました。しかし、バイオマス発電に使われる木は、どんな木でもいいので、バイオマス事業を中心に林業を進めていくと、人工林を放置したり、自然林を伐採したりすることも考えられます。

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バイオマス事業のために皆伐された山(宮崎県)

 

熊森は林業を否定しているわけではありませんが、木材生産に使う場所、バイオマスに使う場所、そして動物がすめる自然豊かな水源の森にする場所などと、山をゾーニングすることがとても重要だと考えています。今のように、目先のお金のために人間が山を全部使うというやり方では、貴重な自然や生物の多様性、水源の森が失われてしまいます。

 

●ストップ・ザ・スギ再植林

残念ながら、九州では人工林の皆伐跡地は、ほぼ必ずスギを再植林していました。手厚い補助金が出るからです。

九州では、人工林皆伐跡地でも、放置しておくだけで簡単に自然林に移行していくのですから、何とか植え過ぎた人工林を自然林に戻していけるよう、熊森がその流れを作っていこうと、支部長さんたちと話し合いました。

再植林したものの、その後、放置されて、自然林に戻りつつある山もありました。

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再植林地が放置され、自然林へと移行

九州で再植林がさかんなのは、九州の山林所有者のみなさんの考え方として、人工林は手入れされたきれいな山で、雑木林は管理されていないきたない山であり、自分の山が雑木林になるのは恥ずかしいという意識があるのだそうです。そのため再植林したものの、その後の管理は補助金で補いきれないので、結局山は放置され、雑木林に戻っていく例もあるようです。

 

●自伐林家の手入れされた美しい人工林

最後に、山を非常にきれいな状態で保っている宮崎県の自伐林家の方をご紹介します。自伐林家は自分の山を間伐し、山が崩れないように手を入れてていねいに木を育てます。本来であれば60年生ほどの太さと思われるスギが、まだ45年しかたっていないというのでとても驚きました。下草もたくさん生えているとても綺麗な山でした。

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林床にはキレンゲショウマの花が一面に咲いていた(宮崎県高千穂)

 

他県の支部の山を見せていただいたことで、また、いろいろと勉強になりました。ご案内くださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

 

 

祝 国内初、ダム撤去に着手 熊本県球磨川荒瀬ダム

(熊森より)遅ればせながらも、これからはダム撤去を公共事業にしていきましょう。

以下、毎日新聞

現場発:球磨川の清流、再生は不透明/河川法上で全国初

/熊本・荒瀬ダム撤去開始

2012年09月01日

8基の水門が全開されている荒瀬ダム。川上から見て右岸(写真左側)の水門から撤去していく=熊本県八代市坂本町荒瀬で

8基の水門が全開されている荒瀬ダム。川上から見て右岸(写真左側)の水門から撤去していく=熊本県八代市坂本町荒瀬で

日本三大急流の一つとして知られる、熊本県の球磨川。その中流にある県営荒瀬ダム(同県八代市)の撤去 工事が9月1日に始まる。河川法で定義されたダム(高さ15メートル以上)の撤去は全国初で、川にどんな影響を与えるか注目されている。同県は「清流」と たたえられたダム建設以前の自然環境復活を目標に掲げるが、上・下流にはまだダムや堰(せき)があり、地元の悲願「清流復活」が実現するかは不透明だ。 【取違剛】

ダムの撤去はこれまでに宮崎県都城市の轟(とどろ)ダムなど小規模水力発電用ダムで先例があるが、いず れも現在の河川法ではダムとみなされない小規模なもので、高さ25メートルの荒瀬ダムのような大規模ダム撤去は初めて。業界団体や学会の関心は高く、熊本 県には情報提供の希望が相次いでいるという。

7月19日 当協会顧問平野虎丸氏(熊本県)は36年前から、奥山、沢から50メートル、急斜面のスギ・ヒノキの人工林を広葉樹林に戻せと主張し続けている

林業家の家に育った平野虎丸氏は、今回の阿蘇を中心とした九州北部豪雨災害に、人一倍無念でしょう。ずっと、こうなることを警告し続けて来られたからです。以下、平野氏のブログ特定非営利活動法人エコシステムの写しです。

 

2012年07月19日00:45

平野虎丸です。ご訪問ありがとうございます。
被災地に咲くホタルブクロ 7 月18日(水)の熊本日日新聞朝刊によれば、今回の九州北部豪雨(熊本・福岡・大分)による死者は28人、行方不明は4人。熊本県災害対策本部が16日午 後3時現在でまとめた家屋被害は、全壊86棟、半壊74棟、床上浸水1178棟、床下浸水1032棟。
日本は、昨年の和歌山・奈良・三重県などの豪雨災害 に、何も学びませんでした。昨年は78人の方が亡くなられています。
いいかげんに反省しましょう。
私は、今年の5月26日に、「土砂災害防止のために急斜面のスギ全伐を提案します」6月29日に、「災害から国民の生命と財産を守るために」、という記事を書きました。熊本県の山へ出かけるたびに、梅雨時や台風時の危険をひしひしと感じたからです。
熊本県は、いつ、どこが崩れてもおかしくない状況となっています。
九州全部と言えば全部。日本全国どこでも、同じ状況です。日本の山々はすべて、林野庁による「森林法」の支配下にあるからです。

 

17日の熊日朝刊には、「人家近い林 早急に間伐を」というタイトルの記事も掲載されていました。

村田宗城大学名誉教授と被災地を歩く、という副題がついています。

以下に、一部抜粋します。

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「表面を覆う火山灰由来の黒ぼく土は水を通すが、黄褐色の土は粘土質で水を通しにくい。黒ぼく土が水を含むと重くなり、浮力も働く。
阿蘇全体に共通した地形で近年経験のない大雨のため、多くの場所が崩れた」

「保水力がある木を植えること自体はいいが、間伐が行き届かないと根がしっかり張らず、災害に弱い」

村田氏は、11人が死亡し、家屋約80戸が全壊した1990年7月の豪雨災害でも坂梨地区を調査。急傾斜地や川岸に植えられたスギやヒノキが濁流に流されて橋に引っ掛かるなどして流れをせき止め、水害の原因になったと分析している。

「雨が降った時に踏ん張るのは山しかない。防災対策の意味でも人家に近い人工林の間伐を早急に進めるべきだ。10年たてば効果が出る。木材として伐採した後は、広葉樹など地盤が弱い阿蘇に合った植樹を検討してほしい」

.。o○o。.★.。o○o。.☆

 

1.スギやヒノキは、挿し木ですから直根がない。

2、間伐をしても根が深く入り込むことはない。

3、すべての木の根っこが横に張ることで根っこどうしが手をつないでいる。

4、雨水の地下への浸透が少ない。

5、雨水はスギやヒノキの根っこの上を流れていく。

6、従って、スギやヒノキは雨水を十分に地下に送ることは不可能で保水力は少ない。

間伐が推奨されるのは、間伐したあとに直根のある実生の雑木や雑草が生えるからです。

しかし、木材生産における間伐は15年生ぐらいから徐々に行うものであり、40年~50年を経た阿蘇地域のスギやヒノキは成長しすぎていて、間伐は遅すぎます。

急斜面において、
100本の挿し木スギを30本間引くとすれば、100本で受けていた風を70本で受けることになり、
台風などには弱くなり、倒木の危険性が高まります。

今以上に危なくなるのです。

平坦地においての間伐は意味があるでしょうが、急傾斜地での間伐は危険なだけです。

大学の先生たちは自ら林業をされたことがないので、具体的なことになるとあやふやで、頭だけの想像になっています。

間伐をすると10年もすれば効果が出る、といわれていますが、10年の間には、いったいどれだけの人々が犠牲になることでしょうか。

私は36年も前から今回のようなことを予見して活動をしてきました。

一刻を争っているのです。

今回の土砂崩れでわかったように、年齢のせいで、急傾斜地のスギやヒノキは崩壊寸前にあります。
特に、小さな沢は危険です。

大雨によるスギ・ヒノキの倒木によって、小さな沢が信じられないほど大きな沢に変貌します。

私がこれまでに書いてきたブログをぜひお読みいただきたいと思います。

こんな災害が起きないように、私は、林野庁にも環境省にも、熊本県にも、口をすっぱくして言ってきました。

特に今年は、熊本市にある森林管理局も訪問しましたし、東京から林野庁の職員が熊本の説明会に来られた時にも言いました。

7月7日(土)には、鹿児島県に新幹線で出向いてまで、環境省の職員の皆さんに、挿し木スギ・ヒノキの山は土砂崩れを起こすから森ではない、と訴えました。

阿蘇の土砂崩れは、それから4日後の7月12日未明に発生したのです。

虫の知らせだったのかもしれません。

挿し木スギ・ヒノキ山の麓に暮らす住民の皆さんの安全を一番に考えるならば、

1、安全な場所への移転
2、スギ・ヒノキの全伐
しか方法はありません。

ぜひ、ご検討のほどをよろしくお願いいたします。

またしても、戦後のスギ造林による大被害  九州北部豪雨による被災者のみなさまに心からお見舞い申し上げます 

わたしたちは20年前、「スギだけの人工林は、動物を山で棲めなくさせただけではなく、大雨の時に崩れて地元の方々の命や財産を奪う」ことに気づ き、急斜面の人工林だけでも早急に広葉樹の自然林に戻すべきだと、林野庁を初め、あらゆる行政に訴え続けてきました。しかし、無視され続けています。

 

いつものことながら、今回の九州豪雨被害のニュースにも、「人工林」の「じ」の字も出てきません。明らかに、戦後の拡大造林という国策の失敗による人災なのに、メディアは自然災害で終わらせてしまいます。

 

2009年当時、兵庫県佐用町豪雨災害の時もそうでした。メディアも大学の先生たちによる調査委員会の報告書にも、「人工林」の「じ」の字も出ませんでした。新聞社の責任者に豪雨災害の原因をたずねると、「スギの人工林ですが、書けません」と言われました。

 

数年前に、阿蘇が見える展望台に連れて行っていただいたことがあります。初めて見る阿蘇に感激し、「阿蘇の大自然!」と叫びかけて、ぎょっとしました。見渡す限り、全てスギの人工林だったからです。

 

去年の紀伊半島豪雨災害と言い、今年の熊本を中心とした九州北部豪雨災害と言い、わたしたちは本当に無念です。この国の森林行政に携わっている人たちは、野生動物の命などどうでもいいと思っておられるだけではなく、地元の人たちの命や財産もどうでもいいと思っておられるのではないでしょうか。

 

違うと言われるなら、植えてはいけなかったところに植えたスギ、ヒノキの人工林を、一刻も早く、広葉樹の自然林にもどしてください。

 

 

 

 

 

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