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クマによる人身事故が起きないように、秋は地元と連携して連日走り回っています①環境整備

熊森協会は設立以来から、徹底した現場主義です。

 

27年前に、会を立ち上げた初代会長がまずしたのは、兵庫県の地元の1市25町の首長さんたちに、「クマたちが造る保水力抜群の奥山水源の森を、日本文明存続のためにもう一度共に再生しませんか」という手紙を出したことです。

 

その中で、熊森協会と一緒に取り組みたいと言ってくださった町長さんたちを順次を訪れ、地元の役場の方、住民の方、猟師の方などとつながっていろいろと教わりながら共に活動してきました。

 

熊森は、今もずっとこの現場主義路線を貫いています。

 

近年、山の中の食料が減り、冬ごもり前の食い込みができなくなったクマたちが、命を賭して山から里に食べ物を求めて出て来るようになりました。熊森は、人身事故を無くそうと、ボランティアさんたちに手伝ってもらいながら、今年も必死に地元の環境整備に走り回っています。

 

兵庫県森林動物研究センターによると、今年の兵庫県の山の実りはブナ大凶作、ミズナラ大凶作、コナラ豊作です。

 

●クマのひそみ場となる草を刈る

 

 

 

 

 

 

 

 

くまもり現地到着

 

 

 

 

 

 

 

 

刈る前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

草刈り後

 

 

・クマが集落に入ってこないように、カキの木の剪定や伐採

 

地元はどこも過疎化高齢化が進んでおり、力仕事ができる若者が不足。都会からのボランティアが大活躍します。

 

現地でカキやクリの木にクマが登れないよう木を剪定する熊森

 

↑民家近くのカキの木はクマが来ないよう伐採。(この木は渋柿。今年は実が少ない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伐採木の片付け

 

この地区のカキの木には、すでにクマが来ていましたので、集落内や集落周辺の木は伐採することになりました。しかし、離れた山裾にあるカキの木の実はクマたちに食べさせてあげてほしいと、熊森が提案。

 

クマは冬ごもり中の何か月間は飲まず食わずとなりますから、食い込みができないまま冬ごもりに入ったクマは、穴の中で死亡すると言われています。

 

同じ国土に生きる生き物同士。冬ごもりできないまでにクマが飢えに苦しんでいるのなら、少しだけでも空腹を満たしてやりたいと思うのが人情であり、天から授かった共存への本能であると思います。

 

以前訪れた集落の方が、私たちの祖先は拡大造林前までは、山の実りの凶作年でもクマが無事に冬ごもりができるように、山裾に柿やクリを植えてやっていたと教えてくださいました。

(熊止め林)

山裾までなら来ていいよ。ただし、集落には入ってこないでねという意味だそうです。最近はこのような他生物へのやさしさや思いやりが急速に日本人から失われつつあります。

 

クマに食料を提供したら、クマが増え過ぎてしまうと思う人がいるようですが、山裾に残されたカキやクリを食べるくらいでは、その心配はありません。メスグマは冬ごもりのための十分な食料を得られなかった年は、受精卵を着床させずに流してしまう習性があるので、凶作年は、子を産むクマは少ないと言われています。

(完)

自動撮影カメラの電池とSDカードの交換にボランティア大活躍:兵庫県波賀町

9月1日、熊森本部職員羽田はボランティアさん4名と共に、兵庫県宍粟市にある(公財)奥山保全トラスト所有の戸倉トラスト地に赴きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤線内がトラスト地  土色部分はスキー場

 

熊森がトラスト地内の動植物の調査を17年間継続中

 

2006年に購入したこのトラスト地は、東西に細長くて、一番上は鳥取県と兵庫県の県境に位置する赤谷山山頂1216メートルです。面積は広大で120ヘクタールもあり、購入当時から日本熊森協会の調査研究部が、動植物の生息調査を続けてきました。

 

山の下の方はコナラやクリが中心、上の方はブナやミズナラ、トチを中心とした生物の多様性が保たれた原生的な巨木の森でした。森からの大量で清らかな湧水が印象的でした。

 

周りの山々は戦後のスギの人工林で埋め尽くされてしまった感じですが、この山主さんは若くして大阪に出られていたので、山の下の方の一部を植林されただけで、奇跡的に?自然の森が残されたのです。

 

初めて山主さんにお会いした時、「どんな動物が棲んでいますか」と聞いたら、「クマさん!」とうれしそうに答えられたのを思い出します。

 

購入当時は、まだふもとの集落に多くの方が住んでおられ、ナショナル・トラストって何だい?別荘を建ててもうけるんかなど色々といぶかしがられたものです。それでも、秋になると谷がモミジなどの紅葉で赤くなること、谷川には30センチくらいのヤマメがいて、女でも手づかみで捕まえられたことなどいろいろお話しくださいました。なつかしい思い出です。

 

そんな集落の皆さんでしたが、雪が年々少なくなってきて、スキー場経営(戸倉スキー場)も苦しくなられたもようで、だんだんと集落に空き家が目立つようになっていきました。

 

森の方も、温暖化の影響か、ナラ枯れが進み、ササが消え、年々急速に劣化していきました。今や、森がスカスカになってしまって、見るも無残な姿になってしまいました。

 

森購入当時は動物たちも多くいて、クマの糞や足跡も簡単に見られましたが、今は見られなくなってしまいました。

 

現在、戸倉トラスト地内には10台のカメラが設置してあります。今回は、川沿いに設置した手前の4台に絞って、電池とSDカードの交換を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チシマザサが消えた林内

 

 

この日は気温26℃。景色もなんだか涼やかに見えました。

 

ボランティアの方々と作業

カメラ1台につき、8本の単三形電池と1枚のSDカードが必要です。ボランティアの方々にカメラの説明をしながら、順番に1台ずつ交換作業を進めていきます。

電池の向きやカメラスイッチのONとOFFなど、間違えてはならないポイントがいくつかあるので、注意力を集中させねばなりません。皆さん真剣に根気強く取り組んでくださいました。

熊森はボランティア団体なので、会員の皆さんがこうやって無償で手伝ってくださいます。本当にありがたいことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作業中のボランティアさんたち

 

この日は雲がかかってやや涼しい日でした。カエルなど水辺の生き物がたくさん見られた一方で、ヤマビルがものすごい数いました。長靴とズボンの隙間をガムテープで塞ぐなど、万全の対策をして臨んだので、誰一人血を吸われずに済みました。

 

 

回収したSDカードの中をチェック

シカとイノシシが少し写っているだけでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オスジカ

 

以前はクマをはじめ野生動物たちが多く映っていたそうで、少し悲しい結果ですが、これからも調査を続けます。

 

山からの湧水の量も年々激減してきています。

日本の山の荒廃は、

1,人工林を造り過ぎたことだけではなく、

2,クマたちが生息していた1級の天然林も急速に温暖化で劣化していっている事実

を、マスコミは国民に伝えるべきです。

でなければ、最近なぜクマが山からどんどん出て来るようになったのか、奥山調査などしない国民には理解できません。

その結果、人間活動の被害者であるクマが、まるで加害者のように誤って報道されています。(完)

クマの見回りを続けている地元会員の要請で本部クマ担当が緊急出動するも、地元はクマに寛容 

兵庫県のクマ生息地である新温泉町に住む本多会員は、80歳を超える高齢ですが、クマが殺されないか心配で、毎日車でクマパトロールをされています。早朝、川でクマが水浴びしているのを見た時など、うれしそうにクマのことを語られます。

 

本多会員は、以前、経営する梨園でクマが昼寝をしていたのに気づかず、入っていったことがあります。突然の人間の出現にびっくりしたクマは、本多さんの体の上に乗ってきて取っ組み合いになりました。その時、間近で見たクマの目の純粋さが忘れられないそうです。クマは明らかに人間を怖がっており、転がるようにして逃げていったということですが、本多さんはお怪我をされました。

 

以来、本多さんはクマを守りたい気持ちが強くなり、母グマが悲しんでいるからと住民に話してイノシシ用箱罠にかかっていた子グマを逃がしてやったこともあります。

 

7月31日朝、本多さんから、隣町で昼間にクマが出ている所がある。捕殺されるかもしれないという連絡があり、本部クマ担当の水見、羽田は、直ちに現地に緊急出動。本多会員と合流して、地域の方5名に聞き取りをしました。

 

目撃情報をまとめると、

・クマは、朝8時から10時くらいの間に、川下から川上に向かって川を移動しながら水浴びをしたりして移動していた。

・川すその茂みを伝って、川沿いのびっしり実がついているオニグルミの木を観察しながら歩いていた。

・国道の橋の下で川の水に浸かっていた。

・川の近くの畑で休憩しているのを私に目撃されると、クマは逃げていった、等々。

住民の方々は、クマは移動しているだけやし、とクマに寛容でした。

 

このクマは住宅地の中を白昼堂々練り歩いていたわけではなく、住宅地の外周を流れる河川を利用していただけのようでした。ここ数日、酷暑で人も大変ですが、クマも暑いので水量のある水場にきて水浴びをしていたのでしょう。このような例は全国各地であります。

 

今回のクマは、川沿いのオニグルミの実を食べる予定で下見も兼ねて出て来ていたのかもしれません。結果的に、捕殺される恐れはないと判断。本多さんも一安心。本部緊急出動を終えました。

 

地域住民の方や役場の方には、川の近くに行く場合はクマがいることが予測されるので、鈴や手をたたいて音を鳴らしてくださいとお伝えし、草刈りなどの環境整備が必要な場合は当会にご連絡くださいとお伝えしておきました。

 

橋の下で、朝、クマは川の水に浸かっていた

 

この川べりの茂みを伝って歩いていた

 

 

 

 

 

 

 

川沿いに生えているオニグルミの木をクマが観察していた

 

地域によっては、オニグルミの実が青くて柔らかいうちにクマが食べる

 

今年は山の実りが悪いと言われています。兵庫県でも新たなナラ枯れの場所があります。そのためか、クマが山から出てきて目撃される例が多くなっています。

クマ対策でお困りの場合は当会にご連絡ください。

当協会は、殺さない対応策を実施します。

地域でクマ対策講座(無料開催)もできます。

 

【お問い合わせ】

TEL 0798-22-4190 mail field@kumamori.org

日本熊森協会本部 野生動物担当 水見・羽田

 

P.S

現在日本の野生動物学研究は利権がいっぱいの西洋思考のワイルドライフ・マネジメント派に牛耳られており、兵庫県森林動物研究センターの所長をされたある高名な研究者も、「日本人は殺生を嫌うから駄目なんだ」と公言されています。

責任を取りたくないので、すべての行政は肩書のある研究者たちの野生鳥獣捕殺一辺倒対応に従っています。

 

しかし、熊森は、無用の殺生をしない、生きとし生けるもの全ての命を尊厳する祖先の文明こそが正しくて、豊かな水源の森を残して今日の日本文明の繁栄を築いたという認識です。

このため、熊森は現在日本で多くの研究者から異端児扱いされていますが、無意識ながらも祖先の影響を受けている一般庶民からは、受け入れられることが多いと自負しています。

 

ただ、今、みんなで声を上げないと、この素晴らしい生命尊厳思想が日本国から消えていく恐れがあります。熊森に賛同してくださる方は、とりあえず熊森にご入会いただき、賛同の意思だけでもお示しください。

 

春の戸倉植樹地メンテナンス~くまもりボランティア大活躍~

雪融けを待って植樹地へ

4月21日、27日の2日間に渡って、熊森のフィールドボランティアチームが、兵庫県宍粟市戸倉にある植樹地のメンテナンスを行いました。

戸倉は豪雪地帯で、毎年大量の雪が山を覆い尽くします。植樹地はシカなどに苗木を食べられるのを防ぐためにネットで囲いをしていますが、雪の重みでネットをかけている支柱が倒れたり、折れたりしてしまいます。雪が積もっていると作業できないので、春が来て雪融けとともに修復作業を開始しています。

今回はボランティアの女性3名が作業してくださいました。

 

1日目

戸倉トラスト地には5か所の植樹地があります。21日は3か所の修復作業を行いました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れた囲いが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この通り!

 

苗木の生育状況の確認も行いました。戸倉は苗木がうまく定着せず、なかなか大きく育ちません。今後さらに試行錯誤を続けていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苗木から新芽が!順調に育って欲しいですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動中にシカの角を発見!

 

2日目

27日は残りの2か所をメンテナンスです。

太陽が照り付け少々暑い中、皆さん頑張ってくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

丁寧にネットをかけていきます

 

野生動物はちょっとした隙間も見逃しません。ネットがたわんでいないか、破れている部分はないかなど、細かいところまで気を配って作業を進めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての囲いの修復が完了!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余った資材を確認して作業終了です!

 

2日間で5か所全ての囲いが修復できました。苗木や外から入ってきた植物が無事に大きくなり、少しでも早く広葉樹林が再生されることを願うばかりです。野生動物が安心して暮らせる山になるといいですね。

今回は女性のみのチームでしたが、大変な作業を根気強く頑張ってくださいました。作業してくださった方々本当にありがとうございました。

日本熊森協会はこれからも人工林の広葉樹林化を目指して、地元の方々やボランティアの皆さんと手を取り合って頑張っていきます!

熊森の活動やボランティアに興味のある方は、ぜひご連絡ください!

尼崎市公立小学校3年生に、熊森職員になって初めての環境教育 「わたしたちに森は必要か」 

わたしは、昨春、環境教育担当として熊森に就職したものの、いきなりコロナで、これまで学校で授業させていただく機会がなく、学校外でくまもり紙芝居をさせていただいたことが少しあっただけでした。

 

1月14日、遂に初授業の日がやってきました。なんと熊森は、この小学校で20年間連続、環境教育をさせていただいているのです。

 

兵庫県も今、コロナ第3波のまっただなかですが、何とか例年通りのイベントを子供たちに体験させてあげたいという学校側の意向で、コロナ対策を強化しながらの環境教育となりました。例年は、1、3、5年生を1学年ずつ3クラス教室に集めて3時間の授業するのですが、今年は密にならないよう、子供の間を離して、3年生のみ1クラスごとに3回実施です。

 

まず初めに、自己紹介。

おねえさんが大学4年生の時、研究室にクマが入ってきたのです。こわくなって、クマのことをネットで調べてみて、日本熊森協会を知りました。このことがきっかけで、日本熊森協会に就職し、野生動物や森を守る仕事をしていますと話すと、全員の子供たちの目が私を見ているのを感じました。

 

次に森の写真を見せて、森はどんなところか発表してもらいました。

明るい、虫がいる、木がいっぱい生えている・・・板書が間に合わないほど次々と子供たちが発言してくれます。

次に、スギの放置人工林の写真を見せて、これも森かな?木がいっぱいあるよというと、子供たちは比較することにより、森とはなにか認識しなおします。

 

 

=いろいろな植物+いろいろな動物+いろいろなび生物

 

尼崎市には今や森はゼロです。森がどういうものかわかってもらってから、私たちに森は必要かという投げかけをしてみました。

 

この日は4つの観点を提示して子供たちに考えてもらいました。

時々、ぬいぐるみのツキノワグマの「つっきん」が登場して、情報を提供してくれます。

「昔はね、森にいっぱい食べ物があったんだけど、去年もその前の年も、森のドングリの木が大量に枯れちゃって木の実は実らず、大好きな昆虫もほとんどいなくなっちゃったんだ」

と語ると、子供たちから、一斉に

「どうして」

の疑問が飛び出します。3年生の子供たちにどう説明すればいいのか、一瞬たじろぎました。

「地球温暖化とか酸性雨とかいろいろ言われているけど、まだよくわかりません。どっちにしても人間が原因を作っているようです」フーッ。

 

ツキノワグマの「つっきん」が、

「ぼくたちおなかがすいてね、食べ物を求めて次々と山から出て行ったんだ。そうしたら、人間が大勢やってきて、みんな鉄砲で撃ち殺しちゃったんだ。ニュースで見たでしょう」

というと、

「かわいそう!」

の声が、子供たちの中から反射的に上がりました。子どもたちにとって、こういうことは理屈ではなく、本能的にかわいそうなのです。

 

授業も終盤にさしかかりました。

1400万人もの人が毎日水道水を使うのに、どうして琵琶湖の水はなくならないんだろう。実は460 本の川の水が一年中、琵琶湖に注がれています。

滋賀県の全ての川をていねいに熊森スタッフが色塗りした地図を見せると、子供たちはびっくりする前に、

「川はいっぱい分かれてたりするのに何本かわかんない!」という反応。

何のことを言っているのかよくわからなかったので、前に出てきて説明してもらいました。

 

「(川の)こことかくっついてたり離れてたりしてるよ」と教えてくれる児童

 

 

確かにこれはどう数えてるの?と一瞬、私も考えこんでしまいました・・・。

(後で調べたところ、琵琶湖に注ぎ込んでいる川の数というのは、琵琶湖に面している川の本数のみを数えたもので、支流の本数は数えていないとのことでした。)

 

子どもたちから出る発言は予想外の連続でした・・・

 

子どもたちの視点はいつも鋭いです。おかげで大変勉強になりました。私も子どもたちのような目で見れたらなぁと思います。

 

私は初めての授業でドキドキだったのですが、コロナもなんのそのビックリするくらい元気いっぱいな子どもたちに助けられ、なんとか初授業を乗り越えることができました。

 

 

 

3年生だけでもこんなに勉強になったので、他の学年の授業もしてみたくなりました。

 

コロナの中、子どもたちにすこしでも幅広い体験をと、熊森を呼よんでくださったこの小学校に、心から感謝します。

 

●熊森協会本部では環境教育部員を募集中!!

これまで、日本熊森協会では、多くの大学生たちが、今、日本で起きている森や野生動物の危機的状況について学び、保育園、幼稚園、小学校に出かけて、後輩たちに環境教育を実施してきました。

学生の皆さん、若者が教える子供たちへの熊森環境教育、学外サークルとして、一緒に取り組みませんか?

関心のある方は、ぜひご応募ください!

電話0798-22-4190

メールconntact@kumamori.org

 

コンコンさまにさしあげそうろう

(絵本「コンコンさまにさしあげそうろう」から)

何日も何日も雪がふりつづいて、山も畑もまっしろです。

「かあさん、さむいよう、おなかがすいたよう」

ふるえる子ギツネをのこし、

母ギツネは食べものをさがしにそとに出ました。

そのとき、おいなりさんの森から、

「チーン、チーン、ドン、ドン」と、

かねとたいこの音が聞こえてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かねとたいこの音は、山に餌のない一番寒い大寒の晩に行われる野施業の音で、「こんこんさまにさしあげそうろう」と言いながら、村人みんなで野の者たちに与える食料を持って雪山に入る行事です。

子供たちはさんだわらに、キツネの好きなあずきめしとあぶらげとかわじゃこをのせて、あちこちに置いてまわります。

餌のない時期の野の者たちを人間が思いやると共に、彼らが人間の所に来なくていいようにする知恵でもあるのです。

作者の森はなさんは1909年、兵庫県但馬地方の和田山というところで生まれました。

32年間、小学校の先生を務めた後、作家に。知的障害を持つ心優しい男の子を、村人みんなで守り育てた代表作「じろはったん」はとても有名です。

但馬地方の人々のやさしさが、胸に温かく伝わってきます。人間ていいな、人間が好きになってくるお話です。

 

 

野施業: 寒中に餌をさがすことのできない野の狸や狐などの鳥獣に餌を施すこと。近畿一帯から山口県にかけての地方で広く行なわれてきた行事。

 

この絵本を読んだ人の感想(ネットから)

「のせぎょう」という、えさが最も乏しくなる大寒の夜に、キツネやタヌキなどの山に住む動物に食べるものを施し、動物達が村の鶏を盗むなどの悪さをしないよう考えられた昔からの年中行事を題材にした本です。

何日も雪が降り続いて、食べ物が底をついたキツネの母と子。寒くてお腹がすいた子ギツネは、泣きながらお母さんキツネの胸の中で眠ってしまいます。母親にとって、これほど辛いことはないと思います。母ギツネは村の鳥小屋を襲おうと決心しますが、犬にほえられて断念。池も凍っていて魚も取れない。諦めて母ギツネが穴に戻って見たのは、枯れ葉をくわえ、泣いて眠ってしまった子ギツネの姿。切なすぎます…。

でも、そんな時、村はずれのお稲荷様から、「こんこんさまにさしあげそうろう」という子供達の声が聞こえてきます。丁度、のせぎょうの日だったのです。母ギツネは「ありがたい」とお稲荷様に手を合わせ、お供え物のあずきめし、あぶらあげ、かわじゃこを持って帰り、子ギツネに食べさせます。母ギツネの目に涙が一杯たまります。私も涙が出てしまいました。

この本を読んで、最近、民家まで下りてきて畑を荒らし、射殺されるクマ、捕獲される鹿や猿などを思い出しました。昔の人達は、動物達の生を尊重することが自分達の生活を守ることだと判っていたので、こういった行事をしていたのでしょう。

今、地球温暖化、樹木の伐採など、彼らのえさを取り上げているのは私達人間。自然、野生の動物、人間がどう共存していくのか、改めて考えさせられる一冊でした。(東京都40代ママ 2010年)

 

熊森から

 

子供を巻き込んでの昔からの野施業は、山に住む動物たちと人間との共存方法を、現地での実践を通して子々孫々に体得させていくすばらしい環境教育です。

 

私たちは今一度、クマ、サル、シカ、イノシシ、明治になった時にはこの国にまだオオカミも残っていましたが、このような大型野生動物たちを一種もほろばさなかった奇跡の日本文明の元となる、祖先の動物観や自然観に学ぶべきだと思います。西洋文明と違って、私たちの祖先はこうやって、人間も動物たちも、みんな一緒にこの国で暮らしてきたのです。

 

西日本で生まれ育ってきた私たちには、飢えに耐えかねて山から次々と出て来るクマたちを今のように皆殺しにするのではなく、都会の公園で集めたドングリを獣道に運んでやって、山から出てこなくてもいいようにし、人身事故が起きたりクマが射殺されたりしないようにする緊急避難措置の「どんぐり運び」に、何の違和感もありません。

 

もちろん、私たちが熊森が23年間全力を注いできたのは、クマ問題の根治療法である奥山での広葉樹林再生里山でのクマ止め林造り、すなわち、棲み分け再現事業であることはいうまでもありません。

 

熊森と行政担当者でカキもぎを行いました【兵庫県豊岡市】

約150㎏ほどのカキの実を回収。豊岡市の職員と熊森本部を入れて総員7名で作業を行いました。

 

大量の捕獲罠を常設している兵庫県

兵庫県でも、今年は山の実りが昨年に増して悪く、「大凶作」と言える年でした。しかし、クマの目撃数や捕殺数は昨年よりはるかに少なかったです。兵庫県は、平成29年の途中からクマの捕殺を強化し、推定生息数800頭前後と推計されるクマに対し、2000を超える罠を常設し、かかったクマは0歳や1歳の子グマであっても原則殺処分の体制をとっており、過去3年でクマの210頭を超えるクマを捕殺しています。捕り過ぎて数を減らしてしまっていることを心配しています。

 

11月になり、兵庫県でもクマが里へ下りだした

しかし、さすがに11月には、兵庫県でも、冬眠前のクマが里へ出てきたという目撃情報が増えだしました。

クマの捕殺が繰り返されている自治体へは、熊森としては何度も「捕殺ではなく共存・棲み分けを!」と訴えに行き、捕殺が必要なほどクマの被害が深刻な場合はぜひ、熊森本部が被害対策をしますので呼んでくださいと、お願いしてきました。

 

地元行政から応援要請を受け、現場へ急行。カキもぎを実施

11月17日、兵庫県のクマ生息地である豊岡市で「クマが柿の木に来ている場所がある。クマが来ないように柿をもぐのを手伝ってほしい」と、市の担当者から熊森本部へ連絡がありました。このように、行政の方から応援要請をいただけるのは、大変うれしいことです。

 

早速、熊森本部は、翌日18日、スタッフ2名、ボランティア4名で現場へ急行しました。

 

現地へ着くと、実が付いた柿木がおよそ8本目につきました。現場は駐車場裏手の山裾になります。すでに地元の方が何人かで取りやすい部分の実は取り終えられたようで、残っている実は道具がないと取れない高い部分にありました。

早速かきもぎを開始です。この日は天候にも恵まれ、温かい一日でしたが、高い木の上の柿をもぐのは一苦労です。それぞれのスタッフが、役割分担をしながら安全かつ効率よく作業を進めていきます。

林業用のはしごに登りながら高枝バサミで柿の実をもぐスタッフと、下ではしごを支えるスタッフ。木から実が落ちてくることもあり、ヘルメットを着用は必須。

竹の先に切り込みを入れて、枝ごと実をとるスタッフ。昔ながらの柿の実の収穫方法。

 

落ちたカキが潰れて、周囲を汚さないようにブルーシートで保護をしてから作業を進める。

 

現場には、クマが柿を食べたフンが数か所に落ちていました。まだ新しいものです。クマが柿を食べたフンは、柿をペースト状に混ぜたようなきれいなオレンジ色をしています。しかし、時間がたつと、フンの中の柿の成分が酸化して黒くなっていきます。他にも、クマの爪痕が新旧幾つかがありました。

新しいカキの糞 2020年11月18日

 

時間がたつと黒くなる、クマが柿を食べたフン 2020年11月20日 クマが来て約3-4日後

クマの新しい爪痕(赤枠内、今年)。新しい爪痕は、傷跡が白い。

古いクマの爪痕(赤枠内、昨年以前)。古い爪痕は、傷跡が黒くなる。以前もクマが来ていたことがわかる。

 

カキもぎをした木は大きく、木々の間にはササの繁みもありなかなか大変な作業で、応援要請があった理由がわかりました。豊岡市からも職員の方が1名応援に駆けつけてくださり、手伝っていただきました。

 

人身事故防止のため、草刈りもお手伝い

カキをもいだだけでは、人身事故防止対策としては不十分です。クマの人身事故が起きる原因は、見通しの悪い場所で、お互いに相手に気がつかないうちに、人とクマがばったり遭遇してしまうことです。集落に草が茂り、見通しが悪くなっている場所があったので、草刈りを行い、20m先まで見通せるように環境整備をしました。

草刈り前(駐車場側から撮影、2020年11月20日)

草刈り後(同地点 2020年11月20日)

地元の方々にも大変喜んでくださり、私たち作業スタッフ一人ずつに、差し入れをしてくださいました。地域の皆さんも心優しい方で、嬉しくなりました。

豊岡市のシンボル「コウノトリ」をモチーフにした、夢クッキー。コウノトリのような白黒の模様がなされたクッキーで、味もおいしかったです。

このような機会を下さった豊岡市と、地元の皆さんに感謝申し上げます。豊岡市からは、今も、別の場所でクマ被害対策としてカキもぎの要請を頂いております。

 

【クマ出没でお困りの自治体はぜひご連絡ください】

~ボランティアも募集中です~

日本熊森協会は、クマとの共存のために、人身事故を防ぎたいと強く願っており、人身事故防止やクマを寄せ付けない環境づくりの支援に積極的に取り組んでいます。

冬場はクマの活動は弱まりますが、クマが集落近くに来て困っているけれど、どう対策をしたらいいかわからない、手が回らないという方は、自治体でも、個人の方でも、ぜひ熊森本部にお問い合わせください。

 

熊森のクマ被害対策活動に、一緒に活動してくれるボランティアの仲間も募集しています。

一般財団法人  日本熊森協会

TEL:0798-22-4190

mail:contact@kumamori.org

 

熊森から

今秋も熊森本部は日々非常に目まぐるしく、11月に掲載予定の上記ブログが遅くなってしまいました。

ボランティアとして熊森活動を手伝ってくださる方、職員として人生をかけて熊森活動に取り組んでくださる職員、熊森は本気で自然を守りたいと願う多くの活動家を求めています。

 

 

 

 

【速報】クマ止め林をつくろう! 

凶作年にクマたちが集落に出ないように、

えさ場づくりをめざして植樹会を開きました

10月18日 兵庫県宍粟市 原観光りんご園の裏山

ナラ枯れと山の実りの大凶作でクマをはじめとする野生動物にとって深刻な食料危機が現実になっている中、山から食料を求めて下りてくるクマたちのえさ場となるように、日本熊森協会は18日、兵庫県宍粟市波賀町原の原観光りんご園裏山でクマのえさ場づくり植樹会を開きました。兵庫県の奥地では、昔は、山すそにクリやカキを植えている地域が多く、奥山の実りの凶作年に、クマがクリやカキを食べに来て、植えた木々によってクマが集落に下りるのを止めていたそうです。

線路の枕木の利用や拡大造林のために伐られてしまった「クマ止め林」をもう一度、復活させたいと考えています。

 

兵庫県内だけでなく、大阪府や滋賀県在住の会員や非会員など15人とスタッフ4人が参加。原観光りんご園で約5年前まで専務理事を務めておられた幸福重信さん(83歳)に選んでいただいたカキ10本、クリ6本、ヤマボウシ2本を植えました。

 

幸福さんは、専務理事ご在任当時に苦労して育てたリンゴ約1万個を山から下りてきたクマたちに食べられてしまった体験を参加者に話されました。

「被害を知って腹は立ったけれど、よくよく考えてみると山に食料がないから生きるために下りて来たことが分かった。人間だけが良かったらいいのではなく原因は人間の側にあるのだ、人間が反省しないと、と思って共生の森づくりを熊森さんたちと始めました」と幸福さんはこれまでのいきさつを紹介。現場の裏山での植樹の取り組みなどを振り返りました。

幸福さんは「今年はあのころと同じように、山にえさがないひどい状態。あの当時から数えてちょうど今年は15年。クマたちと共生できる森をつくるために、いっしょに頑張りましょう」と呼びかけました。

りんご園の向かいの奥山も深刻なナラ枯れで、ドングリの実りが全く期待できない状況です。

幸福さんは続いて樹高約1メートルほどの苗木を手にとり、土を掘って水を入れ、土で固まった根を手でほぐしながら植え付けていく方法を身ぶり手ぶりを交えて解説しました。幸福さんの指導を受けながら、親子連れの参加者が植え付けにチャレンジ。植え終わると満足そうな笑顔を見せていました。

子どもたちもクワやスコップを持って植樹

最後に、シカなどが侵入して食べられてしまう被害を防ぐためネットを外側に貼る作業をしました。

この日植えられた木は3年ほどで実をつけます。幸福さんは「皆さん自身の手で植えた木をぜひまた見に来てください」と呼びかけていました。奥山に実りが少ない状況は、当面は続くと思いますので、今後、液果やすぐエサになるものを補植していきたいと考えています。

シカやイノシシが植えた木を食べたり、掘り起こしたりしないように電柵とネットも張り、看板も新しく作りました。

小学1年の娘を連れて、初めて熊森の野外活動に参加した兵庫県の女性は「植えることの大切さや森林の意味についてとてもよく分かる説明で、参加して実際に植えることができて良かったと思います。必ずまた植えた木を見に来たいし、活動にも親子で参加します」と目を輝かせて感想を話していました。

 

山にエサがないクマたちが集落に降りて来ないようにするには、当面のえさ場が必要です。本部や支部を中心に、全国でこのような活動を広めていきたいです。

クヌギが花盛り 雌花と雄花がわかりますか

4月17日、庭のクヌギが花盛りなのに気づきました。

あまりにもきれいなので、見に来ませんかと熊森スタッフに声をかけた次第です。

ところが、2日後の19日に見ると、もう花期が終わってしまったようです。

自然界の移ろいのあまりのはやさに驚きつつ、あわてて写真に撮りました。

クヌギは風媒花だからいいものの、虫媒花だったら、こんな花期の短い花は困りますね。

ちょっと昆虫の訪花の日がずれたら、もう受粉できなくなってしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月19日のクヌギの雄花

 

無数に垂れ下がっている紐のようなものに雄花がびっしりついています。

クヌギは、花と言っても、めしべとおしべがあるだけで花びらはありません。

手前の茶色っぽい雄花はもう花粉を出し終わった感じです。

2日前には写真奥の雄花のようにきれいな黄緑色でした。

雄花をアップで撮影しました。

一つの雄花に、おしべが4本付いています。

 

 

 

 

 

 

 

びっしり咲いた?雄花

 

雌花は小さすぎて撮れないので、ネットから写真を探し出しました。

新枝の葉の根元についている2ミリのものが雌花です。

雌花と言っても3つに裂けた柱頭があるだけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の雌花

 

クヌギは2年成のドングリなので、今春受粉した雌花がドングリになるのは、来年の秋です。

去年受粉した雌花は、この時期3ミリぐらいになっています。

下の写真が去年受粉した雌花です。

今年の秋には大きなドングリに成長していますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

去年の雌花

 

このクヌギは、熊森協会ができる前の年の秋、山に行った時、あまりにも大きなドングリを見つけて一つ持ち帰り、庭に植えたものです。

数年後には実をつけ始めました。

17年後、胸高直径18センチにまで育ちました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2013年撮影17年目のクヌギ

 

この年、このクヌギの木から落ちたドングリの2分の一量の重さを図ってみました。

スーパーのビニール袋がいっぱいになりました。

重さは5キログラムありました。

1本のクヌギから合計10キログラムのドングリが落ちたことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

クヌギのドングリ

 

現在保護飼育中のツキノワグマ「とよ」も、クヌギのドングリは大好きです。

秋の食い込み期には、「とよ」は1日に10キロのドングリを平らげますから、このクヌギの木1本で1日分の食料を得ることができます。

冬ごもりに備えてのツキノワグマの食い込みは、7月末から始まります。

もし、この大きさのクヌギのドングリだけで、1頭のクマが冬ごもりしようと思ったら、このような木が山の中に150本点在していることが必要です。

クマが生息するために、どれだけ広い山が必要か想像すると、気が遠くなりそうです。

クマが生息する自然が残されているということは本当はすごいことで、自慢すべきものなのですが・・・

クヌギの樹液はカブトムシやクワガタ、オオスズメバチなど、葉はウラナミアカシジミ(チョウの一種)の幼虫など、ドングリにはゾウムシなど、もう数えきれないほどのいろいろな動物が、クヌギの木で命をつないでいます。

 

狭い庭に、クヌギの大木は無理なので、2015年に植木屋さんに伐ってもらいました。

しかし、10日後には切り株から青々とした新芽が出てきて、今また元の大きな木に戻ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

切り株から新芽(伐採後50日目に撮影)

 

クヌギは、青森を除く本州と九州、四国に分布しています。

クヌギは昔から、炭やシイタケのほだ木などに広く利用されています。

古文書を読まれた先生によると、祖先が摂津などから苗木を取り寄せて各地にクヌギを植えて回ったことがわかるそうです。

よって、分布は全国に連続しており、クヌギに地域固有の遺伝子はありません。

 

 

皆さんの所では、ドングリの花は終わりましたか?

それともこれからですか?

日本にドングリの種類は21種あります。

クヌギ以外のドングリも春に花が付きます。

ドングリの雌花や雄花をまだ見たことがない人は、ルーペでいつか見てください。

命の不思議さを感じますよ。(完)

 

 

 

丸尾県議が「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」の公開を求め質問してみた結果

兵庫県当局の答弁は誠実なものではありませんでした

 

新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴い、兵庫県にある熊森本部もテレワークに切り替えています。

これまで忙し過ぎて書けていなかったことを徐々にアップしていこうと思います。

 

まず初めは、兵庫県鳥獣対策課と兵庫県森林動物研究センターが主導して開催している「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」を、当局が開催場所・日時・内容に至るまで、全て徹底的に非公開としている問題です。

 

3月11日の兵庫県予算特別委員会農政環境部会で、丸尾牧兵庫県議(尼崎市選出)が質問してくださいました。

 

<質問の大意>一昨年、兵庫県が主導して近隣府県に呼びかけて発足した「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」に関して、協議会・科学部会の委員名と会議・議事録・プログラミングデータなど根拠の資料を公開すべきだ。

兵庫県のツキノワグマ推定生息数の算出法は問題だらけで過大推定になっていると日本福祉大学の山上俊彦教授(統計学)が指摘されている。参考人として科学部会などにお呼びして、ご意見をうかがってはどうか。

 

兵庫県鳥獣対策課課長の答弁:委員ご質問の広域協議会の会員と議事録におきましては、すでに公開をしている所でございます。また、科学部会の委員と議事録におきましても、今後公開する予定としております。協議会及び科学部会の会議の公開につきましては、原則公開を行おうと考えておりますが、委員の率直な意見交換などを阻害する場合においては、非公開ということを考えております。(兵庫県議会インターネット中継録画からそのまま文章化)

 

この委員会の後、丸尾議員から熊森に「山上俊彦教授の招へいは拒否されましたけれど、広域協議会は今年から公開されますよ。まず一歩前進です」という喜びの連絡が入りました。

 

熊森は念のため、後日、兵庫県庁の鳥獣対策課に確認してみました。

 

熊森:広域協議会の科学部会の委員名や議事録は、どこに公開されているのですか?インターネットで探し回ったのですが、見当たりません。

 

鳥獣対策課:出していません。

 

熊森:先日の丸尾議員の質問に対して、課長さんは「すでに公開している」と答えられていますが。

 

鳥獣対策課:情報公開請求があれば、公開しようかなという意味です。

 

熊森:公開されないから、情報公開請求をするのでしょう。そういうことなら「すでに公開をしている所でございます」は、虚偽の答弁だったということになりますよ。

 

熊森:今年から広域協議会や協議会の科学部会が公開されることになったんですよね。傍聴もOKですよね。

 

鳥獣対策課:非公開です。傍聴も不可です。

 

熊森:科学部会の委員のお名前は教えてもらえるのですよね。

 

鳥獣対策課:部会の委員が教えてもいいと言った場合の話で、いいと言わなければ公開できません。

 

熊森:今後公開する予定としておりますと答弁されたら、誰だって公開されると思ってしまいますよ。

 

鳥獣対策課:もう一度、(議会の)課長の答弁を一言一句確かめてください。公開するとまでは言っておりません。公開は委員の率直な意見交換を阻害する恐れがありますので。

 

熊森が丸尾議員に「鳥獣対策課に確かめると今年もまた非公開だそうです」と伝えると、丸尾議員は絶句しておられました。

 

熊森から

兵庫県に問いただした結果、要するに県は、今年も広域協議会を非公開のまま続けるのだということがわかりました。

しかし、県議会をインターネット経由で傍聴し質疑のやりとりを聞いた一般の県民はみんな、丸尾議員と同様に「今年から公開されるのだ」と受け取ってしまったに違いありません。

 

兵庫県の行政担当者の対応は、まるで公開しているかのごとく受け取れる答弁を議会の場ではしておいて、疑問の声が上がったら、委員の率直な意見交換などを阻害する恐れがある場合は非公開であると最後に付け加えてある。よく聞けと、まるで私たち県民に非があるかのように持って行くやり方です。

 

このような県担当者の答弁は、世にまやかしと言われているものです。私たち県民をはじめ、県民の信託を受けて選ばれ質問権を行使してくださった丸尾議員に対しても失礼な答弁であり、県民全体の奉仕者であるはずの行政担当者としてあるまじき姿勢です。

 

広域協議会は、今年度も多額の私たちの税金を使って開かれる会議です。それなのに、兵庫県の行政担当者や、兵庫県の政策を決めている森林動物研究センターの研究員は、国家機密でもあるまいに、どうしてここまでツキノワグマに関する会議の内容を隠そうとするのでしょうか。

自信がない?

科学的と称してきた発表内容に、実は科学性がない?

県民に知られたらまずいことがある?

 

民主主義の社会は、十分な情報公開があってこそ初めて成り立つものです。みんなで情報を公開しあって他者の意見も聞く。この姿勢がない行政担当者や研究者は、失格だと思います。誰もお互い、神様のような完璧な人間ではないのですから。

 

この日の農林水産部会で、農林水産部長が「世界に誇る兵庫県森林動物研究センター」などと、兵庫県森林動物研究センターの研究者のことを絶賛していました。この発言にはさすがに熊森も、耳を疑いました。

 

3年ごとに部署替えがある行政担当者には専門知識がありませんから、難しい数式や難しい専門用語を並べたてる専門家のいうことを信じるしかないのだろうと思います。しかし、一つのものだけを絶対的に信じきってしまう姿勢はとても危険だと思います。

 

以下は、現在進行中の新型コロナウイルス対策について、インターネットから拾ったコメントです。

「専門家の方々は医師免許があっても普段は診療しませんから。こういう方が主導的に感染症対策を決めるのは、暴走するリスクすらあると思います。テクノクラート(科学者・技術者出身の政治家・高級官僚)が主導権を握ると、しばしば暴走して第2次世界大戦のようなことになる可能性もありますよね。専門家に対応を丸投げするのは非常に危険なことだと思います。医療現場の判断を優先すべきでしょう。」

 

このことは、あらゆる分野に言えることではないかと熊森は思います。どんな問題に対しても、幅広い人の知見を集める、衆知を集めることが必要なのです。

熊森は設立以来23年間、徹底した現場主義で兵庫県のクマ問題に誠心誠意取り組んできました。審議会にしろ、広域協議会にしろ、兵庫県が熊森を排除しようとし続けている理由が全くわかりません。(以上)

 

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