ホーム > くまもりNEWS
カテゴリー「くまもりNEWS」の記事一覧
以前の山を知らない若い人たちに、今のクマ問題の根本原因は山にあることを知ってもらいたい
- 2024-03-05 (火)
- くまもりNEWS
以下は、2024年3月2日の河北新報投書欄です。
投稿されたのは、奥羽山脈のふもとで自然農をされている船形山のブナを守る会の創設者である小関俊夫さんです。
長期に亘り奥羽山脈の山を見続けてきた小関さんは、人間活動によって、現在の山が、クマにとってどれだけ生きづらい環境に変えられてしまったのかをよく知っておられます。
今のクマ問題を正しく解決するには、過去数十年間にわたる山の変化がわかっていなければなりません。
クマ問題に取り組む若い人たちには、歴史的なこともぜひ勉強していただきたいです。
■クマとの共生 方策考えて 小関 俊夫 75歳(大崎市・農業)
クマによる人的被害防止のため、捕獲に国の支援が受けられる鳥獣保護法上の指定管理鳥獣にクマが追加されます。山の神だったクマが邪魔者にされました。
クマが里に出没するようになったのは、昭和50年代に始まった林野庁による拡大造林施業でブナ林が伐採され、クマのすみかを奪ってからです。それにリゾート開発が拍車をかけました。クマは安住の地・ブナ林を追われたのです。
登山仲間によると、最近、山でクマに出合うことが少なくなってきた、クマの生態に異変が起きているのではないかということです。人とクマのすみ分けを図るゾーニング管理が言われていますが、人がクマの領域を侵していることを念頭に議論してほしいです。
ブナの伐採は止まりましたが、自然再生エネルギーの名の下に、宮城、山形両県にまたがる船形連峰にも風力発電事業が計画され、森や山が破壊される恐れがあります。また、低周波音や騒音によるクマの健康被害も懸念されます。開発事業の前に、クマへの畏敬の念が大切なのではないでしょうか。
昨年はクマの大好きなブナの実が大凶作でした。クマは妊娠しても食物不足だと冬眠中に流産するそうです。今年はクマの個体数は減少するでしょう。クマの指定管理鳥獣追加の前に、人とクマが共生できる方策が必要だと思います。
春到来!とよくん、目覚めました🐾
- 2024-03-04 (月)
- くまもりNEWS
たくさんの方からいただいたドングリや栗を食べ、昨年12月20日過ぎには冬ごもりに入ったとよくん。 例年目覚める日はお彼岸前後でしたが、 昨年、今年と少し早くなってきています。
3月3日(日)暖かな日差しの中、運動場でまどろんでいたとよくんお世話スタッフが目撃しました。スタッフを見るとご飯をおねだりし、クルミとどんぐりをもらい満足そうにしていたそうです。
まだ寝起きでぼんやりしているとよくんではありますが、これから少しずつ活動的な様子を見せてくれるでしょう。
ぜひとよくんに会いにきてください!
3月13日まで『クマの指定管理鳥獣化について』パブリックコメントにご意見を❗
- 2024-02-19 (月)
- くまもりNEWS
『クマを指定管理鳥獣にせず、 人とクマが遭遇しない対策を求める』緊急署名 1 万4749筆 環境省にて、環境大臣宛に提出しました
- 2024-02-05 (月)
- くまもりNEWS
捕殺強化ではなく、棲み分けて、共存できる支援を!!クマを指定管理鳥獣にせず、 人とクマが遭遇しない対策を求める緊急署名1万4749筆
2 月 5 日(月) 環境省にて、環境大臣宛に提出しました。
環境省でクマの捕殺強化となるクマ指定管理鳥獣化ではない交付金をと訴えた熊森会長と支部長ら
日本熊森協会は、クマをシンボルに野生動物たちのつくる水源の森の保全・再生活動に 28年間取り組んできた実践自然保護団体で、クマによる人身事故防止やクマとの共存のための実践活動にも精力的に取り組んできました。
私たちは、捕殺ではなく、クマと人が棲み分け、共存できるようにするための対策支援にこそ環境省は予算をつけるべきだとの署名を年末より集め始めました。全国の方の協力により、 1 万 4749 筆(電子署名 6385 筆 紙署名 8364 筆 ※内 514 筆は追って郵送)が集まり、本日、環境大臣宛要望書として提出しました。
クマとの軋轢が問題となっている、北海道、東北、新潟から、鈴木ひかる北海道支部長、井阪智秋田県支部長、小松淳宮城県支部長、佐藤正陽新潟県支部長がかけつけ、池田幸代埼玉県支部長、高橋英雄埼玉県副支部長とともに、共存のための支援を訴えました。
【署名での要望事項】
1 鳥獣対策専門員を市町村に配置して、クマを寄せ付けない集落づくりを行ってください。
2 奥山水源の森保全のためにも、奥山広葉樹林を再生してクマが奥山に帰れるように してください。 山の中にいるクマの駆除や、 ハチミツ等の強力な誘引物を入れた罠で、クマを山から里におびき出して獲ることはやめてください。
3 クマをはじめ多様な生物の生息地である森林を、 大量に伐採する再生可能エネルギー事業に規制をかけてください。
◆今の体制でも捕ろうと思えば、いくらでも捕れる
本来の生息地である奥山の荒廃に、昨夏の異常高温が加わり、過去にないエサ不足が起きたもようで、昨秋、東北・北海道を中心にクマの大量出没が起きました。人身事故が過去最多、クマの捕殺数も過去最多となりました。
過去に例のない大量出没で、推定生息数の 52%を捕殺した秋田県や推定生息数の半数近くを捕殺した知床の世界遺産地域など、捕殺が抑制できなくなった地域がありました。
現行の鳥獣保護管理法の体制でも、その気になれば大量捕殺は十分に可能です。
クマを現在シカ・イノシシに適用されている鳥獣保護管理法上の「指定管理鳥獣」に指定して、さらに捕殺強化できるようにしてほしいという、北海道・東北 6 県・新潟県の知事連名による要望書が、環境省に提出されています。しかし、クマは、シカ・イノシシと異なり、生息数も少なく、繁殖力が弱い動物で、これ以上の捕殺強化は地域的な絶滅を招く恐れがあります。
山上俊彦氏(前日本福祉大学教授 統計学研究者)提供資料
◆今必要なのは指定管理鳥獣による捕殺強化ではなく、棲み分けのための地域支援
いくら捕殺を強化して生息数を低減させてみたところで、クマを寄せ付けない、クマと遭遇しない集落づくりをしなければ、人身事故は無くなりません。
日本熊森協会でも、クマと人との軋轢を無くすため、近年、人身事故の防止や、クマが集落近くに出てこないような環境整備の支援を進めてきました。この動きを、北海道や東北、新潟など、クマとの軋轢に苦しむ地域にも広げていきたいと考えています。
◆2023 年の日本熊森協会の被害防除活動実績 兵庫県豊岡市
・活動日数:55 日(2023 年 9 月 16 日ー12 月 16 日)
うち、実働 46 日・地元行政や自治会との打ち合わせ、現地調査 9 日
・作業個所数:12 自治会、89 か所
※1 か所の基準:柿の木 1 本に対策→1 か所、草刈り 1 面分→1 か所
作業内容:柿・栗もぎ、トタン巻き、ネット巻き、柿・栗剪定、柿・栗伐採、草刈り
・草刈り総面積:3208 ㎡
・作業人数(総動員数):67 名(1 日平均 2~3 人)
・集落への侵入を防ぎとめたクマの数:約 10 頭
【賛同団体一覧】
一般社団法人 JELF(日本環境法律家連盟)
広島フィールドミュージアム(代表 金井塚 務)
株式会社プレマ(愛知県)
NPO 法人 環境研究所豊明(愛知県)
加治丘陵の自然を考える会・飯能(埼玉県)
山口県有機農業推進協議会(山口県)
合同会社 Permaculture DesignLab.(静岡県)
パーマカルチャー中部(岐阜県)
トランジションタウン岐阜(岐阜県)
株式会社みどり機工(愛知県)
タネカラプロジェクト(滋賀県)
オーガニック&つながるマーケット in しが(滋賀県)
よつ葉ホームデリバリー京滋(京都府)
合同会社おかげさま(広島県)
空手道真義館広島支部(広島県)
災害支援団体 IKIMASU.広島(広島県)
廿恋の会(広島県)
三井寺「みんなの森」をともに育む会(滋賀県)
公益財団法人どうぶつ基金(兵庫県)
はかり売り gramme(福井県)
地域資源再生開発研究所(山口県)
愛知アーバンパーマカルチャー(愛知県)
NDN 新潟動物ネットワーク(新潟県)
cobin(愛知県)
平田寺(愛知県)
比企の太陽光発電を考える会(埼玉県)
埼玉県生態系保護協会比企支部(埼玉県)
クマと日本の未来を考える会(大阪府)
(株)ムサシ総合(東京都)
鈴木歯科医院(埼玉県狭山市)
武蔵野造園株式会社(埼玉県)
フリースタイルカフェオリーブ(埼玉県)
タカヒサ建機(埼玉県)
花のひとしづく(福井県)
株式会社 廣部硬器(福井県)
NPO 法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA・東京都)
へその緒ファーム(新潟県見附市)
気仙沼の森と海を守る会(宮城県)
Lana herb(愛知県)
一般社団法人 ひらかたしっぽの会(大阪府)
株式会社 ネイチャー生活倶楽部(熊本県)
くまと珈琲(愛知県)
NPO 法人 Happy planet(愛知県)
NPO 法人ゆらゆら(大阪府)
蕎麦屋侍(長野県)
Veg For Us(愛知県)
株式会社 MS マザーズ(熊本県)
名古屋オーガニック給食審議会(愛知県)
ママエンジェルス愛知(愛知県)
㊗ くまもり 秋田県支部が誕生 ❗ 秋田からも、水源の豊かな森を守り、クマと共存する流れを
- 2024-02-01 (木)
- くまもりNEWS
昨年、クマの大量捕殺が起こった秋田県。本当にこのままでよいのか、森を再生し、共存の流れをつくれないかと集まった方々で、日本熊森協会の秋田県支部が1月16日に発足しました!!
🌟井阪 智 秋田県支部長より ご挨拶🌟
🔴農業研修での体験から
24歳の時に高知県で1年間住み込みで農業研修をしていたのですが、その時にイノシシが田んぼに毎日のように入り、泥浴びをして稲を倒されたことがあります。イノシシが入らないよう鉄のフェンスで田んぼを囲っているのですが、破られた箇所をいくら張り直してもこじ開けて入ってくる。そんな攻防をしばらく続けているうちに、ふとイノシシたちにも切実な事情あるのではと思えてきました。研修が終わった後調べてみると、食べ物を分け合えたらいいんじゃないかとか、その土地の空気や水が滞っている箇所をイノシシたちは本能的に察知してそれを解消してくれていたのでは、とかそんなふうに思うようになっていました。
この時が野生動物との共生というテーマと最初に真剣に僕が向き合った時かもしれません。
🔴豊かな自然が残る秋田でこそクマとの共生を模索したい
秋田県は去年、クマの市街地への大量出没が起き、人身事故は現時点で70件と過去最高数となりました。今年度のクマ捕獲数は2200頭以上と推定生息数4400頭の50%以上に上っています。県民の関心が高まっている今こそ、秋田県らしい共生のあり方を秋田県民同士で話し合い一緒に考えていくべき時だと思います。
全国的に見ればまだ自然が豊かでクマも多い秋田県には、マタギに代表されるような人と野生動物との密度濃い関わりの歴史や文化があります。秋田県に暮らすうちにそんなことをだんだんと体感覚で実感してきました。
先人たちに学び秋田県の色々な方にお話を聞きながらなるべく現状をつぶさに把握すること、クマがそもそも山に留まって暮らすことができるような豊かなエサ資源・水源を保つ森づくりを軸に活動をしていこうと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
1月31日締め切り❗ 署名🌟 クマを指定管理鳥獣にせず、人とクマが遭遇しない対策を
- 2024-01-22 (月)
- くまもりNEWS
2023年 兵庫県豊岡市で行政・地元・熊森の3者が協力し、クマの人身事故ゼロ、捕殺ゼロ達成
- 2024-01-23 (火)
- くまもりNEWS
これまで熊森協会は設立以来27年間、「動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を」のスローガンの元、放置人工林を伐採するなどして、食べ物が豊富な奥山広葉樹林の再生活動に取り組んできました。
何度お願いしても全く動こうとしてくださらない行政に、まずお手本を示そうと思ったわけです。民間のすることですから、面積的にはしれていますが、でも、各地でかなりの面積で実施してきました。
早く国が保水力豊かな奥山広葉樹林再生に乗り出さないと、我が国は水源を失ってしまう。米作りができなくなる。現地を調査し続けている私たちは危機感でいっぱいです。
森が再生するには気が遠くなるほどの年月がかかります。
その間、本部は、兵庫県のクマ生息地で、集落にクマがやってこないよう、地元の皆さんと共にクマのひそみ場になりそうな場所の草刈りをしたり、クマが柿の木にやってきた時は実を採ってクマのいる山に運んだり、都市市民を中心としたボランティアのみなさんにも手伝っていただきながら、被害防止活動を展開してきました。
熊森職員+都市ボランティア+地元
リンゴ園にクマが入らないよう、網を張ったりクマを花火で脅したりして追い払ったり、何日間も寝ずの番をしたこともあります。
また、クマによる人身事故が発生したらすぐ現地へ行き、おケガをされた方を見舞い、聞き取りをして、原因を特定し、再発防止対策をお伝えしたり、実施させていただいたりもしてきました。兵庫県のみならず他県にまでこのような活動を広げたことで、実にいろいろなことを学ぶことができました。
人身事故現場の草刈り
行政と熊森が協力
2020年秋、豊岡市の鳥獣被害担当の職員から、数年ぶりに電話がありました。クマが集落内の柿の木に来ており、人身事故が起きそうな危険な場所がある。力を貸してもらえないか?ということでした。各所から熊森が現場でクマの被害対策に力を入れているという声を聞いていたそうです。
現地へ行ってみると、たくさんの方々が利用する山裾の駐車スペースの上に柿の木が反り出ており、夜間、その木の上にクマが柿を食べに来るとのことです。
「この状況、熊森さんならどうしますか?」
この時の熊森は、もうかなり力が付いていました。柿の木は約20本です。
市の担当者、地主、熊森の3者で話し合い、熊森は実を回収したり、クマが登りにくいように柿の木を剪定したり、幹にトタンを巻いたりしました。見事、クマは現れなくなりました。みなさんは、熊森のクマ被害防止対策を高く評価してくださり、今後、クマを捕獲する前に、熊森に被害対策の依頼をしていただけることになりました。本当にうれしかったです。
そして、いよいよ去年、2023年9月、私たちは豊岡市役所へ招かれ、市内の振興局と県の担当者、市本庁の担当者あわせて13名の行政担当者と、クマ対策会議を持ちました。
約1時間の会議で、民間団体の熊森協会と市、自治会とどのようにクマ被害対策の段取りを取っていくか話し合いました。
熊森本部ではボランティアと本部スタッフからなる、12名の「くまもりフィールドチーム」を作り、各種安全講習を受け、練習もしました。
9月は数件だったご依頼ですが、10月~12月にかけてクマが里に出て来ることが多くなり、東北ほどではありませんが、豊岡市でもほぼ毎日、人身事故やクマ捕獲の危険性がありました。
去年の豊岡市は、コナラのドングリなどそれなりになっており、山の実りはそれほど悪くありませんでしたが、なぜかクマたちが柿にたくさん来ていました。どのクマもがりがりに痩せているわけではなく、太っているクマもいて、食べる柿・食べない柿をクマ自身が選んで食していました。柿の木によって、味は少しずつ違います。クマたちはこの微妙な味の違いがわかるのでしょう。
みごと、人身事故ゼロ!捕殺ゼロ!を達成
結果、豊岡市と熊森で、12地区の89か所で被害対策を行い、人身事故0、有害捕獲0を達成しました。もちろん、地域住民や行政機関の協力があってできたことです。9月下旬~12月上旬まで55日出動したことになります。必要経費は熊森会員の皆さんの会費を使わせていただきました。
クマが来ないようにと熊森が大きな柿の木を伐採。地元のみなさんに喜んでもらえました。
最後に
根本的なクマ対策は、戦後の拡大造林や大規模林道建設などで人間が破壊してきた奥山広葉樹林の再生、及び、人間が一歩下がることによる、棲み分け復活です。(開かずの森、入らずの森の復活)
残念ながら、いまだに国はこの方向に動こうとしません。
また、近年は急激な地球温暖化によるナラ枯れや昆虫の消滅など、会設立当時には予想もしなかった奥山の劣化が猛スピードで進んでいます。人間活動による地球環境破壊によって、クマたちは本来の生息地で生きられなくなっています。本来の生息地では大変穏やかな動物ですが、餌を求めて人間のいるところに出てきた時点で、恐怖や緊張感でいっぱいになっていますから、人間から逃げようと人身事故を起こしてしまうんだろうと思われます。
クマによる人身事故をなくすこと、被害を軽減すること、できるだけクマを殺さずに棲み分け共存を復活させることが大切です。
クマ問題を解決するためには、環境省はクマを指定管理鳥獣に指定して捕殺強化に交付金を出すのではなく、クマに対応できるだけの専門知識のある行政職員を市町村に配置するためにこそ交付金を出すべきです。
林野庁の方の中には、「戦後の森林政策は失敗だった、山を大荒廃させてしまった。私たちはもうどうしたらいいのかわからない」と個人的に言われる方もいます。熊森は林野庁を責める気はありません。良かれと思ってやったことが失敗したのだから仕方がない。しかし、きちんと失敗を認めて、早く山を元に戻していただきたいです。
今を生きる私たちが、大型野生動物たちが造る豊かな水源の森を、全生物に、子や孫に残すべきだと思います。
そのためには、国を動かすことのできる欧米並みの大自然保護団体が、今、日本に必要です。
活動できなくてもいいので、ご入会いただきたいです。
追悼 保利耕輔議員
新聞報道によると、自民党政調会長や文相を歴任された保利耕輔元衆議院議員が11月4日、誤嚥性肺炎のため死去されました。89才でした。保利耕輔氏は政界を引退されるまで、熊森協会の顧問を務めてくださいました。まったく偉ぶらず国民に対しても謙虚で、まさに人格者でいらっしゃいました。
以下、新聞報道より
1979年の衆院選に佐賀全県区から自民公認で立候補し、初当選され90年に第2次海部内閣の文相として初入閣。党国対委員長、小渕再改造内閣の自治相・国家公安委員長も務めた。
2005年の「郵政政局」で自民を離党。06年に復党して政調会長を務めた。当選12回を重ね、14年の衆院選に出馬せず、政界を引退した。
<熊森からの追悼>
初めてお会いしたのは2002年でした。初対面の私たちに、大変丁寧に1時間も対応してくださり、感激しました。佐賀県の放置人工林の写真をたくさん見せてくださり、私もこの放置人工林の問題を何とかしなければならないと思って頑張ったけどうまくいきませんでしたと、肩を落として話されました。
話の後、突然林野庁に電話してくださり、「長官はいるか。熊森協会が来られているんだ。熊森の話をしっかり聞くんだ」と、長官を探し続けてくださいました。あいにく、長官は不在とわかり、N02の審議官ならおられることがわかると、秘書さんを付けてすぐ林野庁まで私たちを連れて行ってくださいました。
後で、受付の方に、「自民党の中には、見ず知らずの一国民にここまで丁寧に対応してくださる国会議員さんがおられるんですね。今日は感激しました」と、お礼を言いに行くと、「保利議員は特別です」とあっさり答えられました。私たちはラッキーだったんだと感謝しつつ、なんとか保利さんの後を継いで放置人工林の問題を解決しようと、固く決意しました。
この後、熊森も精いっぱい頑張り続けていますが、あれから22年、未だ何ら進展せずに今日に至っています。
保利さんがお元気なうちに、放置人工林問題解決のご報告ができなかったこと、熊森は無念です。
この問題を解決しないと、クマが奥山に帰れません。
しかし最近は、役場の若い担当者たちが、子供のころから見てきた放置人工林を自然林と勘違いし、これが自然だからと、何の疑問も持たなくなってきました。びっくりです。
熊森は、放置人工林問題に国が動き出すまで、どこまでもあきらめずに、今後も取り組んで参ります。
保利さん、今後もどうか、天から応援していてください。
最後になりましたが、当時、秘書さんにも大変お世話になりました。
心からお礼申し上げます。
2002年5月30日発行の保利議員とお会いした時のことをまとめた、当時の会報を添付します。
良かったらご覧になってください。
とよ、今年も無事冬ごもりへ
- 2023-12-22 (金)
- くまもりNEWS
多くのみなさまの愛情いっぱいのお世話によって、今年もとよは健康で穏やかな日々を過ごすことができました。
そして、遠くに住んでおられる方々からも、たくさんのどんぐりや果物などを送っていただき、本当にありがとうございました。
とよはたっぷりと脂肪を蓄えて無事に冬ごもりに入ることができました。
今年は特に東北でクマの大量出没が続いたこともあり、例年通りとは言え、無事に冬ごもりに入ってくれたことがとてもうれしく感じました。
本当にどれだけの方々にお世話になったかを考えると、感謝してもしきれないほどです。
そしてとよにも、いつも元気で多くの人を癒してくれてありがとうとお礼を言いたいです。
ここ数日寒い日が続き、高代寺の最低気温も-2℃までに下がっていて、水道が凍結して使えなかったり、
とよの飲み水のトレイも凍ってしまうほどでした。
昨日、餌やりのパートさんがお世話に行った際、寝室から出てくることはなく、ご飯も前日のまま残っていました。
そして、今日もお世話の方が寝室を覗くと、顔をあげてちらりと見たものの、温かい藁の中に顔をうずめて、すぐ眠ってしまったそうです。
こうなると冬ごもり認定です。
この後、飲まず食わずで3月くらいまで冬ごもりします。(今年は2月末に冬ごもりが終わりました)
とよ、3か月後にまた会いましょう!ゆっくり休んでね。
熊森は奥山水源の森の保全・再生活動に取り組んでいる実践自然保護団体です
マスコミのみなさん、この国を救うために、どうか勇気を出して日本熊森協会を取材してください。
どうして近年、クマがこんなに山から多数出て来るのか、自然界のことは、地域差も大きく、調べても調べても人間にはわからないことだらけなのですが、私たちは長年クマ生息地の山を歩き続けて調べてきた稀な者として、記者さんたちが知っておかねばならないことを、全て語ります。当協会の顧問研究者は、北海道を除く全国のクマ生息地を歩いて動植物を調査し続けて63年になります。
目撃数が増えたなどの現象を見て、クマ数が増えたと思う人たちもいます。地域によって様々ですが、しかし、クマ本来の生息地である奥山が人間活動によって荒廃し続け餌がなくなっている場所で、クマ数が増えたりするのでしょうか。山形県の深山ガイドに聞くと、今年、本来のクマ生息地はクマの姿どころか糞さえないと言われていました。彼は、クマが増えているというマスコミ報道について、あり得ないと思うと言われています。マスコミはこんな声も取り上げてほしいです。
熊森は全国を飛び回っている会長以下、全理事が無報酬で活動しています。
だから、利権ゼロの会です。
これだけでもすごい会だと思われませんか。
私たちは、真実を語ります。
また、国から1円ももらわずに27年間、会員の会費と寄付だけで会を運営してきた完全民間団体でもあります。
だから、自分たちの徹底した現地調査に基づいて、国の政策に対してもなんの遠慮もなく、正義感と良心だけで、こうしたらどうでしょうかと提案できるのです。研究費や活動費欲しさに、国に迎合したり、真実を語らなかったりしたことなど、一度もありません。きちんとした政策提言型団体です。
1992年1月のことです。私たちは、残り60頭絶滅寸前と言われた兵庫県のツキノワグマの絶滅原因を調べていて、日本の奥山が戦後の拡大造林政策や奥山開発によって動物が棲めないまでに内部が大荒廃していることに気づき、大きな衝撃を受けました。
奧山に延々と続く人工林。地元の方たちが緑の砂漠と呼ぶ光景。
山の外観は緑ですが、内部は荒廃して茶色一色の死の世界。
この人工林内に野生動物の餌は皆無で野生動物は棲めない。
31年前、私たちはこの国の人と全生物を守るために立ち上がったのです。
一番初めに兵庫県庁の林務課に行って「スギやヒノキの植林にストップをかけてください!いくらなんでも植え過ぎており、大変な弊害が出ています」と訴えました。係官は、「何を馬鹿なことを言い出すんだ、兵庫県はこれからますますスギやヒノキを植えていきます」と、怒りをあらわにされました。
<行き過ぎた拡大造林政策の弊害>
1、平成になると人工林の苗木も大きく成長し、人工林内は餌が全くない所になる。すると、生きられなくなった野生動物が餌を求めて山から次々出て来るようになり、地元は悲鳴。クマは有害獣として多数駆除されていくようになる。
兵庫県豊岡市1998年
2、林業不振により多くの人工林が放置され益々荒廃、山の保水力は年々低下。各地で湧水が激減。
谷川で泳ぐのが夏休みの子供の遊びだったのに、もう泳げる所なんかどこにもないと地元の高齢者
兵庫県宍粟市
3、大雨の度に放置人工林が崩れ出し、災害が多発する国になっていく。
2004年兵庫県朝来町 山崩れで放置人工林のスギが流出し、橋げたに引っかかって洪水に。
兵庫県の人工林分布 人工林率42%
赤色部分がスギやヒノキの人工林。多くは放置されて内部は大荒廃している。
南部の緑の●はゴルフ場 クリックで地図拡大。
現状を放置していたら山はどんどん荒れて、年々保水力が低下していきます。かつて森を破壊し過ぎて水源を失い滅びた多くの文明と同じ道を、日本がたどっています。
森の再生には長い年月がかかるので、一刻も早く森林政策の方向転換が必要です。
私たちは兵庫県庁に行って怒られただけでしたが、めげませんでした。奥山荒廃問題にはこの国の運命がかかっています。がんばって声を上げようと決意しました。
私たちが国の拡大造林政策に問題ありと正直に言うと、国や行政からにらまれ、マスコミは国や行政の顔色を見て私たちを取材しようとしなくなりました。
後年、林野庁の偉い方に私的にお会いした時、私たちは開口一番「奥山水源の森が大荒廃しています!」と訴えました。その方は、「戦後の森林政策、大失敗しちゃいました。どこもかしこも、奥山を大荒廃させちゃいました。もうどうしたらいいのかわかんないのです」と、正直に言われました。
私たちは、「すぐに国策の方向転換をしましょう」と呼びかけました。水源の森を失った文明は過去すべて滅びているからです。しかし、この方は、「私たちは組織の人間なので、この事実は、口が裂けても国民には言えません」と答えられました。
仕方なく、私たちは自分たちで団体を作り、地元の皆さんと連携して、まず自分たちで汗まみれ泥まみれになって、各地でボランティアとして、奥山の人工林伐採跡地に実のなる木を植え始めました。場所によっては命がけの危険な活動ですが、みんな使命感でいっぱいなので、未だ無事故です。
2002年兵庫県但東町 実のなる木の植樹会
国には、一刻も早く食料いっぱいの奥山広葉樹林再生運動に国を挙げて取り組んでいただき、野生動物たちが以前のように奥山に帰れるようにして、祖先がしてきた棲み分け共存を復活させなければならないと訴え続けました。
兵庫県がある中国山地のかつての棲み分けラインは標高800m。
これより奥は野生動物たちの聖域として、日本文明を支える水源の森として、人間が入れない入らずの森でした。
奥山は巨木の原生林で、この原生林があった時、クマたちが里に出て来ることなどなかったそうです。この棲み分けラインを戦後、一方的に破ったのは人間の方です。
私たちは片っ端から国会議員を訪ね、奥山全域、尾根筋、山の上3分の1、急斜面、沢筋の5か所は祖先がしていたように天然林に戻すよう、法整備をお願いしました。
この5か所は、天然林のまま残さねばならないと祖先が言い伝えてきた場所に重なります。
熊森に賛同して強力に支援してくださったのが、当時、国会議員だった赤松正雄議員や鳩山邦夫議員、石井登志郎議員(現西宮市市長)らでした。
2010年、奥山天然林再生のための法整備に向けて、64名のすばらしい超党派の国会議員たちによる議連が誕生
しかし、3か月後に、東北大震災と福島原発事故が発生し、議連は解散に
法整備のチャンスを失う
国産林業が不振の上、もう植えられるところは植え尽くしたこともあって、新たなスギ・ヒノキの植林にはブレーキがかかるようになりました。しかし、荒廃した放置人工林は今もそのままです。(林業は大切な産業なので、林業に向いた場所はしっかりと林業用の整備を行い、他は森林環境譲与税などを使い、早急に天然林化すべしと、熊森は何度も国会に訴えに行きました)
まさか・・・残された天然林内まで大劣化し始める
この後、とんでもないことが起き始めたのです。地球温暖化が原因と思われるのですが、残された天然林までもが猛烈に劣化しだしました。下草が消え、昆虫が消え、虫媒花は実らなくなり、野生動物たちの餌はますますなくなってきました。
地球温暖化で、天然林の内部まで大荒廃 餌が何もない森に
兵庫県豊岡市のクマ生息地 熊森協会自動撮影カメラによる撮影
さらに現在は、国内外の投資家たちが、再生可能エネルギー事業推進と称して日本の水源の森を大破壊しだしました。熊森は、森林伐採を伴う再生可能エネルギー事業にストップをかけようと、日々、奔走しています。国民のみなさんも、子や孫のため、全生物のため、声を上げてほしいです。
再エネ事業が広大なクマの生息地を大破壊
宮城県仙台市
これ以上水源の森が壊されないように、至急、法規制をかけねばなりません。壊し過ぎた森をもう一度天然林に再生していかねばなりません。森の動物たちのためでもありますが、人間のためでもあるのです。森を残し全生物と共存しなければ、人間も生き残れないのです。
国民の皆さんが、熊森協会をイギリスのナショナル・トラスト(会員数425万人)のように大きな団体にしてくだされば、国会議員が協力してくれるようになるので、日本でもイギリスのように自然を守る法律を次々と成立させていくことができるようになります。
水源の森を守るには、会員数が必要です。みなさん、ぜひ熊森協会の会員にご登録ください。
電話1本で会員になれます。0798-22-4190
まとめ
熊森協会は、奥山水源の森の保全・再生団体です。
私たちがシンボルにしているクマの棲む森は、最高の保水力を誇り、あらゆる生き物たちが生きられる完璧に豊かな森です。私たち人間は棲み分けを復活させるために、荒廃させた奥山を野生動物たちの餌場として再生しなければならなかったのに、全くそういうことをしてきませんでした。もし地球温暖化が人間活動の結果だとしたら、今年の山の天然林の実りなしも全てが自然現象なのではなく人間の責任も問われます。クマを殺しておけばいいではなく、どうしたら共存できるのかみんなで考えねばなりません。やさしい解決法が一番優れている。
当団体への誤解もあるかもしれませんが、皆さん、ぜひ当団体の本質を知っていただけるとうれしいです。
詳しくは1冊100円の小冊子「クマともりとひと」をお読みください。
真実を求める人たちの口コミによって、現在57万冊発行。
文責:森山まり子