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2024-04-15

パブコメで大多数が反対でも原案通り進める 環境省がクマを指定管理鳥獣に指定(省令発表未)

<クマを指定管理鳥獣に決定するまでの納得できない道のり>
こんなのでいいのか!日本。
①令和5年 11月13日、北日本の知事たちがクマを指定管理鳥獣にしてほしいという要望書を環境大臣に提出
伊藤大臣は迅速な検討を指示。

◎12月6日、熊森は、環境省堀上審議官と鳥獣保護管理室の職員に要望書を提出。クマ指定管理鳥獣化を再考してくれるよう要請しましたが、知事からの強い要望があるとのことでした。
◎熊森は、クマを指定管理鳥獣にすると、シカ・イノシシと同様、見つけ次第殺される対象になるとして断固反対を表明。捕獲の強化ではなく、奥山広葉樹林化や被害防除対策など、捕殺に頼らない棲み分けのための支援こそ今実施すべきと主張して、12月末から急遽、環境大臣宛の反対署名を集め始める。
②12月26日、1月9日、2月8日、環境省が3回にわたる専門家検討会を実施

検討委員たちの発言は、クマは数も少なく繁殖力も弱いのでシカ・イノシシと同列にはできない。東北や北海道と他の地域では生息状況がかなり違うので、全国一律にクマを指定管理鳥獣に指定することには無理があるなど、まっとうな意見が全体を占めていた。

◎熊森は、2月5日、クマ指定管理鳥獣化に反対する緊急署名 1 万4749筆を環境省堀上審議官に提出した。
(必死で署名を集めてくださったみなさんに、熊森は心から感謝)
③2月8日伊藤大臣がクマ指定管理鳥獣化を発表
第3回検討会終了後、伊藤信太郎環境大臣が、「絶滅の恐れがある四国を除いてクマを指定管理鳥獣に指定します。」とマスコミ発表。除くのは四国だけ???
検討委員たちの意見が無視されている。
何のための検討会だったのか。
④2月13日環境省がパブリックコメントを募集
環境省は2月 13日(水)から1か月間、パブリックコメント開始。
・・
意見 ※賛成か反対かを( )に記入
ヒグマ、ツキノワグマ(四国の個体群を除く)を指定管理鳥獣にすることに(   )します。
これまでの例から言うと、パブリックコメントがたくさん来たことにより結論が変わるということはまずありません。それでも、今後の政策変更のために強い声をしっかり届けておくことは大切ですので、熊森はパブリックコメントに応募しました。
また、国会議員にも指定管理鳥獣化でクマ問題は解決せず、奥山の再生や被害防除対策が必要であることを伝えて回りました。
参議院と衆議院の環境委員会では、クマを指定管理鳥獣にすることについての議員質問が相次ぎました。
⑤3月28日環境省パブリックコメント結果発表(提出意見535 件)
クマを指定管理鳥獣に指定することに、賛成9、反対440、その他86
パブリックコメントで結論は変わらないと言われても、これだけ反対が多いのに本当に環境省はこのまま進めるのだろうか。熊森は環境省の動きを見守ることにしました。
⑥実は、3月26日環境省はクマ指定管理鳥獣を決定していた
環境省によると、3月26日に開催された環境省中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会でパブコメ結果を見せたところ、委員全員が指定することに賛成したとして、クマ指定管理鳥獣を最終決定したとのことです。(省令発表未)
結局、最初から、結論ありきのまま、環境省はクマの指定管理鳥獣化を強引に推し進めたということです。
1999年の鳥獣保護法改正で、狩猟や有害駆除に加えて個体数調整のための捕殺を導入しようとした当時の環境庁がとった対応も同じでした。この時は法改正だったので、熊森は反対運動の先頭に立って国会議員を次々と訪問し、このような法改正をすると日本の自然が守れなくなるので反対してほしいと訴えて回りました。
他の自然保護団体もみんな立ち上がって、日本で初めて全自然保護団体がひとつにまとまって法改正に反対する大運動となりました。国会議員も多くが反対でした。しかし、強引に法改正がなされ現在に至っています。

野生鳥獣との軋轢を、野生鳥獣の生息数を人間が大幅に低減させて一定数にコントロールすることによって解決しようとする考え方を導入して25年が経過しましたが、罠だらけの山となり残酷なだけです。しかも、大量捕殺によって被害がなくならないことはシカやイノシシの対応で、すでに結論が出ています。
まして、シカやイノシシと比べる桁違いに生息数の少ないクマまで捕獲報奨金を引き上げて大量捕殺してしまうと、乱獲によりクマが絶滅に向かう地域が出てくるでしょう。
環境省の鳥獣行政は、他方で進めている生物多様性の保全とは真逆の方向に進んでいます。
環境省は、指定管理鳥獣に指定しても、クマはシカやイノシシのように捕殺一辺倒にはしませんと今は言っていますが、やがてそうなっていく恐れがあります。生息地を再生したり、被害防除対策を進めることが根本解決につながるのですが、大変な労力が必要です。それに比べると捕殺は簡単ですから、よほど強い意志がないと人間は安易な方向に流されていきます。今後、各地の動きを注視しておかないとクマの乱獲が抑えられなくなると、熊森は強い危機感を持っています。
今後、クマ指定管理鳥獣化を受けて、各都道府県がクマの指定管理鳥獣実施事業計画を策定していくことになると思います。
この計画が、大量捕殺を推進するものにならないように、私たちが各地で働きかけをしていくことが重要です。(完)

昨年の秋田県クマ大量駆除の嵐の中を生き延びた子グマたちがわずかにいた

秋田魁新報4月10日によると、昨年の秋田県のクマ大量駆除の嵐の中を奇跡的に生き延びた子グマたちがいました。
以下の写真は、秋田朝日放送より。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注:2023年度秋田県では、山の実り大凶作によるクマ大量出没と過去最多のクマによる人身事故62件70人の発生もあり、有害駆除名目などで前代未聞2314頭のクマを捕殺しました。生息推定数4400頭の52%のクマが殺処分されたことになり、クマは絶滅に向かう恐れがあります。そんな中、秋田県は指定管理鳥獣実施計画を策定して、更なるクマ捕殺を進める方針です。

 

下の目撃件数グラフは、秋田魁新報記事からです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注:ふつう、同じクマが何度も目撃されるので、実際のクマ数は目撃数より少ない。

 

テレビニュースによると、秋田の冬を生き残ったみなしごグマは、春になった今、集落周辺の耕作放棄地などに生えている草の新芽などを人目を気にしながら食べています。

 

もし母グマが殺されていなければ、この時期、冬ごもりからあけて、山のバッコヤナギの花や木々の新芽を食べていたことでしょう。

バッコヤナギ - Wikipedia

クマの大好物、バッコヤナギの花

 

人間に見られながらびくついて草を食べている子グマの顔が、テレビニュースで映し出されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時々顔を上げて人間の動きを見ながら、不安そうに草を食べる悲しげな表情の子グマ。近くには、捕獲用の罠がすでに2つ仕掛けられています。

 

秋田県では県のツキノワグマ管理計画に「放獣しない」と明記されていますから、市町村はクマが出没した際に、捕獲後は銃殺すると記して県に捕獲申請を出しています。(北海道も同様)

 

秋田では、これらの子グマをヌカとハチミツ入りの箱罠に誘引して捕獲し、全て銃で殺処分しています。

 

 

秋田ではクマの捕獲権限が市町村に下ろされているため、捕獲したクマを殺処分するのか放獣するのか市町村の判断で決められるはずです。また、クマの放獣は法律で禁止されているわけではありません。

 

秋田県は昨年、私たちが放獣を依頼した際、今年は捕獲数が多過ぎて放獣などできないと言われました。今の時期ならできると思います。去年殺された大量のクマの穴埋めのためにも、捕獲してそのまま何もせず山に放獣してやるべきだと思います。

 

山に放してもまた帰ってくると言う方もいますが、帰ってこない場合も多くあります。放獣例もないのに帰ってくると決めつけるのはいかがなものでしょうか。

クマの行動を決める主要な要因はえさです。山に餌があれば集落には出てきません。

小さな子どものクマまで見つけ次第、罠をかけて捕殺してしまうのは、子どもたちの精神衛生にも悪いです。秋田県は生き物たちへの共感を思い起こして、生き物たちにやさしい対応をとっていただきたいです。

人間が攻撃しない限り、犬くらいの大きさの子グマが人間に向かってくるということはありません。クマが凶悪犯人のように報道されるため、クマへの誤解が蔓延していますが、クマたちは基本的に人を避けて行動しており、人が気をつけることで人身事故は防げます。

 

思いやりのある優しい対応が、人にも自然にも一番優れているのです。

 

すでに熊森本部や熊森秋田県支部から、生き延びた子グマを放獣してほしいという要望を、秋田行政へ伝えてあります。

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