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カテゴリー「福岡県」の記事一覧

速報 残り1頭の子イノシシ、山中放獣に成功 福岡県北九州市門司区

5日間現地に通い続けてくださった熊森福岡県南里支部長から、「本日、北九州市が残り1頭の子イノシシも放獣してくれました」という電話が本部に入り、写真や動画も届きました。支部長の声は弾んでおり、本当にうれしそうでした。

残り1頭の子イノシシが山に帰っていく瞬間(南里支部長が撮影した動画の切り取り)

 

動画を見ると、たくさんの門司区職員の皆さんが休日返上で放獣作業に参加してくださっています。

心からこの子イノシシを助けてやろうと、みなさんが一生懸命になっておられるのが、画面から伝わってきます。

最初から職員のみなさんは、この兄弟イノシシをなんとか助けてやりたいと思っていたということで、それでこそ人間、心が温かくなります。個体数調整(頭数調整)派の研究者は別として、ふつうの国民はみんなそう思うだろうと思います。

本当に、いいことをしてくださいました。心よりお礼申し上げます。

 

ところが実態としては、このあと山中に逃げ込んだ子イノシシを、無数の個体数調整(頭数調整)用のイノシシ・シカ捕殺罠が待ち構えているのです。時間の問題でこの兄弟イノシシもかかると思います。

この罠にかかると槍で突かれるなどして残忍な方法で、すぐに殺処分されてしまいます。

野生動物問題を野生動物を殺すことで対処しようとしている平成日本の狂った姿です。

こちらの方も、マスコミ陣にしっかりと取材していただき、全国民のみなさんに、可能な限り殺さない対応策に切り替えるよう、声を挙げていただきたいのですが、残念ながら、マスコミは報道してくれません。

 

 

以下、毎日新聞記事(10月27日)を追加

イノシシ、残る1頭も救出 箱わなで捕獲

 

北九州市門司区の砂防施設に今月12日からイノシシ2頭が転落して出られなくなり、市と福岡県によって27日までに捕獲された。高さ約6メートルの壁に囲まれた施設から2頭を出すため、市と県がわなを仕掛けるなどあの手この手で「救出作戦」を展開し、約2週間ぶりに山に返された。

 

市によると、迷い込んだイノシシは1歳半ほどの成獣2頭で、体重約40キロ。施設は、県が近くの山からの土石流などを防ぐために設置したもので、幅約15メートル、長さ最大約25メートルのコンクリート造り。2頭は山の斜面から滑り落ちたとみられる。

 

野生鳥獣は簡単に保護することができず、当初は市と県は静観していた。だが、イノシシが出られなくなっている様子がテレビで流され、市に「助けてあげて」といった電話やメールが400件を超えた。このため、市と県が協議し、救出に乗り出すことを決めた。

 

24日に脱出用の長さ約6メートルのスロープを設置し、25日にスロープに餌を置いて誘導したが失敗。このため、26日に施設内に箱型のわなを仕掛けたところ、26日午後3時半ごろに1頭目を捕獲し、もう1頭も27日午後1時ごろに捕獲した。

 

現場はJR鹿児島線・小森江駅から北東に約1キロにあり、付近には団地などがある。イノシシは畑を荒らしたり、人を襲ったりする害獣でもあるが、駆除を望む声はわずかだったという。県の担当者は「再発防止策を考えていきたい」と話した。

 

熊森から

環境省をはじめ、日本の野生動物関係の行政は、権威や肩書のある個体数調整派の研究者に動かされており、野生動物を殺して数を低減することで野生動物問題を解決しようとしており、残虐の一言です。

しかし、一般国民は当然ながら、地元も含め、野生動物を殺したくない人がほとんどなのです。

今回の件で、行政は民意を知ったと思います。

何とか、殺さない問題解決法に方向転換していっていただきたいものです。

 

福岡県北九州市門司区にある砂防ダムに転落した2頭のイノシシの子、10月26日まず1頭救出成功

福岡・北九州市門司区にある砂防ダムに迷い込んだ、2頭のイノシシ。

県はこれまで、脱出用のスロープを設置したものの、失敗。

そこで、餌でスロープに誘導しようとしたものの、またしても失敗。

そこで26日、捕獲放獣に向け、箱罠を設置しました。

 

10月26日、まず1頭救出を伝えるテレビ西日本ニュースです。

 

 

この事件を振り返ってみます。

10月18日、朝日新聞に、以下のような記事が出ました。(記者さんに感謝)

 

12日の朝から2頭のイノシシの子供が北九州市門司区の川に造られた砂防施設間に転落して、脱出できなくなっている。イノシシは駆け上がろう何度も試みるが、途中で力尽き、川底を所在なげにうろつくばかり。近所の住民が忍びないとして区役所に救出をお願いしたが、門司区役所や市鳥獣被害対策課の担当者によると、野生動物が自然界の中で今回のようなアクシデントに遭った場合、鳥獣保護法の考えでは「原則として手出しをせずに見守ることになっている」ため、手出しが出来ないとの答え。

 

さらにイノシシは農作物などに大きな被害をもたらしていることから、福岡県が罠や狩猟による捕殺も考えている。(以上、記事の要約)

 

この記事を読んで、東京の動物愛護団体JAVA がすぐに反論し、6メートルの砂防堤の底に落ちた2頭のイノシシを「山に帰してあげて!」と北九州市長に要望してくださいというメールを拡散されました。

 

JAVAの拡散メール

記事では、「野生動物が自然界の中で今回のようなアクシデントに遭った場合、鳥獣保護法の考えでは『原則として手出しをせずに見守ることになっている』という。」とまるで鳥獣保護法の決まりで手出しできないような市のコメントが出ていますが、鳥獣保護法で、アクシデントにあった野生動物を助けてはいけないという規定はありません。そもそも、人間が作った砂防施設のせいで転落し、山に戻れないのですから、これは自然界でのアクシデントではなく、人災です。

 

鳥獣保護法の規定により、理由はなんであれ、またすぐ放すとしても捕獲する場合、捕獲許可が必要になりますが、市長が許可を出せばいいわけです。

 

ご存知のようにイノシシは農作物を荒らす悪者とされてしまっていて、全国的に有害獣駆除の対象になっていますが、それと今回の落下事故は別問題です。「イノシシは駆除している動物だから」として、今回のイノシシたちをじりじりと衰弱させ、餓死させるのは動物虐待に他なりません。

 

熊森から

JAVAさん、その通りです。

 

福岡県には熊森の支部があります。クマが絶滅した福岡県で、熊森福岡は、イノシシの棲める森を再生しようとイノシシ森協会の活動を続けて来られました。(一番の大型動物に目を付けるのが、熊森のやり方です)

さっそく会員が現地に急行。連絡を受けて、支部長たちも連日現地にかけつけて行政交渉など続けてくださいました。

どんな経緯があったのか、本部はまだ詳細を把握しておりません。

しかし、どちらにしても、北九州市がこのイノシシたちを救出して山に逃がしてやろうと決め実行されたことは、すばらしいことです。

心から感謝します。

 

1999年に、野生動物の頭数計算や捕殺を教え子たちの仕事にしてやろうと考えた動物学を専攻する大学の教授たちが、当時の環境庁を動かして、「鳥獣保護法改正案」という、名前は美しいのですが、中身は恐ろしく残酷な「頭数調整捕殺法案」を国会に提出しました。

 

熊森をはじめ全国の自然保護団体が一致団結して、この法案に強力に反対しました。クマ・サル・シカ・イノシシなどの適正頭数を人間が決めて(実際は決められない)、多過ぎていたら(実際は数えられない)、山の中にいようが無被害であろうが殺害して良いという、弱者になったことがないエリート人間たちの身勝手で恐ろしい思想です。

 

いったん廃案直前まで追い込んだものの、政治的な力が働いて、一転して成立してしまいました。ここから、日本の野生動物たちは、受難の時代を迎えるのです。

 

最初、行政担当者の皆さんは、そんな無茶はできないと非協力的でしたが、やがて中央の強い圧力で、日本国中で問答無用殺害が始まるようになりました。野生動物を数字だけでしか見ない、完全に誤った自然観に基づくものです

 

シカ・イノシシ・アライグマなど、見つけ次第どころか、罠で誘引までして、おびただしい数の野生動物が大量殺害されていきました。

 

あれから約20年。頭数調整は、研究者や業者をもうけさせただけで、完全に破たんしています。殺しても殺しても、食料がある限り、野生動物の数はすぐ元に戻ってしまうのです。私たちの税金は無用の殺生に使われているのです。頭数調整捕殺は、生き物に優しい気持ちを持っていた多くの一般国民の心を、どれだけ傷つけてきたかしれません。できる限り殺さない恒久的な対策を考えるべきだったのです。

 

<数字>と<殺害>の2つだけが渦巻く頭数調整一色の今の我が国において、今回のイノシシ救出は、教育上も、国民の精神衛生上も、とても良いものでした。

 

北九州市長や担当部署に、お礼の言葉を送りたいです。

 

<北九州市役所>

〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号

市長: 北橋健治様

電話: 093-582-2525(広聴課)

FAX: 093-582-3117(広聴課)

市長へのメール: https://ssl.city.kitakyushu.lg.jp/cgi-bin/enquete/registEnquete.cgi?EID=5f8dd86f0a4b077d42620afab3db8ff7

 

担当部署: 産業経済局農林水産部鳥獣被害対策課

電話: 093-582-2269

FAX: 093-582-1202

鳥獣被害対策課へのメール: http://www.city.kitakyushu.lg.jp/san-kei/san-choujuhigai.html

九州北部甚大災害の原因は林野庁の拡大造林政策㊗福岡RKBテレビが平野虎丸氏の解説を報道

豪雨のたびに甚大災害が次々と起きる本当の原因を国民に伝えようと、熊森本部は去る7月24日福岡県庁に出向き、熊森福岡県支部と共に必死の思いで1時間の記者会見を行いました。

 

記者会見の初めに森山会長が、

「これまで国や行政が責任逃れのために隠し続けてきた本当の災害原因を、地元の人たちのために、初めて前面に押し出す報道が生まれる歴史的な記者会見にしたい」

と、あいさつしました。

そして最後には、これまでいくら私たちが真実を発表してもマスコミが取り上げてくれないので、国民に伝わらず、悲惨な甚大災害が起き続けているとして、

「福岡の記者さんたちは、勇気を出してこの記者会見の内容を報道してほしい」とお願いしました。

しかし、残念ながら、一社も取り上げてくれませんでした。

 

そんな中、福岡県のRKBテレビが、熊森顧問でもある平野虎丸氏を現地取材し、ニュース特集の中で、甚大災害が起きる仕組みについて平野氏が話したことを放映されました!(ヤッター)

 

この8分間のテレビニュースをユーチューブに上げて全国民に見ていただきたいです。しかし、法違反になるのでできません。このニュース特集に関しては、視聴者からの良い反応がいくつも局に届いたようで、近々再放送の予定だそうです。しかし、福岡県の人にしか見れないテレビです。残念です。

 

RKBニュース特集

<なぜ流木被害が拡大、植林政策の課題とは> 以下概要

(ナレーター)今回の豪雨では大量の流木により、被害が拡大しました。なぜこれほどの流木が生じたのでしょうか。

背景を探ると国が進めてきた植林政策のもろさが見えてきました。

朝倉では、大量の流木と土砂が集落の姿を一変させました。

(朝倉住民)

ここから800メートル下までに50世帯の集落があったのです。

かなり大きな流木が根元から根こそぎ何本も流れてきました。

(ナ)

集落の上流に向かって進んでいくと、スギ山の斜面が大きく崩れ落ちていました。

雨による倒木と土砂が下流に向かって流れ込んだ様子がうかがえます。

福岡県によると朝倉市と東峰村で発生した流木は20万トン以上。

その多くが山に植林されたスギです。

(平野虎丸さん)

みんなスギだ。もう凶器ですよ。このスギは。こんなでかい石をいっぱい運んでくる。

わたしは20年前から、流木被害について警鐘を鳴らし続けてきました。

(ナ)

植林されたスギは自生のスギに比べ根が浅いため土砂崩れを起こしやすいといいます。

(平野虎丸さん)

はっきり言って、自然災害ではなく人災です。自然にはこういうスギはないんです。しかもこれらが所狭しとびっしり植えてある。これが甚大災害の原因です。

年齢を重ねたスギの木は、それなりに体重が重くなり、急斜面では自分の体を支えられなくなっている。50年60年のスギから早く伐るべきです。

(ナ)

国は、戦後、復興や高度経済成長で急増した木材需要を背景に全国の山でスギやヒノキなどの植林政策を進めました。現在日本の山の40%がスギなどの人工林です。

その根は自生のスギとどう違うのでしょうか。

実生スギと挿し木スギの違い図示。

左が自生スギ、右が挿し木スギ(挿し木スギには、主根が生えない)

(ナ)

自生スギは、体を支えるための主根が地面下にどんどん伸びていきます。挿し木スギは、種から育てたスギに比べ、根が浅く横に広がっていくだけです。主根は生えませんから、木が成長して大きくなりすぎると不安定になり、雨や風で簡単に倒れるのです。

一方種から育つスギは災害には強いものの、真っ直ぐ育ちにくく、木材利用には適しません。

災害に弱い挿し木が植林に使われてきたのは、まっすぐに育ち成長も早いことから、効率的に木材を生産できると考えられたからでした。

(平野虎丸さん)

スギの木が悪いんじゃないんです。人間が植えるところを間違ったのです。急斜面や沢沿いがいけないですね。家の近くや集落の裏山の急斜面などもだめです。

(ナ)

スギの伐採は40年が目安ですが、木材需要の低迷や林業従事者の減少などで、今、山には伐採されないままの大木が多く残っています。

熊本県高森での、平野さんたちの植えない森づくり現場が紹介される。

人工林のもろさを訴える平野さんは、今、植林をせずに自然本来の山に戻す活動を行っています。放置して育てた山は簡単には崩れません。

 

穏やかな暮らしを奪った大量の流木、今後同じ被害を繰り返さないために何をすべきなのか、森林整備の在り方を考え直す時期に来ています。(完)

 

(熊森から)

みなさんに、平野氏のブログを読んでいただき、傍観者となるのではなく、どんどんコメントを入れていただきたいです。

 

ブログには、「スギの木が土砂崩れに巻き込まれたのではなく、根の浅いスギの木が倒れるときに、てこの原理で土砂を持ち上げ土砂災害を起こす。この順序を間違うと根本的な対策ができない。砂防ダムなどで、人工林の崩れは止められない。丈夫と言われるコンクリートが、現地ではいとも簡単に壊れている」など、山崩れの現場を横で見てきた林業者でなければ語れない真実がいっぱいです。

 

また、人が住んでいない奥山や国有林内では毎年のように大きな土砂崩れが発生して林道も崩壊している。人が死なないのでニュースにならないだけだなどという告発も、重要です。

 

熊森が、人工林がいとも簡単に崩れることを知ったのは、1998年に宮崎テレビが熊森を取材に来た時です。宮崎テレビ制作「熊森が消える」という1時間番組に、宮崎県の奥山人工林がずたずたに崩れている飛行機からの映像が映し出されました。

あれから熊森もいろいろと調べ、人工林が災害を多発させていることを訴え続けてきたのです。林業が大事とよく言い返されますが、命や財産を失うよりも林業の方が大事なんでしょうか。クレージーです。しかも、補助金がなければ成り立たない今の林業は、産業とは呼べません。自然林から択伐するなど、新しい林業の在り方を、根本から考え直すべきです。

 

今回の九州北部の災害に対して、林野庁が現地を視察し報告書を作りました。その中には、人工林の「じ」の字も出てきません。林野庁の内部に詳しいある閣僚に聞くと、人工林が原因だと林野庁の全員が知っている。もし自由に発言できるなら、林野庁の職員たちは先頭切って、「原因は人工林です」と、言うでしょうということでした。

 

誰がこの国と国民を救うのか?

(拡散希望)九州北部豪雨災害の主な原因は植え過ぎた人工林、<熊森が福岡県庁で記者会見・知事に提言書> 

7月24日午後、日本熊森協会 本部 森山まり子会長ら本部スタッフ3名と、熊森福岡県支部 南里正博支部長ら福岡県支部員10名は、福岡県庁を訪れ、今回の九州北部豪雨で発生した大量の土砂や流木の主な流出原因は、造りすぎた人工林にあるとして、林業形態の抜本的な見直しや、人工林の自然林化、スギ・ヒノキの再造林の中止などを求める福岡県知事宛ての提言書を、林業振興課に提出しました。

提言書を提出

 

また、福岡県庁記者クラブで記者会見を行い、台風や豪雨のたびに繰り返される痛ましい甚大被害を防ぐために、これまでメディアがタブー視して書こうとしなかった<人工林が崩れやすい訳>を、勇気をもって書いてほしいと訴えました。

記者会見

 

戦後の林野庁による拡大造林政策の失敗は、誰よりも林野庁の職員たちが認識しておられるはずですが、組織の内部からは声を上げられません。

地方行政も、拡大造林政策を推進してきた手前上、今さら失敗だったとは言えません。

今回熊森は、民間が声を上げる以外にこの国を救う方法はないと一大決心して、福岡県庁に出向きました。

写真や地図、図表、データなどをそろえて発表しました。ぜひメディアに取り上げていただきたいです。

 

提言書はこちら

報道言葉は「豪雨災害」ではなく、「谷筋、急斜面の人工林崩壊による土砂災害、流木災害」に

福岡県、大分県を襲った今回の災害で、7月17日現在、死者34人、不明7人となっています。イヌやネコ、野生動物まで入れれば、さらに多くの命が失われました。痛ましい限りです。

ところで、「北九州豪雨災害」という報道言葉が氾濫していますが、大変違和感を覚えます。これではまるで、災害の原因が、豪雨だけにあったように錯覚されてしまいます。

 

豪雨は自然現象です。このような悲しい災害は、今後も防ぎようがないものなのでしょうか。

7月16日日経新聞記事に、専門家の言葉として、「山間部から広がる河川の下流域では、どこでも起こる災害だ」というのがありました。

私たちは山を25年間見てきた者として、この専門家先生の言葉に異を唱えたいと思います。

豪雨だけでは、これだけの災害は起きていなかったはずです。

 

谷筋、急斜面の人工林崩壊による土砂災害、流木災害が、ここまで被害を大きくしたのです。

では、山国日本では、仕方のない災害だったのでしょうか。

いいえ、谷筋、急斜面がスギの人工林、しかも、※挿し木スギの人工林だったという人災面が占める割合は限りなく大きなものです。(※挿し木スギの成長ははやいが、木を支えるための直根が欠けている上、根が地中深くに入らないという特徴がある)

今後、谷筋、急斜面の人工林を早急に、実生の自然林に転換していく必要があります。

豪雨気候、山国地形、これはどうしようもありませんが、谷筋、急斜面を自然林に戻すことで、今回のような災害は今よりかなり減るはずです。

 

<2009年8月、兵庫県西北部甚大災害の場合>

2009年に、兵庫県佐用町周辺でも同様の災害が起き、死者20名、不明2名、家屋の全半壊並びに一部損壊1100戸以上、床上・床下浸水2000棟という甚大な被害が生じました。

私たちが現地調査に行った時、崩れている山の斜面はほとんどが人工林であることが見ただけですぐにわかりました。

すごい数の流木は、ほとんどどれもが、幹がまっすぐで根がついていましたから、人工林のスギが植わったまま山腹が崩壊し、流されてきたものだとわかりました。無数の流木が橋げたに絡まって川をせき止め、洪水を起こしていました。

産経新聞より 兵庫県朝来町

 

しかし、当時も兵庫県のマスコミはどこも、「豪雨災害」としか報道しませんでした。谷筋や急斜面にスギをびっしりと植えたのは、戦後の林野庁の国策であり、国中の行政が推進した結果です。この国策の失敗に、触れてはならぬというタブーがあるのでしょうか。

 

当時、熊森は、兵庫県の大きな新聞社の責任者に電話をして、「報道に人工林の「じ」の字も出てこないのはどういうことですか。もう2度とこのような災害が起きないように、真の原因を県民に知らせるべきです」と訴えました。責任者は、「甚大災害の原因は、人工林です。しかし、書けません」と言われました。がっかりです。

 

私たちは、行政にも訴えました。「谷筋、急斜面に植えたスギの人工林が甚大災害の原因です」。

行政は、私たち自然保護団体が訴えると、いつもきまって、「データは?書かれた論文を見せてください?」と、言われます。

「私たちは研究者ではないので、そのようなものはありません」と答えると、「お帰り下さい」となります。

これっておかしくないですか。

現地を見れば、小学生でも、崩れているのはほとんどが人工林だ。谷筋、急斜面にスギを植えてはならないと気づくはずです。なぜこんな単純な、見てすぐわかる真実に、データや論文が必要なのでしょうか。

各地で同様の災害が多発し続けています。当協会顧問の熊本県の代々の林業家である平野虎丸先生も、声を大にして、「戦後植えられた人工林のスギがそれなりに太くなってきており、あの小さな根ではますます自分の体重を支えきれなくなってきている」と、声を大にして災害原因を訴え続けられています。しかし、いまだに、甚大災害の原因が世に伝えられていません。わたしたちは残念でなりません。

 

以下は、2009年に兵庫県で起きた局地的豪雨による被害状況を兵庫県がまとめたものから転載しました。

 

<有林地における山腹崩壊面積>

庵川  ・・・ 人工林0.14% 天然林0.02 %

神子畑川・・・ 人工林0.04% 天然林0.009%

田路川 ・・・ 人工林0.02% 天然林0.000%

 

<流木の内訳>  立木81%、 間伐材10%、 風倒木9%

 

山腹崩壊には土質や斜面の勾配など、様々な要素が関係しており、自然界の出来事はこの上もなく複雑です。

自然林なら山腹崩壊が起きないという訳ではありませんが、兵庫県のデータからも、人工林という要因は、この上もなく高い原因です。

 

熊森は近々、九州北部災害地に調査に入る予定です。

九州のマスコミのみなさん、人工林が大きな災害原因を占めることを、どうか勇気を出して報道していただきたいです。

 

谷筋、急斜面、尾根筋、山の上3分の1、奥山の人工林は、野生動物のためにも、地元の災害を減らすためにも、都市の水源確保のためにも、自然林に戻すべきです。

当時、林野庁が良かれて思って計画し、多くの国民が協力して造った人工林です。熊森は誰も責める気はありません。

しかし、弊害が明らかになった今、国民の命と財産を守るためにも、国を挙げて早急に人工林の自然林化に取り組んでいきませんか。

 

行政のみなさん、国民のみなさん、林業も大切ですが、命あってのものです。

経済のために、全ての山を人間が利用しようと考えたことが、欲張り過ぎた、人間のおごり、失敗の元だったのです。

日経7月3日の私見卓見欄に、林野庁の方が、「山にお金が戻る仕組みを確立し伐採から再造林への循環を作ろう」と訴えておられましたが、これでは、今後ますます激甚災害が多発する一方となります。何とか考え直していただきたいものです。

 

(参考)

①農林水産省九州森林管理局の調査結果発表 (表層崩壊同時多発)

今回の豪雨で、朝倉、東峰、日田で、少なくとも300か所の土砂崩れが発生。ほとんどは、深い岩盤までは崩れず、表土層と樹木が滑り落ちる「表層崩壊」とみられる。

②熊本大学北園芳人名誉教授(地盤工学)

日田市小野地区の土砂崩れに関しては、深層崩壊に近い。

6月16日 北九州市での会長講演会

福岡県支部は、当協会の支部の中でも大きな支部で、皮むき間伐などの活動も盛んです。福岡県支部には、事務所もあるし、アルバイトスタッフも1名います。

戸畑駅前の会場には、大勢の方が来てくださいました。半分は、初めて参加された方々でした。福岡県支部はこれまで、何度も会長講演を企画してくださってきましたが、3・11以降は途切れていました。

収束のめどが立たない福島原発、放射線量が高くて入れなくなっている関東以北の山々、自然保護運動に取り組んできた人たちには、これからもうどうしていけばいいのかという閉そく感もあります。

そんな中、元気の出る話をということで、持たれた講演会でした。会長は、何とかみんなを励まそうと、元気の出る話を一生懸命探して話しました。みなさん最後まで一生懸命聞いてくださいました。

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後半は、顧問の平野虎丸さんとの対談です。

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今、日本の山は、戦後、人がスギやヒノキを密に植えたまま放置したことによって、木が多過ぎて大変なことになっています。

なぜ大雨が降ると九州の山が崩れ出すようになったのか、なぜ<植えない森づくり>がいいのか、代々林業家の家に生まれ、ご自身も数十年にわたって山にかかわってこられた平野さんのお話は、最高の説得力を持っています。

人間が手を入れ続けないといい山にならないと思い込んでいた人たちが、目からうろこでしたと驚いておられました。

<大雨でも崩れにくい山=生物の多様性が保たれた山=保水力抜群の豊かな山>を取り戻すためには、国にお願いするだけではなく、市民が声を上げ動き出さねばならないということで、二人の話が一致しました。官のできないことは民の手で、民のできないことは官の手で。

 

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講演会後の懇親会には、予想外に多くの方々がご出席してくださり、座席、飲み物、お菓子などが大幅に足りなくなるという嬉しい悲鳴でした。いろんな方が、お話くださいましたが、どなたのお話も、胸を打つもので、本当に元気をもらえました。ここには一生懸命生きておられる方たちが集まってくださっている。自分さえよければいいのではなく、未来に責任を持って生きたいと思っている人たちが集まってくださっていると感じました。なんと素晴らしい仲間たちなんだろう。良き友を得て、信頼できる仲間たちと共に人生を送れたなら、人生に100%成功したことになるという言葉を思い出しました。

 

確かに、元気が出ない今日の日本ではありますが、心ある人たちが集い、民主主義国家を形成する国民のひとりとして、この国、世界、この地球にどう向き合っていくのか語り、信念に基づいて行動するときなのだと思いました。他生物のために、次世代のために、地球環境保全のために。

準備してくださったみなさん、音楽やゲームで場を盛り上げてくださったみなさん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

この後、会長講演は、6月岡山県、7月東京都、8月熊本県、10月広島県、千葉県、11月栃木県、来年1月愛知県、山梨県と予定されています。みなさんの地域でも、ぜひ、熊森会長講演会をご企画ください。今後は副会長も講演していきます。

 

福岡県支部 皮むき間伐

4月24日、糸島市で福岡県支部の皮むき間伐が行われました。
3反(3,000㎡)のヒノキ山林の約315本位を参加者22名で間伐。

活動様子の動画をくまもり放送局に追加しました。
くまもり放送局・福岡県支部皮むき間伐

皮むき間伐の活動の様子は福岡支部のブログをご参照ください。
福岡支部のブログ

以下は予定通り実施します

以下は予定通り実施します

◆2011年3月20日(日)福岡県久留米市での会長講演

◆2011年3月25(金)本部クマ部会

◆2011年5月1日(日)
第14回日本熊森協会全国総会

◆各支部・地区の企画・イベント情報はこちらからカレンダー

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