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群馬県クマ捕殺数過去最多368頭 上毛新聞に熊森群馬県川嵜支部長のコメントが掲載される

以下、2月23日上毛新聞から抜粋

 

群馬県内のクマ捕殺数過去最多の368頭 目撃数1000件超 

 

群馬県内で昨年4~12月に市街地に迫るなどして捕殺されたツキノワグマは368頭(速報値)で、年度途中でありながら統計が残る2006年度以降で最多となったことが22日までに、県のまとめで分かった。

クマの捕殺が過去最多の368頭 昨年4~12月の群馬県内 目撃数1000件超 伊香保石段街付近でも

群馬県内のクマ捕殺数

 

餌となる木の実類が凶作で、食料を求めて人里に出没しているためとみられる。県などが耕作地に農作物や果実を残さないよう呼び掛ける一方、環境保護団体は「将来的には森林環境の保全が不可欠」と指摘している。

 

(中略)

 

県はクマの被害を減らすため、耕作地に餌となる農作物や果実を残さないよう呼び掛けている。山に入る際は複数人で行動し、鈴やラジオなど音が出るものを携帯するほか、クマに近づかず、刺激しないでほしいとしている。

 

クマの保護や山林保全に取り組む日本熊森協会県支部の川崎実支部長(80)=高崎市片岡町=は「山に食べ物が不足しており、野生動物が飢餓状態になっている」と説明する。状況を打開しようと同団体は10年ほど前から、ドングリを拾い山林にまいている。

 

川崎支部長は「やみくもにクマを駆除するのではなく、広葉樹を増やすなど生息域である山林の環境保全にも努めるべきだ」としている。

 

熊森から

多様な声を拾うことは大切です。川嵜支部長のコメントを掲載してくださった上毛新聞に感謝し、敬意を表します。

近年、これだけ多くのクマが(実は他の動物たちも)山から出て来るようになったのですから、山が動物たちを養えないまでに大劣化してきていることに気付いてほしいです。しかし、日本中どこの行政も、出てきた動物たちを殺すことと、動物たちにえさを与えないようにすることに躍起です。なぜ大元である山の異変に気づかれないのでしょうか。

余りにも人間至上社会に慣れきってしまって、他生物に共感する心を失ってしまっているのでしょうか。

 

 

年賀状2019年から ②日本熊森協会群馬県 川嵜實支部長(抜粋)

野生動物たちの行動変化が教えてくれている自然崩壊

 

自然は崩壊を始めています。
群馬県の自然林の中を歩いてみると倒木だらけ(注:ナラ枯れ)、下草も場所によっては「酸性雨」の影響でほとんど無し。そこに住む野生動物たちは食料が不足し、人間社会に出没するようになってきました。

人間は、環境保護者を自認する人々までもが野生動物が増えた増えたの大合唱で、ジビエ料理で地域起こしを始める始末。

しかし、国のデータは、確実に、「野生鳥獣による農業被害、林業被害は被害額、被害面積共に減少している」ことを示しています。

群馬県でも、鳥は鳴かなくなり、昆虫の姿を見ることも少なくなりました。既に「沈黙の春」の到来です。自然の崩壊と「動物であることを忘れた人間たち」への危機を、野生動物たちが私たちに教えてくれているのです。(補足:感謝すべき野生動物たちを、害獣指定して殺しているのが日本社会の現実です)

 

酸性雨が野菜の栄養価を下げている?

 

私たちは忘れかけていますが、人間の体は食べ物から出来ています。食べ物から栄養を摂取し体を維持しています。その食料に含まれる栄養素が激減しています。形はあっても中身はスカスカの状態です。土壌に含まれているミネラル分が「酸性雨」を中和するために使われているからと私は考えています。
食物は土壌が作ります。土壌が「酸性雨」で貧栄養状態になっています。野菜・果物の栄養素は50年前の20%までに激減しているそうです。

 

そして今や食物は出来る過程で大量の農薬(殺虫・殺菌・除草剤)の散布を受け、化学肥料で育てられています。さらに、私たちの口に入る過程で大量の多種食品添加物が使われています。

 

土が貧栄養、食物は農薬・食品添加物まみれ、現在に生きる人間が罹患する病気の多くの原因(生殖・免疫・精神の破壊)の基とシーア・コルボーン女史は「奪われた未来」で訴えています。

 

土壌中の微生物が「酸性雨」で死滅・減少していると考えると、人間の多くが栄養補助食品に依存していかざるをえないのが理解できます。

 

しかし、野生動物はその栄養補助食品を摂食することができませんので、中身のスカスカのどんぐり類等の食料を食べるしかありません。

 

子や孫が平和で病気に罹患しないで健康で安心して生きられる社会をめざして、今年も残された命を使っていきたいと考えています。

 

(熊森から)川嵜支部長は、体調の思わしくない中、自然保護、高齢化した町内の人たちのお世話に奔走されています。

前橋市が設置している子グマ捕獲罠について  その後

くまもり本部がグーグルマップで場所特定

前橋市農政部農林課 東部農林事務所に電話して、今回の事故があった場所などをグーグルマップ上で教えていただきました。本部としては今たてこんでおり、現地に駆けつけられていませんが、これで場所や周りの環境をだいたい把握することができました。赤城山のすそ野という感じの場所です。これからは、グーグルマップを用いて、場所や環境を特定してから意見を言うようにすれば、話がもっと通じやすくなると思いました。便利なものができたものです。もちろん、現地に駆けつけることにまさるものはありません。

 

群馬県環境森林部自然環境課野生動物係に本部から電話

<群馬県のクマ放獣体制の現状について確認>

担当者:

以前、群馬県には、クマ放獣体制がありました。2~3年前までは市町村の要望に応じて、年間30~50頭のクマを放獣していました。しかし、人員配置が変わり、今、自然環境課に、クマの放獣ができる人も体制もありません。鳥獣被害対策支援センターというところには、麻酔銃を使える獣医が一人おられ、サルなどの放獣を手掛けておられます。しかし、その方にはクマの放獣経験はなく、クマはできません。イノシシ罠に錯誤捕獲されたクマに関しては、小さな子グマはその場で放獣できますが、それ以外は、殺処分するしかない現状です。

 

群馬県では、人畜の被害は市町村に捕獲権限を委譲しており、農作物被害などについては県庁の出先である県森林事務所が担当しています。今回の場合だと、前橋市長名で、このクマの捕獲申請を前橋市に出し、同じく前橋市長名で、このクマの捕獲許可を出したことになっています。クマが罠にかかったら、前橋市長名でどうするか決めることになっています。

 

熊森からの提案2<行政に、声を届ける>

①前橋市長あてに依頼の電話、メール、FAXなどを送る

(依頼内容)クマが罠にかかったら、すばやく赤城山の奥の水とえさがあるところにドラム缶檻ごと車で運ぶ。檻の扉が水平に引けるように檻を90度倒し、車の中からこの扉にかけたロープを横に引いて放してやってください。この方法だと、獣医さんをはじめ、麻酔銃や吹き矢など、一切不要です。

 

②群馬県知事・農政部長・環境森林部自然環境課あてに依頼の電話、メール、FAXなどを送る

(依頼内容)クマの放獣体制を至急再構築し、誤捕獲グマの放獣が群馬県でもできるようにしてください。

知事 大澤正明 様

総務部秘書課

〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2043
FAX 027-243-3575
E-mail hisyoka@pref.gunma.lg.jp

 

多くの声が届くと、行政も動いてくれると思います。みなさんの声を届けてください。

群馬県支部長も声を届けてくださっています。

群馬県前橋市でクマによる人身事故が発生 本部が電話で聞き取りするも、うまく話し合えず 追加 再追加

2017年7月24日、前橋市で70歳の女性がクマと遭遇し、頭や腹を引っかかれ軽傷を負う事故がありました。会員からの情報を受け、熊森本部担当者は早速、地元行政の担当者に電話を入れ、状況を聞き取りました。以下、概要。

 

●行政担当者

事故が起きた場所は、赤城山中腹の標高500m。クリやクワの巨木(胸高直径20センチ)が多く繁る、まさにクマの夏の食料庫ともいえる山中に、1軒家を建てた人がいます。そこに住む女性(70)が7月24日の早朝4時50分ごろ、一人で山中の林道を散歩していたところ、林道沿いの高さ1.5m程ある篠藪から、突然クマが出て来て引っ掻かれたということです。女性は、幸いにも少し引っ掻かれた程度の軽傷で、体長1m程度の小さなクマだったということです。この方は、ふだんは犬と一緒に散歩されていたようですが、この日は犬の調子が悪くて、お一人で散歩されていたということです。

 

熊森本部

今後どのような対応をされますか。

 

行政担当者

麓集落の方々へは、チラシを配ったり、防災メールを送って、ごみの管理の徹底や早朝・夕方のクマの活動が活発になる時間帯に外出される際は音の出るものを持ち歩くように呼びかけています。人身事故が起きたので、クマの有害捕獲用の檻を設置しました。捕獲したクマは、2次被害を起こさないようにするためにも殺処分します。

 

熊森本部

麓集落にお住いの方々への注意喚起は非常に重要ですので、今後も続けてください。しかし、クマの捕獲罠を設置するのはおかしくありませんか。そこは、クマの生息地です。しかも、捕獲罠を設置しても、事故を起こしたクマが捕獲されるとは限りません。事故を起こしたクマだとどうやって特定するんですか。関係のないクマを捕獲して殺処分してしまう可能性があります。新たな人身事故を防ぐためには、住民がクマにばったり遭遇しないように注意喚起するしかないと思います。

 

行政担当者

無関係のクマを捕獲してしまうかもしれませんが、行政としては2次的被害を防ぐためにも、何か対策をとらないといけないんです。

 

熊森本部

無関係のクマを捕殺して殺処分することが、今後の人身事故を防ぐことに、どのように関係してくるんですか?

 

行政担当者

普通の方はここまで言ってこないです。熊森さんは勉強されているからわかっているでしょ。人身事故が起きたら捕獲罠を設置して、かかったクマを殺処分しなくてはならないんです。他の行政どこもそうでしょ?それを、事故を起こしたクマを特定できないとわかっていながら、人身事故を起こしたクマを特定して捕まえることができるんですか?と聞く熊森さんはずるいです。

 

熊森本部

???・・みなさんは今回の事件を受けて、

①クマを殺して個体数を減らす

②クマによる被害を減らす

どちらが必要だと考えられているんですか?

 

行政担当者

どうして理解してくれないんですか?

 

熊森本部

まず、この質問に答えてくださいよ。そうでないと理解できないです。

 

行政担当者

そんなにわたしたちのクマ対策が不満なのであれば、もっと上の人たちに熊森さんが働きかけて、マニュアルを変えてみてはいかがですか。私たちはマニュアルに沿って実行しているので。パブリックコメントは重要ですよ~。書かれた方がいいですよ。

 

熊森本部

今年1月に群馬県が募集されていた、クマ管理計画改訂のパブリックコメントですか。群馬県のクマ管理計画へ意見提出しましたよ。私は、ちゃんと書きましたよ。クマによる被害を減らすために、被害防止対策を徹底するよう管理計画に書いてくださいって。単に何頭クマを殺すかだけ書くような計画にしないでくださいって。何回も文章練り直して群馬県に送りました。このような意見があったことを全然行政間で情報共有できてないんですか!私の書いた意見を読んでみてくださいよ!

熊森協会はこれまでに国や都道府県に、クマなどの野生動物と人々が共存していくためには何が必要か、各地のクマ生息地を訪れて調査してきましたし、本部のある兵庫県では、クマと人の事故が起こらないように、集落周辺の不要果実をもいだり、クマの潜み場の草を刈りはらったり、クマが集落へ近寄らないよう、クマの目撃が相次いだ山間地域で毎日大きな声を出して追い払いをしたり一生懸命活動してきました。その中でわかってきたことを、提言させてもらっているんです。人命を守るには、クマを殺すのではなく、被害防止対策を徹底して、人がクマにばったり出会わないように注意することが最重要なんです。熊森協会のブログにこれまでの活動を載せていますので、ぜひ読んで、勉強してください。

 

(熊森から)

この度のクマによる人身事故でけがをされた方には、お見舞い申し上げます。

今回の件で行政担当者は熊森の質問にほとんど何も答えてくれませんでした。

私は、全国の野生鳥獣担当者と絶えず電話で話し合ったり時には会いに行ったりしていますが、今回のような対応を受けることは珍しく、1時間も電話したのに話し合いになりませんでした。どこに問題があったのでしょうか。

 

集落から離れた赤木の山中のクマの餌がたくさんある場所、すなわちそこはクマの国です。そこに、クマ捕獲罠をかけてかかったクマがどのクマでもいいので殺処分して一件落着とするというのは、生態系保全上も倫理上も間違っていると思います。

現地は人間の背丈ほどのササに覆われたところだそうです。被害女性は、子グマだと思ったということですから、まだ母熊から離れたばかりのクマなのかもしれません。

このクマが何をしていたのかわかりませんが、午前4時50分という予期せぬ時間に突然人間が現れて、クマもびっくりし、恐怖の余り逃げようとして引っ掻いたのだと思います。この女性は元都市市民ということです。いつからここに住まれているのかわかりませんが、会いに行ってクマ対応を教えてあげたい思いです。

 

どちらにしても、今回のような事件の場合、普通、罠かけはしません。

現在設置中の罠にクマがかかってしまう前に、どなたか納得していただけるように担当部署に声を届けていただけないでしょうか。それとも担当者が言うように、もっと上の人に言うべきでしょうか。

前橋市農政部農林課 東部農林事務所

〒371-0217 群馬県前橋市粕川町西田面216-1
電話番号 027-285-4116
FAX番号 027-285-5227

 

追加

7月26日、くまもり森山会長が、東部農林事務所の責任者と電話で約1時間話し合いました。

前日担当者がマニュアルに沿って対応していると言われたようなので、群馬県ではどのようなマニュアルになっているのかたずねると、個々の状況に応じたものはなく、群馬県クマ管理計画に書かれているものを現地市町村で判断して対応しているということでした。(群馬県の熊捕殺権限は市町村に移譲されている)

前橋市では、クマは保護しなければならない動物だと考えているので、イノシシ捕獲罠の上部に穴をあけて、クマがかかったら脱出できるように全部改造したと言われていました。

今回の事故が、山に入ったハイカーの場合だったら、クマの捕獲罠はかけないが、1軒屋とはいえ、住民の生活道路上で起きた事故なので、行政としては捕獲せざるを得ないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、今回の場所なら、ハイカーであっても捕獲罠を掛ける。奥山でハイカーが引っ掻かれた場合は掛けないという意味だったと訂正が入ったので、そのように訂正させていただきます)

 

捕獲罠に入れられた誘引物に引き寄せられて、関係のないクマがやってきて罠にかかる可能性があり、そのクマを殺処分しても人身事故は減らないなど、熊森の言うことはよくわかるが、行政としては住民感情を考えると、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないとは言っていないと訂正が入りました。どこが違うのか尋ねると、捕獲されたら、まず県庁に電話して相談してみるのだそうです。しかし、群馬県庁は今クマの放獣体制がない上、前橋市が決めることと言われています。前橋市の担当者の方は、罠にかかったら殺処分しますと言われていたので、まとめるとこの記述でいいと思うのですが・・・訂正してほしいと言われた事実はお伝えします。)

熊森から:もし罠にかかったクマを放獣してやる気があるのなら、かかってから相談では遅くて、一刻も早く対処してやらないと、この暑い中ドラム缶檻の中でクマは死んでしまいます。かかる前から放獣場所、放獣人員、放獣法の確認など、いろいろと準備しておかなければなりません。そういうことを一切していないということは、選択肢に放獣はないというのと同じであり、かかったら殺処分しますの担当者の言葉からはこれでいいのではないかとおもいます)

 

何人かの方が、今回のような場合、罠をかけてクマを捕殺することは無用の殺生になるだけで、新たな人身事故の防止にならないと電話をしてくださったようで、ありがとうございました。熊森としては、言うべきことはもう十分お伝えしたと思います。後は、前橋市の担当事務所が私たちの声を聴いてどう判断するのか見るしかありません。

 

再度追加

本部に入った情報では、赤城山でクマが捕獲された場合、殺処分するとも別の場所に放つとも、前橋市農政部農林課東部農林事務所ではまだ結論を出しておらず、事務所責任者は、麻酔銃がないので、捕獲後に群馬県と協議して結論を出すと言っておられるそうです。

新聞報道の写真を見ると、ドラム缶型檻ですから、この暑い時期、かかったらすぐに対応しないとクマが弱って死んでしまいます。かかったらどうするかその時になって県と相談するというのはどう考えても、間に合いません。

麻酔銃がなくてもその場でふたを開けて放してやればいいことですし、何よりも捕獲すること自体が間違っています。

群馬県庁にも声を届けた方がいいかもしれませんね。人間側の道徳観の喪失、生命軽視にははなはだしいものがあります。人間たち同士で正していかねばなりません。

 

 

樹皮はぎを問題にしてクマを殺さないで。放置スギ人工林におけるクマの樹皮はぎは、森づくりの名人クマによる森再生のための間伐と考えられませんか


物事はいろんな角度から見る必要があります。

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(静岡県の放置人工林におけるクマの皮はぎ)

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(三重県の放置人工林におけるクマの皮はぎ)

 


当協会は、林内が砂漠化して生き物たちが棲めなくなっている奥地の針葉樹の放置人工林を、もう一度生き物たちが棲める広葉樹の自然の森に戻すため、のこぎり、チェンソー、皮むきなどあらゆる手段を用いて、ボランティアで間伐し続けています。とてもしんどくて大変な作業です。

 

クマたちが樹皮はぎした山を遠くから見ると、人間が壊した森を、クマたちが必死で無料間伐して、元に戻そうとしていると感じます。

 


クマによる林業被害だ、クマたちを殺せと怒っておられる林業家のみなさんに

クマが樹皮はぎをしなかったら、林業収入は望めたのでしょうか。こんな奥地の人工林のスギを伐りだすことは、不可能ですし、架線を張るにしても道を通すにしても、莫大なお金がかかります。そうやって、市場に出したところで、スギは現在1本600円。切り出しにかかる人件費を考えると完全に赤字です。

そのうち、放置人工林は大雨で崩れて災害を起こす恐れがあります。山主として、山を放置した災害責任はとれますか。林業不向きの奥地に植えた人工林は、一刻も早く、大雨や台風に強い種々雑多な広葉樹の森に戻すべきだと思います。大変な作業です。クマたちがやってくれています。良好な生育が望めない標高にまで植えてしまったスギの人工林を、今後も保全する意味はあるのでしょうか。

 

林業家のみなさんがスギを植える前は、ここはクマたちの良好な広葉樹の餌場でした。針葉樹のスギにしたことで、クマたちは餌場を失い、山から人里に出て行かざるを得なくなり、出て行っては現在、有害獣として撃ち殺されています。クマたちから見たら、人間は悪魔でしょう。人間は、悪魔であってはならないと思うのです。

 

クマたちの棲める森をもう一度奥山に再生してやりましょう。それでもクマたちが今のように樹皮はぎをするなら、その時は、防除方法を考えましょう。

 

 

2013年06月04日 毎日新聞 群馬の樹皮はぎ被害、10年間で30倍 捕獲檻設置

 野生のツキノワグマによる樹木の皮はぎ被害の面積が、統計を取り始めた2002年度から11年度の約10年間で約30倍になったことが3日、分かった。同日の群馬県議会で、自民党の星野寛県議の質問に石井久雄・県環境森林部長が答えた。

群馬県林政課によると、被害は、02年度に約2.8ヘクタールだったが、年々急増し、ピークの07年度 には約102ヘクタール。11年度は約83ヘクタール、被害総額は約2億9000万円にのぼった。同課によると、被害は桐生・みどり地域を中心に、沼田・ 片品地域や吾妻地域などへ広がっているという。

県自然環境課によると、県内のツキノワグマの生息数は、96〜98年度には約600頭だったが、11年度は約1100頭に増加。同課は「個体数増加が被害面積急増の要因の一つでは」と話す。

皮をはぐ行為について、同課などは「皮をはいで、養分を含んだ樹液をなめているのでは」と推測。被害を 受けるのは主にスギやヒノキなどの針葉樹という。皮をはがれた木は、はがれた部分から腐り最終的に枯れてしまうこともあるため、林業関係者からは、早急な 対策を求める声があがっている。

県は以前から防止策として、木の幹に巻き付ける金網などへの費用助成を行っているが、今年度からクマの 捕獲も実施、桐生・みどり地域で12頭程度を捕獲する予定。しかし、元々の個体数が少なく、激減すると生態系へ影響を与える可能性もあり、同課は「むやみ に捕獲はできない。現在の1000頭前後を維持していく」。林業を守りながらクマと共生する方法を探っている。【塩田彩】

群馬県支部がクマの保護を求めて大澤正明知事に申し入れ

森林環境部長と自然環境課に申し入れ (左側熊森群馬 ・ 右側 県庁担当者)

 

群馬県では、9月末現在、245頭ものクマが捕殺されており、放獣はわずかしか行われていません。危機感でいっぱいになった熊森群馬県支部は、県会議員らとともに、10月2日、群馬県庁森林環境部長らを訪れ、以下の申し入れを行いました。県知事からの返答を、今月までにいただくことになっています。

 

知事への申し入れの内容

                                                                        (財)日本熊森協会群馬県支部

1.「ツキノワグマ」を無暗に殺害することを止め、直ちに絶滅危惧種に指定し、保護体制を確立して下さい。

知事は知事選挙の時に、生物多様性維持の重要性を述べておられました。この考えを実現すべく、森林のアンブレラ種である「ツキノワグマ」を有害獣としての殺害は直ちに停止し、必ず放獣、保護を図ると共に、絶滅危惧種指定を行って下さい。

 

2.生物多様性の大切さを県民に周知する広報を行って下さい。

「ツキノワグマ」をはじめとする動物達が出没する地域を始め県民に、生物多様性維持の大切さ、動物達、特に「ツキノワグマ」の習性や共存の重要性を広報して下さい。クマは子供たちのアイドルです。恐怖心のみを与える各種報道は行わないようにして下さい。

 

3.人里離れた奥山に、動物達の餌を届けて下さい。

今年のブナは大凶作です。動物達の餌となる「どんぐり」は長年の降り続く酸性の雨による土壌の酸性化で実のなる樹木は衰退を続け、また今年の少雨と酷暑により完熟する前に実が落下し、「ツキノワグマ」等は餌を求め里に出没しています。人里離れた奥山に動物達が帰れるように、奥山に餌を届けるよう地域を指導して下さい。餌のなる木を伐採する指導は即時止めて下さい。

 

4.動物達が安心して生存できる場所・領域確保のため、実のなる木々の植林を進めて下さい。

奥山は本来動物達の棲家です。奥山に各種道路や、ゴルフ場をはじめとする観光遊戯施設を建設し、動物達の棲家、生存領域を分断・破壊してきました。動物達が安心して生存する場所を確保することは真に人間側の責任です。夏、秋の里への出没増加は奥山の食物資源量の不足によるものであり、その解決のために、動物達の餌となる実を結実する多様な木々を奥山に植樹する体制を県民と共に図って下さい。

 

5.広葉樹林の保全再生と人工林・竹林の適切な間伐を行う政策を強力に実施して下さい。

県内の森林では松に限らずあらゆる樹木が衰退し倒木も目立ち始め、又人工林の多くは放置され、昼なお暗い状況にあります。間伐を適切に行えば、下草が生茂り昆虫の棲家になります。森林の保全再生を図れば、動物達の生存場所が確保され農林業被害が軽減されるばかりか、あらゆる生物の命の水源の確保に貢献し、山崩れ等の災害防止に効果があります。放置された竹林を間伐したり、人工林の間伐材等を「炭化」し、森の再生に利用して下さい。

 

6.登山者、観光客には動物達による人身被害を防止するため、適切な指導を行って下さい。

以上申し入れを行います。是非善処方をお願い申し上げます。

 

くまもりは何を訴えているのか ー 群馬県支部が、群馬県庁に出した意見書

群馬県 「学術捕獲名でツキノワグマを有害駆除許可」 に対する群馬県支部の取り組み

数年前から、わたらせ森林組合及び桐生広域森林組合等から、「熊剥ぎ」による林業被害対策として、熊を有害駆除できるようにしてほしいという請願が、県に毎年出ていました。

今年の6月29日、群馬県がこの件に対して回答しようとしているという情報を得、群馬県支部は、6月27日には電話で、翌日の28日には県庁に赴き、担当部長さんと面会して、今回の有害駆除は前例が無く違法であると訴えました。

しかし、県は7月中旬~8月中旬の期間限定で、桐生市とみどり市において、クマを学術捕獲名で有害駆除する許可をおろしました。

群馬県支部は、すぐにわたらせ森林組合に電話し、熊森の考えを伝えました。そして、7月11日会員6名で現地調査に赴きました。

現地被害箇所2ケ所を確認し、数人の林業家に状況を聞き、わたらせ森林組合の事業課長さんと話し合い、参事さんが用意して下さった被害写真も見せて頂きました。奥山の森林の衰退では意見が一致致しました。特に林業家や課長さんが強調されたのは、多くの林業家が経営が厳しく山を離れ廃業してゆく現在、数少なく残っている林業家も事業としてやっていけない。これ以上クマの被害が続くと森林の手入れを行う人が全くいなくなる、ということでした。熊森としては、「テープ巻等の被害対策には協力する。」「林業家の御苦労は理解するが、クマ捕獲等の対症療法ではこの問題は解決しない」など、話しました。

7月15日、県議会議員から9月の定例県議会に請願すべきではないかとの御案内を頂きました。

7月28日、県自然環境課長さん、担当係長さんに根治療法としての奥山の荒廃の現状とその保全再生活動の必要性を持参資料で説明し、「熊剥ぎ」は熊が栄養採取「ミネラル補給」で行っていると考えられるので、奥山の森林を衰退・枯損から守るために、薬剤散布・樹幹注入でなく炭撒きで酸性化した土壌中和を行い、樹木を再生する必要があることを話しました。学術捕獲は取りやめるべきと要請しましたが、昨年まで毎年県議会に森林組合等から請願が出されていたが却下をしてきた。しかし被害の実態と残された林業家の立場を考えるとやむなく許可することになった、期間は8月末までとするとのことでした。

9月06日、県環境森林部長さん、自然環境課長さん、担当係長さんと話し合う時間を設定して頂きました。

森林衰退・枯損対策等での根本対策としては、現状の「樹幹注入等」対策では結果が出ていないので、熊森群馬が実践してきた「炭撒き」による樹木再生では結果が出ているので、早急に県でも検討し協力して行う事を要請しました。会議途中に林政課の担当室長さんを呼んで頂き「ナラ枯れ・松枯れ」対策を協力し検討することになりました。また、根本対策としての奥山保全再生や「熊剥ぎ」対策を行政・森林組合・熊森群馬等で協議会を持ち、協力して対策の検討を行うことで合意を得ました。

●群馬県庁発表によると、期間中3頭の熊が罠にかかって捕殺されました。

9月07日、県議会議長あてに県議会議員2名の紹介を得て、松枯れ・ナラ枯れ対策や、野生動物達との食い分け・棲み分けができる「将来の群馬県民が安心して生きられる県土づくり」を求める請願を請願書として締切日直前でしたが提出を致しました。

以上がこの問題に対する群馬県支部の対応の経緯です。

●熊森の各支部は、地元や行政に足しげく通って、熊森活動を推進しています。会員のみなさん、応援してあげて下さい。

9月25日(日) 石弘之先生講演会 群馬県高崎市 開催迫る! 

世界的な環境ジャーナリストで熊森顧問の石弘之先生による講演会「人類を取巻く地球環境の危機と自然再生」の開催が迫ってまいりました!

日本の自然保護の先駆者として活躍されてきた石先生の講演を、一人でも多くの方に聴いていただきたいです。

皆様のお誘い合わせてのご参加を心よりお待ちしております。

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石弘之先生講演会「人類を取巻く地球環境の危機と自然再生」

講師 : 石 弘之 先生(東京農業大学教授/国士舘大学客員教授)

日時 : 2011年 9月25日(日)13時30分~16時30分

場所 : 高崎市総合福祉センター「たまごホール」

主催 : 日本熊森協会 群馬県支部

後援 : 高崎市、群馬県保険

お申し込み先 : TEL 080-5490-0594  FAX 027-321-2503

受講料:一般500円、熊森会員 無料(当日ご入会いただいた方も無料となります)

お申込み方法:電話かFAXでお申込み下さい。定員270名になり次第締め切りにさせて頂きます。

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3月11日から5ケ月、東日本大震災で2万人を超える人々が死亡や行方不明者となり、既に4万人を超える人々が福島の地を、故郷を後に県外に居を移しています。福島第一原発事故では人間、野生動物、家畜、愛玩動物やあらゆる生物が被災し、住む場所や働く場所、田畑を失い多くの人々が不安な生活を強いられ、未来に生きる子供達は放射能で内部被ばくを受け、セシウムが体内より発見されております。放射能を含む大気は既に地球を巡り、世界中の人々を不安に陥れております。

一方、1960年代から始まった国内のマツの枯損は全国的に広がり、更に、日本海沿岸各県で猛威を奮うナラ枯れが遂に群馬県内でも発生、里に出没するようになった動物達による農林業被害は次第に増加しつつあります。何か自然に重大な異変が起きているのではないかと考えざるを得ません。

日本民族は祖先が営々と築き上げてきたこの国土でこれからも安心して長く生き続けることができるのでしょうか。
石先生は世界的環境ジャーナリストとして世界130カ国を視察・調査活動を行ってこられた著名な学者であります。是非、先生の話をお聞きし、私達を取巻く地球環境の変化の実態と身近な環境変化が連関しているのかどうか、これから先の人類の進む道について勉強したいと思います。

講師 石 弘之(いし ひろゆき)先生のご紹介
1940年、東京に生まれる。東京大学卒業後、朝日新聞社入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て94年退社。94~95年ブリティシュ・コロンビア大学客員教授、96~02年東京大学大学院教授(国際環境開発講座)、国際協力機構(JICA)参与。02~04年駐ザンビア特命全権大使。04~08年北海道大学大学院教授。08年から東京農業大学教授、北京大学(現職)。この間、世界約130カ国で取材・調査活動。 〔著書〕 『酸性雨』『地球環境報告Ⅰ、Ⅱ』『子どもたちのアフリカ』『キリマンジャロの雪が消えていく』『地球・環境・人間ⅠⅡ』『名作の中の地球環境史』(岩波書店)、『地球クライシス』『私の地球遍歴』(洋泉社)『地球環境“危機”報告』(有斐閣)、等多数。

群馬県支部の活動が毎日新聞に(1月8日)

ここで、「どんぐりをまく」という表現がされていますが、実際には、一か所にまとめて置きます。ニュースや新聞で書かれているような、「まく」と いう行為ではないことをあらかじめご了承ください。また、運んでいるドングリは街中のドングリに限定して集めてもらったものです。
当協会のドングリ運びに関しての見解:http://kumamori.org/infomations/carry_donguri/

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毎日新聞より抜粋

ドングリ:餌不足のクマのため山にまこう 群馬・高崎

全国から集まったドングリを山林にまく日本熊森協会群馬県支部のメンバー=群馬県沼田市内で(同支部提供) 全国から集まったドングリを山林にまく日本熊森協会群馬県支部のメンバー=群馬県沼田市内で(同支部提供)
餌不足のクマのため山にドングリをまこうと、群馬県高崎市の自然保護団体が昨秋、全国に協力を呼び掛けたところ、まききれないほどのドングリが集 まった。クマが冬眠に入った今も寄せられており、大型の段ボール箱で計約300箱分、約3.5トンに達している。目覚めた時に少しでも餌の足しになるよう にと、団体は春の訪れを待って再び山にドングリをまく。

呼びかけたのは「日本熊森協会群馬県支部」。川嵜實支部長によると、昨秋は夏の猛暑の影響でブナやミズナラになるドングリが不作となり、各地で人里に出没するクマが相次いだ。中には駆除されたクマもいた。

こうした悲劇を少しでも減らそうと、支部は昨年10月からドングリを募集。ミズナラなどの林は市街地周辺にも多くあり、北海道から九州まで全国各 地の3000人以上からドングリが寄せられた。その多くに「クマさんに届けて」「子どもと一緒に拾いました」などのメッセージが添えられていた。

支部は寄せられたドングリを昨年10~11月、12回にわけて群馬県内の42カ所にまいたがすべてをまききれなかった。当初の募集期限の昨年11 月末を過ぎても送られ続けており、春にも再び県内の山にまくことを決めた。川嵜支部長は「善意のドングリがこんなに集まり感激した。クマに贈り主の皆さん の気持ちを届けたい」と話している。

ドングリは同支部(〒370-0862 群馬県高崎市片岡町2の9の7 電話080・5490・0594)へ。【鳥井真平】

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