ホーム > _奥山保全再生
カテゴリー「_奥山保全再生」の記事一覧
祝 準備書段階まで行っていた山形県米沢市栗子山風発計画が白紙撤回に!
今回の本部東北遠征時、米沢市の会場に「米沢の子供の未来と豊かな自然を考える会(以下、考える会)の方たち5人が参加してくださり、栗子山風力発電計画をどのようにして白紙撤回に持ち込んだのか発表してくださいました。
山形、福島両県にまたがる奥羽山脈の栗子山(標高1217m)で、JR東日本エネルギー開発が高さ168mの風車10基、発電最大出力3万4000キロワットの風力発電事業を計画して、環境影響評価配慮書を提出したのは2019年です。
しかし、多くの市民はこの計画を知らず、知ったのは2023年9月の環境影響評価準備書段階での住民説明会の時でした。
環境アセスメント段階:①配慮書→②方法書→③準備書→④評価書
説明会で事業者が提出した内容は、実際には予定地から3キロのところにイヌワシの巣が見つかっていたのに、「国の天然記念物イヌワシの巣は、風車建設予定地から10キロ以上離れており、風車に衝突する可能性は20年に1羽未満」と書くなど、データを改ざんしたものでした。(10月にデータ改ざんが発覚)
署名など集めたこともなかった素人ばかりの米沢市の女性5人は、大きな自然破壊を伴うこの計画に危機感をいだき、11月に考える会を結成。今年1月から本格的に活動を開始しました。
チラシを作って配布しながら計画の白紙撤回を求める署名を集め始めました。
下は、そのチラシの裏面です。クリックで大きくなります。
チラシの内容は以下です。
1、イヌワシやクマタカがバードストライクにあう。
2、低周波音によって、頭痛、めまい、睡眠障害が引き起こされる。
3、尾根を削るので、山の保水力が失われ、土砂崩れや水質汚濁の危険性がある。
今年3月には、考える会と市議会議員20名が意見交換会。
風車10基のフォトモンタージュを示すと、驚きの声があがりました。
福島県側から見た栗小山風力発電計画
近藤洋平米沢市長は、市民全体を対象にした説明会を早急に実施するよう業者に求めます。
8月に開かれた住民説明会には2日間で300人~400人の住民が詰めかけました。
この説明会は、まさに、業者の不誠実さを市民の目に焼き付けるものとなりました。
9月には考える会が市議会に提出した「栗子山風力発電事業の白紙撤回を求める請願」が、賛成多数でで採択されました。
市長は事業者の本社を訪れ、「全面白紙撤回」を求めました。
しかし、事業者があきらめなかったため、考える会は9月末、「事業の白紙撤回を求める署名」約7000筆を経産省と環境省に提出。
経産省が厳しい意見を出したため、業者は(勧告により)スケジュールの大幅な遅延とコストの増大が見込まれ、事業が成り立たないことが明らかになったとして、ついに、風力発電計画の断念を発表。今年9月27日。
短期間の活動で、風力発電を白紙撤回に追い込んだ考える会の共同代表のひとりは、「まるで山の神様が守ってくれたのではないかと思うぐらい、ラッキ―なことが続いた」と言われていました。
熊森も会報発送の際、会員に署名用紙を同封するなど協力しました。熊森会員から送られてきた署名には、寄附金同封や激励の言葉などもあり、皆で感激しましたとのことでした。
10月末、考える会から、熊森にもお礼状ハガキが来ました。
熊森から
5人の女性の中の一人は、学校では今、子供たちに再エネ推進を無条件でいいこと大切なことと教えているので、子供たちの中には私たちは再エネを止めた良くない人たちという見方もあることを知って、ショックを受けたと言われていました。
今は事の重要性がわかっておられない人もいるでしょうが、米沢市の森を守った皆さんは、後の世で米沢市の偉人としてきっと讃えられると熊森は思います。
「野生動物を環境破壊から守ろうの会 風力発電の嘘 クリーンエネルギー風力発電の闇」と名乗る人が、栗子山風力発電白紙撤回を祝って、考える会に、おめでとうの歌をプレゼントしたそうです。私たちもいっしょにおめでとうと歌ってあげたいです。
5人の女性の皆さん、本当によくがんばられました。(完)
9月24日奥山保全トラストと熊森が三重県大台町大森正信町長らを訪問
三重県の人工林率は64%と高率です。
そんな中、大台町の広大な山林676ヘクタール(池ノ谷:一部人工林を含む、父ケ谷:全山自然林)が売りに出され、当時のNPO法人奥山保全トラスト(現在:公益財団法人 奥山保全トラスト)は、何とか三重県に残された自然の森を守りたいと、全国民に寄付を訴え、2010年に見事、トラスト地としての購入に成功しました。
当時、ご寄付くださった方の多くは、地元を初め東京や名古屋など都市市民の皆さんで、都市の力が中心となって守った森と言ってもいいかと思います。
三重県大台町池ノ谷トラスト地
今回、本部は公益財団法人 奥山保全トラストの職員や、トラスト地の整備を毎年続けている熊森三重県支部の方たちと、久しぶりに大台町役場を訪問しました。
町長は大森正信さんという方になっていました。
大森町長は、「みなさんに大台町の水源の森をトラストしてもらって、本当にありがたかったです。中国が買いに来てたんです。」と、大喜びで私たちを迎えてくださいました。
あれから14年たっていますが、地元の皆さんに今もこんなに感謝されているのだとわかり、うれしかったです。
大森町長が私たちの訪問を喜ばれて、くまもりの森山名誉会長と固く握手(中央)
この日、大森町長、西尾副町長と共に、林野庁近畿中国森林管理局三重森林管理署の皆さんにも入っていただき、大台町の奥に広がる広大な久豆(くず)国有林と大杉谷国有林(どちらもスギやヒノキの人工林になっている)の今後について話し合いました。
大台町、奥山保全トラスト、三重森林管理署、熊森協会のみなさん
大森町長さんは、大台町としては全部元の天然林に戻してほしいと思っていると、森林管理署に強く申し入れられました。
昔の山や川をよくご存じの町長さんは、「昔は山から大量の清らかな湧水が湧き出し、宮川はすばらしく豊かな川だった。魚をはじめ生き物がいっぱい溢れていた。今は水量も激減。もっと水を流してくれと下流から言われるが、うちも水が必要だから、全てに応じられない。
宮川にダムを造ったことも失敗だった。ダムを造ってから、川の豊かさがすっかり失われてしまった。
宮川ダムを撤去したいと思って調べたら、ダムの部分の土地は今や大台町のものではなく中部電力のものになっており、できないことが分かった」と残念そうに言われていました。
広大な国有林に造ってしまった奥山人工林を今後どうするかは、林野庁の本庁が判断されるそうですが、林野庁としても地元の意向は無視できないとのことです。当面、林野庁としては国有林に至るまでの奥山道路の補修をしたいそうで、この予算が下りるのに5年ぐらいかかると言われていました。
大森町長さんに、「捕殺に頼らないクマ対策の提案書」を手渡して別れました。後から思うと、大森町長さんは私たちが提案書に書いたことを全部わかっておられたので、手渡す必要はなかったです。昔の大台町の山や川をを知っておられる町長さんの存在は大きいと思いました。
熊森から
「捕殺に頼らないクマ対策の提案書」について
<三重県のクマは保護対象>
広大で最高に豊かな森があって初めてのクマの生存が可能となります。戦後の林野庁の拡大造林政策によって、大半の山を人工林にしてしまった紀伊半島では、クマの生息は難しく、環境省は残り少ない紀伊半島のツキノワグマを絶滅の恐れのある地域個体群に指定しています。これを受けて三重県ではクマは保護対象であり、ずっと捕獲が禁止されてきました。
<今年、人身事故発生>
今年の8月14日夕方、音のする物を持たずに三重県の熊野古道をひとりで下山中の大阪の70代の女性がクマとばったり出会い、人身事故が発生しました。(クマに襲われたのではなく、事故です)
<三重県知事がクマを駆除対象にすると言い出す>
これを受けて、三重県の一見勝之知事は8月22日の記者会見で、県内のツキノワグマを「駆除の対象」に改めるよう、環境省に申し入れることを明らかにしました。知事に当選されるほどの方ですから、立派な方なんだろうとは思いますが、自然生態系の方の知識は不足のようです。
<知事や三重県議会議員の皆様に、三重県のためにもクマやクマの棲む森の保全・再生の必要性を伝えたい>
この日の午前中、私たちは三重県議会の大物議員を訪れ、クマのためにも人のためにも、クマを駆除するのではなく、奥山の自然再生が急務であると申し入れ、「捕殺に頼らないクマ対策の提案書」手渡しました。知事や議員の皆さんに自然界の仕組みについて伝える機会を作っていただきたいです。(完)
再エネで、本当に二酸化炭素の排出量は減るのか
自然エネルギー(再エネ)が排出する二酸化炭素の量は、本当に火力発電よりも少ないのでしょうか。
科学的根拠に基づいて計算し、検証した本に、出会いました。
衝撃でした。
以下に、この本を簡単に紹介します。
近藤邦明著「電力化亡国論」2012年発行
全工程に於ける二酸化炭素の発生量を合計すると
太陽光・風力発電 > 火力発電!
計算式が多くて、読むのに一苦労しましたが、目を見張る内容だと思いました。
著者は、科学的根拠に基づく何冊ものエネルギー専門書を出されるかたわら、河合塾で講演されるなどして、エネルギー問題の真実を明らかにされてこられました。計算過程や専門的な内容についてお知りになりたい方は、近藤氏の著書、フェイスブック、ブログなどをご参照になさってください。(高校レベルの数学が必要)
この本には、様々な観点から、原発や再エネ発電の問題点が明らかにされています。今回は、その中から、同量の電気を得るために必要な化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の使用量について、再エネ発電と火力発電を比較計算した部分に関してのみ、計算式省略にて紹介させていただきます。
再エネ発電は、発電装置製造時はもちろん、発電稼働中にも日々大量の化石燃料を消費し続けなければなりません。なぜなら、太陽光パネルは夜間や天候が悪い日には発電できないし、風力発電は風が弱過ぎても強過ぎても発電できません。その上、再エネ発電は発電できている時でも常時予測不可能な変動発電量となるため、この電気を人々が使える常時一定量の電気にするためには、蓄電装置や緩衝装置が必要です。他にも、バックアップ電源として常時、化石燃料を無駄に燃やし続けておかなければならないのです。
(太陽光発電による日中の発電量)wクリックでグラフは鮮明に。
九州電力資料より
(風力発電による1日の発電量)wクリックでグラフは鮮明に。
九州電力資料より
再エネ発電は、延々と続く太陽光パネルや林立する風車だけではなく、国土を覆い尽くす高規格の送電網とそれを支える巨大な鉄塔建設などが不可欠となり、巨大な工業製品を次々と造って国中に設置していく必要が生じます。(日本の美しい山々は、蜘蛛の巣のように張り巡らされた高圧電線や鉄塔などの工業製品で埋まり、殺伐とした景色になってしまうでしょう。熊森泣)
しかも、これらの発電装置は雨・風・日光・落雷などの厳しい自然環境にさらされるため、劣化が激しく、耐用年数は10年~20年程度。蓄電装置は非常に高価な上、10年程度で廃棄物と化します。
トータルで計算すると、再エネ発電は火力発電よりずっと多くの化石燃料を消費することになるということです。その結果、当然、火力発電よりずっと多くの二酸化炭素を発生させることになります。再エネは、限りある貴重な化石燃料の浪費以外の何物でもないことになります。ならば、まだ火力発電の方がましです。(最近は、技術革新により、限りなく公害を出さない火力発電所ができているということです。もちろん、湯水のように電気を使う生活を改めることが一番であることは言うまでもありません。次世代にも資源を残してやろうと考えるやさしい大人でありたいですね。熊森)
結論
熊森から
近藤氏は、「日本では福島第一原発事故という大災害を経て、国民は脱原発を求めるようになりました。環境保護系の市民運動家たちは脱炭素、脱原発を求め、その代わりのエネルギーとして、科学的な評価を行わないまま『再生可能エネルギーならば環境にやさしいはずだ』という思い込みのみで、導入促進に向かって活動しているのが現状です。」と、言われています。
今の日本国の最大の腐りは、政府が決めた国策に沿った説だけが学会やマスコミによって表にどんどん出され、科学的事実に基づいた見解や論文であっても、国策に反するものは日の目を見れないような仕打ちを受けるようになっているという不公平さです。
熊森も人ごとではありません。28年間の活動を振り返ると、拡大造林政策や野生動物の個体数調整捕殺などの国策に異論を唱えたために、日の目を見れない仕打ちをずっと受けています。本当にひどいです。
科学的見解は、通常、多様であり、科学的な議論と検証を通じて、科学的知見や技術が確立されていくものです。もちろん、人間は神様ではないので、それでも間違うこともあるし、できないこともあります。それでも、様々な立場から批判的に検討するというのが、科学の発展の大前提です。。
事実に基づいた誠実な対論が存在する場合は、必ず並列して紹介する社会にすべきです。(昭和の時代の新聞は、まだ、対論もよく提示していたのになあ)どちらの考えが正しいのか、対論・異論を提示して、国民みんなに自分の頭で考えてもらうようにすべきです。
この本からは、近藤氏の誠実さや知的レベルの高さが伝わってきて、感動しました。専門家の皆さんにはぜひ、近藤氏の計算結果を検討してみていただきたです。
わが国は、1974年から「サンシャイン計画」と称して、多額の予算を組み、太陽熱や水素エネルギーが使えないかと研究を重ねてきました。結果、科学技術の特性や経済性から、これらのエネルギーは使えないとして、2000年に研究の幕を閉じた歴史があります。技術として、本当に使えるのか。十分な検証や技術的な課題が克服できていないものをやみくもに進めると、再エネ推進もエネルギー自給も頓挫してしまうと思います。
近藤氏は、他にもご著書として、何冊もの本を執筆されています。
「温暖化は憂うべきことだろうか」(不知火書房)
「誰も答えない!太陽光発電の大疑問」(不知火書房)
「東電・福島第一原発事故備忘録」(不知火書房)など。
近藤氏の了承を得て2021年4月のレポートを読めるように、以下に添付させていただきました。
「工業化社会システムの脱炭素化は不可能」(7ページ)
新たに続々と再エネ事業計画が出て来ている
自然エネルギー(=再生可能エネルギー。以下、略して、再エネ。ただし、エネルギーは使えばなくなるので、再生することなどあり得ません)と、美しい名で呼ばれている太陽光発電や風力発電。これらは、現在、国内外の投資家の投資対象となっており、巨大事業化されています。
これらの発電には、火力発電や原子力発電と違って気が遠くなるような広大な敷地と巨大な発電装置が必要です。
狭い日本にそのような広大な土地はありませんから、わが国では今、何をしているかというと、各地で二酸化炭素の吸収源である奥山水源の森を延々と伐採し、災害の元になる切土や盛土を施して太陽光発電や風力発電の事業を推進しています。
こんなことになったのは、まず、一番に2012年の「再エネ特措法」による固定価格買取制度の導入、次に、菅(すが)総理大臣が2020年10月26日の所信表明演説で、突然、日本は2050年までにカーボンニュートラルをめざすと宣言したからです。(2030年には、温室効果ガスを2013年度から46%削減することをめざすとも表明)
岸田首相も、この方針を継承して再エネ推進一辺倒です。
ああ、国土が壊れていく。
首相が宣言すると、官僚を初め国中の公務員は皆、その目標に向かって総力を挙げて突き進まねばならないようです。(最近わが国では、国会審議を経ずに突然、首相から出される方針が多すぎます)今や、国を挙げて、再エネ推進まっしぐら。新しい法律がその方向に向けて次々と作られていきます。マスコミ報道も研究者の研究も一斉にそれを後押しします。事業者は儲けたいので、大喜びしていると思います。(「再エネ特措法」により、私たちの電気代に上乗せして国民から強制的に徴収している再エネ賦課金によって、再エネ事業は確実に暴利を得られる仕組みになっています。再エネ賦課金は2011年3月11日午前、民主党政権時代の菅(かん)内閣によって閣議決定されたものです)
再エネ推進のために全生物の命を支えてきた水源の森を壊していいのか。
再エネ推進のために森を壊してクマなど森の動物たちが里に出て来てもいいのか。
再エネ推進のために、多くの鳥がバードストライクで死んでもいいのか。
再エネ推進のために、山が崩れて地元の人命や財産が失われてもいいのか。
再エネ推進のために、川や海に泥水が流れ込んで川や海が死んでもいいのか。
余りにも愚かではないでしょうか。
全生物や次世代に無責任すぎませんか。
次の総選挙で熊森は、日本国を守るため再エネを争点として、全候補者にアンケートをとり、結果一覧を示そうと思っています。同時に、立候補者に再エネ賦課金を見直すべきと訴えようと考えています。儲け第一で再エネを進めるのは、国民のためにならない。これは、全国の事例を見れば明らかです。
熊森は水源の森を守る自然保護団体として、2021年から、森林伐採や山の形を変えるような再エネ事業はしてはならないと、全国再エネ問題連絡会を結成し、共同代表も事務局も引き受けて、自然破壊型再エネ事業を止めようと声を上げ、動きに動いてきました。
経産省、環境省、国土交通省、林野庁、総務省・・・各省庁を訪れ、必死に訴えてきましたが、官僚のみなさんは国策を推進せざるを得ないようで、規制はほとんど進みません。
最近、ネットでは、自然破壊型再エネ事業に反対する声が少しずつ出てくるようになりました。しかし、まだまだ多くの国民は、再エネは原発よりいいだろうとか、地球温暖化を止めるためには仕方がないのではないとか、地元にお金が落ちるのはありがたいとかで、自然破壊型再エネ事業の取り返しのつかないデメリットに気づいていません。反対する声は以前よりも大きくなってきましたが、まだまだ小さすぎます。
今年になってからも、秋田県や岩手県をはじめ各地で祖先が残してきた豊かな森や海を破壊する新たな巨大再エネ事業計画が続々と出て来ており、熊森は水源の森を守る自然保護団体として、もう危機感でいっぱいです。豊かな自然が破壊されることや住民の皆さんの生活環境が破壊されることに危機感を持った方が集まって、声を上げ事実を伝えていくしか、止める道はないのです。熊森は、全国再エネ問題の事務局として、地域の皆さんを全力で応援しています。どのようにして事業を止めたらいいのか困っておられる方は、ご連絡ください。
元佐賀市長木下敏之氏のユ-チューブ動画がすごくいいです。
ぜひ見てください。
阿蘇山のメガソーラーについて(左文字を、クリックすると見れます)
福島県からまっとうな声があがった!福島民報6月30日玄侑宗久氏の文「ソーラーパネルと熊」
以下、福島民報に掲載された玄侑宗久氏の文です。
「ソーラーパネルと熊」
ここ数年、町場での熊の出没が激増している。環境省によれば、昨年度の熊による人的被害は、十九道府県で計一九八件、二一九人で、統計のある二〇〇六年以降最多だった。
北海道や東北北部はむろんだが、福島県でも会津地方を中心に熊被害は拡大し、県内の目撃件数となれば今年六月一六日時点で二三七件、去年の同じ時期より八五件増えている。
いったいなぜなのか? 山で何があったのか? 多くの報道では、異常気象による山の木の実の減少などを原因として挙げ、私も一応は頷[うなず]いてみる。しかし本当にそうだろうか……。これまでにも不作の年はあったはずだし、本当にそれだけだろうか……。
東日本大震災以後、国は速やかに太陽光発電パネルを全国に普及させようと、固定価格買取制度を作り、建築基準法の適用外にしてとにかく推進した。小池百合子都知事は、二〇二五年四月以降の新築家屋に太陽光パネルの設置を義務化したから、この流れは変わっていない。そして風景としてのメガソーラーは田舎でも好まれないため、勢いぐっと奥まった山の中にソーラーパネルが林立している。三春町から見える遠くの山でも、南側の斜面全体がパネル、という山があるし、その途中で伐採中という山も目立つ。
日本熊森協会のデータでは、二〇二二年までに太陽光発電のために切り倒された森林は二万三千ヘクタール。しかも今や日本は、国土面積に占めるソーラーパネル設置率と発電量が世界一なのである。パネル面積の合計は一四○○平方キロメートル、なんと東京ドーム三万個分なのだ(堤未果著『国民の違和感は9割正しい』より)。
宮沢賢治は生きるために熊を撃つマタギと熊の心の交信を『なめとこ山の熊』に描いたが、ひたすら金のために木を伐[き]り続ける人間は、熊たちも許さないだろう。
それだけではなく、ソーラーパネルは地震に弱いことも判[わか]ってきた。能登半島地震では、パネルの重さで耐震強度の弱まった家が、多数倒壊した。またパネルの寿命は一〇~二〇年、リサイクルもできず、設置業者は廃棄物の処分まではしてくれない。しかも古くなって放置されれば、シリコン系のパネルからは鉛が溶けだし、化合物系のパネルだとヒ素やカドミウム、セレンなど発がん性の有害物質が地面に沁[し]み込む。屋上のパネル設置を推進した米カリフォルニア州は寿命がきたパネルの処分に困り、地下に埋設した結果、地下水の汚染という深刻な問題に直面している。さぁどうするのか?
少なくとも水源地に近い山奥にソーラーパネルを並べるのはもう止めたほうがいい。熊はヒトの際限ない侵入と自らの生活環境の変化に戸惑い、ただ必死に生きる道を探しているだけなのではないか。(玄侑宗久 僧侶・作家 三春町在住)
熊森から
福島からのまともな声をやっとキャッチできました。
このような文を掲載してくださった福島民報に感謝します。
書いてくださった玄侑宗久さんは、まっとうな方だと思いました。
福島の山は、メガソーラーや風力発電で、すでにズタズタです。
今後もますます脱炭素という偽名目で、巨額のもうけを狙う人たちによって森林破壊が続いていくと思います。
彼らは今さえ自分さえ儲かれば、日本の水源の森なんか、どうなってもいいのです。
森の動物たちが生きられなくなって困ってしまい、里に出て片っ端から殺されていても、地元の人たちがどんなに困っていてもいいのです。
国も大手マスコミも、みんな彼らとつながっています。ならば、利権のない一般国民が組織的に声を上げるしか、この国を守る方法はないのです。
残念ながら福島県には熊森協会の支部がないので、熊森も動けておらず、やきもきしています。本部としては、どなたか福島県に熊森協会の支部を作ってくださいと叫びたい気分です。
支部ができたら、森林破壊の止め方を伝授します。
兵庫県三田市で数年前に皮むき間伐したスギを、すべて伐採!~ボランティアさんの底力~
- 2024-06-27 (木)
- _奥山保全再生
7年前、熊森は兵庫県三田市で、多くのボランティアさんに参加していただき、放置人工林の皮むき間伐を行いました。
(以下は、当時のブログ)
皮むき間伐は、チェーンソー不要、小学生でも手軽にできる間伐です。
ただし、簡単に皮がはがれるのは、木が地中からどんどん水を吸い上げている6月前後の成長期だけです。
今回の熊森の出動は、皮むきされて立ち枯れた木がシカ除けネットに倒れ込んで、シカが畑に入って来たという地元からの連絡を受け、
この際、フィールドチームで全部片づけようとなったものです。
伐採する箇所は3か所で、伐採すべき木は300本近くもあります。
<現場A>
ここは、倒木が小屋の上に倒れる恐れがあり、緊急性の高い場所です。
延べ2日間、作業人数5人で終了しました。
<現場B>
密植しているため、伐採時には隣の木に引っかかってしまうことも頻発。
ボランティアさんたちは、伐採した木の枝打ちや整理を積極的に行ってくださいました。
現場Bは延べ5日、作業人数延べ18人で終了しました。
↓Before
↑After
<現場C>
ここはスギの密度が特に高いため、作業前に念入りにミーティングをし、みんなで情報を共有しました。
現場Cは延べ3日間、延べ16人で作業完了!
↓Before
↑After
山主さんから「本当によくやってくださいました。」とお礼の言葉を頂き、うれしかったです。
まとめ
3月から本部フィールドチームとボランティアさんたちで合計8回にわたり作業した3か所の現場。
延べ32人というたくさんのボランティアさんにご参加頂きました。
初めて参加して下さったボランティアさんがほとんどでしたが、みなさん「楽しかった!」
「目に見えて達成感ある」「いい汗かきました」と満足して笑顔。
くまもりの底力は、会員さんのボランティアだなと実感できる場面でした。
ご参加下さった皆さん、本当にありがとうございました!
熊森から
皮むき間伐は、元々建築屋さんが木の皮をむいて立ち枯らし、1年後に材が乾燥した頃、山から伐り出して使用するものです。
しかし、熊森の活動は奥山が主で伐り出しが難しいため、皮むき間伐後に材を使用する予定はありません。
今回、伐採を担当した職員が、皮むきされて皮がない材を伐ろうとすると、幹がくるくる回って伐りにくかったと言っていました。
皮1枚といえども、あるとなしではそんなにちがうのですね。
ならば、最初からチェンソーで伐採しておけば、2度手間にならなかったという反省があります。
しかし、皮むき間伐にかかわってくださったみなさんが、山の事や木のことについて楽しく学んでくださったと思うと、
三田市の皮むき間伐は、意味があったと思います。
この後、ここの人工林がどう変化していくか、見守っていきたいと思います。
リニアから南アルプスの自然と大井川の水を守ろうとした静岡県川勝平太知事の偉大さ
川勝知事が知事最後にあたって非常に大事なことを言われていますので、長文ですが熊森の記録に残したいと思います。
以下は、SBS静岡放送5月10日発信ニュースからです。
静岡県の川勝平太知事は2024年5月9日、退任会見を行いました。
知事は「4期目の最大の公約は南アルプスの自然環境の保全と水資源の確保であり、それとリニア工事を両立させること」だったとして「一つの区切りがついた」と改めて辞職の理由を語りました。
<川勝平太知事>(2017年10月) 「工事によってメリットもない。すべてデメリットしかない。この工事を静岡県下ですることに対し、断固猛省を求めたい。考え直せということです」 これまで川勝知事は強い言葉でJR東海と対峙してきました。
2027年に開業を計画していたリニア中央新幹線は、東京と名古屋をわずか40分で結ぶ国家プロジェクトです。南アルプスをトンネルで貫く静岡工区をめぐっては、大井川の水の減少などを懸念して川勝知事は工事に同意せず、手付かずのまま。
2020年には、JR東海のトップ・金子慎社長(当時)が川勝知事に直談判しましたが、議論は進展しませんでした。国の有識者会議も報告書をまとめましたが川勝知事は態度を崩さず、JR東海の丹羽俊介社長はー。
<JR東海 丹羽俊介社長>(2024年3月) 「残念ながら品川~名古屋間の2027年の開業は実現しない」 2027年開業の断念。リニアの開業は早くとも2034年以降になります。
この発表の数日後に川勝知事は辞意を表明。そして、5月9日の最後の会見で「トンネル工事によって南アルプスの自然環境はマイナスの悪影響を受ける。黄色信号がつく」という認識を示し、「強引に進むのか、あるいは留まるのか、まさに岐路に立った」と強調しました。
また、リニア工事が静岡工区以外でも遅れていることをJR東海が発表したことにも触れ「不都合な事実の公表は、くさいものに蓋をする従来のJR東海の姿勢が一新された」と皮肉にも聞こえる表現で評価しました。 一方、JR東海は「開業時期に直結するのは静岡工区」との考えに変化はありません。
<川勝平太知事> 「4期目の公約にかかわる仕事に一つの区切りがついたと判断いたしました。水資源を保全するためにも、南アルプスの自然環境は保全しなければなりません。そこに住む私たちもそれは使命ではないかと思います。県民の皆様を信頼申し上げております」
<川勝平太知事> 「4期目の最大の公約は、南アルプスの自然環境の保全と水資源の確保であり、それとリニア工事を両立させることでございました。辞職の理由と重なりますので、お別れの挨拶の最後にこの件について申し述べておきます。
南アルプスは国立公園であります。昭和39年に国立公園に認定されました。それ故、その自然環境の保全は日本政府の国策でなければなりません。また、南アルプスはユネスコのエコパークに認定されております。従いまして、南アルプスの生態系を保全することは日本政府の国際的責務であります。
国の生態系に関する、いわゆる有識者会議が昨年暮れに最終報告書をおまとめになりました。それによりますと、南アルプス山中のトンネルの上を流れる沢・渓流は、工事によって例外なく水位が下がると報告されています。水位が下がりますと、水際に生きる生物などはそこに水が来ませんので、生死に関わる厳しいマイナスの悪影響を受けます。
また、工事で出る濁った水を透明にするためには、凝固剤の使用を報告書は提案されております。凝固剤を使いますと、水質は確実に悪化いたします。 この報告書の内容を一読いたしまして、一言で言いますれば、トンネル工事によって南アルプスの自然環境はマイナスの悪影響を受けると。言いかえますと、工事によって南アルプスの自然環境には黄色の信号がつくという認識を私は持ちました。
それでもなお、工事を敢行するということであれば、工事による南アルプスの自然環境への悪影響をいかに小さくするかが課題であります。沢の水位が下がることで死滅しかねない生物の保全などのために、有識者会議はモニタリング会議を提案なさいました。モニタリング会議は政府主導で今年2月に発足いたしました。モニタリング会議、その第1回会合、2月29日、2カ月前のことでございますが、基本方針がそこで確認されました。
そして、第2回会合が3月29日のことでございまして、その会合で丹羽氏を新社長とするJR東海は、南アルプストンネル静岡工区の事業計画について、これまで知られていなかったデータを公表をされました。世間はあっと驚きました。私も同様であります。いわく、高速長尺先進ボーリングに3カ月から6カ月、工事ヤードの整備に3カ月、トンネル掘削に10年、ガイドウェイ設置に2年という事実の公表でございます。
その数日後に、いわく、岐阜県は恵那市のトンネル工事に40カ月、すなわち3年と6カ月、長野県は飯田市の高架橋の工事に70カ月、すなわち5年と10カ月、山梨県は駅の工事に80カ月、6年と8カ月がかかるという公表をなさいました。
昨年までのJR東海の前の社長の体制の下では、一貫して静岡県の工事の遅れだけが繰り返し強調されていました。そのことからいたしますと、隔世の感がございます。今回の2度にわたる事実の公表で、静岡県のみならず、岐阜県、長野県、山梨県でも工事が遅れていることがはっきりといたしました。これらはいわば不都合な事実というべきものであります。くさいものに蓋をするといった感のある従来のJR東海の姿勢が一新したというふうに思われます。
不都合な真実とはいえ、正直に事実を有り体に公表された現在のJR東海の丹羽社長の姿勢には、感じ入っております。正直に勝る徳目はありません。正直な丹羽社長に対しまして、敬意を表するものであります。
さて、南アルプストンネル工事について、工事に要する年数を単純に足しますと、12年から13年ということになります。重なるということになると、11年というふうになっているようでありますが、しかも、しかしながら、それをモニタリングをしながら、言いかえますと、順応的管理で工事を進めるということです。順応的管理、すなわち工事中に何か問題が生じますと、もう一回その工事がよかったかどうかフィードバックして考え直して計画を立て直すということでありますが、こういうやり方が順応的管理というものであります。したがって、こういうモニタリングをしながらの工事となるとすれば、ここで挙げられている工事年数を超えることが十分に予想されます。それは何を意味するんでしょうか。南アルプストンネル工事自体に黄色信号が灯ったことを意味すると思います。工事をすれば南アルプスの自然環境に黄色信号がつくというのが有識者会議の最終報告書の内容だというふうに私は認識しております。
そしてまた、今回、工事自体にも最低10年以上かかるということでございますので、これも青から黄色に信号の色が変わったというふうに捉えております。信号が黄色になれば、道路交通法に従いますれば進んではいけませんけれども、中には強引に突っ込む方もいらっしゃいます。強引に進むのか、あるいはとどまるのか、まさに岐路に立ったということでございます。それをどうするかについては、モニタリング委員会の御見識次第であります。
私は以上のことをもちまして、4期目の公約にかかわる仕事に一つの区切りがついたと判断いたしました。これまでJR東海さんに対しまして、かなり厳しいことも言ったことに対しましては、改めて申し訳なく存じますけれども、同時に丹羽社長の正直な姿勢に改めて敬意を表する次第でございます。ご立派でした。
なお、2018年6月、今から6年前ですが、JRさんと静岡市との間で締結なさいました、いわゆる用宗・落合線の5キロのトンネル工事は6年、丸6年経ちました。現在、掘削すら始まっておりません。丹羽社長はぜひこの約束は、約束通り実行してくださるようにお願いをいたします。
富士山と南アルプスは、いわば父と母のような存在であります。この霊峰と赤石山脈とは、命の水を供給することで、静岡県民を、またそこに息づく生きとし生けるもの全てを何世代にもわたって養ってまいりました。水資源を保全するためにも、南アルプスの自然環境は保全しなければなりません。そこに住む私たちもそれは使命ではないかと思います。
県民の皆様を信頼申し上げております。私はこれをもちまして、ふじのくに、愛するふじのくにを後にすることになります。ありがとうございました。皆様方の御多幸をお祈り申し上げます」
熊森から
コロナでリモートワークが広がり、リニアによる東京―大阪間の時間短縮の利便性を訴えておられた方々の主張が通らなくなりました。私たちはこれは南アルプスに穴を開けてはならぬという天の声だと感じました。
いったん走り出すと止められないというのは人間の悪いくせですが、南アルプスの自然や水を犠牲にしてまで造らねばならないものなど、この世にないはずです。いったん壊してしまった生態系は、もう二度と元に戻せませんから、リニア推進者の皆さんには、何とか目を覚ましていただきたいです。
川勝知事はいろいろと言われてきましたが、南アルプスと水を守ろうとして誰に何と言われようと頑張ってこられたことに関しては、誠に偉大な知事であり、後の世で必ず最大限に評価されるだろうと思います。
川勝知事に、心からお礼申し上げます。
絶滅寸前!四国のクマのえさ場作り奮闘記2024年春編
- 2024-05-09 (木)
- _奥山保全再生
四国のツキノワグマの絶滅を止めるため、くまもりは今年も、人工林で埋め尽くされた四国山地のスギやヒノキを伐採して、跡地にクマの餌場を再生する活動に励みます。
G.W.真っ只中の5月2日~5月5日、本部フィールドチーム5名と愛媛県支部員3名、徳島県支部員1名の計9名で、高知県と徳島県の境にある四ツ足峠近くの熊森トラスト地(22ヘクタール)へ行ってきました。四ツ足峠という名前のいわれは、あまりにも山が急峻なため、四つ足にならないと登れないからとか(納得します)、お堂の四本の足の二本が高知県側、二本が徳島県側にあるから等の説があります。
初日は兵庫県西宮市にある本部を、午前5時に出発。
途中、資材の購入などをしながらちょうど正午に登山口に到着しました。
その後、資材やチェーンソーなどを担いで崖のような登山道を1時間半かけて登り、やっとトラスト地へ到着します。
下草のない人工林に覆われた険しい山道を歩く
愛媛県支部の会員さんが、途中の足場の悪い登山道を安全に通れるように道直ししてくださいました。
陥没していた道が歩きやすくなりました!
トラスト地では小面積皆伐した箇所にシカ除けネットを張り、ネット内で苗木の植樹、種をまく、何もしないで鳥などの種子散布による発芽を期待など、いろんな方法で試行錯誤しながら植生回復を促しています。
なかなか活着しなかった苗木ですが、今回調査したらすくすくと大きくなっていて、100~150cm程度の高さに!
ネット内は緑でいっぱいに!
植樹した木もすくすく生長していました
早稲イチゴの花が咲き乱れ、辺りは何とも言えない甘い香りに包まれていました。
その花の蜜を吸いに、多くのマルハナバチが一生懸命働いていました。
2日目は四国の会員さんを対象に行なったトラスト地ツアー。
みんなで登頂した後、シードトラップを設置しました。
トラスト地内にある野生の栗の木から、栗の実を空中でキャッチするトラップです。
地面に落ちてしまうと虫が実を食べてしまうので、空中でキャッチしてその実を植樹地内に植えてみようという作戦!
うまく栗の実を採集できるか…秋に乞うご期待です!
3日目、4日目は次にネットを張る場所の下準備です。
小面積といっても人間にとっては広い土地。ネットを張るのに邪魔になる伐倒木を丁寧によけていきます。
2日目にツアーでいらっしゃった徳島県の会員さんが、2日目に引き続き4日目も意欲的に参加してくださいました!
みんなは大喜びです!
ボランティアの皆さんらみんなで力を合わせ作業を進めることができ、おかげさまで予定していた作業をすべて終えることができました。
参加してくださったみなさん、応援してくださったみなさん、本当にありがとうございました!
トラスト地内に設置している自動撮影カメラには、シカが写っていました。
いつかこのカメラに、またクマも写りますように…(完)
4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催③
4月21日の13時から16時まで、3時間にわたって展開された恒例のくまもり全国大会のもようを最後までご紹介します。
会場入り口
6、顧問
新顧問紹介
ビデオレター 山梨大学名誉教授 鈴木猛康 氏 (防災学)
特定非営利活動法人防災推進機構理事長
熊森とは、行き過ぎた再エネを止めるということで出会いました。工学部ですが、森林保全のための重要な知識である地質学も学んでいますので、熊森と一緒に山に入って熊森活動にも貢献できるのではないかと思っています。
顧問紹介
ビデオレター 務台俊介衆議院議員
衆議院環境委員会委員長を仰せつかっています。クマがまるで危ない野獣のように扱われておりますが、実は生物多様性の頂点に立つ大切な存在です。熊森をしっかり応援していきたいと思います。今、地域の生物多様性増進のための法律が、衆議院を通っております。
ビデオレター 片山大介参議院議員
クマが指定管理鳥獣に指定されてしまいましたが、安易な指定や捕殺には反対していきたいと思います。皆さんの頑張りで、再エネによる森林伐採も止まるところがいくつか出てきました。今後もクマの棲む水源の森の大切さを共に訴えていきたいと思います。
会場
和田有一朗衆議院議員
私は、実は熊森を立ち上げたメンバーの一人でございます。クマが指定管理鳥獣になって、今までにない新たなピンチだと思います。体を張ってこの1年闘ってこられた皆さんに、心から敬意を表します。
嘉田由紀子参議院議員
以前、滋賀県知事をしていた時、トチノキ巨木の伐採問題に直面しました。研究者として知事として、トチノキの1本も守れなくてどうすると、自分を鼓舞して頑張りました。その節は、熊森にもずいぶんと助けていただきました。ここ尼崎市の蛇口の向こうにある滋賀県の水源の森長浜市で、5月18日19日「全国トチノキ学ネットワーク」第1回大会を開催します。
7、来賓代表挨拶
中野洋昌衆議院議員
多くのクマが急に里に出て来た中で、温暖化が原因なのかどうか、どうしていけばいいのか、大きな課題です。再エネによる乱開発の問題では、クマの棲む一番豊かな森を守っていくというのが皆さんの活動であり、今日来させていただきましたので、私もしっかりお役に立てるように頑張ります。
8、法人紹介 略
9、支部長紹介 略
10、祝電披露
11、支部活動報告
北海道 鈴木ひかる 支部長
クマを指定管理里鳥獣にして捕殺を強化しようと呼びかけたのは北海道鈴木知事ですが、私は北海道のもののけ姫になって、北海道の自然と野生鳥獣を守ろうと思います。
札幌でシンポジウム開催
スペシャルゲスト 我満嘉明 札幌地区長 85才
札幌市森林組合理事の我満氏は、北海道のエジソンと呼びたいぐらい、これまで様々なものを発明してこられました。戦後の森林政策は間違っていた、今後は広葉樹林を再生すべきであると断言される力強い同志です。今回は、ヒグマとの遭遇に、電池式クマ杖を開発してご持参くださいました。いざという時には、杖の先から4万ボルトの高圧電流が発射されます。これを製品化して、収益は熊森に寄付したいと言われています。
クマ杖
秋田県 井阪 智 支部長
大仙市で東北大学名誉教授である清和研二先生の「人とクマが棲み分けるための森づくり」講演会を開催。
青森県 井垣 真由美 支部長代理
八甲田の次は奥入瀬渓流を守る。森林破壊型風力発電事業から水源の森を守るスタンディングを開始。
山口県 松田 利恵 支部長
支部長として、各地でお話し会「今、日本の森で起こっていること」を開催し、山口県と広島県に多くのくまもり会員を誕生させている。
松田支部長講演会チラシ
12、森林保全活動報告 坂部幸太
13、環境教育活動報告 工藤真那
14、保護グマ動画
会計報告
15、日本奥山学会 脇井真理子
17、終わりの言葉 赤松正雄顧問
ここまでの司会は、くまもり国際部長 米田真理子が担当しました。
<休憩時間>
19、懇親会
紅茶を飲みながら楽しそうに歓談する皆さん
20、熊森応援隊 応援隊長 石原じゅん
熊森応援隊のラインは現在150名が参加。
今日の会にも何名かがお手伝いに来ています。
22、記念撮影
熊森から
今年の全国大会も、多くのボランティアの皆さんが支えてくださいました。
ボランティアの皆さん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。
参加して良かった、来年も来たいの声がしきりでした。
日本国の生き残りをかけて、水源の森と森を造る野生動物たちを守るために、完全民間団体である熊森は今後も奥山保全・再生に果敢に声を上げ行動し続けます。
来年またお会いしましょう。
第28回くまもり全国大会は2025年4月19日(土)兵庫県尼崎市で開催します。
全国支部長研修会は4月19日夜と20日午前となります。
皆さん今からご予定ください。
春の戸倉植樹地メンテナンス~くまもりボランティア大活躍~
雪融けを待って植樹地へ
4月21日、27日の2日間に渡って、熊森のフィールドボランティアチームが、兵庫県宍粟市戸倉にある植樹地のメンテナンスを行いました。
戸倉は豪雪地帯で、毎年大量の雪が山を覆い尽くします。植樹地はシカなどに苗木を食べられるのを防ぐためにネットで囲いをしていますが、雪の重みでネットをかけている支柱が倒れたり、折れたりしてしまいます。雪が積もっていると作業できないので、春が来て雪融けとともに修復作業を開始しています。
今回はボランティアの女性3名が作業してくださいました。
1日目
戸倉トラスト地には5か所の植樹地があります。21日は3か所の修復作業を行いました。
壊れた囲いが・・・
この通り!
苗木の生育状況の確認も行いました。戸倉は苗木がうまく定着せず、なかなか大きく育ちません。今後さらに試行錯誤を続けていきたいと思います。
苗木から新芽が!順調に育って欲しいですね
移動中にシカの角を発見!
2日目
27日は残りの2か所をメンテナンスです。
太陽が照り付け少々暑い中、皆さん頑張ってくださいました。
丁寧にネットをかけていきます
野生動物はちょっとした隙間も見逃しません。ネットがたわんでいないか、破れている部分はないかなど、細かいところまで気を配って作業を進めます。
全ての囲いの修復が完了!
余った資材を確認して作業終了です!
2日間で5か所全ての囲いが修復できました。苗木や外から入ってきた植物が無事に大きくなり、少しでも早く広葉樹林が再生されることを願うばかりです。野生動物が安心して暮らせる山になるといいですね。
今回は女性のみのチームでしたが、大変な作業を根気強く頑張ってくださいました。作業してくださった方々本当にありがとうございました。
日本熊森協会はこれからも人工林の広葉樹林化を目指して、地元の方々やボランティアの皆さんと手を取り合って頑張っていきます!
熊森の活動やボランティアに興味のある方は、ぜひご連絡ください!