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兵庫県豊岡市の地元のお祭りに呼ばれて12年目を楽しむ

今年も、兵庫県豊岡市のある地区のお祭りに呼んでいただき、熊森は会長ら6名で参加させていただきました。

クマの生息地にあるこの地区のみなさんとは、2002年に出会いました。以来、地区の共有林をお借りして広葉樹の植樹をさせていただいたり、個人の山や田んぼを借していただいて植樹、間伐、自然農、クマ対策など、年間何度も熊森がこの地区を訪れて、様々な熊森の奥山生態系保全復元活動をさせていただいています。

 

わたしたち田舎を持たない都市生活者にとっては、ちょっとしたふるさとができた感じで、毎回訪問が楽しみです。地区のみなさんが集る大事なお祭りに呼んでいただき、親しくお話させてもらうようになって、もう12年です。

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御馳走に舌鼓を打ちながら、地元の方と都市市民が語らう(2013年)

この地区のみなさんは、いつも仲良く暮らしておられ、都会から訪れたわたしたちにもあたたかくおおらかに接してくださいます。今や都市では、人と人とのつながりが本当に希薄になってしまいましたが、この地区に来ると、こうやって声を掛け合って支え合って生活するのが人間本来の生き方なのだろうなと感じ、いつもほっとします。

 

毎回、手作りのお蕎麦など、御馳走をいただいて、いろんな方とおしゃべりをして、楽しいひと時を送らせていただいています。

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ここの作りたて十割塩ソバは、最高においしいです。(2013年)

 

今年もみなさんと、いろいろなお話ができて、とても楽しかったです。クマを見かけた話は、いろんな人が報告してくださいました。とても参考になりました。

 

庭の100年もする柿の木に、毎年クマが来るというおばあさんのお話もおもしろかったです。夜、クマが枝を折る音が聞こえて来るそうです。クマに枝を折られると、次の年は枝が一斉に元気に伸びると言われていました。巨木だからか、毎年たくさん実るそうです。どこかへ行ったときに、熊森を誤解している人がいたらしく、そのおばあさんが、「熊森は、クマの棲む森を残そうと、まっとうなことを言っているだけだよ」と、弁護してくださったそうです。ありがたいと思いました。このおばあさんは、昔、山に木が生えてさえいたら、どんな木でも保水力が保てると勘違いしていたが、今は、広葉樹でないとだめだとはっきりわかったと教えてくれました。

 

夕方お墓にお参りしている人がいて、こんな時間にお参りしているのは誰かなと見たら、クマがお供えを食べていたということを教えてくれたおばあさんもいました。わたしたちは、そりゃあ大変だと思いましたが、地元の人たちは、「いいんだよ、いいんだよ、ここらでは昔からおそなえは山のもんにあげることにしているんだよ」と、気にしていない感じでした。他にもわたしたちはこのような集落を、全国にたくさん知っています。これぞ、全生物と共存してきた日本文化だと思います。しかし、マスコミには、「クマ殺せ、シカ殺せ、イノシシ殺せ」と叫んでいる集落の話ばかりが、意図的に出されているように感じます。国策に合わせるためでしょうか。

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この集落は金網柵で囲まれており、現代版「人と野生鳥獣の棲み分け」が一応うまくいっています。

 

 

最後に外に出て、みんなで記念写真を撮りました。そのとき、農業をされている男性が周囲の山を指さして、わたしたちは間伐ではなく、あの山の杉の木を、全部もう一度取り去ってもらいたいんだよと言われました。拡大造林が失敗だった。とんでもないことをしてしまったと、地元では30年前からみんなもう気づいていたんだ。今、いろいろな問題が起きているが、全部、山を杉だけにしてしまったことから来ていると嘆いておられました。熊森もがんばって間伐していますが、あの山全部の杉を取り去るとなると、もう国が動き出さないとだめだなと、みんなで意見が一致しました。今の所、国の動きはありません。

 

また、熊森は、地球の自然環境を守り、日本を持続可能な文明に戻すためには、人々が土と共に生きる生活に戻らねばならないと考えているため、山や農業のお話をとても興味深く聞かせていただきました。大変参考になりました。地元の方も、こんなに真剣に山や農業の話を聞いてくれる人たちが都会にいたのかと、感激されていました。熊森がきちんと持論を主張しても受け入れてもらえるというのは、本当にうれしいことです。今年もいい出会いが蓄積されたお祭りでした。お祭りに参加されていた、隣の集落の方ともつながっていけそうな流れが出てきました。

 

注:2014年写真が、カメラの都合で撮れていなかったため、文中写真は2013年のものです。

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