くまもりNews
9月24日【本部】兵庫県ハチ高原・氷ノ山で山の実りの豊凶調査
あいにくの雨天でしたが、双眼鏡を持ってドングリなどの豊凶調査に出かけました。
最初に訪れた鉢伏山(1221メートル)は広大な山で、国定公園内にあります。クマをはじめとする野生動物たちが暮らすのにぴったりの場所ですが、行ってみて大ショックを受けました。
戦後に開発が始まったそうですが、今ではハチ高原スキー場やハチ北スキー場のコースが何本も走っており、長いコースは2500メートルもあるそうです。リフトもあちこちに張り巡らされています。
スキーだけではなく、パラグライダー、キャンプ、登山と、1年中を通じてアウトドアのメッカだそうです。もう、山全部が、人間の開発によって徹底的に蹂躙され終わったという感じでした。こんな巨大な山を、ここまで丸裸に近い状態にまで開発した人間という動物が恐ろしくなってきました。自然や山への畏敬の念などゼロだと感じました。
ブナ、ミズナラ、コナラの木がスキー場の道路沿いに少し残っていました。ブナの実を拾ってみましたが、全てシイナでした。
たとえ実が実ったとしても、こんな恐ろしい場所にクマたち動物は来れません。みんなどこへ行ってしまったのでしょうか。
戦後、どんどんと森が復元して、兵庫県のクマたちの生息地は増える一方ですという兵庫県の研究者たちの発表や、それを真に受けている兵庫県を思い出して、悲しくなりました。「クマたちの生息地を取り返しがつかないまでに大破壊した」が、真実なのです。みなさん、グーグルアースで、鉢伏山を一度、見て下さい。
あまりにも今の世の中、嘘の情報が多すぎる。しかも、嘘情報ほど、大手を振って歩いているのです。苦しくなってきます。
今回調べた場所は、氷ノ山から鉢伏山にかけての標高900~1200mのエリア(鉢伏山・福定・大段ヶ平)で、ここは、クマの貴重な食糧源となるブナやミズナラといった堅果類や、ミズキのような液果類が多くある地域です。3名が、豊凶調査は初めて。
ブナ
木に実がなっているかどうかは、必ずしも木の近くへ行けばわかるというわけではありません。特に、ミズナラ、コナラは、高さ20m、ブナは30m近くの高さにまで成長します。それらの実は、上向きに付くので、木の真下から見上げると葉に隠れてかえって実が見えなくなってしまうのです。
その樹木全体でどれだけ実が成っているかを調べるコツは、対象の樹木からある程度離れた所から、双眼鏡を使って調査すると良いという事を、この日学びました。
ミズキやヤマブドウ、サルナシ、マタタビ、アオハダ等の液果類も、クマの好物です。
最後、鉢伏山の隣の氷ノ山(兵庫最高峰1510メートル)を訪れました。氷ノ山にもスキー場はいくつかありますが、こちらの山は、まだ自然もある程度は残されており、ホッとしました。夏来た時は、あまり気づきませんでしたが、秋に来ると、ミズキ、クマノミズキ、ヤマブドウが結構あちこちに見られ、クマたち森の動物が食べられるかもと思いました。ただし、今回は、道路沿いの木しか調べなかったので、何かの動物たちに会ったり、痕跡を見つけたりすることはありませんでした。氷ノ山のブナは、うれしいことにいくつかが充実種子でした。みんなでソバのような小さな実の皮をむいて食べてみました。ヤマブドウやミズキ以上に、とてもおいしかったです。動物達もこの木に食べに来ればいいなと思いました。
今回調査してみて分かったことは、同じ場所に植わっている木であっても、実が付いているかいないか、多くついているか少しかなどに、かなり個体差があるということでした。隣り合った木でも、片方は豊作で、片方は全く実が付いていなかったりします。熊森では、大体その場所にある同じ種類の10本の木を調査して、数値化し、豊凶を出しています。
今年の兵庫県の堅果類の豊凶度合ですが、兵庫県立森林動物研究センターの発表によりますと、ブナとミズナラは並上、コナラは豊作だそうです。
熊森の判定はワンランク下です。
ただし、センターの発表は、ブナに関しては、目視だけであり、充実種子かシイナかは調べていないということです。ミズナラとコナラは目視だけでいいのですが、最近のブナの実は、中味のないシイナ率が無視できない割合で発生しているため、熊森はブナの実を持ち帰って、動物たちに食料を提供できる状態かどうか調べています。
全国各支部のみなさんも山の実りの豊凶調査を行い、本部までご報告ください。クマのいない県でも、調べてほしいです。