くまもりNews
クマ生息地では、早朝、夕方以降、死角となる曲がり角で音を出そう
- 2016-11-11 (金)
- くまもりNEWS
残念ながら兵庫県で5年ぶりに、クマによる人身事故が2件発生してしまいました。
本部は現場に急行して、ご家族や近隣の方にお話をお伺いしたり、原因を探ったりしました。
どちらもご本人はケガをされて入院しておられ、お会いできませんでした。
心よりお見舞い申し上げます。
①10月17日午前6時ごろ(宍粟市)
事件は山裾の集落で起きました。
事件があった集落の裏山
事件があった死角となる四つ角
全く見通せない90度の曲がり角(写真左端)で、上の方からは新聞を取りに降りて来られた男性が、下の方からは、集落周辺の柿を食べて山へ帰ろうとと朝帰りを急いでいたクマが、ばったりと鉢合わせしました。
どちらも、心臓が飛び出すほどびっくりしたのだろうと予測されます。
男性は、静かに後ずさりされましたから、クマ対応としては正しかったと思います。しかし、悪いことに、後方の溝にはまってこけてしまいました。
新聞では、クマは男性の頭をかじって山へ飛んで逃げたということでしたが、近隣のみなさんの話では、クマは頭を齧ったのではなく、頭を前足ではたいて山へ逃げ帰ったのだそうです。人間から逃げたい一心でやったのでしょう。
事故現場から山までの間に、点々とクマの糞が落ちていました。
近所の方が、「クマさんの方も、人間に出会ってしまって、恐怖のあまり、便をちびりながら山に逃げ帰ったんでしょうね」と語られていました。
全く、双方に、不運な事故だったと思います。
この後、周辺に設置された捕獲罠に、2週間後にクマがかかり、殺処分されました。このクマだったかどうかはわかりません。
②11月7日早朝(養父市)
スキー場近くの山深い集落に住む男性が、スキー場の仕事場へ出勤するため、みんなが通らない近道となる裏道を早朝、歩いておられました。
またしても双方にとって全くの死角となる、四つ角です。
事件があった死角となる四つ角
この四つ角で、奥から歩いてきたクマと、手前から奥に行こうとしていた男性が、ばったり鉢合わせしてしまいました。クマが男性に襲いかかってきたので、男性は持っていた工具でクマを殴り抵抗したところ、クマは山に逃げたそうです。現地では、直ちに、クマ捕獲罠が設置されました。もし、かかれば、殺処分です。
(熊森から)
人間と臆病者のクマが、こんな近くで共に暮らしている状況にまず問題があります。
昔、山にえさがあったころ、クマは山から出て来なかったと、地元のお年寄りはみなさん証言されています。本当は、動物も平地が暮らしやすいのです。せっかく山にとどまっていてくれたのに、その山の餌場とねぐらを壊したのは人間です。私たち県民の力で、もう一度、動物の棲める森を復元しませんか。いつまでたっても国はやってくれないし、できないようです。
森が復元するまでの間、山の実り凶作年の秋ですから、早朝、夕方以降は、どうか地元のみなさんは、クマに近づきすぎないように気を付けてください。見通しの悪い四つ角などでは、鈴など音のするものを持って、クマに人間が近づいていることを知らせてやってください。クマは基本的には大変な臆病者です。クマが人を早めに察知できたら、クマの方から離れます。
熊森は地元のみなさんに、このことを精一杯お伝えしたいです。