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教育上いいの? テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く」の“殺生正当化” 専門家が指摘

以下、「週刊新潮」2018年8月9日号 より

 

結果的に生き物を殺すにも拘わらず、嬉々として捕獲に励むチビッ子たち……。テレビ東京の人気番組「緊急SOS 池の水ぜんぶ抜く大作戦」では、“外来種=悪”と決めつけ、生き物をバケツに放り込むシーンが度々、登場。まるで地獄絵図のような光景には、専門家も首を傾げるのである。

 

 

番組は、住民や自治体からの応募に応じて、手つかずの池をかい掘りし、迷惑外来生物の駆除やゴミの撤去を行うというドキュメントバラエティだ。司会のお笑い芸人の他に毎回、様々なゲストも参加。日比谷公園を取り上げた際には、小池百合子都知事も胴長姿を披露している。

 

TV情報誌記者によると、

「2017年の放送開始当初はスペシャル番組でしたが、シリーズ化されると10%を超す高視聴率を記録。視聴者は、池の中から何が出てくるのかといったワクワク感を持つようで、今春からは月イチのレギュラー番組に昇格したのです」

 

その一方で、番組の問題点が取り沙汰されたことも。

「今年2月、ヤゴを捕食する外来魚を駆除する様子を収録した際、一般参加者1千人が池の中を踏み荒らし、在来種を含む多数の小魚が死んでしまいました。現場で専門家が足りていなかったことや杜撰な進行が物議を醸したのです」(同)

“極端すぎる”

 この時は、テレ東の社長が定例会見で弁明する事態にまでなったのだが、のど元過ぎれば何とやら。千葉県のお寺の池を舞台に、50人の地元小学生が参加した7月22日の放送では、

「この池に巣くう影の支配者が出たー」「ヤング隊、総動員でブルーギル(外来魚)の駆除に掛かる」

といった大仰なナレーションを合図に、ブルーギルを捕獲。殺生を禁ずる仏教の寺での大量駆除は、ブラックジョークと言うほかないが、子どもたちに命を奪うという実感はないようで、まるでお祭りイベントに興じるかのよう。仕舞には、水も張っていないバケツに、山のように入った魚の映像が流れたのである。

 

「外来種だからすべて駆除という考えは極端すぎる。いかがなものかと思います」

とは、生態学の専門家で、『「自然」という幻想』の訳書がある慶應大学の岸由二名誉教授。

「番組では、それぞれの生態系をどうしたいのか目標を立てずに、外来種の駆除だけが目的のような印象が強い。私も外来植物の駆除を行っていますが、場所によっては在来種を除去することもある。目標によってケースバイケースで必要な駆除が異なるのです」

在来種か外来種かのみを基準とするのは、生態学的にも疑問だというのだ。さらに、大問題なのは、

「仮にその動物が悪だとしても、子どもたちに乱暴に動物を抹殺させるのは、教育上、いいとは思えない。自然を守るためでも、動物の駆除は大人が行えばいいこと。市民参加でイベントのようにするものではないし、ましてやテレビで面白おかしく放送することでもありません」(同)

殺生を正当化した番組のほうが、外来種よりも悪影響というのである。

 

熊森から

デイリー新潮さん、この問題を取り上げてくださって本当にありがとうございます。

岸由二先生、貴重なコメントをありがとうございます。

外来種根絶殺害は外来種根絶殺害原理主義者が環境省の官僚を動かして政策化したものと思われます。この機会に自然生態系とは何かがある程度分かっている多くの人達に様々な意見を出していただき、政策再検討がなされることを願います。今も、アライグマやヌートリアをはじめ、残酷なだけの外来種の無用の殺生が、私たちの税金を使って全国で展開されています。由々しきことです。

 

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