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1月25日 本部・支部合同で香美林業事務所を訪れ、くまもり四国トラスト地広葉樹林化のご相談

残り数少ない四国のクマが生息する剣山地は、現在、標高1000mまでスギやヒノキの人工林で覆われています。

クマの絶滅回避、将来にわたる水源の確保のために、高標高部分だけでも、早急に野生動物たちの餌場となる広葉樹林に戻していかなければなりません。

 

2018年から熊森は、どの団体もやっていない四国のクマ生息地復元という絶滅の根本原因の問題解決に取り組み始めました。

昨年10月にナショナル・トラスト第2弾として熊森が高知県香美市に購入した山林22haは、標高810m~1100mに位置し、四国のクマたちが移動経路として利用している貴重な尾根筋が含まれています。

この山林の92%が、現在、スギやヒノキの放置人工林です。

トラストした山林内

 

何とかこの場所を、動物が棲める広葉樹林にもどしたい。

 

1月25日、室谷悠子会長、加藤高知県支部長、本部職員2名は、広葉樹林化に向けての具体的な方法を相談するため、地元の物部森林組合と高知県香美農林事務所、香美市農林課を、順次、訪れました。

この山林は保安林に指定されているため、伐採率や伐採面積に規制がかけられています。

しかし、ありがたいことに、ここは20ヘクタールまで皆伐が可能で、伐採後、広葉樹の植樹も可能です。

また、この場所は伐採後の植栽義務がないため、天然更新させることも可能です。

問題は、四国山地があまりにも急峻なため、伐採木搬出のための道を造ることがむずかしいということです。

無理に林道を造ると、そこから山が崩れる恐れがあります。

林道(上部横線)から、山が崩れる

 

架線搬出も考えてみましたが、架線を張れる限度は2㎞までです。

高知県馬路村架線(ワイヤロープ)集材より

 

山上から下の集落までは6㎞もあるので、架線も無理です。

といって、切り捨て皆伐にすると、伐採した材で地面が埋まってしまい、天然更新がむずかしくなります。

悩ましいです。

 

広葉樹林化のためには、道造り、人工林の伐採、広葉樹の植林、シカ除け柵など膨大な費用が必要です。

しかし、間伐のための補助金は出ても、広葉樹林化のための補助金は出ません。

 

補助金が出る間伐に切り替えようかとも思いましたが、間伐だと20%までというしばりがついてきます。

むずかしいです。

熊森は、森林環境税を使い、放置人工林を順次天然林化していくことを、今国会で何としても法文に明記していただきたいと思っています。

 

とりあえず、伐採者がチェンソーを持って現地に入れる作業道を造ることになりました。

高知県香美農林事務所の担当者に伐採や搬出を相談   左から、本部職員、加藤支部長、室谷会長

 

 

 

 

熊森から

高知県内で人工林の天然林化に取り組んでいる団体はありませんが、林野庁の外郭団体である森林総合研究所は「広葉樹林化ハンドブック」を出しています。

そこには、針葉樹の人工林を強度間伐して広葉樹を植えたが、スギやヒノキの勢いの方が強くて、広葉樹が育たなくなった等の例が掲載されています。

定性間伐では針広混交林にならない。人工林の天然林化や針広混交林化には、30メートル四方以上の部分皆伐が必要と、熊森が各地で訴えていることと合致しています。

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