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野生動物に手を付ける学術研究はやめるべき

日本熊森協会を結成してから14年。善意の方々から「日本の森や動物をめぐる状況は、少しは良くなってきましたか」ときかれるのがつらい。良くなるどころか年々悪化していく。今、人類の向かっている方向が、自然を守る方向と正反対であるからだ。わたしたち熊森の活動は、状況悪化のスピードを、かすかにほんの少し遅らせているだけにすぎないというのが実感である。

そんな中、当初からずっと感じていたことがある。野生動物に手を付ける学術研究が、野生動物の絶滅に拍車をかけるということだ。人間の、知りたいというあくなき欲望は、とどまるところを知らない。しかし、研究対象が野生動物であった場合、研究には一定の歯止めがかけられるべきである。すなわち、研究対象物に手をかけてはならないということである。捕獲して麻酔薬を注入し、論文のデータ用にと1本であっても歯を抜き、発信器を付けて苦しめ、追いかけ回すなどの負担をかけてはならない。相手は人間と同じように、命も感情もある生き物である。そっと見守り、彼らの生息環境を改善してやるしか、絶滅を止める方法はないと考える。

人体実験なら許されないことでも、相手が野生動物なら許されるという最近の若い研究者たちの発想の裏には、野生動物達への蔑視がある。このような考えがある限り、共存になど成功しないだろう。

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