くまもりNews
第7次エネルギー基本計画(案)及びGX2040ビジョン(案)についての地方説明会・意見交換会
第7次エネルギー基本計画(案)全84ページは、政府の審議会等における議論を踏まえ、経済産業省が昨年12月にまとめたものです。
一読後の感想は2つで、GXとかS+3Eとか、一般国民には意味が分からない略語や英語が多すぎる、いったいこれはどこの国の政府の文章なのかと思います。もう一つは、再生可能エネルギーについて、何が何でも進めることしか考えていない案のように感じました。
たとえば、31ページの陸上風力発電の項には、「事業実施への地域の懸念を背景に、運転開始に至っていない事業が存在している。(略)導入を推進するために、効果的・効率的なアセスメントに係る制度的対応の在り方を検討するとともに、保安林の解除に係る事務を迅速に実施する」と、あります。
運転開始に至っていないのは、環境破壊や、災害誘発の恐れ、健康被害など、尾根筋風車には様々なデメリットがあるため、地域の人たちが必死に反対しているからです。
経産省はこれらの問題には一切触れずに、アセスメントを効果的・効率的にしたり、保安林の解除に係る事務を迅速に実施することで解決しようとしているのです。無茶苦茶です。
保安林の多くは、水源涵養目的などのために開発してはならない場所だから保安林にしているのです。水源の森を次々と破壊していけば、我が国は水源を失って、国民は生きていけなくなります。
昨年12月27日から今年の1月26日の間、第7次エネルギー基本計画(案)は、パブリックコメントに掛けられていました。熊森はしっかりとこれらの問題点を指摘しました。
パブコメが終わったと思ったら、今度は経済産業省は1月29日から2月12日にかけて、第7次エネルギー基本計画(案)及びGX2040ビジョン(案)についての説明会・意見交換会を、全国10地方の各経済産業局で順次、開催すると発表しました。
熊森会員有志は、いずれも平日開催なので仕事を休んだりして、それぞれの会場に行ったりzoomで参加したりして意見を言いました。それぞれの会場での様子が、参加者から本部に報告されてきます。
以下は、2月10日(月)の札幌で開催された説明会・意見交換会にzoomで参加した会員からです。
第7次エネルギー基本計画についての説明会が、午後15時より、北海道札幌市にてありました。
熊森の北海道支部副支部長が、山の尾根筋を削り風車たてることは、大きな自然破壊てしかなく、奥山の大切な水源が無くなると発言、札幌市地区長は、野生動物たちの住みかを奪い、また、次世代の子供たちから大切な大自然を奪う。20年後に壊れる、壊れたものは、どうやって撤去するのか、撤去費用は?などと、たずねました。
GXについて発言されている人もいました。
経産省の説明に保安林解除の話などが一切入っていなかったので、私は、「保安林の解除事務を迅速にするという話が、今日の説明に入ってなかったんですが、どうしてですか」と、チャットを入れました。
説明者の方はこのチャットを取り上げてはくださったのですが、自然環境を考えながら林野庁と、環境省アセスメントとの連携のもと行いますという答えでした。
その後、ある地域の風車を考える会の方が、陸上風力は自然破壊に繋がり、それは日本の国土破壊に繋がるため、保安林解除事務迅速にの文言は削除してもらいたいと言ってくださいました。
経産省の方は、もちろん自然環境を考えながら、地元の協力を得て、環境省のアセスや林野庁の規制緩和も受け、そういうことも踏まえて、保安林に風車を立てるということでございますとの答えでした。
そのあと、自然を考える団体に入っているという方が、生物多様性を考える世界の動きを考えると、日本の風土を残していかなくてはならない。野生動物たちに絶滅危惧種のものが多いなか、このような大型風車の設置を北海道に増やしていくということは、自然を大切にしないということに他ならないと発言されていました。
また、風車を考える会の方が、北海道においては、世界遺産、ラムサール条約、国立公園や保護区など自然が多く残されている。この北海道で、保安林の規制を緩和することなどあつてはならないと言われました。
北海道の説明会で出た意見のうち7割は、再エネ推進による自然破壊に反対の意見で、後の3割は原発に反対してきた人たちの反論で、福島原発事故以来の大前提であった「原子力依存度の低減」が削除されていたり、原発の建て替えを敷地外にも容認するなど原発回帰の内容となっているのはおかしいなどと反論する声でした。
計画案に賛成する人はひとりもいませんでした。
最後に、このような会で国民ががんばって出席して発言したことで、第7次エネルギー基本計画案が幾分でも変わる見込みはあるのかと質問している人もいました。
経産省の方は最後に、いろいろなことを踏まえ、経済的効果や脱炭素を考えて、クリーンなエネルギー開発に力を入れ、これからの多大な電力を補うためにがんばっていきますと発言されていました。
この説明会に参加して、国民から反対の意見がたくさん出ても経産省は押し切ろうとしているのでは、パブリックコメントも無視して自然破壊に突き進もうとしているのではと私は感じました。国民の声を無視して進めるやり方を問題にしていかねば、安心して住める国ならないと思いました。
再エネ推進のための自然破壊国土破壊は絶対に止めるべきです。
(以上)