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平野虎丸顧問、むかしの熊本の山を語る

熊本の林家に生まれ育って75年、当協会顧問平野虎丸氏が、野鳥密猟Gメンの活動に忙しい中、合間を縫って、熊森本部事務所を訪れてくださいました。戦後の拡大造林などで、人間が自然生態系を破壊してしまう前の、熊本の山の話をしてくださいました。若いスタッフたちもみんな、目を輝かせて長時間聞き入りました。

 

自然を守るといっても、人間が余りにも今は何もかもに手を入れ過ぎてしまったので、今の人たちには、どんなのが自然の生態系なのかわからなくなっています。どれも大変興味深いお話でした。ほんの一部ですが、ご紹介します。

 

Q1:NHKクローズアップ現代が,かつて、シカが増えなかったのは、狩猟圧があったからだというのですが。

A: 自分の所では、考えられない。昔は、今のように山に道路がなかったし、もちろん車もなかった。シカは、当時、早朝家を出て昼にやっと到着するような奥山にいた。そこまで、道なき道を斜面をよじ登っていくん だが、普通の人が行けるようなところではなかった。昔は、銃の性能も悪かった。猟師でも、年に1~2頭シカが獲れたらいいとこ だった。

 

Q2:NHKが、増えたシカが生態系を壊しているというのですが。

A:人間は何を勘違いしている のでしょうか。生態系を破壊しているのは人間です。野生動物には、本来、生態系を破壊するほどの能力はありません。野生動物は銃も機械も使えず、林道もコ ンクリート道路も大きなダムも造ることが出来ません。原生林を伐採したこともありません。一斉造林をしたこともありません。野生動物が、人間よりも大きな自然 破壊力を持っていると、本気で信じているのでしょうか。森を破壊しているのは人間であることぐらい、小学生だってわかります。生態系を破壊しているのは人 間です。

 

Q3:拡大造林前の自然の山には、実のなる木がありましたか。

A:いっぱいあったです。山の中には、野生の柿や栗もたくさんありました。柿や栗は、どれも幹の直径が70センチぐらいの巨木でした。今栽培されている柿の木は、毎年実るでしょう。あれは人間が接ぎ木したものだからね。特別であって、自然じゃない。山に自然に生えていた柿の木は、数種類あって、成り年が微妙にみんなずれていた。その結果、毎年どれかの実がなっていました。実はどれも小さかった。種類によって、指の先ぐらいの実もあれば、ピン球ぐらいの大きさの実もあった。実は小さかったが、もうびっしり大量になるんです。今のように何の実りもない年とかはなかった。栗もね、実は小さかったが、びっしりなっていた。

 

Q4:山の生き物は多かったですか。

A:鳥がいっぱいいた。クマタカがうちの猫や鶏小屋の鶏をしょっちゅう獲っていった。蛇は1回山に入ると、10匹~20匹ぐらい出会った。昔の山にはハチがものすごくたくさんいた。ハチは大切な役目をしている。1度、巨木を伐ったら、ハチが怒って攻撃してきて、ひどい目にあった。その木に、ハチが巣を作っているのがわからなかった。地上10メートルぐらいの所に巣を作っていたようだった。ハチは、木のいろんな高さの所に巣を作るからね。昆虫は、もういっぱいいたから多すぎて気にもかけなかった。里山にはタヌキ・ウサギとかいろいろいた。マムシも沢山いたが、マムシは匂いがきついので、いるなとすぐわかる。独特のにおいだ。それで人間は注意するので噛まれることは無かった。

 

Q5去年、人工林を中心に、熊本でも、山があちこちで崩れましたが、人工林の根が小さいからですか。

A:植林した木が、成長して重くなってきたのです 。植林スギは根が小さいので、重くなった自らの体重を支えきれなくなって、どんどん崩れ始めました。これからますます崩れて来ますよ。

 

 

 

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