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秋田県鳥海マタギのドキュメンタリー 「熊を崇めクマを撃つ」

日本熊森協会です。

2019年4月6日・4月11日に放映されたNHK Eテレ「クマを崇めクマを撃つ」を見られましたか。

日本熊森協会としては、多くの方々に見ていただきたいと願って、再放送直前でしたが、ブログに番組の予告を書かせていただきました。

 

秋田県由利本荘市、鳥海山のふもとに今も残るマタギ集落があります。

番組に登場した鳥海マタギの末裔の方の、ひとつひとつの言葉に、非常に重みや真実みがあると感じました。

山は一歩入れば、そこは神様のものだと言われていました。

昔のようなブナの原生林を取り戻したいとして、ブナを植林されていました。ブナの原生林があれば、クマは山から出てこないとも言われていました。

すばらしい自然の映像をバックに、事実を淡々と伝える優れた番組であったと思います。

 

山のこと

クマは人工林率が40%を超えると絶滅に向かうと言われています。

秋田県の県平均人工林率は57%と大変高率です。

これでは、山の実りが悪い年は、クマたちが冬眠前の食い込み用の食料を求めて、山から出て来ざるを得ません。

 

そんな秋田県ですが、番組のバックとなった鳥海山のふもとの山には、落葉広葉樹を中心とした峰々が延々と続いていました。

人工林率が高いと言っても、さすが秋田県です。

こんな深い奥山天然林がまだ残っているのだなあと感激しました。

西日本ではもう見られない光景です。

あのような広大な天然林を再生しないと、クマは野生で生き残れないことを多くの国民に知ってもらいたいと思いました。

 

マタギのこと

明治になるまで1200年間殺生禁止令が出続けていたわが国で、特例として狩猟を許されていた山の民が、東北のマタギです。

彼らは、年貢の代わりに、熊の胆を将軍に献上するなどしていたそうです。

世間では今、<マタギ=クマを撃つ人>に、されてしまっていますが、元々は、カモシカ、サル、キツネ、ウサギなど、マタギは生きるために何でも狩っていたそうです。

 

彼らは先祖代々、山に精通し、山の神を信じ、山から得られるものは全て神様からの授かりものとして、手を合わせて感謝し、命を頂くことの重みを体で感じて残さず食べ、自らの命を繋いできた人たちです。マタギとハンターを一緒にしないでほしいと強く訴えておられました。

 

しかし、今はスーパーに行けば、いくらでも食料が手に入る時代です。鳥海マタギの末裔の方は、マタギはこの国からなくなる。時代の流れだ。マタギとは深い深いもので、自分も自分のことをマタギと思っていないと言われていました。

 

これからのこと

狩猟するために山を知り尽くして来たマタギの、山への畏敬の念や野生動植物に関する知識は本当に貴重です。

クマについても、良く知るからこそ、「クマはすごい、クマは偉大だ、クマはかしこい、クマは勉強になることをいっぱい教えてくれる、クマは山の神様の使い」と崇めることができるのだと思います。

今後は、ガイドやレンジャーの仕事として、その思いや知識が受けつがれることを願わざるを得ません。

 

「すごいアウトドア」と称して、スポーツハンターやレジャーハンターの養成に軽々しく旗を振り続けている環境省のみなさんに、ぜひ、見ていただきたい内容でした。

 

 

 

 

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