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デンマーク大使館にて対談を行いました     -グリーンパイオニアの国 デンマークー

「われわれはグリーンパイオニアの国でなければならない」と号令を発し、力強くCO2削減に取り組む環境先進国デンマーク。日本の野生のクマが直面している問題に関して、国際社会にも状況を知っていただき、地球規模で悪化している環境問題の解決に向けて意見交換をさせていただきたい旨、デンマーク大使館に連絡したところ、「もっと詳しいお話を聞かせてください。ぜひお会いしましょう!大使館においでください」とすぐにお返事をいただき、後日、正式なInvitation Letterが届きました。
6月11日、始発の新幹線に飛び乗って、東京へ。大使館にて、政治経済担当官のアンナノルプ ヴンシュ氏(Ms. Anna Norup Wünsch)、広報・文化・外交部のステファン クロスター ポールセン氏(Mr. Steffen Kloster Poulsen)が私たちを温かく迎えてくださいました。

ステファン クロスター ポールセン氏(写真左)、室谷悠子会長(中央)、アンナノルプ ヴンシュ氏(右から2番目)さすが福祉国家でもあるデンマーク!赤ちゃんのための別室もご用意下さいました

 

日本の森と野生動物の現状を伝える

まず室谷悠子会長から、日本の奥山及び野生動物の現状について説明しました。日本は国土の3分の2が山林だと言われているが、拡大造林政策によって日本の全森林の半分近くがスギ・ヒノキの人工林に変わり、その多くがが手入れもされず放置されてしまっているということ。クマたちは、奥山の生息環境悪化により、非常に厳しい状況にあるクマが人里に下りて来ざるを得ない状況もかかわらず、日本では、クマが現れただけで大量の捕獲罠を設置し、かかったクマを子グマにいたるまで殺処分しており、2019年ツキノワグマの捕殺は5,283頭、2020年は5,795頭にも上り、過去最悪となってしまった。このように安易な捕殺が許可されている現状が続けば、近い将来、日本のクマは絶滅してしまう可能性があること。さらに、残されたわずかな自然林においても、近年地球温暖化の影響から、ミズナラ・コナラの木が枯れるナラ枯れ現象が広がっている深刻な状況もお伝えしました。大使館の皆様はずっとメモを取りながら、真剣な表情で説明を聞いてくださいました。

その後意見交換を行いました。デンマークにおいても、環境問題や生物多様性保全への取り組みは、関心が高く、EUの基準に則って、国内でも力強く取り組んでいるということで、環境への意識が深く根付いているということがうかがわれました。しかし「自然林と人工林、どちらが自分たちにとって本来の森か」という質問に対して、デンマークではもはやほとんどが人工林となっており、自然林は自分たちにとってなじみがないということでした。原生的な森はもはや失われてしまい、二次林ばかりになってしまった事実はありますが、一方で、自然の修復に力が入れられ、近年、オオカミなども野生で戻ってきている例もあるそうです。やはり野生動物との軋轢は避けては通れない問題だということでした。

クマと人が接触する根本的な原因は、人工林の放置と山の開発や温暖化による森林の劣化であり、捕殺数をどんなに増やしてもクマと人との接触は防げないことを両氏も賛同してくださり、これからの時代は、いかにして野生動物と共生していくかを模索することが大切だということで意見が一致しました。野生動物保護の重要性への理解は両国共通の問題であることを確認し合い、今後、デンマーク大使館から本国の環境問題に関わる団体と日本熊森協会が連携を取れるよう働きかけてくださると力強くおっしゃってくださいました。

熱心に聞いて下さる両氏、右から2番目は国際社会への働きかけにご協力下さった会員伊藤純子さん

 

長期的視点を持った対策を
今回のデンマーク大使館訪問が実現したのは、当協会を応援してくださる方々の、豊かな森を次世代に引き継ぎたいという思いと、野生を懸命に生きるクマを守りたいという情熱があったからこそです。国際社会に向けて素晴らしい一歩を踏み出せました。
デンマーク大使館の皆様には温かく迎えていただいただき、真摯に私たちの話に耳を傾けてくださっただけでなく、大使館のSNSにも熊森協会をご紹介いただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

デンマークは、2030年までにCO2排出量を1990年比70%削減、2050年までにカーボンニュートラルにするという目標を掲げ、既に現在約25%のCO2削減を実現しています。「VikingからBiking」と言われるほど、自転車需要の高さも環境政策として導入され大きな成果を挙げています。将来世代が生き残るために、今何をなすべきかを長期的に考えているデンマークと比べると、日本は野生動物対策をみても、対策が場当たり的で、長期的視野に欠けているように思わずにはいられません。生息地の復元こそが、根本解決であり、野生動物のすむ豊かな水源の森こそ、誇るべき次世代への財産です。我が国において、クマの大量捕殺という短絡的な対策を食い止め、将来世代のためにクマなど大型野生動物の共存と、豊かな水源の森の再生に向けて国の流れを変えていきたいと強く思いました。

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