くまもりHOMEへ

くまもりNews

熊森植樹地生育調査 兵庫県千種町植樹地は苗木が消え、現在ササ原に

くまもりは無理をして、実に多種多様な活動をしています。しかし、究極めざしているのは、ひとつのことです。つまり、戦後、人間が壊してしまった奥山に、もう一度野生鳥獣が生息できる環境を復元・再生して、人間が1歩下がり、人と野生鳥獣との棲み分けを復活させ、野生鳥獣のためにも、人間のためにも、未来永劫にこの国で両者が共存できるようにすることです。

 

これまで本部は、動物の棲める森復元植樹会を、何度も何度も兵庫県のクマ生息地で開催して来ました。植樹した苗木1万本。当初、シカのいない地域で実施した植樹会は、苗木の生育も良く、みるみる動物の棲める森が復元されていきました。しかし、すぐに、兵庫県のクマ生息地の全域にシカが拡大するようになり、その後の植樹会は、植樹してもすぐにシカに苗木を食べられてしまうため、シカから苗木をどう守るかに追われ続けました。

 

その中でも苗木を1本も育てられなかったのが、千種町植林地です。

 

2004年 千種町官公造林地皆伐跡地視察・・・1ヘクタールを町から借り、実験的にドングリの森に戻そうと決意。

皆伐後4年。シカが多くてササを食べてしまうらしく、伐採跡一面が10センチくらいの背丈の低いササに覆われていました。

 

2005年4月 植樹地にシカが入らないように、金網柵で植樹地の全周を囲う。(中央のひし形に見える部分)

 

2005年5月 金網柵内に、人工林にする前に生えていたと思われるドングリ類を植樹・・・みんながんばりました。(尾根から熊森植樹地を撮影)

 

2006年 4月16日 雪解け後の植樹地調査。あんなにしっかり立てたはずの金網柵の支柱が、アメのように曲がって折れ、金網が倒れてシカに入られていた。積雪は4メートルだったとのこと。雪解け時、斜面をずり落ちていくときの雪の力のすごさを思い知らされる。

この後、毎年、金網を立て直す→雪解け時に倒れる→シカが入って苗木を食べてしまうの繰り返し。とうとう、苗木は消えてしまいました。

 

2012年7月 現在 チシマザサに全面覆われてしまった熊森植樹地。(中央の緑が黒っぽく見える部分)

考察: 中途半端ながらシカを避け続けた熊森植樹地は、全面が背の高いササ原になり、ところどころにコハクウンボクの木が育っていました。鳥が種を落としていったのでしょう。金網柵の外は、ササをシカが食べ続けたからでしょう。背丈の低いササとシカが食べないススキ、ワラビなどで覆われてしまっています。写真ではススキが小さく見えますが、実際は、人の背丈ほどあります。熊森の動物が棲める森造りは、ここでは残念ながら、成功しませんでした。

直前に調べた原生的自然林より、この草地の方が、草花もあり虫もまだいました。クマは森だけでは生きられない。草原や、湿地など、いろんな場所が必要です。今は、奥山に、こんな草原があってもいいのではないかと思えるようになりました。ここでクマが昼にバッタを取って食べていても、誰も行政に通報しないようにしてほしいです。

この後、この人工林皆伐跡地は、いつか動物の棲める森に戻っていくのでしょうか。調査時に見つけた動植物名をこまごまと記録しておきたいと思います。

 

 

この後、今や人間の背丈ほどに生い茂った草々の中での金網撤去という大変な作業が待っています。

フィード

Return to page top