くまもりNews
地元調査やクマ生息地の方々との対話結果・・・集落は至る所クマの痕跡。住民感情は、クマがこわい。動物の棲める森再生には、大賛成。
夏から秋にかけて調査した奥山にはクマの痕跡はなかったのに、今回訪れたこの町では、ほとんどの集落でクマの痕跡を確認することができました。カキやクリの木に出来た熊棚、カキの木に登ったあとの真新しいクマの爪跡、フン、足跡など、集落の中まで、至る所に、その痕跡は見られました。
今回まわった町では、52名の方々とお話しさせていただきました。多くの方々に共通するのはクマが怖いという訴えです。実際に目撃していなくても、クマの痕跡をみつけたり、夜中に民家の裏の柿の木の枝を折る音が聞こえると不安になるようです。
私も、夜、宿泊場所から車を止めている所まで物を取りに行くとき、笛を吹きながら歩いたのですが、その辺にクマがいるかもと思うと怖かったので、少しわかるような気がしました。
しかし、クマは昔から山に住んでいるので見守ってやろうという方もおられて、そういう方とお話しできるとほっとしました。
クマに関して知っていただき、人身被害を防ぐためのチラシも配布してきました。
地元の方の中には、都会からきてクマ守れなんて好き勝手なことを言うなと感情的になる方もいらっしゃいました。しかし、そういう方にもチラシを見ていただきながら「なぜクマが出てくるのか」ということを説明し、人工林を伐採してクマや野生動物が住めるような実りの多い山を再生したいという説明をすると、理解して下さる方がたくさんいらっしゃいました。
有害獣として駆除するための捕獲罠を探しましたが、クマ捕獲用としてはこのドラム缶オリ一つだけでした。クマの目撃は、夏、多かったけれど、最近は、あまり見かけないという集落もありました。クマたちが山に帰っていたらいいのですが、捕殺されてしまったのかもしれません。
シカ・イノシシ用の捕獲罠はいたるところに設置されていました。
捕獲罠の中にはヌカが入っているものが多く、ピーマンが入っているものもありました。イノシシ用でしょう。
住民の方と話していてもクマの話がいつのまにかシカやイノシシの農作物被害の話になっていることも多くあり、被害の深刻さも伝わってきました。
まちがってか、アナグマがかかっている檻がありました。逃がしてやろうと思ったのですが、檻の開け方が分かりませんでした。声をかけましたが、死を覚悟した動物の習性でしょうか、遠くを見つめたまま、見向きもしませんでした。
今回地元に聞き取りに行ってみて感じたことは、住民の方にとって大事なのは穏やかに暮らせることであり、クマをはじめとする野生動物が、昔のように山から出て来なくなればそれで良いということです。
人間の開発や人工林のせいで住み処がなくなり、動物たちが集落に出て来ざるをえなくなっていることは、多くの方が理解しておられました。行政が伐るように指導したカキの木でも、そこのはクマが食べたらいいから、伐らないでやってくれとみんなで頼んで伐らなかったというお話も聞きました。
またある集落では、罠にかかったクマを殺してくれとみんなで言ったのに、行政が、殺してばかりではいけないと言って放獣したという話も聞きました。
今後は区長さんを中心に集落ごとに話をしていき、どうすればクマが山から出て来なくなるのかを、同じ日本国民として、地元と都市で一緒に考えていきたいと考えております。そして今できる活動である電気柵の貸し出しや、山中でのクマの餌場づくりをさせていただける集落を一つでも二つでも増やしていきたいと思いました。