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10/14 楽しかった境内の自然観察・・・神戸東部会員のつどい

今回は、大きな神社の境内が集合場所です。エノキの大木には、実がいっぱいついいていました。この実は、鳥たちの大好物ですが、人間が食べても甘みがあり、おいしいものです。ヒヨドリがあちこちで鳴いていました。

小さい子供さんのいる方やご家族の介護をされている方など、これまで当協会の奥山での活動に参加されたことのない方たちもご出席くださいました。自然観察を指導してくださる研究者や本部スタッフを合わせて24名が参加。

この神社に、当協会スタッフが前もって観察会のお願いを申し出たところ、神社の方が、たまたま当協会森山会長の2008年のNHKラジオ深夜便を聞かれており、日本熊森協会の名を見てすぐに思い出され、すばらしい活動だと大絶賛。ふだん人が入れないようになっている境内の奥を、観察会の場として特別に提供してくださいました。

この場所は、常緑の植物が、高木、亜高木、低木、下草と生い茂っており、一見、熱帯のジャングルのようです。しかし、熱帯と違う所は、足元の落ち葉の多さです。熱帯雨林では、落ち葉はすぐに分解されて、絶えず植物に養分が提供されます。しかし、ここでは、落ち葉の分解が遅いようです。人間がいないときは、神戸の町も、大地はこのような森に覆われていたのだと思うと、目の前に当時のようすが浮かんでくるようでした。

 

研究者の先生によると、ここに生えているほとんどの植物は、鳥が種を運んで増えるものばかりだそうです。鳥たちの好きな実がたくさん実るので、鳥たちが集まって来る場所になっていました。私たちは本部スタッフは、最近の奥山から獣や鳥や昆虫が消えて、沈黙の森になっているのを何度も観察していますから、なんだかこんな町なかに、虫や鳥がいっぱいの場所があることに不思議な思いでした。

 

足元にたくさん生えている背丈の低い草は、藤原定家の名をとったテイカカヅラです。大木の下のテイカカヅラは、大木をよじ登って、高い所まで登っていました。このつる草は、6月にジャスミンに似た芳香の白い花をたくさん咲かせます。その頃のこの場所を想像すると、夢のようにきれいです。

 

クスノキや、南国を思わせるシュロノキもたくさん生えていました。こちらは、樟脳やタワシを利用するために、人間が植えたもののようです。

 

この神社のすぐ近くにお住いの会員のMさんは、会社員の傍ら、昆虫の勉強を研究者顔負けにされておられます。この神社で採集したハチの標本を持ってきてくださいました。奥山ではハチが消えているというのに、ここにはこんなにもいたのかと、みんなびっくりしました。ゴキブリに卵を産み付けゴキブリを殺してしまうハチがいて、そのハチを殺すものがいて・・・話を聞いていると、いろんな生き物がみんなつながって、ここの生態系が構成されているのがわかってきます。ここでも、要らない生物は何一つありません。全てが豊かな自然を構成する重要な要素であり、どれかの種だけが増え過ぎないように、バランスを保つ絶妙のしくみが自然界には備わっていることがわかります。

 

見上げるような大木があって、あまりに大きくて上部が見えません。この地方の潜在植生であるアラカシのドングリの木でした。枯れかけの枝の写真を撮ることが出来ました。小さなドングリです。

神社の境内で、どこまで自然の勉強ができるのか、少し不安でしたが、とてもいい勉強会になったと思います。参加者のみなさんも、楽しかったと全員が喜んでくださいました。人間という動物は、自然と親しむことに、こんなに喜びを感じる動物だったのかと、改めて再認識しました。機会があれば、私たちが取り組んでいる落葉広葉樹をベースとする奥山生態系の勉強にも、ご参加ください。

 

観察会が終わってから、近くの集会所に場所を移し、会長の話を聞いたり自己紹介して思いを語り合ったりしました。

会員同士仲良くなって、自然を守る仲間をどんどん増やしていってほしいです。参加して下さったみなさん、どうもありがとうございました。

 

 

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