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3月15日 お寺の涅槃会で、会長講演

兵庫県加古川の上流域にあるお寺に、呼んでいただきました。以前、訪れたどなたかが、熊森小冊子を置いて行かれたそうで、住職さんがそれを読まれて、呼んで下さったのです。お寺の裏の人工林は、実生のスギだそうです。間伐して、きれいな花の咲く卯の花などを植えられたそうですが、なかなか人間の思う通りにはならず、うまく根付かないと言われていました。

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この日は、涅槃会と言って、お釈迦様がなくなられた陰暦2月15日(現在は、3月15日)に、涅槃図を掛けて、全国のお寺でお釈迦様の遺徳追慕と報恩のために、法要が持たれる日なのだそうです。会場には、明治時代に描かれたという巨大な涅槃図が掛けられていました。写真に撮ってもいいですかと、住職さんにおたずねしたら、どうぞと言ってくださいました。

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それにしても、見事な涅槃図でした。雲に乗って駆けつけたのは、お釈迦様のお母様に当たるマヤさんだそうです。息子が死なないようにと、不老不死の薬が入った袋を投下したのですが、お釈迦様は、念力で、その袋を、近くのシャラノキの枝にひっかかるようにし、自ら薬を受け取らす、そのままお亡くなりになられたのだそうです。そこから投薬という言葉が出来たと住職さんに教えていただきました。

 

私たち熊森が非常に関心を持ったのは、お釈迦様が亡くなられたのを知って、たくさんの生き物たちが嘆き悲しみ、集まってきているようすが、絵の下半分に描かれていることです。これは、お釈迦様が、全ての生き物たちにやさしいきもちで接しておられたからだと思います。ようく見ると、ゲジゲジのような虫まで描かれてありました。当時は、現代のような生態学は発達していなかったでしょうが、すべての生き物たちを大切に思い、この地球上で共存すべきという思想を、お釈迦様は持たれていたのだろうなと感じました。

 

この日集まられた80名の檀家の方は、みなさん農家だということでした。この町は人工林率が数十%と高く、クマこそ棲めませんが、シカなどの獣害に悩まされているということでした。熊森の全生物と共存すべきだという話を聞いて、怒って、席を蹴って帰られる人が出るのではないかと心配しましたが、みなさん、反対に、うなづきながら90分間の話を聞いてくださいました。ありがたいことでした。

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質問会の時、近くの川の水が、近年、どんどんと減ってきているのを心配しておられた方が、行政に訴えたがはぐらかされたとして、熊森の活動に理解を示してくださいました。ここは加古川の上流なので、今後、下流の人のためにも、放置人工林をなんとかしないといけないと思われたそうです。下流の人達にも思いを馳せていただき、お心の広さを思いました。官も頑張ってほしいですが、官のできないことは民の手で。国や林野庁を責めるのではなく、官も民も全国民が戦後進めた拡大造林に対して責任を感じ、都市住民と郡部住民も協力し合って、他生物や地球のためにも、森の復元・再生活動に取り組んでいけるようになればと思いました。

 

また、「うちも山を持っています。多分、人工林で放置され、荒廃していると思うが、もう、家族は誰も、どこに山があるのか境界すらわからない。どうしたらいいか」という声も、聞かせていただきました。政治家のみなさんには、山が大雨で崩れて死者を出す前に、所有者や境界がわからなくても、どんどん間伐隊が入り、林業放棄地は自然林に戻していけるように、法整備や条例整備を進めていただきたいものです。

 

 

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