くまもりNews
4月16日 広島県の奥地でクマの痕跡調査
熊森本部若手スタッフたちは、広島県の専門家に、クマ生息地を案内していただき、調査方法なども教えていただきました。
ここにはまだシカが来ていません。兵庫県ではシカに食べ尽くされて、もうほとんど見られなくなったハイイヌガヤをたくさん見ることができました。また中国笹も私たちの背丈に届くほど生い繁っていました。
栗の木に熊棚がありました。この辺りの木は毎年よく登っているようで、古い爪跡から新しい爪跡まで確認できました。熊棚や爪跡を見つけたらその木の周辺10m四方くらいを丹念に糞をさがすそうです。今回は雪解け直後で流れてしまったのか、残念ながらクマの糞は見あたりませんでした。広島でも、このような奥地での、クマの痕跡はだんだん減ってきているそうです。
この日はとても暖かく、春の息吹を感じました。
中国笹の、鉛筆のようなタケノコ。クマの大好物です。私たちも皮を剥いて生でかじってみました。あくもなく、おいしかったです。
水たまりには、ヒキガエルの卵が、無数に産みつけられていました。うまくかえりますように。
木の幹にへばりついている不思議なシダ植物がありました。これはオシャグジデンダという名前で、これが生えているということは空中湿度が高い証拠だそうです。これがなくなると森林内の乾燥化が進行しているという指針になるそうです。
クマが冬ごもりに使えるような樹洞も、いくつかありました。樹洞内は、じめじめしているのかと思いましたが、意外と乾燥していて、広くて非常に居心地の良い快適空間になっていました。これなら、半年間、寝ておれるかもしれません。
さっそく、京都の会員が、上の花の名前を教えて下さいました。ありがとうございました。エンレイソウ【延齢草】でした。
以下、河野昭一先生の解説より・・・落葉広葉樹林の林床に広く分布するユリ科の多年草で、別名、タチアオイ(立葵)、または、ヤマミツバ。液果の果肉は甘く、種子はアリが散布。根に有毒成分サポニンが含まれ、胃腸薬に使われる。
この日はとても暖かく、じんわり汗をかくほどでした。年間を通じて、樹木の葉が落葉していて日差しが強くなるこの時期が一番暑いそうです。夏は、反対に、木々の葉が生い茂り、林内はひんやりした所となります。
太田川の向こう岸まで、シカの分布が広がってきているそうです。ここにシカが入り込んでくるのも、時間の問題かもしれません。そうなれば、林床植物は、一気に消えてしまいます。こういった原生的な自然を後世に残していくために、今、私たちが何をしなければいけないのか、至急、考えねばなりません。
帰る時、新しく造られた林道の法面が、延々と続くクマイチゴ(落葉性)の赤紫の茎で埋まっているのに気づきました。クマたちが夜、この実を夢中で食べ続けているうち、気付いたら人間たちの集落に出てしまっていたということになったりするのではないでしょうか。
クマが山から出たといって、人間はクマを悪者視しますが、クマを山からおびき出しているのは、どっちにしても人間です。