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10月22日 樹齢数百年、トチノキ残った…保護団体買い取り(読売新聞)

滋賀県高島市の安曇(あど)川流域に広が るトチノキ巨木群の伐採の是非を巡って争われている訴訟があり、自然保護団体が、訴訟当事者の木材業者から樹齢200~400年の48本を買い取ることで 和解する見通しとなった。県によると、このトチノキの巨木群は西日本最大級。同団体は「豊かな自然の象徴であり、伐採されれば琵琶湖への水量減少や土砂流 出につながる恐れもある」として寄付を募り、地元住民や全国から約1000万円が集まった。

訴訟記録などによると、巨木群はもともと地権者の6人が所有。業者から「樹齢200年を超えると腐食したり、実をつけなくなったりする」などと説明され、2007~10年、計約110本を1本あたり10万~5万円で売却した。

伐採目的で業者が購入したトチノキの巨木群の一本。推定樹齢400年といわれる(中央、高村洋司さん提供)=滋賀県高島市朽木地区で

 

その後、約60本が伐採されたことを知った自然保護団体「日本熊森(くまもり)協会」(兵庫県西宮市)が、地元住民らと保護運動を開始。地権者の6人も「自然保護上の価値を知らされておらず、売買契約は無効」と主張、住民らと「巨木と水源の(さと)をまもる会」を結成して業者側に伐採中止を求めた。これに対し、業者は11年10月、トチノキの所有権確認を求めて大津地裁に提訴した。

伐採されずに残っている巨木は48本あり、同地裁での協議の結果、今年7月、同協会が買い取ることで仮合意。基金を設けて寄付を呼びかけたところ、必要な約960万円を超える約1000万円が集まった。

訴訟は24日に和解する見込み。業者は取材に「伐採のために手配したヘリコプター代なども含めた金額だと理解している」とし、まもる会の青木繁会長(61)(高島市)は「トチノキを地域の宝として守っていきたい」と話している。

まもる会によると、安曇川流域には約400本のトチノキの巨木が見つかっており、うち134本について、山林所有者と県などが11年10月以降、 伐採や伐採目的の売却などを禁ずる5年間の協定を順次締結。県は所有者に保全協力費を交付するなど、保護に向けた取り組みを後押ししている。
トチノキ 広葉樹で、幹回りが3メートル以上あれば巨木と呼ばれる。根を大きく張り、保水力があることから水源を守ることで知られ、実は「とち餅」の原料になる。近年は高級住宅の内装材用などとして、巨木が高値で取引されているという。

(2013年10月22日  読売新聞)
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