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三重県で錯誤捕獲され、放獣されたクマの補殺中止を文書で要請

本年5月17日に、三重県いなべ市で、イノシシ用捕獲檻に誤捕獲されたオスのツキノワグマ(140cm、80~100kg、成獣)が発信器をつけて放獣されました。その後、5月27日に、滋賀県多賀町でクマによる人身事故が発生し、三重県は、放獣されたクマが起こした可能性が高いとして、放獣されたクマの追跡し、殺処分する予定です。

 

しかし、三重県が放獣したクマが人身事故を起こしているなら、5月27日午前4時~5月28日14時の34時間に、23kmも移動していることになり、クマの通常の移動距離と著しくかけ離れており、別のクマであると考えられます。当協会顧問の北海道野生動物研究所所長、門崎允昭博士は別のクマだと断言しておられます。

 

誤って捕獲されたクマは、鳥獣保護法上、放獣されなければなりません。今回、放獣されたクマが人身事故を起こしたクマでないなら、再捕獲したり射殺する理由は全くありません。紀伊半島のツキノワグマは、環境省により絶滅の恐れのある地域個体群に指定され、三重県でも希少野生動植物種として保護の対象になっています。クマは、放獣後、人目に付かない山の中を移動しており、何の被害を出していません。このようなクマを補殺することは、あまりにも残酷で人間勝手であり、倫理的にも、希少種保護の観点からも大問題です。

 

6月3日、熊森は、三重県知事、滋賀県知事、岐阜県知事に対し、クマの追跡や補殺を一旦中止し、人身事故を起こしたクマかどうか確定してから方針を決めるよう文書で要請しました。

 

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