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▼「地下水保全法案」 議論が進まない理由はリニア? 橋本淳司の週刊「水」ニュース・レポート (2015年7月29日)より

現在行われている第189回国会(会期2015年1月26日~9月27日)
中にも成立予定だった「地下水保全法」の議論が進んでいません。

今年2月、水循環基本法フォローアップ委員会から上申された
「地下水保全法案」について、衆議院法制局および関係各省から
膨大な意見書(厚さ3センチ!)が出され、集約すると以下の4
つにまとめられます。


その1「地下水保全涵養負担金条項を削除せよ」

その2「リニア新幹線建設に支障をきたす」

その3「憲法の財産権に抵触の恐れ」

その4「地下水メカニズムがわかった前提で記述されている」


正直、なんでいまさらこんな意見が出てくるのだろうかと思うレ
ベルです。水循環基本法が玉虫色であることのツケなのでしょうか。

なかでも、その2には驚きました。

正確には、法案に対する意見書に「リニア」という記載はないの
ですが、「トンネル工事中に地下水が湧き出した場合等にも(工
事に対する)規制がかかることになるが、公共事業等に支障が生
じるのではないか」とあります)。

すでに実験線の現場でも集落の水源枯れが起きており、本線も80
%が山岳部のトンネルであることを考えると、同様の水涸れがあ
ちこちで発生する可能性があります。

(※詳細については「リニア中央新幹線が水を奪う」を)
http://www.aqua-sphere.net/literacy/j/j05.html

リニア新幹線は集落の水を枯らし、生き物の生息地を奪う可能性
があるわけで、それに「待った」をかける地下水保全法は成立さ
せないということなのでしょう。

地下水保全法は、いままで無法地帯だった地下水の利用・保全
・涵養のルールを定めたもので、地下水を持続的に活用していく
ためにはなくてはならないものです。

それをリニア建設に支障が出るからとストップしてしまうとは、
なんとも本末転倒。

「水は国民共有の貴重な財産」と定めた水循環基本法はいったい
何だったのかと思ってしまいます。
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