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8月1日 命の尊厳を忘れないで 神戸でのイノシシのシンポジウム

一等地である兵庫県公館1階大会議室で、井戸敏三兵庫県知事を招いて、「なぜイノシシは都市に出没するのか?」というシンポジウムが持たれました。

 

いったいいつまで、人間勝手もはなはだしいこのような一方的な研究発表を、わたしたちは聞かされ続けねばならないのでしょうか。

神戸市にある六甲山のイノシシたちに、反論の時間を与えてやって欲しいと、心底思いました。

 

●本当にイノシシは増加しているのか

いつも思うのですが、増えたか減ったかは、いつと比べてなのかどの範囲を見てなのか。比較基準が必要です。そこを言わずに、「増えた」と言ってしまえば、他地域の人達は、大学の先生が増えたと言っているから増えたんだろうと疑問もなく信じてしまいます。しかし、ずっと住んできた者から言わせれば、子供の頃の方がずっとたくさん六甲山にイノシシはいただろうと思います。数えたわけではありませんが、六甲山は、全山がイノシシたちの生息地だったからです。

 

そのイノシシたちの生息地である里山を、戦後、人間が次々と宅地開発し続けました。どんな生き物も、生息地を奪われたら生きていけません。増えられません。小学生でもわかることだと思います。

 

100年前の禿山だった六甲山を、人間が植林したからイノシシが棲めるようになったんだと恩ぎせがましく言う人がいますが、100年前禿山だったのは、人間の過利用のためですから、えらそうなことは言えません。その当時は、時代的に人口も少なく、開発も進んでいませんでしたから、兵庫県全体としてのイノシシの総数は、もっともっといたはずです。

 

●イノシシの生息地であった里山を都市にしたのは人間

以下の写真は、阪神間の裏山です。(六甲山も同じ状況です)

s-DSC04230

s-DSC04233大阪空港駅北

 

子供の時、山は全山木々に覆われ、家はまずありませんでした。

人間は平地に棲み、里山にはイノシシが棲んでいたのです。今や、山の半分以上まで宅地が上がっていっています。しかも、これらの山の裏側にあたる三田市は、大開発され、イノシシの国であった広大な里山に、続々と新しくニュータウンが誕生しています。

 

●本質的な問題から目をそらさないで

イノシシが都市に出たのではなく、都市がイノシシの生息地に入り込んだから、人とイノシシの出会いが多くなったのです。

シンポジウムでは、学者先生が、餌付けをする人がいるからイノシシ問題が起きる。「人を恐れずに都市部に出没するイノシシに対しては、捕殺する以外の選択肢はない」と結論付けておられました。餌付けの問題もあるでしょうが、それよりももっと根本的な、人間がイノシシの生息地に家を建てたりものすごい数のゴルフ場を造ったりしてきた問題こそ、論じるべきです。全て、人間が引き起こしたことなのです。

 

●命の尊厳を忘れないで

どんな生き物も、一番大切なのはたった一つしかない命です。捕殺する以外の選択肢はないなど、言い過ぎです。恐ろしい言葉だと思います。子供たちには絶対に聞かせたくありません。

どうか研究者のみなさん、最も大切な命の尊厳を忘れないでください。

 

クマたちに森を返そう

イノシシたちに里山を返そう

シカたちに草原を返そう

 

明治以降爆発した人口が最近になってやっと減少に転じ始めたのは、見えざる神の手のはたらきのような気がします。

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