くまもりNews
2015年山の実り調査実施 ブナ、ミズナラ共に並下
今年の秋のクマの出没を予測するため、本部では毎年9月の初旬にブナとミズナラの豊凶調査を実施しております。
今年は9月11日~16日までかけて、一応兵庫県全域を回ってきました。
A堅果
●ブナ:並下
ブナは氷ノ山近辺では豊作の木が多かったのですが、それ以外の地域では実りが並作以下のものも多くて、全域で平均すると並下という結果でした。
下の写真は、養父市にある妙見山のブナです。
一見、豊作ですが、シイナ率を調べるため、持ち帰って、種子の中身を調べてみました。
シイナ:殻だけで中身がない。動物の食料にならない。
なんと、種子は100%シイナで、健常種子は見当たりませんでした。これは標高が低い所で採集したため、地球温暖化の影響を受けていると思われます。
ある程度標高の高い場所に生えているブナじゃないと、今や健常種子にならないのだそうです。
●ミズナラ:並下
ミズナラもブナと同様並下ですが、ブナよりもさらに実りが悪く感じました。それぞれの場所に1本くらいは豊作の木も生えていましたが、兵庫県全体では、どちらかと言えば不作の木が多かったように感じます。
B液果
ところどころに生えていた山ブドウも見てきましたが、山ブドウは鈴なりに実がついている木をいくつか見つけました。
サルナシもたくさん実がついているものを見つけましたが、数自体をたくさん見れていないので全体の豊凶状況は分かりませんでした。食べてみると、まるでミニキウイです。
サルナシ
この時期、クマのフンによく入っているアオハダも実っていました。
ミズキもよく実っていると感じました。ミズキはクマノミズキとよく似ています。
今年のクマノミズキは生理落下(完熟しないうちに落ちてしまう)が多いようです。ミズキには生理落下がほとんどありません。
今年の兵庫県の豊凶状況ですが、ブナやミズナラなどの堅果類だけではなく、山ブドウやアオハダ、ミズキなどの液果を含めて考えると、そこまで悪くはないのかなと思っています。
ただし、ブナに関しては10月の種子散布時期にもう一度シイナ率を調べに行く予定ですが、その割合によってはブナが不作になることも考えられ、油断はできません。