くまもりNews
9月27日 本部「太郎と花子のファンクラブ」太郎くんご機嫌の巻
「本部タロハナお世話隊」のみなさんは、月1回2頭のクマたちのお世話ができることを、人生の楽しみとして、苦労を苦労とも思わず、本当にお世話日を心待ちにして、楽しんで毎月和歌山に通ってくださっています。
今月も、秋のさわやかな1日、初参加者1名と共に6名で、和歌山県有田川町生石(おいし)高原にある、太郎と花子の獣舎を訪れてくださいました。
ここの2頭のクマたちは、赤ちゃんの時、母熊を人間に殺されたみなしごグマたちです。花子の場合は不明ですが、太郎の場合は、母熊が殺された時は、まだ目も開いていませんでしたから、母の愛を全く知りません。
そんな太郎を我が子として育てたのが、当時の和歌山県の猟友会組織のひとつである鳥獣保護連絡会会長の東山省三先生です。東山先生は、鉄砲を持たない唯ひとりの和歌山県猟友会員で、どんな鳥や獣が減っているかを猟友会員に伝えて、獲らないように指導されていました。
先生の太郎の育て方を、甘やかし過ぎと批判される方もいましたが、先生は、母の愛を一度だって受けられなかったこのクマには、甘い愛情だけでいいのだというお考えでした。
先生は亡くなられる少し前に、「私の和歌山の会を、日本熊森協会和歌山県支部にしてくださらないか」と、願い出られました。私たちは、先生にまだまだお元気に生きてご活躍いただきたかったので、お断りしました。ただし、太郎のお世話は生涯させていただきますとお誓いしました。
その後、くまもりの和歌山県支部が出来て、今や、和歌山県支部を中心に、本部、大阪南地区、京都府支部が協力して、日曜ごとに太郎と花子のお世話にあたっています。東山先生は、心のこもったくまもりのお世話がずっと続いていることを天から見られて、喜んでくださっていると思います。
平日のお世話をして下さっている山田さんには、会員有志からご寄付いただいた「太郎と花子のファンクラブ」基金から、毎月の餌代をずっとご支援させてもらっています。
この日、花子は最初少し寝室から顔を出して私たちを見ていました。まだ9月末だというのに、まるで冬籠り前のように眠そうでした。そのうち、自分で寝室の奥に入って、扉をぴしゃんと閉めて出て来なくなりました。
眠そうな花子
私たちは、そっとしておくことにしました。
そのため、いつもは2頭に分けて与えている愛情を、この日は太郎が独り占めすることができました。太郎はとてもうれしそうでした。体を触ってもらおうと寄ってきて、甘えっぱなしでした。
今回は、秋の果物をたくさん持っていきましたが、山田さんに、大好物の炊き込みご飯をすでにたらふく頂いたあとだったようで、もうお腹がいっぱいという感じで、あまり食べませんでした。お掃除を終えてから、運動場に持って行った果物を並べて帰ってきました。ナシは食べていましたが、よく見ると、真ん中の芯の酸っぱいところだけは残していました。クマも人間と同じで、芯は食べたくないようです。
ここは、2頭のクマたちとお話がいっぱいできる貴重な場所です。まだの方は一度、訪れてみてください。地球上に、人間と心を通わせ合うことのできるこんな素晴らしい動物がいたのかと知ることによって、人生がさらに楽しく優しく豊かになります。
今回お世話に行ったメンバーです。
皆さん、ご苦労様でした。