くまもりNews
兵庫のブナ豊凶調査
- 2016-10-10 (月)
- くまもりNEWS
熊森本部が単独で、兵庫県クマ生息地のブナ・ミズナラ・コナラの豊凶を調査し、データ化し始めて4年になります。
今年も9月中旬に1週間ほど掛けて調査してきました。
他のドングリは、木を見るだけで調査が終了しますが、ブナの場合は、充実種子(種の中に、食用となる部分が入っている)か、シイナ(種は殻だけで、中身なし)か調べなくてはなりませんから、大変です。実を事務所に持ち帰って、一つずつ殻の中を開けて調べます。
クマは、調査などしなくても、春からブナの豊凶がわかるようで、ブナが凶作の年は早めに下へ降りてくると言われています。また、充実種子かシイナかは、殻を割って中を見なくてもわかるようで、充実種子だけを食べると言われています。本当かどうか調べたことはないのですが、人間にはない高い能力があることは十分に考えられます。
今年も、ブナの豊凶は、14か所の山で調べました。1つの山で、標準木を十数本決め、全体としての豊凶を判断しています。
ブナの実り
大凶作・・・11か所
凶作・・・2か所
並上・・・1か所
去年と打って変わって、ほとんどのブナに実りを見つけることが出来ませんでした。
といって、豊凶が規則正しく変化しているのかというと、そうでもありません。
3年連続凶作の山もありました。
しかし、多くは、それなりに実りのあるなしが交互になっていました。
今年、ブナの実りがあった山は、1か所だけです。去年この場所のブナは、凶作でした。実りがあったと言っても、その中でもまた個体差があって、実がついている木もあれば、全く実りのないブナの木も何本かあり、複雑です。
自然界は、人間が絶対にコントロールできない世界です。
ということは、これらの実を食べて生きる動物たちをコントロールすることも、人間には絶対にできません。
エリートと言われる学者先生たちが、どうしてこの事実に気づかれないのか本当に不思議です。
今年のシイナ調査はこの山だけでいいので、簡単です。
持ち帰ったブナの小枝を観察してみました。
持ち帰った時は、殻斗(かくと)がしっかり閉じていましたが、今は乾燥したためか、完全に開ききっています。
そばで改めてみてみると、殻斗は毛むくじゃらです。
何のために、こんなに毛が生えているのかネットで調べてみましたが、答えはわからないそうです。
葉が乾燥してすごく丸まっています。葉脈がくっきりと浮かび上がっています。
自然に黄葉した葉は平らなままなのに、ふしぎです。
枝の先には、来年の芽がきっちりと、もう用意されてついています。
用意周到です。
追加
乾燥した殻斗(かくと)を水の中に入れて帰りました。
翌日見ると・・・
水分を吸うと殻斗(かくと)は丸く閉じることが証明されました。
さて、1つの殻斗から、ソバの実そっくりの実?種?が、2つでてきます。
ここのブナの調査結果は・・・
ブナ 充実種子 シイナと虫食い
充実種子 49個 61.3%
シイナ 22個 27.5%
虫食い 9個 11.2%
シイナ率3割というのは、まあいい方だと思います。食べてみるとピーナツみたいで、人間にとっても、とてもおいしいです。
それにしてもこんな小さな実、相当食べたところで、お腹の足しになるとは思えません。
厳しい自然界の中で、こんな小さな実を必死に食べて冬籠りに備えようとしている森の動物たち。
一方、今や大飽食している人間です。
レジャーだスポーツだとして、山の中に潜んでひっそりと一生懸命生きている動物まで撃ち殺す権利が、人にあるでしょうか。
クマ狩猟再開反対。
今年から、アベマキや、液果であるヤマブドウ、ミズキ、サルナシの豊凶も調べることにしました。