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テレビ局に兵庫県のクマ生息地の山々を初案内

11月9日、丸1日とって、あるテレビ局の方が、兵庫県のクマ生息地を取材してくださいました。

これまで熊森は、「とにかく、山に入って下さい。誰の言っていることが本当か、山の中を見たら、すぐにわかります」と、知事さんやマスコミ関係者にお願いし続けて来ました。しかし、みなさん忙しくて、応じていただけませんでした。

今回、ついに来てくださった。本当に感激でした。本部スタッフ3名で一生懸命ご案内しました。

 

クマ生息町の山は、延々と人工林が続きます。

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集落近くのぬかるみ道で、真新しいクマの糞や足跡を発見

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この足跡を残したクマは、きっとまだその辺にいることでしょう。

大きい声を出して、人間が来ていることを知らせながら歩みます。

住民に、クマが爆発的に増えていると思うかたずねてみました。

「山にはおらんから、増えてないやろな」という答えでした。

いよいよ、山奥に入って行きます。

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急斜面で、カメラさんは本当に気の毒でした。ケガをされないかひやひやしました。

一見いい自然林なのに、なぜ動物が棲めなくなったのか説明しながら進みます。

標高1000メートル近くになって、やっとブナ・ミズナラの原生的な森に、少し、下層植生が現れ出しました。雪が降ってきました。

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左は原生的な森、右は動物の餌が全くない放置人工林。林内が対照的です。

原生的な森のブナの幹をみんなで見て歩きました。どのブナの木にも、古いクマの爪痕がいっぱいついています。この爪痕は、材が柔らかい春の時期に、花や若葉を食べにきたクマたちが木に登った跡と思われます。

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ブナの木にびっしりついた古いクマの爪痕

かつて、このあたりはクマの恒常的な生息地であったことがわかります。最近のクマの爪痕が少しくらいあるかもしれないと思って探しましたが、全く見つかりませんでした。

 

ミズナラに一つぐらいは熊棚が出来ていないかと思って探しましたが、これも残念ながら全く見つかりませんでした。

クマの糞も一つも見つかりませんでした。今は、もうほとんどが、下の集落周辺に移動してしまっているのがわかっていただけたと思います。

 

かつてこのあたりは、人間の背丈より高いササにびっしり覆われた場所でした。臆病者のクマたちが何頭か姿を隠しながら棲んでいたと思われます。

多くの研究者たちは、下層植生が消えたのは全てシカとして、シカを犯人にしていますが、いくらなんでもあれだけ生えていた大量のササを、シカが食べきれるわけがありません。

ある研究者の観察では、まず初めに、地球温暖化で雪の上にササが出るような年があったり、数十年に一度のササの一斉開花があったりで、地上部のササが枯れました。ササは地下茎がありますから、いったん地上部が枯れても、また地下から芽を出してきます。その芽を今度はシカが食べてしまうので、ササが復元できなくなってしまいました。もし原生林内を囲うと、その中だけには、ササが生えてきます。

シカも関係していますが、全てシカが下層植生を枯らしたようにいうのは、まちがいです。地球温暖化で枯れたのなら、大元の原因を作ったのは人間です。

 

このあと、下の別の集落に移動しました。クマたちと共存している地元の人たちの姿がありました。

テレビ局の方は、人身事故があった現場も取材されていました。

 

帰りの車の中で、突然、東京のテレビ局の方から携帯に電話が入りました。近々、兵庫に行くので、山を案内してほしいということでした。

今回のクマ狩猟再開は、兵庫県森林動物研究センター研究員の、「兵庫の森は絶好調、歴史始まって以来の豊さを誇る森」ということが前提となっています。

もう少し早くマスコミのみなさんが熊森に注目してくださって、現地を見にきていただき、前提が全く間違っていることを報道してもらっていれば、狩猟再開はくつがえせたのではないかと思いました。兵庫の奥山は、人工林も自然林も、林内は大荒廃しています。

 

 

 

 

 

 

 

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