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森の中にあれだけあったササを、シカが食べ尽くせるはずがない

幾つかの山で、原生林の中にびっしり生えていた人間の背丈より高いササが、消えてしまいました。

一般に、シカが下層植生を過採食したことにされています。

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2000年以降、上の写真のような光景を見られた方も多いと思います。

見渡す限りのササが枯れていますが、犯人がシカであるはずがありません。

そもそもササがびっしり生えた原生林が残っていたら、草原の動物シカはササにはばまれて奥まで採食に入れなかったはずです。

 

ササは、数十年に1回の一斉開花や、地球温暖化による休眠解除後の凍害によって、今、一気に特定場所で大量に枯れています。

 

ササには地下茎がありますから、本来は地上部が枯れても、やがてまた復活します。しかし、現在、そのような場所にはシカが入り込んでしまっているので、地下茎から出てきた少しの若葉をシカが食べてしまいます。よって、シカよけ柵の内側しか、ササは復活しません。

 

熊森を指導してくださっている研究者の一人は、大学で習った森林生態学は、もはや成り立たないと言われます。人間活動によって、現在、自然界ではありえない事態が山で進行しており、森が今後どう遷移していくのか、さっぱり予測できないそうです。

 

すべてをシカのせいにしている研究者がいますが、そもそも、シカを山奥へと導いたのは、戦後の拡大造林です。奥地の原生林を大規模皆伐したことや林道開設によって、シカは自由に奥地まで楽々と移動できるようになりました。皆伐跡地には草が生え、シカの豊かな餌場となって、シカ数を増やしました。

 

現在の、シカ問題、クマ問題、森林の下層植生消失問題、困った事態を引き起こしたのは、みんな人間なのです。私たちは、自分たち人間がしでかしたことを棚に上げ、野生動物を悪者に仕立て上げて、殺して食べる事ばかりを、行政やマスコミを使って進めている兵庫県森林動物研究センターの研究員に、問題を感じています。行政の任命責任が問われます。

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