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9年前の兵庫県野生動物育成林事業地を再チェック

30ヘクタールでクマの餌場が復元されたことになっている場所です。

 

①入り口です。

 

 

 

 

 

 

 

 

②どこかに餌場が復元されていないか探しながら、険しい道を上がって行きます。

 

③間伐された木が林床にきれいに並べられています。

斜面が急なので、大変な作業だったと思います。

しかし、この程度の弱間伐では、9年たっても草1本生えないことがわかります。

④1時間半かけて、頂上近くにまで登ってきました。

⑤ついに人工林のくり抜き部分を発見!

実のなる木の植樹苗は全く見当たらず、植樹した形跡さえありません。

シカよけ柵の網が破れて穴が開いていたので、苗木はシカに食べられたのでしょう。

 

近くに、もう一つの人工林のくり抜き部分がありました。

ここは数メートルにもなる木が多く育っています。

よく見ると、どの木も樹種が同じで、幹にトゲトゲがびっしりついています。

先駆種であるカラスザンショウの群生地になっていました。

植樹した苗木が残っていないか探し回ったら、成育不良で未だに小さなシバグリとコナラの苗木がほんの数本見つかっただけでした。

人工林くり抜き空間は、カラスザンショウの群生地になっていた

 

⑥尾根の広葉樹林には、シカよけ網で囲った部分が数か所あるはずなので探してみましたが、見当たりません。生き物の生息痕跡がない死んだ山でしたが、ここで1匹のリスに出会いました。(この日出会った唯一の動物です)

やっと、シカよけ網で囲った広葉樹林を1か所見つけました。中で何か良き変化が起きているのかと期待しましたが、柵が倒れていたのでシカが入っていることでしょう。

下層植生が消えた周りの広葉樹林と何の違いもありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

シカ除け柵の網が倒れていた

 

 

 

今の所、この事業は9年経過していますが、クマの餌場は全く復元していないと言ってもよいでしょう。兵庫県は、クマが山から出て来るとして悪者扱いする前に、また、クマ狩猟をハンターに楽しんでもらうという前に、クマの生息地を復元してやるべきでしょう。

兵庫県の環境保全部門は、この20年間いったい何をしていたのか。

生息地を破壊したまま、クマ狩猟を楽しもうなど、人間のすることではないとくまもりは考えます。今年度のクマ狩猟などありえません。

第一、日本の法律では、クマは狩猟獣だから狩猟を再開するのだと兵庫県は単純に主張してきましたが、世界の流れはすっかり変わってきています。日本だけではなく、ヨーロッパでも、笛吹けどスズメ踊らずで、狩猟者の成り手が激減しているそうです。

日本野鳥の会は、「野のものは野に」として、野鳥の捕獲飼養を全面禁止してしまいました。すばらしいと思います。

 

確かに今、地元では獣害が大変ですが、大きな原因は、自然の山を壊し続けてきた人間にあるということを忘れてはならないと思います。

 

県と民間が協力して、この山を何とか野生動物が棲める餌場の森に戻せないものでしょうか。

 

最後に、いい話です。

 

尾根近くの数十年と思われるコナラの木々の幹を見ると、あちらでもこちらでも黒い樹液がカシノナガキクイムシが開けたと思われる穴からしたたり出た跡がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穴から、コールタールのような樹液を出して、カシノナガキクイムシを撃退したコナラ

 

もちろん、ナラ枯れに負けて枯れたコナラも何本もありましたが、こうやって、自力で必死に樹液を出してカシノナガキクイムシと闘い、枯れずに生き残ったコナラもたくさんあったのです。自然界は実にうまく出来ている。

 

 

自然界から勇気と力を得ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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